長身で二枚目、行動は些か心許ないが、虫や雲を撮ることにかけては右に出る者のない実力派カメラマン、亜愛一郎。

完璧な写実性で注目された画家の絵の中に見出される数々の不思議――手の指が六本ある少女、針の間違っている時計、開けられないドアなどは何を意味するのか？　さらに一夜にして忽然と消失した合掌造りの家、タクシーの後部座席に突然出現した死体……等々、ちょっとした不合

玩具会社部長の馬割朋浩は、降ってきた隕石に当たり命を落とす。

『11枚のとらんぷ』を筆頭に、『乱れからくり』等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品―それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。

奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。

大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

二百五十年の泰平を経て腑抜け同然となった御庭番に代わり、隠密方を拝命したよったりの雲見番―長裃がひたすら似合う俊足の男前、亜智一郎。

大学生・柱田真一はある日、反故紙の中から樋口一葉の遺稿らしき紙片を見つける。

脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。

はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。

東京の夜空に珍しく一羽の鶴が舞った夜、一人の落語家・伊呂八亭破鶴が殺された。

出所して間もない手許不如意のひだるさに、島津亮彦は身なりを繕って花見客さざめく多武の山公園へ。

体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》! □「応募してませんよ、わたしは」 新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車) □「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」 あ

医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。

上から読んでも下から読んでも「きげきひきげき」―題名に始まり、章見出しや登場人物は回文ずくめ、言葉遊びが随所に鏤められた本書。

ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。

傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。

「鳥居の赤兵衛」は大盗賊の活躍を描いた貸本屋限定・十巻ものの手書きの読本だ。

その冷やかな微笑としなやかな身のこなしで世界的ファッションモデルとして活躍中の美織レイ子が自宅マンションで死体となって発見された。

ミステリーに殉じた作家を敬愛する4人による驚嘆のアンソロジー。巧緻に練られた万華鏡のごとき謎、また謎。

時は明治末期。政府重鎮の妻君・但馬夕とその家の書生・御萩慎之介との情死事件は起きた。

紋章上絵師の章次は、元恋人の賢子から「着物に蔭桔梗の紋を入れてほしい」と、20年前と同じ依頼をされる。

新内節を語れる友禅差しの模様師・脇田は、旅先で三味線弾きの芸妓・彩子と出会う。

電気風呂が売りの銭湯で起きた殺人の謎を描く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。

東京郊外の都市で一刀彫りの郷土人形を作る旧家に嫁いだ女性が次々に不審な死を遂げる。

青銅色の鐘楼を屋根にいただく精神病院に続発する奇怪な毒殺事件。自称億万長者、拒食症の少女、休日神経症のサラリーマン…。

戸根市で対立する暴力団・北浦組と大門組は、事あるごとにいがみ合っていた。そんなある日、北浦組の組長が殺害された。

五つの時計／白い密室／早春に死す／愛に朽ちなん／道化師の檻／薔薇荘殺人事件／二ノ宮心中／悪魔はここに／不完全犯罪／急行出雲／の十編を収録。

四十二歳。円熟の十手さばき 将軍様の鷹が殺された──。

旧友を訪ねるため、カサブランカ行きの飛行機に乗った片島は、機内で日本語が堪能なフランス人女性エレーヌと知りあう。

江戸の町を見下ろす三枚の大凧には、なぜか小判が結びつけられていた…。

泡坂妻夫。奇術師にして紋章上絵師そして推理作家。

天保十年。尾張藩江戸下屋敷で催された正月の祝いで余興を演じた角兵衛獅子、みつと文吉。

科学知識を駆使したミステリを描いた、日本SFの先駆者・海野十三。

太平洋を航海するヨットの上から落とされた女と、絶海の孤島に吊るされていた男。

ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の混血にして、ヨーガと奇術の達人ヨギ ガンジー。

来条美箱は、就寝前に“カヴァハイ”という飲み物を飲んで不思議な夢をみた。ホテルの一室での密室殺人。

冬季閉鎖中のホテルで起きた惨劇から30年。

映画スター・北岡早馬と再婚し幸せの絶頂の伊都子だが、家族は未だ死んだ先妻にとらわれていた。そして遂に殺人が…。

若き柔術家・織口哲が鹿児島から上京し一週間、何者かによって睡眠薬を嗅がされ山間の崖から突き落とされた。

音澄陶磁の御曹子・忠行の結婚披露宴にどこからか忍びこんだ黒猫が、卓上に飛び乗り不気味な鳴き声をあげた。

他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。

老舗の和菓子屋に入り婿してから20年余、女房に先立たれた男が昔、修業時代に愛した年上の女を偶然見つけた。

折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダン

「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとしないもの」だけを依頼されて盗む異色の怪盗ニック・ヴェルヴェット。

英仏帝国による統治が長く続き、科学的魔術が発達した世界。

時は寛政の改革の頃。

小さな町での講演会に出た帰り、テスは山道で暴漢に拉致された。

一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。

競馬場で男が殺された事件を皮切りに容疑者が次から次へと殺される殺人リレーが始まった――警視庁の海方&小湊の刑事コンビが挑む!

匿名の電話の警告を無視してフリーダは婚約者の実家へ向かうが、その夜のパーティで殺人事件が起こる。

さあさ、寄席「泡亭」の、お披露目でございます―。

幕末の江戸。

34年という短い生涯に於いて、「三田文学」の編集に携わって江藤淳らを世に送り出し、自作5編が芥川賞候補となるなど、純文学に大きな足跡を残す一方、「夏の葬列」をはじめとする〈親しい友人たち〉を「ヒッチコック・マガジン」に発表。

蛙一匹百両の絵が消えた…。またたく間に値のつりあがる吉祥画ばかりを狙う怪盗自来也小町。