恋恋蓮歩の演習



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初公開日(参考)2001年05月
分類

長編小説

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恋恋蓮歩の演習―A Sea of Deceits (講談社文庫)

2004年07月15日 恋恋蓮歩の演習―A Sea of Deceits (講談社文庫)

航海中の豪華客船 完全密室から人間消失 世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太(せきねさくた)の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草(ほろくさ)と紫子(むらさきこ)、無賃乗船した紅子と練無(ねりな)は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.40pt

恋恋蓮歩の演習の総合評価:8.75/10点レビュー 24件。Aランク


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(7pt)
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マイ・アンフェア・レディ。その名は香具山紫子

Vシリーズ第6弾は豪華客船の上で起こる密室での人間消失と絵画盗難を扱った、これまた本格ど真ん中の作品である。
前作『魔剣天翔』ではアクロバットショーの飛行機のコクピットという、恐らく世界最小の密室での殺人事件だったが、前回の舞台が空なら今度は海。なかなかヴァラエティに富んだ舞台設定である。

そんな非日常の舞台で起きる事件は次の通りだ。

たった3部屋しかない宿泊エリアの一番端の部屋から銃声が響いて何かが鉄に当たる様な音がして海に男が落ちる。現場にはピストルが落ちているが、その部屋から出入りしたのは隣室の男のみ。しかもその男は事件の後に部屋に入ったと証言しており。その宿泊エリアから出た人はいないことはフロントで確認済みである。更に真ん中の部屋の宿泊客が持っていたスーツケースには絵画が入っていたが、鍵が掛かっていたにも関わらず忽然と消えてしまう。

つまり密室状態の船室から落ちた男の謎と消えた絵画の謎がごく狭いエリアで繰り広げられる。しかもそのエリアにいたのはまず男が落下した部屋S3室には被害者の建築家の羽村怜人とその恋人の大笛梨絵のみ。隣のS2号室には保呂草が絵画を盗もうと狙っている鈴鹿幸郎と息子の明寛とさらにその息子の保と秘書の村松直美の4人。そして残りの一番大きなS1号室には鈴鹿幸郎の取引相手でフランスの富豪のクロウド・ボナパルト氏とボディガード3人に保呂草に盗みを依頼した各務亜樹良の計5人という非常に狭い範囲での事件である。
こんな限定された状態でかつ謎としても比較的なシンプルな状況でどんな真相が待ち構えているのか興味が高まった。

なんせ前作『魔剣天翔』ではたった2人しかいない曲芸飛行機のコクピットの中での密室殺人で意外な真相を展開した森氏である。今回もどんな真相が現れるのか、期待したくなるのも当然ではないか。

さて今回は今まで道化役でしかなかった香具山紫子にスポットが当てられる。背の高い女性であまり風貌については取り立てた記述はなかった紫子はコメディエンヌとしてとにかく三枚目を演じることが多く、読んでいる当方も同情が禁じ得なくなるほど不遇なキャラクターであったが、今回は、保呂草の本職である泥棒稼業の手伝いとはいえ、とうとうヒロインの役を仰せつかる。口は達者だが、本番に弱いメンタリティの弱さを持つ彼女が一念発起して保呂草の妻役に挑む。

てっきり香具山紫子のシンデレラ・ストーリーになるかと思いきや、さにあらず、やはり小鳥遊練無と瀬在丸紅子のマイペースに翻弄されて結局いつも役割に。
保呂草との甘い夜を過ごすはずの船室は紅子の独断で、恋人が船から落とされて傷心中の大笛梨絵の部屋に女性3人で泊まることになり、保呂草と練無が元々の船室に泊まって寸断される。しかも今回の自画像略奪計画の相棒として保呂草の手伝いをさせられるのだが、その目的は知らされず、事件そのものについても一切関わることはなく、結局はただの付き添いで済んでしまい、その後は自棄酒に溺れ、結局いつもの冴えない役回りを仰せつかるのであった。
恐らく保呂草としては想定外の事態に備えての保険的役割として紫子を配したのではないか。保呂草自身も紫子が自分にほのかな想いを寄せているのに気付いているはずだが、それを敢えて利用する冷静冷徹さに不満と紫子への報われなさに同情を禁じ得ない。
「マイ・フェア・レディ」になり損ねた紫子が報われる日はいつ来るのか。それともずっとこのままなのだろうか。「わたしの人生っていったいなんやろ」と一人気落ちせずに頑張れ、紫子!

