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カメレオンの影
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カメレオンの影の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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面白そう | ||||
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全体的に暗くて重く話が進んでいきます。 ストーリー的にも凝ったところも少なく、何となく読み進めていくと完結したって印象です。 盛り上がるところがもう少し欲しかった。 | ||||
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M・ウォルターズの最新作。期待にそぐわぬ面白さ!! 英国ミステリにはさまざまな系譜があるが、ウォルターズの語りの視点がどんどん変化して真実がだんだん見えてきたような気がしても、また裏切られて、という心理戦は独自路線だろう。 英国らしさといえば、クリスティー、レンデル、ヒル、ラブゼイなど心理描写、性格描写が優れていることだ。 そして、ウォルターズはこの系譜を継ぐ筆頭格。 また、この作品にはフランシスの主人公を思わせる、禁欲的、プライドの高い、利他的な紳士が出てくる。 その点にも実にイギリスらしさが感じられた。 | ||||
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最近読んだミステリーの中で最高! !! 長いお話しなのに徹夜で一気読みしたよ。しかし相当早いときに犯人が解ってしまった。私には世の中の悪魔を見つける力があるのではないかと思うよ。夏休みの終わりに良い時間を過ごせた。作者に感謝。 | ||||
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実に5年ぶりのお目見えとなる作品。値段の割に邦訳が遅いのが気になる。この作家を思い出すのに、以下の前作『悪魔の羽』についての我がレビューを少し振り返りたい。 (以下前作レビュー) 中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。 事件そのものは『遮断地区』でも特に強く感じられるのだが、時代性と社会性を背景にした骨太のものながら、庶民的な個の感情をベースに人間ドラマをひねり出し、心理の深層を描くことにおいて特に叙述力に秀でた作家なのだと思う。 (以上) 本書はイラクの戦場の砂塵のうちにスタートする。いきなりの爆破。本作ヒーロー、アクランド中尉の顔の左半分が、左目と共に失われる。ハンサムな若者は異形の帰還兵となって世界からスポイルアウトされる。そして連続殺人事件の容疑者としてマークされる。 アクランド中尉の個性、あるいは負傷によって変容してしまったかもしれない個性、が何よりも本書の読みどころであった気がする。何しろ、事件の捜査が動的に移ろいゆく中で、負傷兵としての、あるいは戦場の英雄としての彼は、さらに移ろいやすい存在であるかに見える。しかしむしろ真逆の頑迷さと不変性に鎧われた迷いなき強靭な医師の持ち主のようにも。 禁欲的で、口数が少なく、時に発作に見舞われる後遺症持ちの戦場帰り。こういうキャラクターをミステリの中心に据えて、彼に寄り添うのが、アーノルド・シュワルツェネッガーのような恰好をした巨体の女医師ジャクソン。捜査の中心となる冷徹なベテラン警視ジョーンズ。それぞれにキャラの立った個性的で存在感溢れるバイプレーヤーたち。 さらにロンドンの犯罪の温床みたいな暗闇に蠢く、薬中、ホームレス、男娼、そして謎に満ちた孤独な被害者たち。暴力と犯罪の匂いに満ちた街を、アクランド中尉とその周囲を回遊する人間たちの目くるめく深夜。中尉の元彼女はユナ・サーマン似のコケティッシュな美女として、アクランド中尉とのどうにも掴みにくい距離感を往還する。 迷宮のようにしか見えない国家と個人との隘路を辿る捜査の背景に見えてくる病的な社会と時代を、名手ミネット・ウォルターズはまたしても不思議なメスさばきで、解体してみせる。物語にオフビートなリズムを交えながら、あくまで個性的な物語を紡ぐ作者のペンの切れ味にただただ酔うばかりの一作である。 | ||||
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ミネット・ウォルターの待ちに待った新作。変わらずの作風。人間の醜さと、だからこその魅力と…胸が痛いけれど、読まずにはいられません。 | ||||
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2015/5月に読んだ「悪魔の羽根」以来になりますが、同作者による「カメレオンの影 "The Chameleon's Shadow"」(ミネット・ウォルターズ 創元推理文庫)をせっせと読みました。 英国軍中尉・アクランドは、イラクにて偵察装甲車シミター乗車中にイラク反乱兵の攻撃を受け、兵長2名を失い、自分も片目を喪失し、頭蓋内にも損傷を負って、尚且つ2ヵ月間の記憶をなくしたまま英国へと帰還します。そして彼は昏睡から覚めると、他人に触れられると暴力的になり、女性嫌悪を示し、ある意味とても禁欲的な人格へと変化しています。退院後ロンドンに住むことにはなりますが、ある暴力事件を起こしたことで警察に拘束されることになります。方や、軍歴のある一人暮らしの男性ばかりが自宅で殴殺されるという事件が連続して起こります。アクランドはその容疑者とされてしまいますが、果たして?その連続殺人事件の犯人はいったい誰?ミネット・ウォルターズですから、真相までの道筋は楽なものではありません。そして、いつものようにスリラーですから、ストーリーの詳細をこれ以上語るつもりもありません(笑) 長期の「人格破壊」などというものがあるのだろうか?まずは、アクランドを含む多くの登場人物のリアリティのある、血の通った「キャラクリゼーション」で読ませる作品だと思います。また、ここで描かれる「英国」は、自閉症的で暗く、重苦しい。とは言え、アクランドの元婚約者・ジェン、レスビアンの医者・ジャクソン、家出少年・ベンと作者はその一筋縄ではいかない人間の複雑な側面をよく描き分けていると思います。 映画のトレーラー風に描写すると、映画「ガタカ」のユマ・サーマン。支配的な人。経験されるべき現実。部下の死とキャリアの喪失と片目の失明と軽度の耳鳴りと片頭痛と醜悪な損傷と、存在するであろうPTSDと、それらと何とか折り合いをつけようとするアクランドの私的闘争がとても興味深い。タイトルが示すとおり、カメレオンのようなアクランドの暗示的なキャラクターが、この小説のミスディレクションであり、仕掛けられた伏線なのでしょう。そこには、異性愛と同性愛という「愛」についての考察も盛り込まれており、私自身も気軽にさっと読む読書とはなりえませんでした(笑) 特筆すべきは、やはり、引き合いに出される「シンクロニシティ」へのアプローチにあるのだと思います。魂に惹きつけられ、その「共時性」に思いを馳せ(気づきを得て)、悪しきものが良きものに変わる瞬間を得たものたちだけが、パズラーで言うところの「真実」に近づくのだと思います。 (但し、とてもいい小説なのですが、パズラーとしては少し冗長だと思います。適度なユーモアに彩られているとは言え、「英国」の持つ「現在」の重苦しさが常に付き纏っているからなのかもしれません) | ||||
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