フラッタ・リンツ・ライフ



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初公開日(参考)2006年05月
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長編小説

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新装版-フラッタ・リンツ・ライフ-Flutter into Life (中公文庫 も 25-18)

2022年11月22日 新装版-フラッタ・リンツ・ライフ-Flutter into Life (中公文庫 も 25-18)

上司のクサナギ大尉やトキノと戦闘機に乗り、空を駆けるクリタ・ジンロウ。地上ではすべてが粘土みたいに溜まって腐っていくように思えてうんざりしている。だが、クサナギの幼馴染みの科学者や、彼女を追う新聞記者と出逢ったことからー永遠を生きる子供たちの物語、急展開!(「BOOK」データベースより)




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フラッタ・リンツ・ライフの総合評価:9.28/10点レビュー 29件。Bランク


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(7pt)

今日も戦闘機乗りたちは生を実感するために死地へ向かう

スカイ・クロラシリーズ4作目の本書での語り手はクリタ・ジンロウ。そう、1作目では既に戦死しており、その機体を引き継いだのがカンナミ・ユーヒチだった。
1作目では明かされなかったクリタ・ジンロウの死と草薙の絶望についてようやくこの4作目で語られるのかという思いでページを捲った。

予想できたことだが、草薙水素は前作にも増して絶望している。彼女は会社のロールモデルとして生きることを強いられ、死と隣り合わせの空中戦闘に参加させられないことにフラストレーションをため込んでいる。

そして物語の終盤で語られる草薙水素の驚愕の秘密。

さてとびとびに読んでいるこのシリーズはそれまでの登場人物が密接に関わり合ってくるのできちんと備忘録として残しておかねばならない。

フーコは1作目から登場する女性で『スカイ・クロラ』では娼婦頭だったが本書ではクリタ・ジンロウの恋人(?)だ。

『スカイ・クロラ』でカンナミのパートナーとなる土岐野も本書で登場し、1作目で語られていたようにクリタのパートナーである。

そして本書のキーを握る人物相良亜緒衣は草薙の知り合いの医者だった人物だ。

また前作で草薙の取材をしていた新聞記者の杣中も登場する。

新たな登場人物としては草薙水素の異父妹でクサナギ・ミズキが登場する。但し風貌はまだ幼い少女だ。

そして情報部のコシヤマという人物も登場する。

これらの人物が今後の物語にどのように関わってくるのかもこのシリーズの興味の1つだ。

戦闘機のパイロットは常に死と隣り合わせだ。出発前に元気だったからと云ってそのまま基地に還ってくるとは限らない。
しかしそれでもなお彼ら戦闘機のパイロットは空を飛ぶことを止めない。その理由が本書には思う存分書かれている。

それは彼らが到達する天上は鳥さえも飛ぶことができない不可侵領域だからだ。その空と宇宙との間の澄み切った世界に入れるのは彼らパイロットの特権だからだ。

彼らが飛ぶのは敵と戦うためだが、そこに命のやり取りという意識はない。
彼らは存分に彼らしか到達できない世界で自由に飛んで戦うことを愉しむことができるからこそ飛ぶのだ。

そこで彼らは地球の重力からも解放され、全き自由が得られるのだ。この自由、そして不可侵の空にいることの無敵感こそが彼らに至上のエクスタシーをもたらす。

その純粋さは恐らく新雪のゲレンデを一番乗りで滑るスノーボーダー達が感じる喜びの数百倍に匹敵するのではないだろうか。

だから彼らは命を亡くすかもしれない戦闘機パイロットの職を辞めない。

例え敵に撃墜され、命を喪うことになっても、何物にも代え難い空での自由の前では死すらも安く感じるのではないか。

もしくは永遠の命を持つキルドレは普通に生活していれば無縁の命の危機をパイロットとなって戦闘に関わることで死を意識するスリルを味わうことができる。

あるいは長らく生きていることでもはや死を望んだ彼らが永遠の眠りを手に入れるために敢えて死地として空を選んだ者もいるだろう。

戦闘機乗りは地上では穏やかだが、空に出ると戦闘的になる者が多いと作中には書かれている。戦うことが礼儀だからだと語り手のクリタは述べる。

つまり彼らは命の駆け引きなしで空を飛ぶことに満足できなくなっているようだ。

敵を撃墜すると気分はハイになるとも書かれている。
人の命を奪ったのに彼らに残るのは“人を殺した”という罪悪感ではなく、敵を撃ち落としたという即物的な喜びだ。

一方で仲間が撃墜されるとその喪失感でしばし呆然となる。そんな時の食堂は閑散としているが、パイロットたちは彼らの死を偲ぶのではなく、寧ろ新しい人員がいつ補充されるかを考えているだけだとクリタは述べる。それはやはり自身も戦闘機に乘る駒の1つに過ぎないと思っているからだろう。

