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Tetchy さんのレビュー一覧
Tetchyさんのページへレビュー数1418件
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連続殺人鬼の登場をメインの殺人事件の単なる小道具として扱う辺り、やはり大作家の構成力は只ならぬものがあるなと感心したが、終わってみれば犯人は予想外だったけど、動機としては単純なもの。いや寧ろ深くまで語られなかったため、抽象的であり浅薄だ。
今回、読んでいて気付いたのはアダム・ダルグリッシュという存在を作者は暗鬱な日常性から解放する導き手に想定しているのではないかということ。悲劇が繙かれた後、関係者それぞれに変化が扉を叩いた。 |
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愛に飢えた人々が家族という一番小さな、そして身近な社会集団を形成した時、こんなにも哀しい事件が起こるのか。
愛されるという事を欲望という形で求めるが故、視える物も視えなくなり、無我夢中に貪欲なまでに模索し、踠く。一番手に入れたかった父親の愛を形として求めたがため、実感できなかった娘。その事実を何もかも無くしてしまった最後に告げられる残酷な結末。 終わり間際に真相通告人として太陽のような娘を選んだ作者の意図は何だったのだろうか? |
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歪んだ愛情が織成す悲劇、いや正直な気持ちを押し殺したゆえの反動と云った方が正解か。
現象はあまりにも単純。2人の男と1人の女の死。犯人はしかも1人。しかし、その1人を炙り出すための炎は関係者各々の魂を苦く焦がし、また探偵自身も自らを焦がす。だが、あくまで彼は傍観者の立場を貫く。だから慮る事もせず、また望むのであれば自害の手助けをもする。 現時点では7点だが、我が胸に徐々に立ち上る感慨は治まりそうにない。 |
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昔の作品ながらも、プロローグに趣向を持たせ、忘れた頃にあっといわせるような手法で持ってくるところは、なかなか。しかもプロローグが実は犯人のアリバイ崩しの重要な手掛かりになるとは、心憎いのだが、原文でないと意味を成さないのはアンフェア。
冒頭の登場人物表に載ってない人物のエピソードが物語の核になる所は、この前に読んだレンデルの『石の微笑』と全く同じなのは、単なる偶然か?しかし、睡魔は読書の天敵だなあ…。 |
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冒頭、登場人物表にも載っていない人物の失踪が案外しつこく語られていること自体に「?」マークが頭に浮かんでいたのだが、最終的にこれほど致命的に機能してくるとは。久々に「あっ」となっちゃいました。
今回は珍しく男の狂気じゃなく、女の狂える愛。故にいつもなら狂気がしんしんと降り積もっていくのに、男が正気に戻りかけた途端、突然の大破局が訪れた。 そう、フローラよ、貴女は結局、幸運の女神だったのか? |
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おいおい、どうしてこうなるの?なぜこの作家はハッピーエンドがこうも嫌いなのだろうか?たまには素直に物語を収束させてもいいんじゃないの?
しかし、レオノーラはひどい!最低の悪女だな。 ガイは、つい最近までの俺を見てるようでとても痛ましかった。だからこそガイにはハッピーエンドを迎えて欲しかったのに。 しかし、レンデルは冗長すぎるぞ!丹念に心の動きを積み重ねていこうとしているのは判るがくどくど意気地の無い愚痴に付き合わされるのにはまいったぞ! |
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これは島田荘司の『嘘でもいいから~』シリーズのように、モーリス・ルブランの息抜きのために書かれた短編集という印象が濃い。元来、話のスケールを大きくする作家なので短編と云えども過去の因縁を絡ませ、物語に膨らみを持たせようとしているがこれが見事に失敗している。
元々長編向きのアイデアを短編に無理矢理纏めたような、飛躍的な展開が実に白けさせるのだ。昔ながらの超人的思考力探偵というのは今更ながら辟易だ。 |
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いやいや、ルース・レンデルがこんな小説を書くとは、ねぇ。
2つの物語のうち、一方は振られ男のうじうじした日常の根暗な生活が淡々と綴られるのはいつものレンデル調なのだが、もう一方はスパイごっこに興じる少年たちの、云わば青春物語だなんて!!これがもう、おいらの少年心をくすぐるから、ジョンの話が鬱陶しくて、却ってそれが俺にとっては仇になった。 そして、2つの物語がハッピーエンドなのもまたレンデルらしくなく珍しい。 |
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重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説であったが、少しも疲労を感じさせなかった。リーダビリティに関してはもう云うことはないだろう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係は無かったのだが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えている。
よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんだろう、これは!! |
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ここ続けて読んできた『鬼女の鱗』、『びいどろの筆』、『蔭桔梗』といった時代物、もしくは職人の世界を描いた恋愛物と、侘び・寂びを感じさせる日本情緒豊かな作品に親しんできたため、この作品は現代本格物ということで、どこか別の人が書いたような違和感を感じたが、やはり随所に泡坂らしさを覗かせ、小さいながらも驚きを提供してくれた。
精神病院を舞台にしたにも拘らず、重く暗くならないのは主人公海方のキャラクター性と、泡坂の筆の軽さゆえか。 |
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「モーリス・ルブランの手による江戸川乱歩風味」といった趣の物語。忌まわしい伝説が伝わる島に監禁された愛息を救うべく、島に渡った母親、悪の首領が支配するその島には壮大な地下迷宮(!?)が存在し、万能の力を持つ「神の石」が眠る…。
ほら、乱歩以外何物でもない! しかも、珍しく主役のルパンは何と、物語の3/4を過ぎた辺りから登場という異例の展開。 なのに安っぽいんだなぁ、これが…。 |
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う~ん、冒頭の逮捕劇を読んだ瞬間は、傑作の匂いを感じたんだが、最終的には今一つ突き抜けないという気持ちで一杯だ。確かに、なんやかんやあったせいで集中力に欠けたのもあるが、登場人物各々に魅力をさほど感じなかったのも事実。それに文体も三人称と一人称とが混在し、文豪らしくない。
あと、どうもこれはミステリではないような気がする。心を病んだ1人の青年の破滅を描いた普通小説のように読めたのだが。 |
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前評判の高い作品ではあったが、評価は上のように落ち着いた。
内容は、確かにヴァラエティに富んでいる。物的・心理的トリックを駆使した本格物から、サイコ・スリラー物まで、アイデアもいい。まあ、でも大人になった現在、かなり苦しいものがあるなと痛感した。 大人になって読んで実感できるものと云えば、この八つの物語、全てリュパンがオルタンスを口説くためだけの前工作に過ぎないという点だ。いやはや、ここまで投資する恋があるとはねぇ…。 |
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最初の1ページを読んだ時からこの作品は傑作だなと感じた。それも生涯忘れ得ぬほどの…。
前回読んだ『バスク、真夏の死』とは比べ物にならない読み易さと簡潔かつ的確な訳。外国の小説でこれほど町のイメージがたやすく浮かんだのは、本書が初めてではなかろうか?それは著者が街の住人を誰一人として疎かにせず、見事に活写したため。行間から息吹が、匂いが立ち上ってくるが故に、それぞれが皆、確かに生きていた。 稀に見る傑作だ。 |
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