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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数1426

全1426件 1201~1220 61/72ページ

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No.226: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

短編もまた極上。

今までの『銀英伝』シリーズの中で最も体調が悪く、また読書環境も万全ではなかったのにも関わらず、読ませる筆力に脱帽。
それと『銀英伝』本編全10巻を読み終わってから着手した私の判断が間違っていなかったことも評価に加味された。本編の隙間を補う旨味を伴ったエピソードが何とも云えないエキスとなってカタルシスを少量ながら味あわせてくれる。小刻みであるが故、それが読書の牽引力となった。
銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説外伝1 星を砕く者 についてのレビュー
No.225: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

傑作以外何ものでもない。

『銀河英雄伝説』即ち『ラインハルト・フォン・ローエングラム伝説』はとうとう終わってしまった…。1~10巻まで衰えを見せない筆力で引っ張ってくれた作者に感謝したい。
私は今、実際にあった歴史の一部始終を体験させてくれた、そんな気持ちで一杯だ。…どうも書きたい事が一杯あるのに上手く表現できない。このシリーズを述べる時、一言、「傑作」と私は告げるだろう。余計な修飾語は要らない。
願わくば、アレク公とフェリックスの創る歴史も読みたいものだが…。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説10 落日篇 についてのレビュー
No.224:
(9pt)

“職人”泡坂が丹精込めて作り上げた短編集

最近(とは云っても同著者の『ゆきなだれ』以来だが)触れていない純文学の香気に酔わせて頂きました。しかも日本の伝統工芸の職人の世界を基に繰広げられる恋愛物語ということで日本情緒溢れる芳醇さが堪らなかった。
それぞれの4作品に通底するのは、登場人物達の頑なまでのストイックさ。奔放な登場人物など1人としていず、それがまたぷんぷんと市井の暖かみを行間から立ち上がらせてくるのだ。
正に“職人”泡坂妻夫が丹念に織り込んだ短編集と云えるだろう。
折鶴 (創元推理文庫)
泡坂妻夫折鶴 についてのレビュー
No.223:
(3pt)

フランス的な1作?

内容的にはリュパンの息子(らしき男)が出てきていつもよりも好奇心が沸いたが…。まあ、犯人の判明の仕方が実にフランス的だったとだけ書いておこう。
カリオストロの復讐 (偕成社文庫)
モーリス・ルブランカリオストロの復讐 についてのレビュー
No.222:
(1pt)

訳がひどい。

これははっきり云って駄作でしょう。金を出して読むまでの無いミステリだった。
この物語のキーとなるリン殺害の真相とリップの正体は予想通りで、全体的に地味なトーンで興趣をそそられなかった。『ロウフィールド館の惨劇』のように日常の何気ない障害の連続がユーニスの狂気を徐々に発動させたような説得力に全く欠けていた。
さらに、翻訳のぎこちなさ。小泉喜美子の訳とは思えないほどの直訳文体だった。日本語になっていなくて理解に苦しむ文が多々あり、非常に不愉快だった。
荒野の絞首人 (角川文庫 (6089))
ルース・レンデル荒野の絞首人 についてのレビュー
No.221:
(7pt)

腑に落ちない部分がたくさんあります。

最初の2編「ルビーは火」及び「生きていた化石」は不可能趣味に溢れていたのだが、それ以降はなんか大味だったなぁ…。
夜勤中で疲れててうつらうつらしながら読んだため、頭に入んなかった部分もあるのだが…。


▼以下、ネタバレ感想
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妖盗S79号 (文春文庫)
泡坂妻夫妖盗S79号 についてのレビュー
No.220:
(9pt)

“怪物”は実に身近なところに潜んでいる。

これが噂の、という期待感で臨んだ本書。
冒頭の有名な一文から全てを聖ヴァレンタイン・デイの惨劇へと収斂させていく手並みは見事。日常の、本統に何気ないアクシデント、例えばTVの故障などが文盲であるユーニスにとって狂気へ駆り立てる一因となっていく事を実に説得力ある文章で淡々と述べていく。そして事件後の真相に至る経緯も、事件前に散りばめられた様々な要素が、単純に真相解明に結びつかない所が面白い。
運命を弄ぶレンデル、そして“怪物”を生み出したレンデルに拍手を贈りたい。
ロウフィールド館の惨劇 (角川文庫 (5709))
No.219:
(1pt)

リュパン1人に詰め込みすぎ!

