■スポンサードリンク
Tetchy さんのレビュー一覧
Tetchyさんのページへレビュー数1433件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
モーリス・ルブランの諸作品は大体にして導入部分がどちらかといえば魅力的なため、ついつい期待してしまう。いや正確に云えば「今度こそは!?」という手応えを感じさせるのだが、そのためだろうか、どうも読後感は尻すぼみの感がして至極残念である。
今回もそう。 延々と続く、ジェスチャーの大きいロジックの捏ね繰り回しがどうしても読書への意欲を減少させ、欠伸を伴い、終いには苦痛をもたらす。 そして今回も…。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
プロットはいい、というより水準レヴェルである。ただ、登場人物が今一つ抜き出てなかった。各々の描き分けられ方は確かに上手く成されているが、どうもステレオタイプに留まっている感がある。
やはり結局小説を生かすのはあくまでその中の登場人物であり、たった一人の個性的な人物が脇役であっても、そこにいれば、忘れ得ぬ一編となるのだ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
不覚にも途中で間が空いてしまい、一貫して読むことが出来なかった。また、自分としては生まれて初めて読む時代小説ということで期待はしていたのだが、特にこれといって興趣を惹くような所は無かった。文体が丁寧語で形成された敬体であったためか、泡坂得意の下町人情物、もしくは恋愛ミステリほどには情感は湧き出てこなかった。
まあ、つまりは期待外れという事か。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
文庫の裏表紙の紹介文から多大な期待をしてしまった「奇跡の男」から始まったこの短編集は、全体的な印象から云えば、別段心に残るような意外な真相、プロットは無いものの、何故か気になってしまう。それは各々の短編に出てくる人物たちがやたらと存在感をアピールしているから。純文学の香気漂う「狐の香典」、「密会の岩」の糀屋五兵衛と安里に代表される飄々とした物腰は何とも堪らない。また他の作品から懐かしい顔が出ていたのも嬉しかった。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
まず題名からして横溝正史へのオマージュという感じだし、ジェイムズ・ペインの地下室は明らかに乱歩のエログロ趣味を意識したもの。この作品を以ってして島田は本格の巨匠として名を残すことに挑戦したのか?
そうだとすればこの一作が未来永劫読み継がれていく名作だとは思わないが、面白かったのは事実。 しかしメインのトリックが大掛かりであればあるほど、陳腐な印象を受けるのが現代の本格である。その一点のみで10点をつけられないのがどうにも勿体無い。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
評価は3点だが、これは全く以って正当な評価ではない。私事に於いて煩わしい事があり過ぎて、読書に没頭出来なかったために、こうならざるを得なかった。ほとんど失語症である。文字と情景とが乖離して、ストーリーが、プロットが流れ込んで来ないのだ。
ただそれでも内容は冗長すぎるきらいがあるとは感じた。だが前述のような理由から全然サスペンスとして盛り上がらないのだ。だが収穫はあった。そう、G・K・チェスタトンのあの名言が。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
今までの『銀英伝』シリーズの中で最も体調が悪く、また読書環境も万全ではなかったのにも関わらず、読ませる筆力に脱帽。
それと『銀英伝』本編全10巻を読み終わってから着手した私の判断が間違っていなかったことも評価に加味された。本編の隙間を補う旨味を伴ったエピソードが何とも云えないエキスとなってカタルシスを少量ながら味あわせてくれる。小刻みであるが故、それが読書の牽引力となった。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
『銀河英雄伝説』即ち『ラインハルト・フォン・ローエングラム伝説』はとうとう終わってしまった…。1~10巻まで衰えを見せない筆力で引っ張ってくれた作者に感謝したい。
私は今、実際にあった歴史の一部始終を体験させてくれた、そんな気持ちで一杯だ。…どうも書きたい事が一杯あるのに上手く表現できない。このシリーズを述べる時、一言、「傑作」と私は告げるだろう。余計な修飾語は要らない。 願わくば、アレク公とフェリックスの創る歴史も読みたいものだが…。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
最近(とは云っても同著者の『ゆきなだれ』以来だが)触れていない純文学の香気に酔わせて頂きました。しかも日本の伝統工芸の職人の世界を基に繰広げられる恋愛物語ということで日本情緒溢れる芳醇さが堪らなかった。
