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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数1418

全1418件 1201~1220 61/71ページ

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No.218:
(4pt)

求めるものとちょっと違った。

自分が泡坂作品に求めるものとは少し違い、中途半端な印象だった。
「ダイヤル7」は『花嫁は二度眠る』の改訂版のような結末。
その名のみ知る存在だった「芍薬に孔雀」も肩透かしを食らったような印象。
「飛んでくる声」は犯人の暗号めいた台詞は途中で解ったし、「可愛い動機」は最後の一行に拍手。
「金津の切符」は箱夫の設定は秀逸なのに結末が陳腐。
「広重好み」と「青泉さん」は純文学系ミステリで僕好み。
「書ける作家」なだけにもう少し上を期待したい。
ダイヤル7をまわす時 (創元推理文庫)
泡坂妻夫ダイヤル7をまわす時 についてのレビュー
No.217:
(4pt)

小粒感は否めません。

ん~、泡坂妻夫の作品にしては小粒だったなぁ。解決部分を読むと、さりげなく手掛かりが全体的に等分されているのは判ったが、カタルシスが感じられなかった。最大の原因はどの登場人物に焦点を当てたらよいか最後の方まで絞れなかったことだろう。それほど今回は登場人物が類型的過ぎた。
『11枚のとらんぷ』の各々の登場人物の個性、『ゆきなだれ』のような情緒溢れる文体を味わってしまった私には、単なる凡百のミステリにしか感じなかった。
花嫁は二度眠る (光文社文庫)
泡坂妻夫花嫁は二度眠る についてのレビュー
No.216: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリ風味の純文学

泡坂妻夫の美意識が詰まった短編集。
面白ければミステリというのが昨今の風潮だが、やはりこれは、泡坂なりの謎かけはあるものの、純文学と呼びたい。
収録作8編中、私は『雛の弔い』と『闘柑』を推す。前者の戦慄を覚える真相。人物造詣のための何気ない説明がこの結末の布石になっているのはミステリなのだが、でも私は純文学であると云いたい。また後者は小市民家族を描いた人生讃歌。総ての登場人物が活きているという稀有な作品。志賀直哉を想起させてくれました。
ゆきなだれ (文春文庫)
泡坂妻夫ゆきなだれ についてのレビュー
No.215: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

私はしあわせになりました♪

のわ~っ!!凄い!!凄いとしか云いようが無い!!
昔から評判高く、果たしてどのような仕掛が施されているか自分なりの憶測を立て、軽い気持ちで探っていたのだがこんな超絶技巧だったなんて。
内容は確かにしっかりしているが本来10点レベルではない。しかしこの本自体に掛けられたトリックとその苦労を思えば、よくまともに話が書けたなあと感服するしかない。
いやぁ、こんなことって本統に出来るんだぁ。
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)
No.214:
(1pt)

見取り図がほしい。

また何も後に残らない物語を読んでしまった。
備忘録という意味で粗筋を書くと、錬金術を編み出した老人の死後、その手法を探りに上手く遺族(ここでは孫娘二人と姉の夫)に取り入った犯人たちの周りで起こる数々の事件をラウールことリュパンが見事解き明かすというもの。
しかし、バール・イ・ヴァ荘とその庭園を舞台に物語が繰り広げられるなら、見取図ぐらい必要だぞ!本統に何も残らなかった。
バール・イ・ヴァ荘 (創元推理文庫)
モーリス・ルブランバール・イ・ヴァ荘 についてのレビュー
No.213:
(7pt)

タイトル『ジャッキー・ブラウン』で映画化

2回続けてのレナード。
前の『タッチ』と違い、こちらはレナード得意の、そして私の求めるクライム・ノヴェル。
が、しかしちょいと物足りない。
レナードにしては主人公の「貌(かお)」が見えなかった。悪役のオーディルの方が存在感があった。いや主人公はマックスでも良かったのだが、パートナーであるウィンストンが魅力的な設定にも拘らず、ストーリーの原動力に何ら寄与していなかったのが余りにも惜しい。
前に読んだ『ゲット・ショーティー』のチリ・パーマーが出色のキャラだっただけについつい較べてしまうのだ。
ラム・パンチ (角川文庫)
エルモア・レナードラム・パンチ についてのレビュー
No.212:
(3pt)

宗教色濃くてレナードらしくない。

久々のレナード。期待がその分籠もっていたためか、小味な印象が…。
レナードの最たる特徴は一癖も二癖も、また更に三癖もある連中が錯綜し合い、共鳴し合い、またまた反転し合い、全くどういう風に収束していくのか皆目見当がつかない点にあるのだが、今回は宗教というテーマ1本に絞ったためか、宗教についての衒学小説になってしまったきらいがあり、エンターテインメント性に欠けた。
次回に期待しよう。
タッチ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
エルモア・レナードタッチ についてのレビュー
No.211: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
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なぜここまで人を感動させるのか!

