λに歯がない



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初公開日(参考)2006年09月
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長編小説

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λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)

2010年03月26日 λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)

完全に施錠されていたT研究所で、四人の銃殺死体が発見された。いずれも近距離から撃たれており、全員のポケットに「λに歯がない」と書かれたカードが入っていた。また四人とも、死後、強制的に歯を抜かれていた。謎だらけの事件に迫る過程で、西之園萌絵は欠け落ちていた過去の大切な記憶を取り戻す。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

λに歯がないの総合評価:6.58/10点レビュー 24件。Cランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

このシリーズでは珍しいカタルシス

Gシリーズ5作目。
これまで煮え切らない真相にもやもやしていた読後感をこのシリーズでは抱いていたが、今回初めてミステリとしての謎解きがストンと腑に落ち、カタルシスを感じることが出来た。

T建設という建設会社の研究所内で密室状況の中、4人の射殺死体が発見される。その身元はいずれも研究所の人間ではなく、いずれも50代以上の年配者でしかも全員歯が抜かれ、ポケットには「λに歯がない」と謎めいたメッセージが書かれたカードが入っていた。

本書の事件は上のたった3行で纏められるシンプルな物。
しかしこれまでのGシリーズではこのギリシャ文字が含まれた奇妙なメッセージについてはこれと云った解釈がなされず、謎を謎のままとして放置され、さらに奇妙な事件の真相も全てが解かれずに、時には犯人さえも明かされずに物語が閉じられるという暴挙とも云える終わり方がなされていた。

しかし今回はこの被害者全員の歯が抜かれていた奇妙な状況と「λに歯がない」という奇妙な言葉にも明快な答えが―物語ではそれも一応は想像の範疇に過ぎないとされてはいるが―示されるのだ。しかもそれらは思わずハッとさせられる本格ミステリが持つ独特のカタルシスを伴って提供されるのだ。

その事件の真相に気付くまでに西之園萌絵と犀川は事件について語るうちに死について語るがこれがまた興味深い内容だった。それは次のような内容だ。

例えばもっと生きたいと願って治療を続ける人ともう生きたくないと自殺を選ぶ人の理由のレベルは同じで、なぜなら自然の摂理に逆らおうとする行為をどちらも選択しているからだ。しかしそれでも死はその時点で終わりであるのに対し、生きようと抗うのは継続するという意味で上位である。

そして人間誰しも生きたいと願っているわけではなく、死を選ぶ者もいれば人を殺したいと思う人もいる。そして生きている人は自殺を保留している人だとも。人はいつでも死を選ぶことが出来るからだ。長生きは選択肢ではあるが必ずしも叶うわけではない。

そしてここから犀川は真賀田四季は我々凡人のように死を選ぶ自由という発想から永遠の生を選ぶという発想、つまり死んだ人間をもう一度生かすという発想をするだろうという考えに至る。

そして事件について問答を繰り返すのはもちろん犀川だけではなく、このシリーズの中心登場人物であるC大学の面々も同じだが、彼らもずいぶんキャラクターが形になってきたように感じた。

山吹は初登場時からそのあくまで中立的で何事も受け入れる性格は変わっていないものの、海月及介は必要なこと以外喋らない性格でほとんど無表情で仕草もそれと解る必要最小限の動きしかしない、省エネ人間であったが、巻を重ねるごとに次第に饒舌になってきた。
そしてやはり彼はポスト犀川とも云うべき頭脳の冴えを見せ、最後の真相解明に一役買う―まあ、それも彼の推理の範疇に過ぎないと控えめに云うのだが―。それを犀川もまた同様に解き明かしていた、しかも少しだけ肉付けしてといったスタイルが確立しつつある。

そしてヒロインの加部谷恵美は次第に煩わしくなってきた。一人テンションが高く、注目を浴びたいがために突拍子もない推理を開陳して逆に周囲を撹乱する自己顕示欲の強さが巻を重ねることに大きくなってきた。
山吹や海月の両男子が自分に関心があると思い込んでこれ見よがしにほほ笑んで見せてその理由をガン無視されたのに、微笑んだ理由をなぜ訊かないのかと自分に関心を持つように強要する、TVのヴァラエティショーに出てくる2流芸人のような振舞いが多くなった。
私はこれまでのシリーズで一番キャラクタが好きなのはVシリーズなのだが、その好感度には程遠いといった印象だ。

そしてこのGシリーズでは先に述べた真賀田四季の影が常に事件の裏側に見え隠れしているが、本書では逆に今回の事件が四季が関わったものではないと各務亜樹良と思しき女性が登場し、赤柳と話す。そしてその際、なぜ警察が真賀田四季を捕らえることが出来ないのかについて彼女はこちらは分散型で事件を防ぐ側は集中型だからだと説く。

