(短編集)

菩提樹荘の殺人

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初版刊行(参考)
種別
短編集
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あらすじ

2016年01月04日 菩提樹荘の殺人 (文春文庫)

アポロンのように美しい少年、と噂される連続通り魔事件の容疑者。お笑い芸人志望の若者達の悲劇。大学生時代の火村英生の秀逸な推理、そしてアンチエイジングのカリスマ殺人事件。「若さ」を持て余す者、「若さ」を羨望する者達の恩讐に振り回されつつ謎に立ち向かう火村とアリスを描く、美しい本格推理四篇!(「BOOK」データベースより)

評判

菩提樹荘の殺人の評価:

5.00/10点 レビュー 1件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点5.00pt

菩提樹荘の殺人の総合評価:

8.36/10点 レビュー 14件。

感想一覧

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13
(5pt)

若さがテーマになっている短編四作品、火村シリーズ

「若さ」をテーマに持つ火村シリーズの短編集。四作の事件を解決していく火村と作家アリス。
それらは全て「若さ」をテーマに語られる。時に若さ故の過ち、時に若さに抗う者の淋しさ。若さとは何なのか、中年以降に読めば味わいがまた変わる。
短編で読み易く火村シリーズを知らない人でも楽しめます。個人的には火村の過去が語られるところ何かは何となくあどけなさも感じられて面白い。
本格ミステリに位置付けられる推理小説。犯罪学者の火村が事件をどう見ているのか、作家アリスの語り部で紐解かれていく。
有栖川有栖作品を読んでない方でも楽しめます。
菩提樹荘の殺人 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 菩提樹荘の殺人 (文春文庫)より
4167905256
No.12
(5pt)

若さがテーマになっている短編四作品、火村シリーズ

「若さ」をテーマに持つ火村シリーズの短編集。四作の事件を解決していく火村と作家アリス。
それらは全て「若さ」をテーマに語られる。時に若さ故の過ち、時に若さに抗う者の淋しさ。若さとは何なのか、中年以降に読めば味わいがまた変わる。
短編で読み易く火村シリーズを知らない人でも楽しめます。個人的には火村の過去が語られるところ何かは何となくあどけなさも感じられて面白い。
本格ミステリに位置付けられる推理小説。犯罪学者の火村が事件をどう見ているのか、作家アリスの語り部で紐解かれていく。
有栖川有栖作品を読んでない方でも楽しめます。
菩提樹荘の殺人 Amazon書評・レビュー: 菩提樹荘の殺人より
4163824006
No.11
(5pt)

トリックと謎解きだけでなく、深みが感じられます

有栖川氏は最初特に意図していたわけではなく、2作を書いた時点でゆくゆくは”若さ”をテーマにして一冊の本にまとめたいと思っていたそうです。

「アポロンのナイフ」は、少年犯罪と、今時、ネット上やマスコミによって情報が独り歩きする問題を取り上げています。
「雛人形を笑え」は売り出し中の漫才コンビの片われが殺された事件。大阪人の有栖川氏が大阪を舞台にいい味で書いておられます。
「探偵、青の時代」アリスが街でばったり会った火村の大学同級生の話を聞くという形で、現在、優秀な探偵として活躍している火村の片鱗をうかがわせるかつてのエピソードが描かれています。作者お得意の猫が登場し、ぶっきらぼうで陰のある火村の奥に秘めたやさしさと、それをしっかり理解しているアリスの暖かさにほっこりさせられます。

タイトルになっている「菩提樹荘の殺人」。殺人はどうして屋外で行われたのか、トランクス1枚残して衣服が脱がされ、それらが池に放り込まれていたのはどうしてかという謎ですが、納得のいく解決ながら、すごいなあと感じられるほどの種明かしではありませんでした。ただ、若さについての火村とアリスの会話が大変興味深かったです。
「無事に年齢を重ねてきた証拠じゃないか。お前は老化が怖いのか?」
「怖いわけやないけど、ありがたくはないわな。諦めるしかない。」
「身も心も若いからって自慢されたら鼻白むしかない。私は長い時間を生きてきましたが、老いることに意味も価値も見出せませんでした、と言うに等しいからな。」
(中略)
「人生が1年やとしたら、34歳っていうのはちょうど今ぐらいの季節かな、7月の初め。」
「だといいけどな。案外もうとっくに夏を生きているのかもしれない。」
”私たちの命は明日をも知れないものだ。人生が1年ならば今は何月何日に当たるだの、これからいくつの季節を過ごすだの、鬼が聞いたら嗤うかもしれない。もしも無事に年齢を重ねることができるのなら、私は赤や黄色に染まってから散ってみたい。見掛けだけ青々としているより、その方がおもしろそうだから。”
など、深みのある言葉にうならされました。