どうしてこの作者(ひと)はこんなにも人を感動させるのだろうか…。
どうだろう、この溢るる才気!
ヤンの死を以ってしても衰えを知らないヴォルテージ!
本統に、全く以って前巻を読んだときに抱いた懸念は杞憂に終わった。第2巻における布石がここに至って最大に活き、登場人物各々に血液を脈動させる。
素晴らしき人生讃歌!!
もはや、これは本統の宇宙叙事詩だ。
そして次回で物語は、いや歴史は終局を迎える…。
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説9 回天篇 についてのレビュー
No.210: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

トンデモ真相に驚き、愛の囁きに驚く。

今回初めて気付いたのだが、恋をしている時にフランスミステリの、普通ならば鼻で嗤ってしまうような愛の囁きが自分の心にビンビン響いてきた。特に「アントニーヌ、笑って下さい」の台詞は感性に直撃だった。唯一、その事実に気付いたことが何よりもの救いだった。

▼以下、ネタバレ感想
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二つの微笑を持つ女 (創元推理文庫 107-11 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
モーリス・ルブラン二つの微笑を持つ女 についてのレビュー
No.209: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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二人称叙述ミステリの佳作

実に興味深い設定だった。作者自身が探偵役となって物語の主人公を演じるシリーズの根底を揺るがすようなお話だった。
清原奈津美は正しく法月綸太郎である。彼は自分の存在意義を一度は否定し、虚構の中で踊る道化師までに貶めし、だがそこから見事復活してみせた。
しかしそれでもなお、彼は本格探偵小説の明日を見出してはいないだろう。
そう、この中で何度も作者が云っている「物語は終わらない」ように、このジレンマもまた終わらないのだ。
二の悲劇 新装版(の3-5) (祥伝社文庫 の 3-5)
法月綸太郎二の悲劇 についてのレビュー
No.208: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シリアス路線で密室がそぐわない。

“意外な犯人”というものにどうやら私は免疫が出来てしまったらしい。というよりも誰が犯人でもおかしくないなと思っていると、衝撃の結末も自分の中ではトーン・ダウンしてしまう。
あと、全体的に何だかアンバランスだ。やはり第二の殺人は密室殺人にする必要性はなかったのではないか?
叙述を緊迫したムードで、いわばロス・マク風悲劇を語っているのに、時代錯誤な密室殺人はどうしても宙に浮いてしまうのだ。
カタルシスまではもう少し届かなかった。
一の悲劇 新装版(祥伝社文庫 の3-4)
法月綸太郎一の悲劇 についてのレビュー
No.207:
(7pt)

受賞作にしては物足りない

もっとストーリーに起伏があるのかと思っていたが期待していたほどではなかった。アーサー・ジョンソンが己の基盤から逸脱し、途轍もない恐怖を纏うのかと思えば、そうでもなく、終始劣等感を抱いた小心者だった。結末も読者を突き放すように唐突に終わり、カタルシスを得ることがなかった。
そう、題名の“わが目の悪魔”が誰の心にも巣食っているというのは判るのだが、それが暴走しなかったのが物足りなさの根源か。
わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)
ルース・レンデルわが目の悪魔 についてのレビュー
No.206:
(1pt)

カー作品コンプリートを目指す人たちだけにお勧め。

ラジオ・ドラマの脚本を集めた異色短編集。従って地の文が無く、登場人物同士の会話だけで成り立っているため、読み易く、テンポも良い。が、しかしもはやそれまで。各々のプロットは興趣をそそるものではなかった。
結論するに、全く以って本書はカーマニアのコレクターズ・アイテムに過ぎないのだ。カーにはもっと面白い話があると私は睨んでいるのだが、それに出遭えるのはいつの日だろうか?
ヴァンパイアの塔―カー短編全集〈6〉 (創元推理文庫)
No.205:
(8pt)

冒頭の2編は傑作!