内容の方はほとんど覚えていない。
ヴィクトール=リュパンの真相は驚きを最早もたらさず、リュパン1人に詰め込みすぎだろう…という諦観めいた感慨を受けた。
特捜班ヴィクトール (創元推理文庫 107-13 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
モーリス・ルブラン特捜班ヴィクトール についてのレビュー
No.218:
(4pt)

求めるものとちょっと違った。

自分が泡坂作品に求めるものとは少し違い、中途半端な印象だった。
「ダイヤル7」は『花嫁は二度眠る』の改訂版のような結末。
その名のみ知る存在だった「芍薬に孔雀」も肩透かしを食らったような印象。
「飛んでくる声」は犯人の暗号めいた台詞は途中で解ったし、「可愛い動機」は最後の一行に拍手。
「金津の切符」は箱夫の設定は秀逸なのに結末が陳腐。
「広重好み」と「青泉さん」は純文学系ミステリで僕好み。
「書ける作家」なだけにもう少し上を期待したい。
ダイヤル7をまわす時 (創元推理文庫)
泡坂妻夫ダイヤル7をまわす時 についてのレビュー
No.217:
(4pt)

小粒感は否めません。

ん~、泡坂妻夫の作品にしては小粒だったなぁ。解決部分を読むと、さりげなく手掛かりが全体的に等分されているのは判ったが、カタルシスが感じられなかった。最大の原因はどの登場人物に焦点を当てたらよいか最後の方まで絞れなかったことだろう。それほど今回は登場人物が類型的過ぎた。
『11枚のとらんぷ』の各々の登場人物の個性、『ゆきなだれ』のような情緒溢れる文体を味わってしまった私には、単なる凡百のミステリにしか感じなかった。
花嫁は二度眠る (光文社文庫)
泡坂妻夫花嫁は二度眠る についてのレビュー
No.216: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリ風味の純文学

泡坂妻夫の美意識が詰まった短編集。
面白ければミステリというのが昨今の風潮だが、やはりこれは、泡坂なりの謎かけはあるものの、純文学と呼びたい。
収録作8編中、私は『雛の弔い』と『闘柑』を推す。前者の戦慄を覚える真相。人物造詣のための何気ない説明がこの結末の布石になっているのはミステリなのだが、でも私は純文学であると云いたい。また後者は小市民家族を描いた人生讃歌。総ての登場人物が活きているという稀有な作品。志賀直哉を想起させてくれました。
ゆきなだれ (文春文庫)
泡坂妻夫ゆきなだれ についてのレビュー
No.215: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

私はしあわせになりました♪

のわ~っ!!凄い!!凄いとしか云いようが無い!!
昔から評判高く、果たしてどのような仕掛が施されているか自分なりの憶測を立て、軽い気持ちで探っていたのだがこんな超絶技巧だったなんて。
内容は確かにしっかりしているが本来10点レベルではない。しかしこの本自体に掛けられたトリックとその苦労を思えば、よくまともに話が書けたなあと感服するしかない。
いやぁ、こんなことって本統に出来るんだぁ。
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)
No.214:
(1pt)

見取り図がほしい。

また何も後に残らない物語を読んでしまった。
備忘録という意味で粗筋を書くと、錬金術を編み出した老人の死後、その手法を探りに上手く遺族(ここでは孫娘二人と姉の夫)に取り入った犯人たちの周りで起こる数々の事件をラウールことリュパンが見事解き明かすというもの。
しかし、バール・イ・ヴァ荘とその庭園を舞台に物語が繰り広げられるなら、見取図ぐらい必要だぞ!本統に何も残らなかった。
バール・イ・ヴァ荘 (創元推理文庫)
モーリス・ルブランバール・イ・ヴァ荘 についてのレビュー
No.213:
(7pt)