それぞれの4作品に通底するのは、登場人物達の頑なまでのストイックさ。奔放な登場人物など1人としていず、それがまたぷんぷんと市井の暖かみを行間から立ち上がらせてくるのだ。 正に“職人”泡坂妻夫が丹念に織り込んだ短編集と云えるだろう。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
内容的にはリュパンの息子(らしき男)が出てきていつもよりも好奇心が沸いたが…。まあ、犯人の判明の仕方が実にフランス的だったとだけ書いておこう。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
これははっきり云って駄作でしょう。金を出して読むまでの無いミステリだった。
この物語のキーとなるリン殺害の真相とリップの正体は予想通りで、全体的に地味なトーンで興趣をそそられなかった。『ロウフィールド館の惨劇』のように日常の何気ない障害の連続がユーニスの狂気を徐々に発動させたような説得力に全く欠けていた。 さらに、翻訳のぎこちなさ。小泉喜美子の訳とは思えないほどの直訳文体だった。日本語になっていなくて理解に苦しむ文が多々あり、非常に不愉快だった。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
これが噂の、という期待感で臨んだ本書。
冒頭の有名な一文から全てを聖ヴァレンタイン・デイの惨劇へと収斂させていく手並みは見事。日常の、本統に何気ないアクシデント、例えばTVの故障などが文盲であるユーニスにとって狂気へ駆り立てる一因となっていく事を実に説得力ある文章で淡々と述べていく。そして事件後の真相に至る経緯も、事件前に散りばめられた様々な要素が、単純に真相解明に結びつかない所が面白い。 運命を弄ぶレンデル、そして“怪物”を生み出したレンデルに拍手を贈りたい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
内容の方はほとんど覚えていない。
ヴィクトール=リュパンの真相は驚きを最早もたらさず、リュパン1人に詰め込みすぎだろう…という諦観めいた感慨を受けた。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
自分が泡坂作品に求めるものとは少し違い、中途半端な印象だった。
「ダイヤル7」は『花嫁は二度眠る』の改訂版のような結末。 その名のみ知る存在だった「芍薬に孔雀」も肩透かしを食らったような印象。 「飛んでくる声」は犯人の暗号めいた台詞は途中で解ったし、「可愛い動機」は最後の一行に拍手。 「金津の切符」は箱夫の設定は秀逸なのに結末が陳腐。 「広重好み」と「青泉さん」は純文学系ミステリで僕好み。 「書ける作家」なだけにもう少し上を期待したい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
ん~、泡坂妻夫の作品にしては小粒だったなぁ。解決部分を読むと、さりげなく手掛かりが全体的に等分されているのは判ったが、カタルシスが感じられなかった。最大の原因はどの登場人物に焦点を当てたらよいか最後の方まで絞れなかったことだろう。それほど今回は登場人物が類型的過ぎた。
『11枚のとらんぷ』の各々の登場人物の個性、『ゆきなだれ』のような情緒溢れる文体を味わってしまった私には、単なる凡百のミステリにしか感じなかった。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
泡坂妻夫の美意識が詰まった短編集。
面白ければミステリというのが昨今の風潮だが、やはりこれは、泡坂なりの謎かけはあるものの、純文学と呼びたい。 収録作8編中、私は『雛の弔い』と『闘柑』を推す。前者の戦慄を覚える真相。人物造詣のための何気ない説明がこの結末の布石になっているのはミステリなのだが、でも私は純文学であると云いたい。また後者は小市民家族を描いた人生讃歌。総ての登場人物が活きているという稀有な作品。志賀直哉を想起させてくれました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
のわ~っ!!凄い!!凄いとしか云いようが無い!!
昔から評判高く、果たしてどのような仕掛が施されているか自分なりの憶測を立て、軽い気持ちで探っていたのだがこんな超絶技巧だったなんて。 内容は確かにしっかりしているが本来10点レベルではない。しかしこの本自体に掛けられたトリックとその苦労を思えば、よくまともに話が書けたなあと感服するしかない。 いやぁ、こんなことって本統に出来るんだぁ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
|---|---|---|---|---|
|
また何も後に残らない物語を読んでしまった。
備忘録という意味で粗筋を書くと、錬金術を編み出した老人の死後、その手法を探りに上手く遺族(ここでは孫娘二人と姉の夫)に取り入った犯人たちの周りで起こる数々の事件をラウールことリュパンが見事解き明かすというもの。 しかし、バール・イ・ヴァ荘とその庭園を舞台に物語が繰り広げられるなら、見取図ぐらい必要だぞ!本統に何も残らなかった。 |
||||
|
||||
|