収録作品7作品中4作品はトリックもしくはプロットが解ってしまった。後半の沢田穂波とのコンビのビブリオ・ミステリ4作品は最初のエネルギーを持続させるには少々物足りないし(「緑の扉は危険」はこちらの期待が大きかったせいか、巷間で云われているほど、素晴らしいとは思わなかった)、「黒衣の家」はその呆気無さに唖然とした。
が、しかし「死刑囚パズル」と「カニバリズム小論」がその不備を補って余りある光彩を放ってくれた。これぞ法月綸太郎の真骨頂であろう。よって8点!
法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)
法月綸太郎法月綸太郎の冒険 についてのレビュー
No.204: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

とうとうこの日が…。


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銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)
田中芳樹銀河英雄伝説8 乱離篇 についてのレビュー
No.203:
(10pt)

意外な拾い物でした!

上手い!
重厚で昏いイメージを数多の書評子から植え付けられていたが、いやいやどうして!何と読み易い、そして抜群のリーダビリティーがある。
恐らく本作は著者にとっては傑作ではなく寧ろ佳作となるべき作品だろう。しかし、登場人物、特に女性像がどれも印象的で、登場人物表に載ってないのが不思議なくらいだ。
しかもプロットをしっかり形成して取りかかる作者らしく、終始一貫したテーマが立ち上り、着地も見事決まった。
ひとたび人を殺さば (角川文庫 赤 541-1 ウェクスフォード警部シリーズ)
ルース・レンデルひとたび人を殺さば についてのレビュー
No.202:
(7pt)

あのシーンは本書から

評価は少しサーヴィスした。ラストの湖から遺跡が登場するシーンが胸を打った。これは恐らく宮崎駿があの名作『カリオストロの城』のラストシーンで採用したのではないかと推測される。
そう、このシーンを読んだ時、映画のあの場面が目に浮かんだから。好きな映画のモデルになっていることが解り、思わずニヤリとしてしまいました。

緑の目の令嬢 (創元推理文庫 107-10 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
モーリス・ルブラン緑の目の令嬢 についてのレビュー
No.201:
(8pt)

なんとも愛すべきレギュラーメンバーたち!

たった350ページ強の厚さなのに各々のキャラクター性を鮮やかに造詣し、しかもストーリーを見事に着地させる。
プロットはしっかり練られていたが、軽妙さのためか、さほど驚きは感じられなかった。これは恐らく私の姿勢が悪いのだろう。
でも最終的な感想としては、実に愉しい読書だったなあ、ということ。回を重ねる毎に、ジョン・ロウ、ギデオン・オリヴァー、そしてその妻ジュリーが素晴らしくて、実際に友達になりたいな、とまで思ってしまいました。
楽園の骨 (ミステリアス・プレス文庫)
アーロン・エルキンズ楽園の骨 についてのレビュー
No.200:
(1pt)

なんだかよく解りません。

また、単なるコレクターズ・アイテムに堕してしまった…。
自分の想像力が欠如しているためか、どうも読んでて情景が浮かばない。いやストーリーに関してはまあまあ頭の中で描けるのだが、室内の調度類のレイアウト・構成など、また東西南北の方向など、ちんぷんかんぷんだ。だから室内の描写を読み取るのに余計な時間がかかってしまい、全体を捉えられない。
まあ、こんなことはお話が面白ければ些細な問題なので、通常は俎上にも上らないのだけれど。
絞首台の謎【新訳版】 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー絞首台の謎 についてのレビュー
No.199: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)
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あの失踪トリックはないだろう!

確かに犯人は解らなかった。カー特有の怪奇趣味が横溢してもいる。秘密の通路も今回は多めに見よう。
が、しかしそれら全てをもってしても、こちらの知的好奇心をそそらなかった。
実際、昨今は本格ミステリを読んで世界が止まる感覚、いや驚愕を味わった記憶が無い。でも欲しているんだ、あの感触を再び。
初期の作品だから円熟味は無いとは云え、メイルジャア失踪のトリックの真相は荒唐無稽すぎる。俳優は万能じゃないんだぜ。
髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー髑髏城 についてのレビュー