寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.67pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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今更ながらの初読みだが、トリックの古臭さがいいね。 | ||||
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一般読者向けを意識した島田初のトラヴェル・ミステリという事で、『占星術殺人事件』から始まる御手洗シリ-ズとは趣を変えて、現実味を過分に加えた、比較的地味なシリーズ、所謂吉敷シリーズであるが、千鶴子の列車での存在を幽霊として仕立て上げるような、幻想性を加えることも忘れない所が面白い。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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『島田荘司全集 II』で未読だったのは、『嘘でもいいから殺人事件』だけである。これを読了すると、未読の作品は、最近の作品いくつかだけになり、ぼくの中で島田作品が初めから連続して繋がり、ほぼ網羅できたことになる。 そして、最初にいつものように『後書き』から読みだした。すっかり癖になっているようだ。ここでの4作は、作家として島田荘司が最も苦労していた時期にあたり、相当に辛い目にあっているのが分かる。胃痛に苦しみながら書き上げ、全て1984年に冷たかった講談社以外からリリースされている。 特にカッパ・ノベルスを有していた光文社の人たちとの交流は、心にしみる内容だ。吉敷誕生や、『寝台特急『はやぶさ』1/60秒の壁』のタイトル誕生の話など、島田荘司のファンとしては、驚くことばかりだ。 この苦しい時期に生み出された4作は、作家島田荘司のファンダメンタルをしっかりと確立した。この辛い時期を乗り越えなければ、『本格』も無かったのだなあ、と思ってしまう。 多くの読者は、この時期の作品を読み飛ばしてしまうような気がする。島田作品の一部だけを読み、こうした当時の経緯を知らずに語っている気がする。それでも良いのかもしれないが、それでは真の島田荘司の理解には至らないだろうとぼくは思う。 全てを読む。当時の状況も知る。それ無くしては絶対に真の理解へは到達しない。ぼくはそう確信している。 | ||||
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吉敷刑事ものの記念すべき第一作です。当時あまりにも作品が売れないため、流行っていたトラベルミステリーブームに便乗して書かれた作品ですが、鬼才島田氏の手にかかると、在り来たりなトラベルミステリーをあざ笑うかのような猟奇的・不可能犯罪が展開され、さすがというしかない。本作で一躍ベストセラー作家となられた商業的には本作が真のデビュー作と言えるかもしれない。何より本作より始まる1/60秒とか7/8とか言ったその後のシリーズも含めた分数タイトルがカッコいいです。最初タイトルだけ見ると?なんですが、読み終わるとちゃんとこの分数の意味も分かるのがイイ。 | ||||
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作者の初期の作品で、鉄道アリバイ・トリックを中心とした吉敷物。御手洗物とは別の路線で本格物と社会物とを融合した作風の開拓を図ろうとした意図が感じられる。この頃は本作を初めとして題名に分数を含める趣向が流行っていた。 だが、「1/60秒」と言う題名から、緻密なアリバイ・トリックを期待すると裏切られる。単に第一被害者の写真が推定犯行時刻に別の場所で撮られていたと言うに過ぎない。不可能な状況を設定しておいて、何とか屁理屈を捏ねて辻褄を合わせると言う悪癖がこの当時から出ていた事が分かる。しかも、メイン・トリックの基本アイデアがA.A.ミルンの著名作品を想起させる点も情けない。 作者としては、第一被害者を中心とした社会的に恵まれない層の人間模様に比重を置きたかったのかも知れないが、その造形や第一の事件後の各自の言動や関係が不自然で、こちらも上手く行っていない。荒削りな作品と言う印象しか受けなかった。 | ||||
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吉敷初登場の本作は、それまでの初期島荘タッチの猟奇的雰囲気ではじまる。 著者が敬愛する乱歩の提唱する発端の怪奇性、中断のサスペンス、結末の意外性が、忠実に実行されている。 そういう意味では、本作はミステリのお手本のようなものなのだが、いまひとつマニアの間での評価が低いのは、ノベルスだからか、はたまた吉敷ものだからか。 つまり、中盤以降の展開なのだが、これが著者らしからぬ典型的なノベルスミステリなのだ。 これは著者をメジャーにするため、当時全盛だったノベルスミステリ風をあえて採用したためであることは良く知られている。 そのあたりが、マニアにとっては残念なところなのかもしれない。 しかし、それでも、そこかしこに著者らしさ、即ちトリッキーな展開が見える。 本格マニアが読んでも、十分楽しめる作品である。 本作がドラマ化されたとき、主演の鹿賀丈史氏には悪いが、若干の違和感があった。 鹿賀氏は私のイメージしていた吉敷とは、少々違っていた。 誰ならいいという訳ではないが、氏がもう少し若いときなら、と感じた。 吉敷ものでは「北の〜」がベストだと思うが、本作は吉敷のデビュー作としての意味だけではなく、著者の本格テイストとノベルスミステリの融合という点でも、傑作といって良いだろう。 本作以後に吉敷ものはかなり発表されたが、後期になるほど完成度は低くなる。 これは多分、著者の吉敷に対する愛着が薄れたためだと思うが、本作はデビュー作であり、著者がこのキャラを何とか一本立ちさせようという気合いが、十分に感じられるものりである。 | ||||
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粗っぽいのに不思議と精巧さを持つ島田論理で彩られた異色のトラベル・ミステリー。物語冒頭の猟奇性で一気に惹きつけられ,捜査過程で主人公の吉敷(よしき)刑事といっしょに旅情を感じ,解明したかに思えた次の瞬間には二重底の様に驚きの真相が隠れている.....凄い!メインのアイデアなんかは鮎川先生あたりからヒントを得たんだろうけど,上記に列挙したようなミステリーの持つさまざまな可能性を解剖学的にひとつひとつ抽出して,それを連結・処理してしまう確かな手腕が見事。ある意味,占星術や斜め屋敷よりも強烈に慣習をぶっ壊した破壊的造形が美しい。島田荘司だから出来た緻密な力技をぜひ堪能してみて下さい。 | ||||
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