宇野久美子はアパートを引き払い、和歌山に帰ると周りに告げていた。しかし、それは自身をこの世から消し去る演出だった。

現役の作家のなかにも熱狂的なファンの少なくない、鬼才、久生十蘭の精粋を、おもに戦後に発表された短篇から厳選。

男は父の命令でイギリスに留学し、巴里に移ったところで陸軍士官と決闘する羽目になる。撃たれた顔は異様な有様となった。

『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』――昭和九年の大晦日、銀座のバーで交わされる奇妙な噂話を端緒に、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。

好古趣味と巧みな恐怖演出で近代怪奇小説の礎を築いたＭ・Ｒ・ジェイムズ。

“本の町”読長町に住み、書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。

酷薄の観察「彼を殺したが…」、亡命ロシア人の暗殺計画「犂氏の友情」、山田風太郎を唸らせた「勝負」、ドキュメント「プランス事件」、実際の犯罪か「悪の花束」、勇敢なる二等航海士「海と人間の戦い」、白瀬矗追悼?「南極記」、S19年によくぞ発表「爆風」、熱いものが

文体の魔術師・久生十蘭の中でも、異色のめくるめく短編集。

本屋大賞ノミネート作家、瀬尾まいこのデビュー直後から3年半の日常をつづるほのぼのエッセイ。

南の島に集まった人気作家と作家志望の女性5名が次々に死体で発見され……。騙りの天才ビュッシが放つ、クリスティへの挑戦作。

書簡体形式を用いた独自の文体で読者を幻惑させる、唯一無二の怪奇探偵小説の名手・夢野久作。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

圧倒的筆致で天才の青春を描いた野性時代フロンティア文学賞受賞作、文庫化 圧倒的「数覚」に恵まれた瞭司の死後、熊沢はその遺書といえる研究ノートを入手するが――冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛!選考委員の圧倒的評価を勝ち取った、第9回野性時代

私は“善人”か、それとも“悪人”か 「ねえ……あそこに誰かいない?」。

本格推理の巨匠がライフワークとして書き続けた 安楽椅子探偵の傑作シリーズ そのすべての短編を発表年代順に収録 大好評の鮎川哲也「三番館」全集、第３集！

離島へ逃げるように転校した僕が出会ったのは……感涙必至の青春成長小説! 中学生の頃、医師を目指していた川嶋有人は、ある出来事をきっかけに夢も未来も失ったと引きこもり生活を続けていた。

父親は大金持ち、本人は大学の講師と交際している札つきの問題児――そんな学生バーバラの誘拐計画が進行中だという怪しげな話が、大学当局に飛びこんでくる。

その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。

直木賞作家の真骨頂! 笑って泣ける人間讃歌。

ラストまで一気読みの本格ホラー&ミステリー。原点にして最高傑作 その路地にさしかかったとたん、ひどく嫌な気分がした。

全身の細胞がうめき声をあげる。怪奇・幻想世界への禁断の誘い。

探偵小説を愛し、戦争中は仲間と犯人当てゲームに興じた安吾。

始まってしまったら……人が死ぬ。何人もの人が。

「ストレートで高純度の本格ミステリ。 よくぞ掘り出してくれました。

壮絶な過去をもつ元スパイに託された仕事は、 腐敗した街をさらに腐敗させること――。

かつて老執事が奇怪な死を遂げた“幽霊屋敷”ことロングウッド・ハウス。

平凡なセールスマンのグレゴール・ザムザは、気がかりな夢からさめたある朝、一匹の巨大な褐色の毒虫へと変わった自分を発見する。

かつてはナチの残党を、現在は犯罪者を標的とする暗殺組織〈美術館〉。

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。

京都の人権派弁護士事務所から東京の大手法律事務所に移籍してきた新米弁護士・成瀬歌義。

この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか? 時は、戦後間もない昭和22年。

第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作! 戦慄のノワールサスペンス 26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。

静かな海辺の街で暮らす和佐泉は、日課の海岸散歩中に出会った男の風貌に思わず息を呑む。

奇妙な花嫁人形に隠された秘密に迫る、警察シリーズ第2弾! 新設部署「特捜地域潜入班」の一員となった刑事・鳴瀬清花。

突如、舞台上で『ハムレット』の原典にないアドリ ブを口にした役者。

江戸始まって以来の大奇人にして博識無双の平賀源内先生。

真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。不登校の陽子と誰にでも優しいリン。

近いうちにこの切っ先が、私の手の内で何人かの血を吸うであろう……。

東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。

法の網をすり抜け、街なかに紛れる犯罪者たちー。

Ｋ氏には人目をはばかる趣味がある。

父親の遺産によって贅沢三昧の暮らしをする三兄弟と妻、さらには警察官や女流作家が同居する広大な屋敷内で殺人事件が発生。

舞台はなんと女子刑務所! 「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾! 神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。

メグレが尾行した不審な男が拳銃で自殺した。事件の陰にちらつく異様な首吊男の絵の真相とは。

犬の最期を看取る「老犬ホーム」で働くことになった智美。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。

古書店『無窮堂』の若き当主、真

まほりとは?蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習とは?前代未聞の野心作 大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。

高齢ドライバーによる死亡事故、それは本当に〈老いの宿命〉だったのか? 高齢男性の運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、店員を轢き殺す大事故が発生。

脇役、敵役、ちょい役――哀愁漂う陰日向に咲く登場人物たちの感動の物語! 鈴木花子はヒロインのお友達ポジションでいつも恋を盛り上げる存在だった。

妻が奇妙な強盗事件に遭遇した。犯人は居合わせた人々から「もっとも思い入れのあるもの」を奪っていったという。

上海郊外の湖畔に建つ陸家の館で殺人事件が起こる。

ネル・ワード博士の専門は生態学。断じて殺人ではない。

22年前から二年ごとに起こる、事故や自殺に見せかけた事件現場には必ず塩が残されていることに特捜部Qは気づいた。

猪狩雅志は高齢ドライバー事故のニュースに目を向けた。７８歳といえば親父と同じ歳だ。