大屋圭造は三流経済誌の記者。企業の提灯記事を書いては広告料を取る「トリ屋」である。

大和大学助教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の帰途、入試問題草案を紛失した。

銀行員安田信吾は行金五百万円を持ってキャバレーのホステスと共に逃走した。取引先の隠し預金を裏付ける極秘メモが決め手だ。

古美術商『草美堂』の主人・高尾庄平は62歳。商売は順調で30歳も年下の野村和子を愛人にしていた。

昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。

「帝国の大学」として数多くの指導者を養成し、日本近代史の原動力となった東京帝国大学は、学問と政治・社会との関わりや、権力と思想の自由の問題にどう対処してきたのだろうか。

殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。

夫を裏切り、妻を捨てた不倫の愛の逃避行―広漠たる砂漠に死を求めて彷徨う女と男の愛の無常を描く長篇。

小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

松山地検庁舎の怪火で事務官が焼死、事故として処理された。

新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。

日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学会で変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。

日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。

選挙に出馬する義弟の不透明な資金三千万円を持ち逃げした木谷省吾。

ヨーロッパへの深い関心を示す重厚なサスペンス二作。

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ―。

神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。

ヨーロッパへの深い関心を示す重厚なサスペンス二作。

名古屋のホテルと深大寺公園での医師連続殺人事件…薬品の闇取引きや診療拒否、荒廃した医療現場を衝く長篇推理。

東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。

白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。

会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。

女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。

設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。

過去の徴兵検査で第二乙種不合格、そして三十二歳となった今、兵隊にとられることはないと確信していた山尾に、召集令状が届く。

もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。

北海道の北浦市市長春田は、陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。

深夜、東京の閑静な住宅街に一台のトラックが突っ込んだ。やがて起きる二つの殺人事件。

脱税や贈収賄にからまる連続殺人事件。若い新聞記者が腐敗した組織の内情糾明に挑む長篇推理。

八月十六日、京都・五山の送り火の夜。興奮にざわめくホテルの屋上から、情事の相手が姿を消した。

不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。

遠沢加須子は、夫の遺した中部光学というレンズ製造会社を諏訪で経営している。

心ときめかせて聞いたエロテープは死の演奏の序曲だった！　連れこみ旅館で録音したテープから意外な事件が展開し、日本全国にわたって謎を追う。

会社更生法という大企業優先の悪法を逆手にとり、擬装倒産で私腹を肥やす弱電器機の大手メーカー、イコマ電気社長。

高速料金所の職員、井川正治郎は高級車の運転席に元愛人の和子の姿を見た。

軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。

東都相互銀行の若手常務、野心家の夫塩川弘治との結婚生活に心満たされぬ信子は、独身助教授浅野を知る。

割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。

水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。

新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。

二十年近く地道にある省の役人を勤めてきた川島留吉は、ふとしたきっかけで役人仲間と麻雀を始める。

エリートコースの販売課長が社員旅行の晩に行方不明となり、惨殺死体で発見された。

「あれの処理はまかせるよ」──言い遺して次期首相候補の秘書が死んだ。

R省の局長を父にもつ田沢輪香子は、旅で知り合った考古学好きの青年と深大寺で再会する。

作家の小西は、戦友が社長を務める地方紙に、小説の連載を始めた。