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黒面の狐



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒面の狐
黒面の狐 (文春文庫)

黒面の狐の評価: 7.75/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.75pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

敗戦 そして九州の炭鉱へ


 満州の地の最高学府、建国大学を出自としながら敗戦のショックにより地方を放浪する物理波矢多。九州にて炭鉱夫になる道を選んだ彼の前に現れた合里光範。自身と重なる部分の多い合里を中心に物理は炭鉱内での交友を深めていく。しかし鉱山内での爆破事故を契機に炭鉱夫たちは恐怖に見舞われる。事故と同時に行われた密室殺人、そこには炭鉱関係者のおそれる黒い狐のお面の人物がいたという・・・。

 元々刀城言耶シリーズの一作として考案されたということで事件解決への流れは非常に似ている。終盤の三転四転する推理のインパクトは抜群です。そして終戦の時代背景と炭鉱という社会をミステリー内に取り入れた歴史ミステリとしても非常に興味深い内容になっている。どうやらシリーズとしては各地を漂泊する物理がその場所での風土とともに不可思議な事件を解決していくというものらしい。また面白い探偵を見つけてしまった。さぁ次は灯台だ。
 
 

りーり
9EDFH0HC
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ほぼミステリー

いつも三津田さんの本を読むときは、あらゆる現象の原因が得体の知れないモノか生身の人間か。もしくはその両方か。思い込みや先入観をなるべく持たないように努めながら読んでいる。
読み終わってみると、かなりミステリに偏っていた。
ホラーを期待していたとしたら、退屈してしまうかもしれない。ただ話の端々に怪談の匂いをきちんと残していて、今後三津田さんが書かれる違う作品でこの炭鉱で起こった出来事が顔を出しそうだと思った。
ミステリとして謎解きもスッキリするし、主人公とある人物に芽生えた絆みたいなものが最後まで感じられていたのも凄く良い。
そして炭鉱の仕事内容や当時の事情は全く知識がなかったが、分かりにくさはなく寧ろ色々知ることができて勉強になった。
読みごたえがかなりある。


まめ
8SLBJC0D
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

「黒面の狐」の感想

刀城言耶シリーズのような、ホラーとミステリの融合なのかと思いながら読んでいきましたが、本格ミステリでした。
主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)が、探偵とワトソン役(物語の語り部)の両方を演じているので、推理の筋道がわかりやすく、一緒に謎解きを楽しめました。

戦後すぐの炭鉱を舞台にした話なのですが、戦中・戦後における、日本と朝鮮との関わりが、作者の視点で書かれおり、その点でも興味を持って読みました。
読まれる人によっては、作者の視点に異を唱える人も居るのではないかとは思いますが、私はほぼその通りだと思いながら読みました。

戦争中に、朝鮮人が日本の炭鉱という閉鎖的な場所で、どういう扱いをされていたのか、そしてそのことが、この本の舞台である炭鉱で起きた連続殺人に、どう繋がって行くのか・・・。
最後には、ちょっと驚きの結末が待って居て、息もつかせないまま読了しました。

最終章で、物理波矢多が犯人を指摘するところは、推理が二転三転するという、刀城言耶を主人公とするシリーズでよく見られるパターンと同じでしたので、それなりに楽しめました。
連続殺人が起こり、密室が登場し、もう一つ、良くミステリで登場するトリックが使われ、最後にはどんでん返しが・・・となれば、面白く無いはずがありません。

トラ
WFY887SY

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