四季 秋



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長編小説

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四季 秋 (講談社文庫)

2006年12月15日 四季 秋 (講談社文庫)

妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった…。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季の知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第三弾。 (「BOOK」データベースより)




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四季 秋の総合評価:8.27/10点レビュー 33件。Bランク


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秋は実りの季節

四季シリーズ第3作目の本書は森作品ファンへの出血大サービスの1作となった。

今まで真賀田四季を主人公に彼女の生い立ちを描いてきたこのシリーズだが、3作目に当たる本書はそれまでと異なり、なかなか真賀田四季本人が登場せず、寧ろ犀川創平と西之園萌絵とのやり取りと保呂草潤平と各務亜樹良の再会とそれ以降が中心に語られ、S&Mシリーズの延長戦もしくはVシリーズのスピンオフといった趣向で、主人公である真賀田四季は全283ページ中たった10ページしか登場しないという異色の作品だ。

ファンにとって嬉しいのは両シリーズのオールキャスト勢揃いといった内容になっていることと今まで断片的であったS&MシリーズとVシリーズのリンクがもっと密接に結びつく内容になっていることだ。更に両シリーズのみならず、それまでの森作品のほとんどが結びつくようなものになっている。

本書の主題とは犀川が『有限と微小のパン』で語られたユーロパークで起きた事件以後、真賀田四季とコンタクトを取ったことが明かされ、それによりさらに真賀田四季への理解と疑問が深まった犀川があれほどの天才が娘を殺害してまで妃真賀島を脱出した目的を探ることである。

そしてそれを探るべく犀川は当時四季の部屋に残されていたレゴブロックに手掛かりがあると睨む。そして残されたパーツに不足分があること、ブロックで作られた兵隊の人形に隠されたメッセージに従い、イタリアのモンドヴィに萌絵と飛ぶ。

一方保呂草は各務亜樹良の行方を探るために彼女が接触していると思われる真賀田四季の足取りを追っており、彼も同じブロックの兵隊に隠されたメッセージを見つけ、イタリアに飛ぶ。そしてミラノで各務を見つけることに成功するが、四季からメールを受け取った各務と共に同じくモンドヴィに向かう。

その地こそが犀川と萌絵、そして保呂草と各務、即ち両シリーズのランデヴーポイントとなる。

しかし常々思っていたことだが、S&MシリーズとVシリーズ、やはり意識的に森氏はその趣を変えていたことが両シリーズが邂逅する本書で如実に判った。

S&Mシリーズが西之園萌絵の生い立ちに暗い翳を落としつつもその天然な天才少女とこれまた浮世離れした大学の助教授という組み合わせでライトノベル風に語られているのに対し、Vシリーズが小鳥遊練無と香具山紫子というコメディエンヌ(?)を配しつつも、登場人物間の関係に纏わる恋愛感情の縺れや諍いを描き、更に保呂草という犯罪者の暗躍も描いた少し大人風なダークの色合いを湛えており、それがそれぞれのパートで見事に対比できるのである。

まず犀川と萌絵の登場パートはシリーズ終了以降の2人が描かれる。それには短編集『虚空の逆マトリクス』に収録されていた「いつ入れ替わった?」で語られた犀川が婚約指輪を渡すエピソードも語られ、犀川と萌絵の結婚生活が始まりそうで始まらない状態で物語は進む。真賀田四季を追ってイタリアへと飛ぶが萌絵は婚前旅行と思い、嬉々としているが、犀川はようやく真賀田四季に逢えると思い、喜んでいるといったギャップがあり、結局そこでは何も恋愛沙汰は起きない。

一方保呂草と各務のパートは犯罪者の2人らしく大人のムードで話は進む。まあこれが実にスマートで、一昔前のトレンディドラマを観ているかのように台詞、仕草どれをとっても洒落ている。

そして保呂草は各務との再会を果たすために色んな人物と出逢ったことを後悔する。特に愛知県警の本部長を叔父に持つ西之園萌絵との再会は彼に日本の地を踏むことを半ば諦めさせるほどに。

ジャーナリストである各務が書くべき記事や原稿が沢山あると述べ、保呂草が自分でも何か書こうかなと零すシーンは彼がその後自分の一人称で始まるVシリーズを執筆することを仄めかしているようで面白い。

そしてやはり触れなければならないのは西之園萌絵と瀬在丸紅子、2大シリーズのヒロイン同士の邂逅だろう。

瀬在丸紅子は無言亭からどこかにある、ある金持ちによって移築された歴史建造物に管理人として住んでおり、使用人だった根来機千英は既におらず、1人で暮らしているようだ。

