(短編集)
島田荘司全集 V
- 島田荘司全集 (8)
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初期の島田荘司の作品をここまで読み、当時を振り返るこの本の島田荘司自身の後書きを読むと、当時のミステリー界というのは、 ・『清張病』と言えそうなくらいな列車ミステリーへのこだわり ・まったく江戸川乱歩を目指していない『乱歩賞』 ・本当のミステリーを理解していない出版社の編集者 だったのだな、と強く感じている。島田荘司の『網走発遙かなり』を読むと、当時島田荘司が目指していたのは、まさに江戸川乱歩の作品だったのを強く感じる。特に、『網走発遙かなり』の3編目『乱歩の幻影』と『展望塔の殺人』の1編目『緑色の死』は、極めて乱歩的だ。それなのに、『乱歩賞』を逃す。ありえないことだ。 『島田荘司全集 V』の後書きでは、『占星術』『斜め屋敷』と連続して乱歩賞を逃し、そのショックから立ち直りつつ、作品を作り出しているのが感じられる。特に、『斜め屋敷』は、二次通過までで候補に入らなかったので、余計にショックだったろうと予想できる。 どんな面子が『占星術』を見落とし、どんな作品に賞を与えたかを見れば、1980年第26回江戸川乱歩賞の選考メンバーは、五木寛之・海渡英祐・斎藤栄・南條範夫・三好徹だ。もうメンバーを見ただけで、『本格』を理解できない面子なのが解る。特になんで五木寛之が江戸川乱歩賞の選考ができるのか不思議で仕方がない。 受賞したのは、井沢元彦の『猿丸幻視行』だ。まったく『乱歩』ではないではないか。 その後、『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』と『夏、19歳の肖像』は、1985年1月と1986年1月の直木賞の候補にもなったが、受賞できなかった。既に島田荘司のカタチは完成していたにもかかわらず、文壇がそのレベルに逆に到達していなかったのが感じられる。 結局、『占星術』においてもおそらくは、鉄道ミステリー的な要素のみが理解され、本質の乱歩的な世界は編集者も選者も理解できなかったということになる。その本質を理解したのは、大学などのミステリー研究会の面々だったのだ。 この『清張病』と乱歩賞が乱歩を目指していなかったこととの戦いが、若き島田荘司の最初の試練だったことが今ではよく解る。 今ならNavitimeで縦横無尽に交通機関の運行を細部まで確認できる。鉄道ミステリーなど価値のないものになっている。本当の価値はそんなものではないと見抜けない編集者・出版社・選者の情けない眼力は、今もあり、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』のクラシックを全く理解していない作者・編集者・出版社・選者による直木賞・本屋大賞ダブル受賞は、そう遠くない未来に世界に恥を発信したと理解される日が来ると思う。 | ||||
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