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すべてがFになる



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すべてがFになるの評価: 6.81/10点 レビュー 48件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.81pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全20件 1~20 1/1ページ
No.20:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

すべてがFになるの感想

文庫本の解説を読んでみると、本作の初稿完成時期が1995年12月となっている。
今から約30年前で、阪神淡路大震災があり、オウム真理教による地下鉄サリン事件があったあの頃である。
果たしてあの頃に、巷でVR(仮想現実)の話題が上がることはあったであろうか。
本書では、終盤の犯人とのやり取りが、カートに乗ってVRで行われる。この辺りは凄く新鮮。30年ほど前の小説とは思えない新しさだ。
AI(人工知能)についての記述は無かったが、その初歩的発想のロボットも出てくる。
著者の履歴を調べてみると、執筆当時は現役の名古屋大学工学部助教授。うーむ、これはバックボーンが全く異なる。
こういう肩書でありながら、こうした大衆向けの娯楽小説が書けるわけだ。その当時、著者は大学でどのような趣向で学生に講義していたのだろうかと、色々と想像してしまう。

さてそういうことを含めて、本書のミステリー本としての感想だが、内容的にはクローズド・サークルのミステリー小説であった。
当方、基本的に、この手の謎解き本格物というものは、余り好みでは無い。
しかしながら、今回は妙に楽しく読ませて頂けた。理系ミステリーを標榜するだけあって、ややマニアチックな用語や数値が頻出したが、さほど苦にはならなかった。
謎解きの説明も、そこそこに納得できた。

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マッチマッチ
L6YVSIUN
No.19:7人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

今だからこそ云える、壮大なシリーズの幕開けだと。

京極夏彦氏と同時期にデビューした、今や超人気作家となった森博嗣氏のデビュー作。
この犀川・西之園萌絵が登場する通称“S&M”シリーズが森の人気を不動の物にし、話題作を連発している講談社のメフィスト賞は本書を刊行するために創られたとまで云われている。

今までの本格ミステリ作家と森氏が決定的に違うのは、彼が理系の人間であり、現役の大学助教授であることだ(当時)。
さらにその専攻が建築学であることから、物語で語られる館については建築基準法に則した書き方がされ、奇抜でありながらも荒唐無稽ではない。特にガラスが1枚も無い真賀田研究所の避難経路に関する説明など、建築に精通した人間が配慮する書き方になっており、同じ建築の仕事に携わる身としては好感が持てた。

本書に登場する人物は恐らく森氏の知人、同僚、もしくは作者自身の断片が散りばめられているのだろう。研究所に住まう人間達は年相応に老けておらず、どこか子供の心を持った稚拙さがあるという描写があるが、これもやはり研究者という人間が社会の風に対して免疫が無い事から来る性癖なのだろうし、頷けるところがある。特に研究所の人間の個室にはレーシングカーの模型があったり、動物の模型があったり、はたまたアニメオタクにガンダムオタクがいたりと、何かに執着する性質があることが書かれている。
また主人公の犀川の研究室にはアクロバット機の写真が飾られているという描写があり、これも作者の航空機好きが反映されている。

さらに作中で出てくるヴァーチャルリアリティ空間内でカートに乗って一堂に会するシーンは森氏のカート好きとコンピューター好きが嵩じた当時の理想を描いた物だろう。21世紀の今の「セカンドライフ」を髣髴させて、なかなか興味深い。

そしてそれは主人公たちにとっても例外ではない。特に犀川教授は非常に合理主義的な人間である。とにかく委員会、会議といったものが嫌いで、人と係わり合いをもたずに研究に没頭する環境に憧れており、正にその環境が整った真賀田研究所を理想郷であると嘆息するのだ。
しかしこの教授が例えば生物学とか薬学、もしくは数学の研究者であればそれは構わないだろうが、建築学科の助教授がこのような個人主義、孤立主義的な環境を望むのはお門違いではないだろうか。建築とはいわば人間の居住空間であり、生活空間なのだ。人間との触れ合いを持たずして何が研究者だろうかと、私は憤慨する。
恐らくこれは同じく建築学科の助教授である作者の心境を代弁したものだろう。叶わぬ理想とは云え、なんとも大人気ない発言だと思う。しかしこういう普通では云えない事を云いたいがためにこういった小説内人物を通じて本音を吐露したのかもしれない。