新本格派でパズラーとしてスタートした有栖川氏ですが、最近の傾向として、トリックや謎解きよりも、どうしてその犯罪が起きてしまったのかという事情や、人間性、心理などに重きを置くようになっていると感じます。元からあった少しセンチメンタル、ロマンチックな叙情性が表に出るようになってきたのでは、と。個人的には、謎解きだけを楽しむものには現実味が感じられないので、むしろ今の有栖川氏の作風の方により惹かれます。この人は文章がうまい、特に凝った文体ではなくごく普通にさらさらと読める文章なのですが、そのひっかからずにさらさらと読めるというのは、実は結構貴重で、かなり推敲を重ねておられるのではないかと想像します。エッセイなどもとてもうまいですし。先日読んだばかりの短編集「壁抜け男の謎」に含まれた「恋人」などはもう完全に純文学といっていいもので、本格ミステリファンには不満かもしれませんが、さらに作風を広げていっていただきたいです。
菩提樹荘の殺人 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 菩提樹荘の殺人 (文春文庫)より
4167905256
No.10
(5pt)

トリックと謎解きだけでなく、深みが感じられます

有栖川氏は最初特に意図していたわけではなく、2作を書いた時点でゆくゆくは”若さ”をテーマにして一冊の本にまとめたいと思っていたそうです。

「アポロンのナイフ」は、少年犯罪と、今時、ネット上やマスコミによって情報が独り歩きする問題を取り上げています。
「雛人形を笑え」は売り出し中の漫才コンビの片われが殺された事件。大阪人の有栖川氏が大阪を舞台にいい味で書いておられます。
「探偵、青の時代」アリスが街でばったり会った火村の大学同級生の話を聞くという形で、現在、優秀な探偵として活躍している火村の片鱗をうかがわせるかつてのエピソードが描かれています。作者お得意の猫が登場し、ぶっきらぼうで陰のある火村の奥に秘めたやさしさと、それをしっかり理解しているアリスの暖かさにほっこりさせられます。

タイトルになっている「菩提樹荘の殺人」。殺人はどうして屋外で行われたのか、トランクス1枚残して衣服が脱がされ、それらが池に放り込まれていたのはどうしてかという謎ですが、納得のいく解決ながら、すごいなあと感じられるほどの種明かしではありませんでした。ただ、若さについての火村とアリスの会話が大変興味深かったです。
「無事に年齢を重ねてきた証拠じゃないか。お前は老化が怖いのか?」
「怖いわけやないけど、ありがたくはないわな。諦めるしかない。」
「身も心も若いからって自慢されたら鼻白むしかない。私は長い時間を生きてきましたが、老いることに意味も価値も見出せませんでした、と言うに等しいからな。」
(中略)
「人生が1年やとしたら、34歳っていうのはちょうど今ぐらいの季節かな、7月の初め。」
「だといいけどな。案外もうとっくに夏を生きているのかもしれない。」
”私たちの命は明日をも知れないものだ。人生が1年ならば今は何月何日に当たるだの、これからいくつの季節を過ごすだの、鬼が聞いたら嗤うかもしれない。もしも無事に年齢を重ねることができるのなら、私は赤や黄色に染まってから散ってみたい。見掛けだけ青々としているより、その方がおもしろそうだから。”
など、深みのある言葉にうならされました。

新本格派でパズラーとしてスタートした有栖川氏ですが、最近の傾向として、トリックや謎解きよりも、どうしてその犯罪が起きてしまったのかという事情や、人間性、心理などに重きを置くようになっていると感じます。元からあった少しセンチメンタル、ロマンチックな叙情性が表に出るようになってきたのでは、と。個人的には、謎解きだけを楽しむものには現実味が感じられないので、むしろ今の有栖川氏の作風の方により惹かれます。この人は文章がうまい、特に凝った文体ではなくごく普通にさらさらと読める文章なのですが、そのひっかからずにさらさらと読めるというのは、実は結構貴重で、かなり推敲を重ねておられるのではないかと想像します。エッセイなどもとてもうまいですし。先日読んだばかりの短編集「壁抜け男の謎」に含まれた「恋人」などはもう完全に純文学といっていいもので、本格ミステリファンには不満かもしれませんが、さらに作風を広げていっていただきたいです。
菩提樹荘の殺人 Amazon書評・レビュー: 菩提樹荘の殺人より
4163824006
No.9
(4pt)

そこにくるか

2013年に出た単行本の文庫化。
 「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「探偵、青の時代」「菩提樹荘の殺人」の4話が収められている。
「アポロンのナイフ」は、そこに謎を設定したのかと驚かされる。たしかに意外性はあるが……。
 「雛人形を笑え」は、お笑いの世界をとりあげた大阪っぽい作品。
 「探偵、青の時代」は、火村の学生時代の事件。
 「菩提樹荘の殺人」は、犯人の意外な行動に焦点があてられている。
 語り口の巧みさもあり、満足できる一冊であった。ただ、王道的なミステリからはだいぶ離れてきているようにも感じた。
菩提樹荘の殺人 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 菩提樹荘の殺人 (文春文庫)より
4167905256

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