詩的私的ジャック



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初公開日(参考)1997年01月
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長編小説

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詩的私的ジャック (講談社文庫)

1999年11月12日 詩的私的ジャック (講談社文庫)

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.67pt

詩的私的ジャックの総合評価:7.09/10点レビュー 45件。Cランク


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全9件 1~9 1/1ページ
No.9:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

萌絵に親近感を覚えるのはまだ先か

S&Mシリーズ第4作目の本書もまた密室殺人を扱ったものだ。もしかしたらこのシリーズは密室殺人事件のみを扱っているのだろうか。

もしそうであるならばシリーズの専売特許とも云える密室の謎だが、本書では3つの密室殺人が発生し、そのうち2つの密室殺人は物語の冒頭でいきなり起きるのにも関わらず、なんと全12章で構成されている物語のわずか第3章でそのトリックは明らかになる。

そしてさらに3番目の密室殺人は学園祭真っただ中のN大学の実験室で起きる。半地下のコンクリート試験室でまたもや下着1枚着けた状態で女性の死体が見つかる。そして肌には「A」の文字とも読み取れる三角形が書かれていた。

さらには同室にあるコンクリートのノッチタンクから一連の事件の容疑者とされたN大学を退学になったロックミュージシャン結城稔の遺体が入っていたというもの。

3つの密室に4つの遺体。連続殺人事件として実に申し分ないボリュームに満ちている。
それらの物語を構成するのがN大学生でありながらロックミュージシャンとして名を馳せている結城稔。そしてその兄、寛は大学院生で西之園萌絵が所属するミステリ研のメンバーであり、さらにはS女子大の助手、杉東千佳と結婚している。さらに同じくN大学生でありながら結城稔のマネージャーをしている篠崎敏治が加わる。

そして本書では密室の謎がメインではない。先にも書いたように冒頭2つの密室は早々に解かれる。
本書のメインの謎とはこれら密室を作るための至極面倒な手順を何故犯人は行い、密室を形成したのか?だ。

そしてその謎の解は常人の理解を超えるものだった。

精密なパズルを見ているかのようなトリックとロジック。心地よい頭脳労働を強いられる内容だ。

さて本書では建築学科に所属する学生が関わる事件であるせいか、密室のトリックに建築の専門知識がふんだんに盛り込まれているのが特徴的だ。

特に大学の建築学科の教授である森氏によるこのミステリで描かれる建物が他のミステリとは一線を画しているのはやはり現行の建築基準法に則って建物が作図されているところだ。動線が考えられた部屋の配置に二方向避難を考慮したドアの配置など、今までの作品でもきちんと考えられていることが同業者として実に座り心地のいい思いがした。
そして本書では数多あるミステリに登場する建物や館の珍妙さを専門家の視点から嘆いているのが実に面白い。特に推理小説は建築基準法や消防法のない世界なのだと萌絵が吐露する件は思わず何度も頷いてしまった。
4作目の本書で世間に流布する密室ミステリに対する痛烈な皮肉が開陳されるようになったのはシリーズが世間に認められた故にようやく常日頃云いたいことを思い切って述べるようになったのからかもしれない。

そういう意味で考えれば本書における密室殺人は全て建築の知識を用いて成された物。つまりはきちんとした建築の知識があれば密室などはいとも簡単に作れるということを暗に示しているように感じた。建築業界にとっては至極当たり前のことを本書では素人相手に示したことに意義があるのだ。

さて今回も今までのシリーズ同様、西之園萌絵は自身のちょっと行き過ぎた行動故に危難に陥る。この展開ももはやシリーズの定番となってしまった。
敢えてこの定型を崩さない森氏はもしかしたら『水戸黄門』シリーズなどに見られる「偉大なるマンネリ」の信奉者なのかもしれない。

しかしそんな典型的なストーリー展開でありながらもシリーズとしてはやや進展が見られる。
本書の主人公の1人、西之園萌絵は叔父が県警本部長である特権を大いに利用して事件に介入し、人の生き死に対して哀惜や喪失感と云った通常の人間が見せる感情とは無縁に、死者と犯人、関係者を単なる駒としてみなさずに事件のトリックやロジックを嬉々として推理する、無神経で厚顔無恥ぶりを発揮していた。本書でもその傾向はまだ完全に拭えないものの、彼女の中で心境の変化が見られてくる。それは事件の捜査に夢中になるのは自分が事件に興味を持っているわけではなく、事件を解き明かすことで敬愛する犀川に認められたいという願望ゆえだったことに気付かされる。それは自分が犀川に子供のように甘えていただけだったことでもあった。
この辺はシリーズの読者ならば早々に気付いていただろうし、これゆえに私が西之園萌絵を好きになれないのだが、ようやく気付いたのかと思わず苦笑してしまった。