つまり1つのチームとして動いている警察はそれぞれのチームがやるべきことを把握して独立して動いている真賀田四季側が複層的に起こす事件の対処に叶うはずがないと。
しかしこれはやはり真賀田四季という圧倒的なカリスマがいるからこそ成り立つのだろう。自由度をそれぞれのチームに持たせながらも決してベクトルを逸脱することなく、また妙な野心を持って下剋上を成し遂げようとすら思えないほどの圧倒的な天才性を放つ彼女だからこその分散型組織ではないか。

そして今回最も不可解な謎だったのがセキュリティシステムで出入りを管理されていた研究棟に入った方法なのだが、これも実に鮮やかに解き明かされる。

いやあ、これはもう建築を専門にしているからこその密室事件であり、一連の謎解きには建築に携わっている人には実に堪らない真相だった。正直これまでのシリーズで一番面白いと感じた。

これくらいのミステリが私には性に合っているようだ。

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

その発想は無かった

殺人や抜歯をした動機は単純だったがトリックの方は「!!!」だった。

▼以下、ネタバレ感想

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ヘッポコ屋敷嬢
XG82ACXM
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.22:
(4pt)

謎が深まる

今回は、これまでタイトルに用いられてきたギリシャ文字のに加え、登場人物にも注目させられた。
赤柳、保呂草、謎の女性など過去の昨日のあの人のことかな?と色々考えさせられる一冊。
事件も解決したようなしなかったような...。
いずれにしても、今後の展開が気になる一冊。
λに歯がない (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:λに歯がない (講談社ノベルス)より
4061824988
No.21:
(2pt)

こういう結末もあるのかという感じ

Gシリーズの中では変わった作品かもしれない。悲しい話だが。
λに歯がない (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:λに歯がない (講談社ノベルス)より
4061824988
No.20:
(3pt)

自殺する人間を、加部谷は助けたいか?

Gシリーズは登場人物の台詞まわしが好きです。

名探偵コナンみたいだなと思いました。
最近一つ一つの作品が軽くなってまして、いろいろ小出しされてる情報を、この辺でどぱーっと解消してくれる展開が欲しいような。
面白いからついつい読んでしまうのだけれど。
λに歯がない (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:λに歯がない (講談社ノベルス)より
4061824988
No.19:
(5pt)

さらっと

森博嗣さんのミステリーの独特な感じが満載です。 ミステリーにそれ程みんな興味がないというか、さらっと過ぎた感じ。 でもそれ以外のシリーズの謎というか展開が楽しみな感じでした。
λに歯がない (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:λに歯がない (講談社ノベルス)より
4061824988
No.18:
(5pt)

Gシリーズ5作目「死の定義」とは

Gシリーズ5作目「λに歯がない」 猟奇殺人、密室、集団自殺、宗教と様々なテイストを含んだGシリーズ S&Mシリーズで主役だった犀川と萌絵はGでは後方に退いた感が続きましたが今回は犀川と萌絵を応援する私としては二人のシーンも多くてなかなか満足でした。 Gからのメインキャストである山吹、加部谷、海月も読むごとに愛着が湧いてきた三人です。しかしVシリーズのメインキャスト4人に比較するとどこか物足りなさを感じてしまうのです。 (学生キャストとはいえ小鳥遊練無や紫子の個性が強すぎたのもあるのかもしれない) 寡黙な秀才、海月及介はその洞察力、観察力に優れGシリーズの中でも魅力的なキャラクターであるけれど、秀才ではあっても階段一個ぶんはそれまで登場した秀才とは異なるのかもと思ったのが今作。 もし、大学生時代の萌絵と海月が同い年で肩を並べていたら密室殺人に対してどんなアプローチをしただろうと、ふと思いました。 萌絵の冴えた才能は作品を追うごとに柔らかく、ゆるやかになっているので、あのアグレッシブに事件に熱中した萌絵を少し懐かしく感じるのです。 今、萌絵の傍らには犀川が居る その事実が彼女を優しく留めているんでしょう。それは犀川にも言えること彼の凶気に蓋を出来るのが萌絵で、開くことが出来るのが四季博士だと漠然と思っています。 今作で萌絵が犀川に語る「死の定義」「自殺の定義」がかなり興味深く、その部分が一番印象に残ってます。 四季シリーズで「死」すら卓越した四季博士を読んだ後だから、尚更にかもしれませんが 卓越、いやもはや越えた存在を描いた後に、 改めて「死」を語る萌絵と犀川を描くのは生きている人間と「私はもう死んでいるのです」といった者の対比か? 紅子ならどう思考するのだろう? 私のなかで紅子は「殺人を描く」ことはあっても「死」は少し遠い でも今作はちょっとメンタルが落ちていたりする時は引きづられるところがある様に感じたので、落ち込んでる時には勧められない一冊です。
λに歯がない (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:λに歯がない (講談社ノベルス)より
4061824988



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