タイトル『ジャッキー・ブラウン』で映画化

2回続けてのレナード。
前の『タッチ』と違い、こちらはレナード得意の、そして私の求めるクライム・ノヴェル。
が、しかしちょいと物足りない。
レナードにしては主人公の「貌(かお)」が見えなかった。悪役のオーディルの方が存在感があった。いや主人公はマックスでも良かったのだが、パートナーであるウィンストンが魅力的な設定にも拘らず、ストーリーの原動力に何ら寄与していなかったのが余りにも惜しい。
前に読んだ『ゲット・ショーティー』のチリ・パーマーが出色のキャラだっただけについつい較べてしまうのだ。
ラム・パンチ (角川文庫)
エルモア・レナードラム・パンチ についてのレビュー
No.212:
(3pt)

宗教色濃くてレナードらしくない。

久々のレナード。期待がその分籠もっていたためか、小味な印象が…。
レナードの最たる特徴は一癖も二癖も、また更に三癖もある連中が錯綜し合い、共鳴し合い、またまた反転し合い、全くどういう風に収束していくのか皆目見当がつかない点にあるのだが、今回は宗教というテーマ1本に絞ったためか、宗教についての衒学小説になってしまったきらいがあり、エンターテインメント性に欠けた。
次回に期待しよう。
タッチ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
エルモア・レナードタッチ についてのレビュー
No.211: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
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なぜここまで人を感動させるのか!

どうしてこの作者(ひと)はこんなにも人を感動させるのだろうか…。
どうだろう、この溢るる才気!
ヤンの死を以ってしても衰えを知らないヴォルテージ!
本統に、全く以って前巻を読んだときに抱いた懸念は杞憂に終わった。第2巻における布石がここに至って最大に活き、登場人物各々に血液を脈動させる。
素晴らしき人生讃歌!!
もはや、これは本統の宇宙叙事詩だ。
そして次回で物語は、いや歴史は終局を迎える…。
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説9 回天篇 についてのレビュー
No.210: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

トンデモ真相に驚き、愛の囁きに驚く。

今回初めて気付いたのだが、恋をしている時にフランスミステリの、普通ならば鼻で嗤ってしまうような愛の囁きが自分の心にビンビン響いてきた。特に「アントニーヌ、笑って下さい」の台詞は感性に直撃だった。唯一、その事実に気付いたことが何よりもの救いだった。

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二つの微笑を持つ女 (創元推理文庫 107-11 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
モーリス・ルブラン二つの微笑を持つ女 についてのレビュー
No.209: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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二人称叙述ミステリの佳作

実に興味深い設定だった。作者自身が探偵役となって物語の主人公を演じるシリーズの根底を揺るがすようなお話だった。
清原奈津美は正しく法月綸太郎である。彼は自分の存在意義を一度は否定し、虚構の中で踊る道化師までに貶めし、だがそこから見事復活してみせた。
しかしそれでもなお、彼は本格探偵小説の明日を見出してはいないだろう。
そう、この中で何度も作者が云っている「物語は終わらない」ように、このジレンマもまた終わらないのだ。
二の悲劇 新装版(の3-5) (祥伝社文庫 の 3-5)
法月綸太郎二の悲劇 についてのレビュー
No.208: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シリアス路線で密室がそぐわない。

“意外な犯人”というものにどうやら私は免疫が出来てしまったらしい。というよりも誰が犯人でもおかしくないなと思っていると、衝撃の結末も自分の中ではトーン・ダウンしてしまう。
あと、全体的に何だかアンバランスだ。やはり第二の殺人は密室殺人にする必要性はなかったのではないか?
叙述を緊迫したムードで、いわばロス・マク風悲劇を語っているのに、時代錯誤な密室殺人はどうしても宙に浮いてしまうのだ。
カタルシスまではもう少し届かなかった。
一の悲劇 新装版(祥伝社文庫 の3-4)
法月綸太郎一の悲劇 についてのレビュー
No.207:
(7pt)

受賞作にしては物足りない

もっとストーリーに起伏があるのかと思っていたが期待していたほどではなかった。アーサー・ジョンソンが己の基盤から逸脱し、途轍もない恐怖を纏うのかと思えば、そうでもなく、終始劣等感を抱いた小心者だった。結末も読者を突き放すように唐突に終わり、カタルシスを得ることがなかった。
そう、題名の“わが目の悪魔”が誰の心にも巣食っているというのは判るのだが、それが暴走しなかったのが物足りなさの根源か。
わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)
ルース・レンデルわが目の悪魔 についてのレビュー