萌絵は犀川から婚約指輪を貰ったことで挨拶に行くために訪れたのだが、そこで萌絵は彼女から人生訓を授かる。

犀川創平が好きでたまらず、自分の物にし、自分の方だけを向いてもらいたい萌絵は、つまり若い女性にありがちな独占欲とも云うべき愛情を強く抱いている。

それに対し、紅子は一方向にしか風が来ない扇風機を愛するよりも全てに光を当てる太陽を愛でるように愛しなさい、それが許すということですと諭す。

私はこれを読んだ時にかつて祖父江七夏と犀川林を巡って醜い女の争いを繰り広げていた紅子がここまでの悟りの境地に至ったのかと驚き、そして感心した。

その言葉によって西之園萌絵は少し救われた気持ちになる。

面白いのは西之園萌絵よりも年上で大人の女性である各務亜樹良もまた同じように独占欲が強いことだ。
彼女はモンドヴィの教会堂の壮麗さに感心する保呂草に自分はこれが自分の物にならないから駄目だと云う。つまり彼女は欲しい物は手に入れたく、そしてそれが出来た人間だったからだ。そして彼女が今欲しいと思うのは保呂草潤平と名乗るこの危険な男だ。西之園萌絵と各務亜樹良は似て非なる女性でありながら実は根っこの部分では同じ精神性を持った女性といえるだろう。

しかし各務はこの後どのように変わるかは解らない。彼女は彼女のままで、いや少し保呂草という支えを欲する弱さを感じているのを自覚しながらも強い女性であり続ける芯を備えた女性として生き続けるのに対し、西之園萌絵はこれから世間知らずの天才少女から脱皮し、1人の女性としての成長していくことが語られる。

まず印象的だったのが西之園萌絵が真賀田四季を畏れており、そしてまた嫌っていることが明かされる。

彼女の物語の始まりである『すべてがFになる』の始まりは西之園萌絵と真賀田四季の会談である。彼女は現代最高の天才と称される真賀田四季と逢うことを愉しみにし、そしてその会談を愉しんだ女性だ。しかしその後シリーズ最終作『有限と微小のパン』で再び彼女と対面した時に四季の凄まじいまでの天才性に慄いてしまったのだ。

それまで高速の計算能力を持っていることが自分の才能であり、それを自覚しながらもそれを拠り所にしているとは考えていなかったが、全てにおいて自分を凌駕する存在である真賀田四季と逢ってから自分がその長所にしがみついていたことを自覚させられるのである。
つまりそれは自分がそれだけの存在であると卑小化することに繋がり、彼女は挫折を味わう。そしてその天才が関心を持つのがもう1人の天才犀川創平であり、犀川もまた真賀田四季に並々ならぬ関心を寄せていることが嫌で堪らないのだ。それを乗り越えさせてくれたのが前述の瀬在丸紅子との邂逅だった。

そして彼女が修士課程を終え、ドクタとなり、犀川や助手の国枝桃子から指示を受けて研究を続けていた立場から自分でテーマを決め、大学生や院生に指示を出す立場に変わったことで自分の立場、立ち位置を理解し出したことだ。
それは即ち集団から1つ抜け出た存在になることを自覚し、それによって彼女に責任が生まれる。それは即ち仕事に向き合うということだ。ようやく彼女は社会人としてスタートラインに立ったと云える。

また犀川が好きなことをしていたら仕事ではない、嫌なことをするからお金が貰えるのだと云う件はまさしく私が常日頃思っていることだ。
好きなことをするにはお金が必要。それが嫌であるけど、それを乗り越えるのは好きなことをやるという原動力があるからだ。

しかしこれに対して余りある財産を持つ萌絵がすべて面倒を見るから働く必要はないと云うと犀川はそれなら大学を辞めるという。

これについては私も同じ心情だったが、最近では変わってきている。
多分本当に好きなことばかりやると飽きてくるのではないかと思い始めている。何か外に出て誰かのために働き、そして終わった後、自分のために時間を使う。これが退屈せずに生きることではないかと思っているのだ。

しかしこの西之園萌絵の足取りを通じて森氏は1人の人間の成長の軌跡を語ると同時に、我々読者に人生訓を説いているようだ。本書は大学教授という社会人でありながら執筆活動を続けていた森氏ならではの示唆に富んだ内容が盛り込まれている。