さてミステリとしては標準並みの謎の難易度で全てではなくとも謎の一部は私にも途中で解ってしまうほどの物だったが、今回は事件の謎よりも物語の謎、いや保呂草という男の行動こそがメインの謎だったように思う。

この考えの読めない探偵兼泥棒の、常に客観的に物事を冷静に見つめ、目的のためには人を利用することも全く厭わない(その最たる犠牲者が香具山紫子なのだが)、あまり好感の持てない人物だが、彼の信念というか、信条が本書では意外な形で明らかになる。

恐らくそれまで保呂草嫌いだった読者の彼に対する評価は本書で大なり小なり好感を増したのではないだろうか。実際私はそうなのだが。

今回はミステリのためだけに作られた無理のある事件だったという感想は変わらないが、この保呂草の意外な温かさが最後胸に響いた。

ところで題名『恋恋蓮歩の演習』とはどういった意味だろうか?
まず目につくのは「演習」の文字。これは前作で保呂草が盗み出すように依頼された幻の美術品「エンジェル・マヌーヴァ(天使の演習)」から想起されるのは当然だし、登場人物も各務亜樹良と関根朔太と共通していることからも繋がりを連想させる。事実その通り、物語の最後は現在の関根朔太に行き当たる。

一方「恋恋蓮歩」という四文字。これは森氏独特のフレーズで造語かと思ったら実は「恋恋」は「思いを断ち切れず執着すること」、「恋い慕って思い切れない様」、「執着して未練がましい様」という意味で、一方の「蓮歩」は「美人の艶やかな歩み」という意味らしい。

この2つの単語を繋げたのは森氏の言葉に対する独特のセンスなのだが、つまり「恋恋蓮歩の演習」は「恋い慕って思いが募る女性が行う艶やかに歩く訓練」ということになる。
う~ん、そうなるとこれはやはり大笛梨絵、瀬在丸紅子ではなく、今回保呂草の計画に一役買った香具山紫子を表した題名になるのだろうか。

しかし一方で英題“A Sea Of Deceit”は“偽りの海”という意味。邦題と英題を兼ね合わせる人物はとなると大笛梨絵になるだろうか。
いずれにしても色んな解釈ができる題名ではある。

最後に読み終わった後に保呂草自身のプロローグに戻ると、文字に書かれた時点で現実から乖離し、全ては虚構となる、そして全てが書かれているわけではなく、敢えて書かないで隠された事実もあるし、今回はその時点における意識をそのままの形で記述することを避けるとも謳われている。知っているのに知らないふりをすると云うのは現実によくあることだ。
森作品、特にこのシリーズにおいてこの「書かれていること全てが本当とは限らない」というメッセージが通底しているように思われる。それはやはり保呂草潤平という謎多き人物がメインを務めているからかもしれない。
それはつまり、自分の直感を信じて読めばおのずと真実が見えてくるとも告げているように思える。ただ読むだけでなく、頭を使いなさい、と。
だからこそ森ミステリには敢えて答えを云わない謎が散りばめられているのかもしれない。それこそが現実なのだからだ、と。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

恋恋蓮歩の演習の感想

豪華客船の中で、絵画と人間が消失する話。読み終えてすごい鳥肌が立ちました!凄く素敵で溢れた本でした。まず、序盤の文学的な展開が素敵。表紙も素敵。章題も素敵。キャラの会話が素敵。トリックが素敵。これはシリーズの中でも、森博嗣の作品の中でもかなりお気に入りの一冊になりました