クリタ曰く、草薙水素が笑うのは空の上にいる時だけらしい。その時の彼女は実に愉しそうに、そして嬉しそうに笑うようだ。
そんなエピソードが草薙水素の絶望を更に引き立てる。

そして本書の最大の焦点である語り手クリタ・ジンロウの末路はどうなったのか?

1作目の『スカイ・クロラ』では草薙水素がクリタ・ジンロウを殺したとあり、それは彼が永遠の命を持つキルドレという呪縛から解放されたいがためにクリタが死を選んだとあったが、本書に登場するクリタは永遠の命を持つキルドレであることを寧ろ受け入れ、飛行機に乗りたいからキルドレであることを選び、死にたくないと公言している。

果たしてこの真逆なクリタの心情がいかにして180°変わるのか、興味を覚えながら読み進めた。

Flutter Into Life、“生への羽ばたき”とでも訳そうか。戦闘機乗り達は自分たちの生を実感するために命を喪うかもしれない空の戦場へと向かう。
この大いなる矛盾はもはや理屈ではなく、戦闘機乗り達が持っている共通項なのだろう。

命を賭けてまで辿り着きたい場所がある。その場所でしか味わえない自由がある。

草薙水素もクリタ・ジンロウも、そして黒猫こと元ティーチャも生きるために死地へ向かい、飛びたがっている。
生きている限り、彼らは飛び続けたいのだ。

ハリケーンや台風が訪れる前後の夕焼けは紫色に染まるという。本書の表紙が紫色なのはクリタ・ジンロウと草薙水素に大いなる人生の転換という嵐が、空を飛べなくなった災難が訪れたからだろうか。

願わくば草薙水素をもう一度空へと飛ばしてほしい。
しかしもはや残された空の色は哀しい色しかないのだろうか。


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No.28:
(3pt)

最終巻に期待。

読了:2016年038冊(5月4冊)★3.2
『フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫) 』、2007/11、森 博嗣 (著)

スカイクロラシリーズの第4部作目、今回の主人公はクリタ。カンナミの前任者である。キルドレである草薙が除々にキルドレでなくなっていくと知る。このあたりになってやっと“キルドレ”の意味が分かってきます。森さんの小説は、時代背景や設定が緻密であるのに、その説明がほとんどなく、読者は初めから置いてけぼりを喰らう。しかし、それが森作品の醍醐味でもあるのだが…。それにしてもレビューでは絶賛の嵐だ。自分にはそこまでの価値がまだわからないが、、、最終巻に期待。
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into LifeAmazon書評・レビュー:フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Lifeより
4120037398
No.27:
(5pt)

森博嗣先生バンザイ!

すらすら読めます、またいつか読むな、という予感が楽しいし。いつかが次の日になることも多い。
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into LifeAmazon書評・レビュー:フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Lifeより
4120037398
No.26:
(5pt)

森氏は構想当初から、クリタの視点も書こうと思っていたのかな

森氏に聞いてみたいです。
この巻の主人公の視点は、このシリーズの構想当初からクリタだったのか。
こんな風に書こうと決めていたのか。

この巻だけは、視点がクリタです。
クリタが見ているクサナギを、よく見ましょう。
この巻になってやっと、クサナギが外部から観察されます。
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into LifeAmazon書評・レビュー:フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Lifeより
4120037398
No.25:
(5pt)

買えて良かった。

田舎だとなかなか揃わないのでポチりました。買えて良かったです。
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into LifeAmazon書評・レビュー:フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Lifeより
4120037398
No.24:
(5pt)

感想

とても素晴らしい。精神安定剤として使用している。常に持ち歩きたい。
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into LifeAmazon書評・レビュー:フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Lifeより
4120037398



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