■スポンサードリンク


大鴉の啼く冬



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

大鴉の啼く冬の評価: 7.00/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

自然も人間関係も閉ざされた地の重い物語

英国推理作家協会賞最優秀長編賞の受賞作で、「シェトランド四重奏」の第一弾。住民同士が全て知り合いという閉鎖社会に起きた少女殺害事件の謎解きと、背景となる人間関係の重苦しさを描いた重厚なミステリーである。
イギリスの最北端、シェトランド島で16歳の女子高生が殺害された。通報を受けた地元警察の警部・ペレスが捜査を始めたのだが、住民の間ではすでに「犯人はマグナスだ」という噂が広がっていた。というのも8年前、11歳の少女がマグナスの家を訪ねてから行方不明になっていたからだった。だが、知的障害がある老人・マグナスの犯行説に違和感を持ったペレスは粘り強く地元の濃密過ぎる人間関係を解きほぐし、閉鎖社会ならではの悲劇を目にすることになった。
現在の事件と8年前の事件が絡まり合い、誰もが知り合いで、誰もが秘密を抱えている最果ての地で暮らす人々の複雑な関係と心理が描かれていく。そのストーリー展開は、殺人の謎解き以上にスリリングでミステリアス。さらに舞台となるシェトランド島の荒涼たる風土も相まって、物語全体は暗く重いヴェールに覆われており、決して簡単に読み進められる物語ではない。
犯人探しと同時に複雑な人間ドラマを楽しみたい方にオススメする。

iisan
927253Y1
No.2:
(8pt)

はじめてのアンクリーヴスもの

期待しないで読んだ方が上手く?いくって、やっぱりあるんですね。
シェットランド島を舞台にした小説は前にも何冊か読んでいるので、地理的なことが頭に入ってきやすく、その点は読みやすかったですね。
登場人物も個性的で分かりやすく、一々「登場人物の欄」をチェックしなくても、すぐ分かるようになりました。

読みやすい!
分かりやすい!
これも、ミステリーを読む上では重要だと思います。
頭の中で整理されているから、舞台にものめり込めるし、描写がスッと入ってきます。

この本はミステリーを楽しむというよりも、そこで暮らしている人達の生き様?心情にどれだけ此方の気持ちが投入できるか・・・。
物語が進むように、感情も自然と一緒に動いてゆく・・・。
その点で成功した上質のミステリーだと思いますね。

ももか
3UKDKR1P
No.1:
(8pt)

大鴉の啼く冬の感想

白と灰色しか思い浮かばないようなイギリス本土から北にあるシェトランド諸島。人工2万人ほどで島中が顔見知りで、なんでもすぐ噂になり秘密を持てないような、そんな島で殺人事件が起こる。同じ島ではないものの、この諸島の出身であるペレス警部が捜査にあたるのだが、8年前に起こった少女の失踪事件と重ね合わせて1人の老人が疑われる。

狭く閉ざされた島での生き辛さのようなものがとても強く伝わってきます。一度偏見にさらされると孤立し孤独から抜け出せなくなり、しかも狭い島であるがゆえにそこから逃げ出す事もできないと言う、田舎ではありがちな話が4人の人間の視点で語られます。

真相がわかってしまえばそれほど複雑なものではないのですが、最後まで犯人は全くわかりませんでした。人々の鬱屈した思いなどが丁寧に描かれていてとても良かったです。
同じ島国である日本人の感覚とは共通するものがあるのではと感じました。

たこやき
VQDQXTP1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!