そして最も鮮烈なイメージを残すのは真賀田四季という天才。数年後にその名も『四季』という作品が春夏秋冬の4部作として著されているほど、森氏のお気に入りのキャラクターのようだ。
情報工学の第一人者、真賀田左千朗博士と言語学の最高権威の1人だった真賀田美千代博士の娘で9歳でプリンストン大学のマスターを授与され、11歳でMITの博士号を取得し、12歳からMF社の主任エンジニアを務め、14歳の時に両親を殺害した罪を問われたが、心神喪失状態だったという事で無罪となり、以来、孤島にある真賀田研究所に15年間外出せずに地下2階の自室で天才プログラマーとして活躍しているという、マンガのような設定の人物。
しかし私はこの類い稀なる天才の描き方について私はどうも物足りなさを感じる。天才、天才と作中で謳われている割には目から鱗が取れるような思いもよらない発想とか考え方が開陳されるわけでもなく、そういう考え方もあるわなといったレベルの思考でしかなかったからだ。
具体的なことははぐらかされ、全てが曖昧のまま、思わせぶりに結論付けずに終わってしまう。天才の考える事は常人には解らない、そんな持ち味を出したかったのだろうが、それは成功しているとは思えず、先に書いたように、誰もがそういう風に考えてはいるが、人道的・道徳的に口に出すことを憚っている類いの合理主義的思想を述べられているに過ぎないように感じた。

例えば、西之園萌絵などはお嬢様育ちで世間、社会に馴れていないせいか、嫉妬すること、腹を立てていることの理由が解らず、第三者的な視線で自分がそうしていることを自覚する描写が時折挿入されるが、この辺は確かに理解できる。
が、彼女が天才である描写で3桁、4桁の暗算を素早くするというシーンが何回か織り込まれるが、これを以って彼女を天才だと演出するにはなんとも稚拙なのだ。しかも犀川はその天才西之園が初めて自分より頭のいい人がいると意識した人物と書かれているが、上に書いたような人とちょっと変わった考え方をする人物とでしか思えなかった。
この齢にもなると、小説におけるキャラクター設定に関して穿った見方をしてしまうので、おいそれと書かれている説明を記述どおりに鵜呑みに出来なくなってしまっている。従ってもう少し彼らが本当に天才であるなぁと感嘆するようなエピソードが欲しかった。

本書では1つの密室殺人と2つの殺人が盛り込まれている。特に1つ目の密室殺人の謎がメインと云えるだろう。365日24時間記録し続ける監視カメラが見張っている上に、コンピューター制御されたセキュリティシステムで管理された室内で起きた密室殺人。しかもカメラには誰も部屋を出入りした人物が映っていない。
この堅牢なる密室殺人の謎解きは完璧と思いがちなコンピューターの盲点を突く真相で、実に鮮やかだったが、犯行に関しては私が推理していた範疇だった。

本書はこれから続くこのシリーズの序章に過ぎないことが最後に解る。毀誉褒貶折混ぜて感想を書いたが、彼ら真賀田四季と犀川・西之園という天才たちの造形もこれからシリーズを重ねていくに連れて厚みを増していくのだろう。
とどのつまり、作品を好きになるか否かはキャラクターを気に入るかどうかによる。現時点ではまだこの3人は戯画化されてて、またその考え方も首肯し難いところがあるので、手放しで好きだとは云えないが、今後この3人の物語がどのように展開していくのかこれからシリーズを追って確認していく事にしよう。


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Tetchy
WHOKS60S
No.18:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

最も衝撃を受けた密室脱出トリック

自分が今まで読んできたミステリの中で最も衝撃を受けた密室脱出トリックです。

ただ主人公のS&Mコンビがあまり好きになれなかったのと、猟奇殺人&クローズドサークルという好みのシチュエーションでありながら、その後の緊迫感や恐怖感は薄めで解決編までは淡々と話が進んだので、ストーリーとしてはあまり面白いとは思いませんでした。

もう20年以上前の作品となりますが、今見てもまさに最先端を行くような研究所の無駄のない職場環境などの設定は凄いですね。

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.17:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
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すべてがFになるの感想

アニメ化される直前に読了できたのが幸いでした。映画もそうですが、アニメにしても原作を無視した監督の独善的な脚本直しは正直なところ好きではありません。読後にアニメも見たのですが見る価値はありませんでした・・・というか、原作を読んでいたからこそ内容がわかるような作りになっており、しかも余計な脚色でつまらなくなっているという・・・。

分厚い本な上に理系的な解釈がまま出てくるので読む人を選ぶかもしれませんが、理系の俺には意外とすいすい読めました。展開も楽しめたので理系のミステリー好きにお薦めしたい作品です。

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mkaw11
HAAP6CBX
No.16:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
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すべてがFになるの感想

著者初読み。発売当時は新本格ブームをずっと追いかけていましたが、本作は何か違う気がして外してたんですね。「理系」と言うだけでまず自分の圏外に置きますし、何せ新作刊行のスピードが凄くて、コレは付いて行けないなと。それが20年経った今、知り合いに勧められついに手に取る事に。そして感想は、「とても面白かった!」です。ここまで不可能状況を設定されると、そりゃ真相が気になりますよ。数学的な話はほぼ理解出来ませんでしたが、まあ何となく分かったんで良しとします。後、コーヒーに煙草は必須です。超共感。

なおひろ
R1UV05YV
No.15:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

アニメもドラマもやっていたシリーズですが、せっかくなので本で!と思い、映像ものは見ないまま読みました。孤島の研究所の密室で見つかる死体...という個人的にはわくわくする題材で、あっという間に読めました。森博嗣は初めてでしたが、他もシリーズがあるということでぜひ読んでみたいです。

