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τになるまで待って



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τになるまで待っての評価: 7.00/10点 レビュー 2件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

犯人を探すのが警察の仕事でしょ?

Gシリーズ3作目は嵐の山荘物だ。
岐阜県と愛知県の県境の山奥に位置する≪伽羅離館≫という屋敷で密室状態の中、超能力者と呼ばれている館の主、神居静哉が何者かによって殺害される。そして外部は雷雨降りしきる嵐でなぜか外部に通じる扉が鍵も掛かっていないのに開かない状態になる。

その事件に出くわすのが加部谷恵美ら3人と探偵赤柳初郎ら一行と神居静哉を取材に来た新聞記者富沢とカメラマンの鈴本、そして彼らを伽羅離館へ案内する不動産会社の登田達一行だ。

本書では上の密室殺人以外にもう1つ謎がある。
それは超能力者神居静哉が加部谷恵美をアナザ・ワールド、異界へと連れて行った謎だ。それは同じ部屋にいながら互いの姿が見えない、いわば異なった次元もしくは位相に連れていくというマジックだ。同じ部屋にいるのでその部屋にある物は触れられるのだが、他の位相にいる人物が触った者は別の位相の人間には触った者がいないのにひとりでに動いたように見えるのだ。

今までの森作品でも垣間見れたが、このGシリーズでは特に顕著でミステリで解かれるべき謎が全て明かされるわけではない。

密室殺人事件のトリックを解き明かした犀川創平に対し、警察は犯人は誰かと問うが、犀川は知りません、それを探すのが警察の仕事でしょうと一蹴する―この件はかなり笑った―。現実世界では当たり前すぎるが、この当たり前なことを本格ミステリで実践するところに森氏の強かさを感じる。

本書でも登場人物たちが述べるように加部谷恵美、山吹早月、海月及介らが遭遇する事件は押しなべてギリシア文字が関係しており、本書の奇妙なタイトルは被害者神居静哉が死の直前に聴いていたラジオ番組のタイトルに由来する。

この何とも腑に落ちない一連のタイトルの意味―『Φは壊れたね』、『θは遊んでくれたよ』、『τになるまで待って』―は不明なままであるのが本書の特徴であるが、あるいは森氏独特の言語感覚から生まれた言葉に過ぎないのかもしれないと思ったりもする。

そしてシリーズ3作目を読んでこのGシリーズのシリーズキャラクター達が出くわす事件は『四季』シリーズの『四季 秋』から『四季 冬』にかけての真賀田四季の歩みを語る過程に起きた事件の末節に過ぎないのかもしれない。

エピローグでは萌絵の叔母佐々木睦子の前に現れた赤柳初郎の髭を見て彼女は「年季は入っているようだが私の目は誤魔化せない」と述べ、微笑んで去っていく。

この赤柳の正体もおいおい明かされていくことだろう。

最初は何とも読者をバカにしたシリーズだと壁に投げたくなったGシリーズだが、3作目にして作者の狙いが見えてきたように思う。
森作品はシリーズを追うごとにミステリ風味は手を変え品を変え、ヴァラエティ豊かではあるのだが、謎解きの妙味はどんどん希薄になり、寧ろ投げやりになっている感さえ漂う。

ただGシリーズの読み方が3作目にしてようやく解ってきた。謎めいたタイトルについてはとにかくそれぞれの作品の中ではほとんど意味を成していないと理解しよう。

そして事件は十全に解決されないと腹を括ろう。

また真賀田四季の影が常に背景に隠れていると意識しよう。

赤柳初郎にはもっと注意を配ろう。

これら4箇条を念頭に置いて次作に当たろう。
そうすればもっと楽しめるだろうと期待しよう。

▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

イケメン超能力者の密室殺人事件

死人が出たというのに「わぁい」とか「どきどきしてきた」とか言い出す恵美に一瞬ギョッとしたが、萌絵に連絡した後正気に戻って泣き出すのを見てホッとした。

萌絵と犀川が服を着ないで朝を迎える仲になっていたのにはビックリ。

ヘッポコ屋敷嬢
XG82ACXM

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