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カメレオンの影



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【この小説が収録されている参考書籍】
カメレオンの影 (創元推理文庫)

カメレオンの影の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

最後まで、誰が真実を述べているのか分からない

英国ミステリーの女王・ウォルターズの長編第12作。ロンドンで起きた男性老人連続殺人の犯人探しミステリーだが、犯人と目された男の謎が深く、その深層心理の闇に読者を引きずり込む心理サスペンスでもある。
イラクで瀕死の重傷を負ったアクランド中尉は本国の病院で目覚めたとき、イラクでの記憶を失っていた。さらに、病床を訪れた母親や元婚約者、世話をする看護師など女性を嫌悪し、体に触れられると暴力を振るい、担当の精神科医のアドバイスも無視し、周囲を戸惑わせるのだった。顔面形成手術を拒否して退院し、ロンドンで一人暮らしを始めた矢先、パブで暴力事件を起こし、ちょうどその頃連続して起きていた老人への暴力的な殺害事件の犯人ではないかと疑われた。具体的な証拠が見つからず釈放されたアクランド中尉だったが、その言動は一向に改まらず、警察は引き続き監視の目を光らせるのだった。
ストーリーが進めば進むほどアクランドの疑惑は深くなるのだが、いかんせん状況証拠ばかりで、しかも記憶喪失と嘘か真か分からない極端な心理が謎を深めるので、読者は最後まで翻弄されることになる。話が複雑かといえば、そうでもなく、主要登場人物のキャラクターもきちんと確立されているためストーリーはきちんと追えるのだが、読んでいて常に次は奈落に突き落とされるのではないかと疑心暗鬼になる。巻末の三橋暁氏の解説にもある通り、あまり類を見ない独創的なジャンルを開いた作品と言える。
心理サスペンス、心理が絡んだ謎解きがお好きな方にオススメする。

iisan
927253Y1

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