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まみ
28PJ6KDT
No.14:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
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松千代
5ZZMYCZT
No.13:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

今読むと、舞台設定がかなり古臭い感じは否めませんが、ミステリーとしての面白さにはそれほど影響はしていないと思います。密室やアリバイなど、やっていることは純然たる本格ミステリーで、その点は満足しています。難点を挙げるとすれば、「天才=何でもできる」みたいな所が必要以上に強調され過ぎている印象を受けたことでしょうか。一方で、主人公が所々で口にする、他人との関係性や労働とは、研究とは、といった事に対する考えが、驚くほど自分と似ていたのがとても印象深く、謎解きとは関係ありませんが、この作品を読んで良かったと感じだ点でしょうか。

マー君
S2HJR096
No.12:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

純粋な推理小説という内容で、とても読みやすく面白かったです。
ただ、クライマックスは専門的な内容が多く、トリックを噛み砕いて理解していく思考が必要で、純粋にストーリーを楽しめなかったことがとても残念でした。

chiiiisim
22ZP2D8P
No.11:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

すべてがFになるの感想

正直言って期待しすぎたせいか、思ったほどではなかったという印象です。
ただ、死体の登場シーンと思わぬトリックにはびっくりしました。このインパクトからデビュー作に選定されたというのはうなずけます。
やや理系色が強いため、抵抗がある方も多いかもしれません。

フレディ
3M4Y9ZHL
No.10:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

すべてがFになるの感想

肌に合う、合わないという感覚を普段の日常生活で感じる事はあまりないと思うのですが、この作品を読んでいる間は
その感覚がしきりに纏わりついて離れませんでした。
社会から隔絶された空間で起こる殺人事件、密室のトリックなど王道の展開を、機械的(というか機械)な人工物でコーティングした
作風で新鮮かつ異色な1本。

短い文章その物が全て記号や数字に見えてくる感覚。自分には合いませんでしたが、そういう感覚を味あわせて
くれたという点では希少な作品と言えます。
でもやっぱりコンクリートよりは木が好きです!

コタロウ
8YIL7DEH
No.9:
(7pt)

すべてがFになるの感想

初読了の森博嗣作品。出てくる用語は難解でテーマも哲学的だがその解決はわかりやすくすっきりとした読後感だった

水生
89I2I7TQ
No.8:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

面白い

とても評価が高かったので読みましたが、とても面白い小説でした。テンポが落ち着いていてトリックも斬新でよかったです。
ですが、科学的な所など少し難しい部分がありました(森さん自体もそれに関係するお仕事を行っているようです)。勿論自分の知識が浅い事も問題なのですが、「読みづらいなあ…」と思うことがよくありました。
十作ぐらいのシリーズらしいですが、次のを読みたいかと聞かれたら、少し考えてしまいます。

夜光虫
OS94C33E
No.7:
(8pt)

すべてがFになるの感想

真賀田四季さんのキャラクター好きです(●´ω`●)

みい
XL0AKYF3
No.6:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

この作品の魅力としてまず挙げられるのが
やはり登場人物たちのキャラクター性でしょうか
犀川創平、西之園萌絵、真賀田四季が特にいい
また、文章の書き方がすごく理系らしいです
淡々と事実を語っていく感じで最初は読みづらいかもですが
読んでいくうちに慣れてきて楽しめながら読めます
期待に応えてくれる作品だと思います

LN
XL1SRHRZ
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

美しいラストシーンに涙


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お頭
9CX50PGJ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

頭の回転が速い人達ばかりでなんか刺激的だったね。理数系と聞いててとっつき辛い気がしてたんだけど杞憂に終わって凄く楽しめたよ。
登場する人みんな凄い魅力的。人気作なのもわかる。読んでよかった。

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えんじ
VGV1LYIG
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

主人公以外の人物も強烈な印象を抱く

本格ミステリとして確立されているこの作品はなかなか難しいトリックを使っており、森博嗣さんは作家なのか情報処理専門なのかと疑問に思うほど専門的でした。たぶんプログラミングやC言語を私が得意としていれば評価10ものかもしれません。しかし、専門に詳しくなくてもなるほど!と思えるような素晴らしい作品でした。天才の思考っていうものも味わえる作品ですね。おススメします。

nissi
RFWQ06JW
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

すべてがFになるの感想

根っからの文系の僕は、分かり辛い用語に少し疲労しました。
これだけ科学的な話が10年以上前に書かれたことに驚きです。
密室構成についてのトリックは新本格として充分満喫できました。これ以上頭のいい犯人を僕は知りません。

判子
9NSL6FZ2
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

7は孤独な数字

シリーズの1作目ながら主人公達よりも、天才真賀田四季のキャラクターが強烈でした。
「7は孤独な数字」に始まり、数々の印象深い場面がいっぱいです。
コンピューターや数学の話が多く、理系ミステリと言われるのも読んでみて納得。

まっかろん
9QGD4HTX

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