大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。

ミステリーに殉じた作家を敬愛する4人による驚嘆のアンソロジー。巧緻に練られた万華鏡のごとき謎、また謎。

時は明治末期。政府重鎮の妻君・但馬夕とその家の書生・御萩慎之介との情死事件は起きた。

その冷やかな微笑としなやかな身のこなしで世界的ファッションモデルとして活躍中の美織レイ子が自宅マンションで死体となって発見された。

ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。

戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。

造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…その二月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園

死後に注目された萩生仙太郎の絵画が、30年ぶりにオークションへ出品されることになった。

完璧な写実性で注目された画家の絵の中に見出される数々の不思議――手の指が六本ある少女、針の間違っている時計、開けられないドアなどは何を意味するのか？　さらに一夜にして忽然と消失した合掌造りの家、タクシーの後部座席に突然出現した死体……等々、ちょっとした不合

大胆な仕掛けと叙情あふれる筆致を融合させ、ふたつとない作家性を確立した連城三紀彦。

果てしなくくりかえされる愛憎。反転する虚実。

浜名湖畔の料亭「花ずみ」。ある日、名女将の後を継いだ旬平から、妻の通子に奇妙な電話が入る。

もう一人の自分を目撃したという人妻。"消失狂"の画家。

玩具会社部長の馬割朋浩は、降ってきた隕石に当たり命を落とす。

『11枚のとらんぷ』を筆頭に、『乱れからくり』等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品―それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。

奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。

医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。

二百五十年の泰平を経て腑抜け同然となった御庭番に代わり、隠密方を拝命したよったりの雲見番―長裃がひたすら似合う俊足の男前、亜智一郎。

マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。

大胆な仕掛けと巧みに巡らされた伏線、叙情あふれる筆致を融合させて、ふたつとない作家性を確立した名匠・連城三紀彦。

青山墓地で発生した幼女惨殺事件。その被告人は、独房で奇妙な独白を始めた。

相ついで起った五つの難事件に立ち向う田沢軍平クンは、どんぐりまなこに分厚いめがね、早くも薄くなりかけた髪とたまりにたまったアパート代を気にしながらモッサリと登場!?しかしこの軍平クン、モデル・女医・人妻から薄幸のホステス・不良少女にまでなぜかモテモテで―人

ドイツが東西に分断された冷戦のさなか、画家・青木優二の前に現れたベルリンからの来訪者。

傲岸不遜な大スター「花ジン」こと花村陣四郎のパワハラに苦しむマネージャーの北上梁一は、ある夜、一組の男女と出会う。

石室敬三の元へ一年以上前に失踪した妻から突然電話がかかってきた。

ひとりの平凡な男が突然消えた。

逆転に次ぐ逆転、超絶トリック、鮮烈な美しさ。

記録的な大雪にあらゆる都市機能が麻痺するなか、汚職疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘が誘拐された。

終戦から間もない降誕祭前夜、まだ焼け跡の残る横浜・中華街の安宿で死体となって見付かった隻腕の男。

長身で二枚目、行動は些か心許ないが、虫や雲を撮ることにかけては右に出る者のない実力派カメラマン、亜愛一郎。

あなたに、いつか「恩返し」をしたかった──「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」わたしは恋人に人生初のおねだりをした。

2組の夫婦に秘められた背徳の過去。東京とスイスを結ぶ往復書簡が織りなすレターロマネスク。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。

高名な彫刻家の杉原完三が、自宅兼アトリエから姿を消した。一ヶ月後、完三は武蔵野の林から遺体で発見された。

一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。

軍律の崩壊した集団に君臨する大ボス、小ボス。

北陸本線で知り合った女は、夫に逃げられたまま新婚旅行中の花嫁だった…。

テーマは「館」、ただひとつ。 今をときめくミステリ作家たちが提示する「新本格の精神」がここにある。

上司の妻に誘われながら一度のキスだけで遠ざかる青年(「組歌」)、結婚をとりやめたのに形だけの新婚旅行に出た2人(「淡味の蜜」)、転勤してゆく隣室の主人を見送る人妻(「空き部屋」)、老いたるお手伝いさんとの再婚を決意する作家(「捨て石」)…。

酒場のカウンターで、年下の男から突然見せられた妻にあてた「ラヴレター」―。

自由に愛して、不自由に愛して、落とし穴にはまる―。ひやりと研ぎすまされた男と女10の物語。

15年前、わずか一年で結婚生活に失敗して以来、ずっと独り身を続けてきた47歳の女性弁護士撩子。

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。

放浪の数学者探偵、降臨! "堂"シリーズ文庫刊行開始! 新たな理系&館ミステリ。

電気風呂が売りの銭湯で起きた殺人の謎を描く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。

テーマは「名探偵」。新本格ミステリブームを牽引したレジェンド作家による書き下ろしミステリ競演。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。

第15回『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉作品の本作は、“白いどんでん返し"です! 僕が大学とバイトを終えてアパートに帰宅すると、部屋の前に見知らぬ美女がしゃがみこんでいた。

誰もが彼女を狙っている――。 大学祭の当日、英文学ゼミの教室で発生した陵辱事件。

有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。

一枚の巨額なルノワールの贋作。男と男の愛、女と男の死、美の真贋の境界線をさまよう大型国際ラブサスペンス。

歳月は、人を恋う心の炎を消してしまうのか、あるいは、さらに激しく燃えたたせるものなのか。

髪の艶と柔らかさが自慢の津加子。6歳年上の夫は4度目の浮気が進行中だ。

失踪した夫を待った女の決着を描く「忘れ草」。