夏のレプリカ



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初公開日(参考)1998年01月
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長編小説

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夏のレプリカ―REPLACEABLE SUMMER (講談社文庫)

2000年11月15日 夏のレプリカ―REPLACEABLE SUMMER (講談社文庫)

T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.43pt

夏のレプリカの総合評価:7.73/10点レビュー 40件。Bランク


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全7件 1~7 1/1ページ
No.7:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

事件解明までのモラトリアム期間が長すぎる

本書は前作『幻想の死と使途』の偶数章を司る作品であり、2つで1つの物語が構成されるという凝った作りなのだが、内容にはお互いの作品に密接に絡み合う要素はほとんどなく、それぞれ独立した作品として読める。

このような形式を取った理由として森氏は作中で殺人事件に限らず、あらゆる犯罪はその首謀者たちがお互いに譲り合ったり、スケジュールを調整しながら起こされるものではないからだと述べている。
つまり前作の有里匠幻殺人事件と本書の簑沢家誘拐未遂事件及び簑沢素生失踪事件は同時期に起きており、これを分離した2つの作品としながら一方を奇数章、こちらを偶数章で構成することで西之園萌絵が大学院受験時に起きた事件としている。

しかしこの試みは成功しているとは思えない。
確かに森氏の云うように犯罪とは1つが終われば次のが起こるように規則正しくないのだが、同時多発的に複数の事件が起こる作品はこれまでも多々あった。モジュラー型ミステリがそれに当たるが、それらのジャンルに当てはまる作品と比べてもこの2作でたくさんの犯罪が起きるようには思えない。単なる奇抜な着想で終わってしまっている。
奇妙な符号としては双方に事件関係者に盲目の人物が関わっていることだ。しかしそれも両者のストーリーには何の関わりももたらさない。

前作『幻惑の死と使途』は個人的には今まで読んだS&Mシリーズの中で最も評価の高い作品だった。
稀代のマジシャンの死と衆人環視の中での死体消失の彼の弟子たちの不審死と、マジックに彩られた派手な事件だったのに対し、本作は政治家一家の誘拐未遂事件で、しかも犯行は第3章で解決する。
80ページにして一応の解決を見る。誘拐犯のうち、逃亡した1人赤松浩徳の行方と、殺された残りの2人の男女の死の真相、そして事件以来姿を見せない簑沢素生の行方と、比較的小粒な謎で物語は進む。

作中で登場人物の1人儀同世津子も述べているが、小粒な事件故に作者は『幻惑の死と使途』の事件と敢えて同時期に起こす設定にして、500ページもの分量で語ろうとしたのではないか。こんなミステリ妙味薄い事件にもかかわらず、事件は有里匠幻殺害事件が起きた8月の第1日曜の3日前に起きながら、事件解決はその事件解決後の9月最後の木曜日と実に2ヶ月もかけられている。

さらに特異なのは犀川創平がなかなか登場しないことだ。彼の登場は第12章、335ページで西之園萌絵が彼の研究室を訪ねるシーンからだ。それからも犀川の登場頻度は増すことはなく、事件の当事者で西之園萌絵の親友簑沢杜萌の身辺、長野県警の西畑、西之園萌絵のパートが大半を占める。
あ、あとやたらと萌絵の叔母の佐々木睦子が萌絵に関わってくる。

とこのように物語は実に無駄の多い内容で、一向に解決に進まない。私は常々森ミステリには事件解決までのタイムスパンが非常に長い事を特徴として挙げており、これを個人的に森ミステリ特有のモラトリアムな期間と呼んでいるのだが、本書はそれが最も長い作品であろう。
西之園萌絵が有里匠幻殺害事件の解決にかかりきりになっていることと大学院受験を控えていることがその理由となっているが、上に書いたように事件に直接関係のない登場人物の頻度が増していたり、西之園萌絵のお見合いシーンや、犀川創平の妹儀同世津子の妊娠のエピソードなど、物語の枝葉にしては長すぎるエピソードの数々が逆に本書のリーダビリティを落としている。キャラクター小説として物語世界を補強するためのエピソードかもしれないが、さほどこのシリーズにのめり込んでいない当方としては退屈な手続きとしか思えなかった。

しかしこれほど拍子抜けする真相も珍しい。誘拐犯殺害の真相は意外な反転があるものの、カタルシスを感じるほどのものではないし、またもや全ての謎が解かれるわけでもない。よほどこのシリーズが、この世界観が好きでないとこの物語は楽しめないだろう。
それほど森氏の趣味が盛り込まれた、それはある意味少女マンガ趣味とも云える幻想味が施されている。

また前作では初めて西之園萌絵が探偵役を務めたにもかかわらず、最後の最後で犀川によって真相が解明されるという詰めの甘さを見せたが、本書では彼女によって真相が見事に暴かれ、犀川はその真相に至っていながらも積極的に事件に介入しない、いわば保護者的役割に終始している。
これは西之園萌絵の成長とみるべきか、シリーズにおける名探偵交代を示す転換期なのか。

何にせよ、ようやく密室殺人事件から離れた作品なのだが、逆にそれ故に小粒感が否めない。あらゆる意味で何とも残念な作品だ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.6:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

夏のレプリカの感想

前作『幻惑の死と使途』と対になる話。
要所要所で前作との絡みが見られるので、今作とセットで読むことをお薦めします。

ちんちろりん
NLFRSLFL
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

夏のレプリカの感想

誘拐犯二人の殺人と、兄の失踪の二つの事件が前作と同じ時系列で語られる話。S&Mシリーズではかなり異色に見える作品。今作も前作に引き続き「名前」をテーマにしているのでしょうか。萌絵が真犯人に気づくラストのチェスシーンは圧巻でした

ほっと
2XKXV6EI
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

夏のレプリカの感想

蘇るあの夏の事件。眩暈がするほど幻想的で衝撃的な森ミステリィ。個人的にこういう世界観の作品、大好きです!

ジャム
RXFFIEA1
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

パズルの枠組

前作と同時期に起こった事件についての作品というサイドストーリーかと思いきや、トリック、動機、そして切なさと前作を凌駕した内容に感服です。

まさにパズルのピースがバッチリはまる枠組でした。

しかしながら、森氏の作品の題名は詩的なものが多く考えさせられます。
(作風は理系ですが....)

DJANTI
V1E5CPIL
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

夏のレプリカの感想

S&Mシリーズ7作目。
このシリーズにおいて「7は孤独な数字」な訳だが、確かに異質で孤独かも知れない。
まだ7作しか読んでいないがそう思う。
何故なら、今作は、前作の「幻惑の死と使途」と時系列で並行して発生した事件を扱っているのだが、犀川と萌絵がもう一方の事件に巻き込まれており、表立っては殆ど出番が無いからだ。
2つの事件の間には全く関連性はないのだが、今作で登場する「名前が逆だったのには、気付いていた?」という犀川のセリフなどは、今作だけを読んだのであれば「はぁ?」なので、やはり両作ほぼ同時期にそして順番に読んだ方がいいでしょう。


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梁山泊
MTNH2G0O
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

S&Mシリーズの第7作目


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izutti
N05IGXOE
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