ほっと
2XKXV6EI
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

恋恋蓮歩の演習の感想

シリーズ第6弾にして最高傑作!殺人事件が起きない中でここまで謎解きの魅力を感じさせてくれる作品に久々に出会った。

ジャム
RXFFIEA1
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

恋恋蓮歩の演習の感想

S&Mシリーズのファンで10年ぶりに読んでみました。有限と・・に多少がっかりして離れていました。結論からいうと良かったです!ミステリーそのものはかなり引っ張られる印象ですが、それまでの導入?も飽きさせない感じです。全体的に文面が簡潔ですっきりしているからなんだと思います。

カンカン
9E9C16ZI
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

Vシリーズの第6作目

ネタバレにならないようにさらっと書いたつもりだったが、読み直してみればネタバレに該当しそうだったため下記に変更。

▼以下、ネタバレ感想

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izutti
N05IGXOE
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.19:
(4pt)

恋恋蓮歩って語呂合わせ?

ミステリ仕立てにはなっているが、Vシリーズを読んでいる人なら、最初からカラクリは分かる。でも、面白い! 謎がどうの、というより、豪華客船に乗船したという華やかな雰囲気、ワクワク感がこっちにも伝わってくる。
 そういえば『名探偵コナン』や『謎解きはディナーのあとで』にも、こういったシチュエーションってあったなぁ。
 それにスウィートルームがすごい!なにせ、フランスの大富豪がずーっと乗ってて世界中を回っているというんだから。

 その豪華客船の中で起こった不可解な死体消失事件。殺人?それとも事故死? 通報を受けた警備員たちが駆けつけると、死体はキレイさっぱり消えていた。
 それと同時刻に、世界的名がが盗まれる。この2つの事件の関連は?
恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)より
4061821830
No.18:
(4pt)

タイトルの意味?

恋恋:思いきれずに執着すること 蓮歩:美人のあでやかな歩み 演習:非常時を想定して行う訓練 …でいいのでしょうか。最初なんのこっちゃと思いましたが、なんとなく通じるものはあります。私にとってVシリーズのツライところは、主要人物がほとんど好感を持てないことです。この本も案の定、途中でかなり嫌になってきましたが……最後まで読んで良かった!一番嫌いなあの人の印象が上向きになりました。
恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)より
4061821830
No.17:
(4pt)

Vシリーズ6作目。ミステリーというより、タイトル通り恋の話です。

Vシリーズのなかでは『黒猫の三角』に比肩する面白さでした。こちらは恋のお話。前半の羽村と大笛の恋にときめく人は多いはず。最後も綺麗にオチるので気持ちよい。欠点を挙げるなら前作を読んでいないと全く楽しめないこと。
恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)より
4061821830
No.16:
(4pt)

保呂草が嫌いだな。

うーむ、のっけからオチが読めてしまった。あまりに親切な展開だから、逆にそれはひっかけで、違った結末が用意されてるに違いないと深読みしてしまったほど。

しかし、それを除いてはロマンティックで切なくて好き。

ただ、保呂草の美学が意味不明。紫子に語る妊娠に例えた彼の論理も、私なら一蹴してしまう。ひそかにまわりの人間に非道な気もするので、彼だけは好きになれない。
恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)より
4061821830
No.15:
(4pt)

存在の正当化

世界一周中の豪華客船に持ち込まれた天才画家の自画像を巡る陰謀。仕事のためにその客船に乗り込んだ主人公達は、完全な密室である航海中の船内において男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。 自らの意志に基づいて選択を行っていると思ってしまうことは、存在の正当化でしかなく、偶然性を孕んだ錯覚なのかもしれません。
「いろいろな思惑があって、それらが交錯している。人はそれぞれに観察できる現象を解釈し、そこに理由付けをするのよ。良いことと悪いことの区別をして、自分の設計図を画く。未来のあり方を思い描き、自分で何もかもを決めていこうとする。そう願っている。それができると信じているの。だけどね、結局のところ、歩くときに、どちらの足をさきに出すかの違いでしかない。人間の選べることなんて、せいぜいが、それくらいのちっぽけな差でしかないわ」
恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:恋恋蓮歩の演習 (講談社ノベルス)より
4061821830



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