女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN



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長編小説

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女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

2004年01月28日 女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて―。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEENの総合評価:8.14/10点レビュー 65件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

先見性に満ち満ちて、理解が伴わない

森作品ノンシリーズ2作目。中国とチベットの境だと思われる、何らかの意思によって作られた完全に独立したコミュニティを舞台にしたミステリ。

森氏独特の価値観が横溢したルナティック・シティの文化や価値観は我々の社会とは一線を画し、非常に興味深いものがある。

人口わずか300人で形成された100年都市。そのうち約半数は「永遠の眠り」に就いており、全てが自給自足で賄えられている。さらにエネルギーは100年前に開発された大型の自家発電設備によって満たされ、住民一人一人がそれぞれ役割を与えられている。
四方を高い壁に囲われた、明らかに人為的に作られた閉ざされたコミュニティに迷いこんだフリーライターと思しきサエバ・ミチルが事件の解決に乗り出すというのが本書の骨子だ。

死や殺人という概念のない世界ではいわゆる我々の社会における死というものが単なる永遠の眠りとされ、何年後かに復活するチャンスが与えられると信じられているため、彼らは全ての住民の亡骸を保存する施設を保有している。さらに死自体が事件ではないため、警察という機構を有さない。
さらには人を裁くというルールもない。コミュニティにいる医者も死因を突き止める役割は果たさず、永遠の眠りに就くための儀式を滞りなく行う、指導者のような立場に過ぎない。

さらに女王デボウ・スホは宮殿の部屋から出ず、女王の務めを果たすだけに存在する。しかも風貌は20代でありながら実年齢は52歳と最近よく話題になる美魔女でもある。彼女の若さの秘密は1年の半分を冷凍睡眠で過ごしていることであった。
しかし現在ならば前述のように案外自制して若さを保っている女性もいるので(20代の風貌はさすがにないが)、この秘密は時代を感じてしまった。

一方現代社会の象徴として異世界に送り込まれたサエバ・ミチルだが、彼の住む世界は我々の住む時代より先の2113年の設定になっている。

まず彼の相棒ロイディはウォーカロンと呼ばれる人型のアンドロイドで全く人間と変わらない風貌をしており、人間のサポートをする。外部との通信を果たすルーターでもあり、また人の言葉の記録をしたり、調べ物をしたりと、いわばスマートフォンのアンドロイド版のようなものだ。

またミチルが常時つけているゴーグルは今ようやく販売されたウェアラブル通信ツールであり、全ての情報はそのゴーグルを通じて検索され提供される。そして全てがデジタル化しているその世界では図書館というものはなく、書物はそれを好んで形にする人たちの記念品や贈答品としてしか存在しない。
いつもそうだが、2000年に書かれた本書で既にウェアラブル通信ツールや電子書籍の存在を予見しているのは改めて驚きに値する。

そのサエバ・ミチルが捜し求めているマノ・キョーヤという人物との関係が本書のサブストーリーとなっている。本書の冒頭では取材旅行で道に迷ったと述べているが、実は彼はマノ・キョーヤという探し人がいた。そして彼もまたルナティック・シティに迷い込んでいたことが判明する。
この謎めいた人物とミチルとの関係は意外にも物語の中盤で仄めかされる。

そして謎の騎士の存在。
馬に乗り、枯れた植物を寄せ集めたような衣装をまとい、黄色と黄緑色と紫色のリボンを身につけ、頭に2本の角と灰色の長い毛、赤いリングが幾重にも重なる手首に光る顔。ルナティック・シティにおいて見てはいけない、語ってもいけない不可侵の存在。このシティの秩序を管理する者として現れる。

この、完全に支配されたシステムを敢えて壊したくなるという衝動は一連の森ミステリの共通項だろう。
先に読んだ『そして二人だけになった』も全く同じ動機だった。完璧だからこそ壊し甲斐があり、また完璧の物が壊れる姿もまた完璧に美しいものだと思っていたのかもしれない。

思えば森氏は閉鎖された特殊空間で起きる事件を主に扱っていた。デビュー作の『すべてはFになる』然り、またその作品から始まるS&Mシリーズでも大学の研究室や実験室というこれもまたいわばそれを研究する者にとって恣意的に作られた空間である。

『有限と微小のパン』に出てくるユーロパークもまたそうであり、さらに『そして二人だけになった』のアンカレイジもそうだろう。
しかしそれらはまだどこか現代と地続きであったのだが、とうとう本書では2113年という未来を設定し、中国とチベットの辺りにある完全に秩序化されたルナティック・シティという世界を作り上げてミステリに仕上げた。これぞ森氏が望んでいた箱庭だったのだろう。
そしてこのルナティック・シティはまだまだこれから出てくる森氏が神として作り出した世界のほんの足掛かりに過ぎないことだろう。『笑わない数学者』で犀川が「人類史上最大のトリック……?(それは、人々に神がいると信じさせたことだ)」と呟いたが、まさしく森氏は自身が神になることで最大のトリックを考案しようとしたのではないだろうか。

閉鎖空間、秩序、システム、そして崩壊が森ミステリの共通キーワードと云えよう。
あとはそれに読者がフィットするか否か。私はややピースとして当て嵌まらないようだった。
しかしそれもまた慣れるかもしれない。次の作品に期待しよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