そして萌絵は犀川に認められるために大学院への道を目指すと決意する。学生と教授の関係、大人と子供の関係から脱しようと奮闘するそれが萌絵の決意だった。

果たしてこの後、2人の関係はどのように展開していくのか。それがこのシリーズの読みどころであると解っているのだが、やはり西之園萌絵はまだ私には受け入れ難く、やたらと犀川にべたべたするのにはいささか食傷気味になってきた。
シリーズ物はいかにキャラクターに親近感を覚えるかがカギなので、この先のシリーズで萌絵が成長してほしい。私に免疫が出来るのとどちらが先だろうか。


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Tetchy
WHOKS60S
No.8:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

相変わらず主人公たちに好感が持てない

今作で4作品目になる『S&Mシリーズ』ですが、1作目の『すべてがFになる』のインパクトだけ図抜けていて、ここまでその後の作品は特筆することのない、小ぶりなミステリ作品としか思えません。それこそシリーズ作品でなかったらなんらかの賞に応募しても最終選考以前で落選しているんじゃないかと思ってしまいます。

大学を舞台に密室殺人が起こるというプロットは2作目の『冷たい密室と博士たち』とかぶってますし(本当に密室トリックしか興味が沸かなかったその作品よりは今作の方がまだ楽しく読めましたけど)犯人もかなり見え見えでした。

そしてやっぱり主人公2人のキャラが好きになれないです。犀川のことあるごとに世間の不合理さを指摘するような思想にイラっときます。しかもその内容が正直知性を感じるよりは、斜に構えた10代の世間への文句と大差ないレベルに思えてしまいます。事件に首突っ込んでは毎回危険な目に逢う萌絵も何時までたっても好きになれないです。

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.7:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

詩的私的ジャックの感想

3つの連続密室殺人(猟奇殺人っぽくもある)が起きる。しかしこの作品での命題は「どうやって密室を作ったか」ではなく、「なぜ密室を作ったのか」である。「どうやって…」についても「なぜ…」についても作中の説明で納得ができる。殺人の動機については今ひとつすっきりとしない。

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TOTO
N8I0XYAQ
No.6:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

詩的私的ジャックの感想

シリーズ4作目なので主役二人のキャラクターはしっかりしているし、起承転結のはっきりしたストーリーも読みやすかったです。
ただ今作も悪くはないのですが、無難すぎるというか、一作目『すべてがFになる』が衝撃的すぎて、以後のシリーズ続編がだんだんと尻すぼみしているような感覚は否めません。

ちんちろりん
NLFRSLFL
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

詩的私的ジャックの感想

トリックや密室の理由はなかなか面白かったです。タイトルもいいですね

ほっと
2XKXV6EI
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(6pt)

詩的私的ジャックの感想

ロックと密室、そして理系ミステリィの魅力溢れる快作!

ジャム
RXFFIEA1
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

詩的私的ジャックの感想

シリーズ四作目中々ポエティックな題名で興味をそそられました。

作中にもポエムリーディングな感があり、今までの作品に比べやや<文系>に近くなった印象です。

しかしながら、トリックは納得出来るものの、動機はチョット....

DJANTI
V1E5CPIL
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(4pt)

詩的私的ジャックの感想

「動機なんて他人に説明できて、理解してもらえるくらいなら、人を殺したりしない。そうではありませんか?」

作中における犀川の言葉だが、犯人の動機について「分かる訳がない」とのたまっている。
後書きを読むと、このS&Mシリーズは、動機を明確にしないミステリーであるらしい。
これまでの3作では、そうは感じなかったが、確かにこの作品からはそんな印象を持つ事が出来た。
犯人の思考はかなり特殊であり、まさにタイトルの如く「詩的」で「私的」だ。
犯人がこの連続殺人を行った動機は、犯人が自身の中だけに持つある意味「妄想」ともいえるもので、こんな「妄想」は読者にはとうてい追従できない。


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梁山泊
MTNH2G0O
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

S&Mシリーズの第4作目

トリックはおいておくとして何故かモヤモヤする。動機付けが弱いせいか?その点を気にしなければまあまあ読むことができる。4作目にして若干失速気味か?相変わらずタイトルは興味深い。

izutti
N05IGXOE
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