さて秋はやはり実りの秋と呼ばれる収穫の季節だ。まさにその季節が示す通り、収穫の多い作品となった。

前作で保呂草の許に飛んだと思われた各務は逆に保呂草に捕まり、その秘めたる恋を始まらせる。

西之園萌絵の収穫はやはり犀川との婚約だろう。そして彼の母親瀬在丸紅子との会談で得られた人生訓もまた大きな収穫だ。

犀川創平は妃真賀島の事件に隠された真賀田四季の動機がようやく明かされた。

まさに収穫の1冊である。

本書はシリーズ中異色の作品と書いたが、春編と夏編で全ての始まりとなった作品『すべてがFになる』の“それまで”の四季を描き、本書から“それから”の四季を描いていることから、もしかしたら最終作もまた犀川と萌絵の2人を中心にして、そこに保呂草たちが絡む展開になるのかもしれない。

ともあれ起承転結の転に当たる本書は確かにシリーズにおける大転換を見せた作品だった。これは最終作の冬編にますます期待値が上がるというものである。愉しみにしていよう。


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Tetchy
WHOKS60S
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四季 秋の感想

「すべてがFになる」四季博士が「で犯した犯罪の全貌が明らかになる、という点では必読の一冊です。
全体として、犀川先生と萌絵の関係を中心に描いており、ぼくが読んでいない他のシリーズの内容が絡んでくるなど、
???ってなところもあります。
つぎは、いよいよ「冬」で終結。

Hidezo
GX0TU62Y
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

四季 秋の感想

前二作と違い、真賀田四季はほとんどでてきません。「すべてがFになる」の補完的な作品です。

B.LC
SUQL3BQ8
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

好き

ラスト近く、襲われるシーンが好き。偏屈な…という一文が印象深い。寂しく感じる。

AKAITOHMA
EM1N2AZO
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

四季 秋の感想

S&MとVシリーズの11作目のような内容で、シリーズを読んだ人へのサービスが満点。四季はほとんど出番なかったけど、大満足の一冊

ほっと
2XKXV6EI
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.28:
(5pt)

なるほど!

今ごろ四季を読み始めましたが、止まりません。秋は特に一気読みでした。
四季 秋 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:四季 秋 (講談社ノベルス)より
4061823531
No.27:
(4pt)

何度も読んで

数年前に買って読みました。その時も森先生の本は結構読んでいたのですが、あまり意味がわかりませんでした。でも何年かの間に読み直し、自分もかわったのでしょうか?今まで別々に感じられた多くの登場人物を関係づけて感じることができるようになりました。時を置いて何度か読み直したい本です。
今回初めて、そういうことなのか、おもしろいと感じました。
四季 秋 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:四季 秋 (講談社ノベルス)より
4061823531
No.26:
(5pt)

タイトルの「秋」に読む必要なし!(いい意味で)

一気に読んでしまった。
そんでもって、『すべてがFになる』を読んで、これを読んでいないのは、ひとつの不幸であると思った。
誰もがそうであると思うが、読むと救われる。(なんか、宗教の勧誘みたいな文句だな・・・。)
「四季 春」は春に。
「四季 夏」は夏に、という具合に読んできたのだが、
「四季 秋」で一気にテンションが上がり、もう「四季 冬」を読んでしまいそうだ・・・。
つまり、それほどに良い作品。
犀川ファンには絶大な効果を持った作品です。
四季 秋 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:四季 秋 (講談社ノベルス)より
4061823531
No.25:
(4pt)

いろいろ捗る回

この巻が四季シリーズで一番捗ります。いろいろな登場人物の関係、その後が解説されています。

とにかくあまり深く考えず、なんか壮大な計画、と思えば気持ちいいです。
四季 秋 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:四季 秋 (講談社ノベルス)より
4061823531
No.24:
(3pt)

すべてがFになるのおまけの後日談

すべてがFになるの事件の真相がちょっとだけ判明するおまけの後日談的一冊。
これ単体でいきなり読んでもさっぱり面白くないので決していきなりこれから読むことのないように。
すべてがFになるの娘の死の真相などの記述は興味深いが、一応死人は出るが、ミステリー的な要素は皆無なので、まあファン向けのおまけ程度の内容となっている。
Vシリーズの中心人物が絡んできたりと楽屋落ち的な楽しみもあるが、S&Mシリーズを読んでから読んだとしてもまあそこそこの内容という感じである。
四季 秋 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:四季 秋 (講談社ノベルス)より
4061823531



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