密室トリックには期待しない方がいいです

西暦2113年の未来、100年前からまるで時が止まったかのように外界との交流を閉ざした独特の価値観を持つ国(?)に、導かれるように迷い込んだ主人公がそこで殺人事件に巻き込まれるというストーリー。
なにやら凄まじい壮大な密室トリックか?と期待してしまいたくなるタイトルですが、そこは期待すると肩透かしを食らいます。
本格ミステリというよりは、人物や世界観を楽しむSFファンタジーミステリーかもしれません。

作中の主人公は約百年後の人間なので、彼から見て約百年前の技術や文化をギャップを感じたり、興味を持って接する場面が随所にありますが、
この作品をもし百年後の人間が読んだらどう思うのかな、とふと想像しました。

やや低評価になりましたが、自分が勝手にバリバリ本格を期待して勝手に裏切られたと感じてしまったがゆえで、目線を変えて読み返したら評価は変わるかもしれないですね。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

女王の百年密室の感想

SFと森ミステリィの融合。この世界観、好きです!

ジャム
RXFFIEA1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.62:
(5pt)

百年シリーズだけでも楽しめる

森博嗣の小説群は基本的にS&Mシリーズの『すべてがFになる』を起点として、すべての物語がリンクしてい (ると思ってい) ます。
が、この作品はリンクが希薄なので単体でも楽しめると思います。

ただ、他の森作品を一冊でも読もうと思っているなら、個人的には『すべてがFになる』から刊行順に読んでいくのが一番楽しめると思います。
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)より
406293583X
No.61:
(5pt)

森博嗣氏の描く人間は皆どこか不完全で、それ故に愛おしい。

とにかくすごい作品を読んだ、というのが率直な感想です。
時代は2113年、女王が君臨する外界から閉ざされた《ルナティック・シティ》が舞台。

肉体を冷凍保存することによって人間は死から救済されたという信仰を持つ街の人々と、人間の生は肉体ではなく脳に宿るのであって、いくら肉体を保存したところで死からは逃れられないと考える主人公(主人公がこう主張するのにも理由があり、主人公の秘密が最後に明かされるのがまた面白い)。
近未来を舞台に、人々の持つ死生観、生や死を定義付けるものが何なのか問われます。誰の考えが正しいのか、作中でもその答えは出ません。きっと答えがないのが著者なりの回答なのでしょう。
造られた平和はいつか壊れ、人は憎しみや悲しみの連鎖を繰り返す。そんな世界であっても、きっとどうにか生きていけるだろうと、読み終わった後にはどこか穏やかな気持ちになれる作品です。
長閑な街や異国風の宮殿の情景描写は溜息が出るほど美しく、森氏の創り出す世界にどっぷりと入り込めます。

会話のやり取りがユニークなのは森作品の持ち味ですが、今作でも主人公ミチルとパートナーのロイディのどこか噛み合っていない掛け合いが楽しめます。ロイディは人格を持たないロボットなので機械的な受け答えしかできませんが、人間に接するのと同じように雑談を振ったりいじわるを言ったりするミチルが微笑ましいです。
著者の代表作『すべてがFになる』とはベクトルは違いますが、あちらに勝るとも劣らない名作と言えるでしょう。
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)より
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No.60:
(4pt)

人が殺されることがないはずの楽園で起きた殺人

西暦2113年、取材旅行中に道に迷ったミチルとロイディが、周囲を高い塀で隔離された未知の都市ルナティック・シティにたどり着き、そこでの体験が語られる話。
女王デボウ・スホが支配し、争いや妬みがなく、平和で、犯罪も罰もなく、人が死なない楽園ルナティック・シティ。
ミチルにとっての因縁の敵マノ・キョーヤがここに居ることがわかり、やがて、王子の密室殺人事件が起こる。人が殺されることがないはずの楽園で起きた殺人。誰が、なぜ、どうやって王子を殺したのか。ミチルは謎を解明しようとするが、女王をはじめとする楽園の人々はなぜか、関心を示さない。他にも、女王が年齢よりもはるかに若く見える謎、マノやミチルがやってくることが神によって予告されていたという女王の言葉の謎など、ミチルは不思議な体験をする。さらに、この楽園を誰が、どういう目的で作ったのかという大きな謎が立ちはだかる。西暦2113年ということで、現在ではまだ実現されていない技術がいくつか使われており、それが謎の解明にも活かされている。
楽園の住民とミチルとの間での死生観や罪に関する意識の違いが印象的であり、とりわけ、復讐に関する女王とミチルの間の議論が興味深い。
楽園の誕生に関する謎の真相は、よく考えられていると感じた。
王子の殺人事件では、犯人がどこから侵入したのかという謎の真相はたいしたことはないが、なぜそんなことをしたのかという動機、その背景にある新技術がもたらした悲劇が実に痛烈である。
また、最後に明らかとなる主人公に関する二重三重の秘密も面白い。
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)より
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No.59:
(5pt)

未来世界

人間と見分けがつかないウォーカロンと旅をして、迷い込んだ世界で・・・
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)より
406293583X
No.58:
(4pt)

面白い

とても緻密なおとぎ話。 ずいぶん前に読んだが、ふとたまに本の中に没頭したくなる本。
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)より
406293583X



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