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【この小説が収録されている参考書籍】
鼻 (角川ホラー文庫)

の評価: 4.07/5点 レビュー 60件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.07pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 41~60 3/3ページ
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No.20:
(5pt)

かなり面白かったです。

「暴落」「受難」「鼻」の短編三本収録
どれも面白く、一気に読めました。

「暴落」は、自分の価値がすべて株として決まってしまうところが、
不思議な感じがしつつ、どんどん引き込まれてしまいました。
でも、「こんな世の中になってしまうと嫌だな〜」と感じてしょうがないです。


「受難」は、目が覚めるとビルとビルの間の細い路地に繋がれている男性の話。
訪れた人が、それぞれ自分の世界に入っていて、
助けを求めるも聞き入れてもらえない事が続き、暑さ空腹な状態が何日も続いていく・・・。
何とも、不条理な気持ちになってしまう話。


「鼻」は、個人的に1番面白かった。
最初は、全く違う物語が同時進行で進んでいると思っていました。
でも、途中から少し違和感が芽生えてきて、それが少しつづ大きくなっていきました。

妄想世界と現実世界が実は同じ時間軸で起こっている事になんとなく気づき、
あとがきの解説で確信しました。
確信が持てた時、もう一度読むとまた違った形の面白さがありました。

他の作品も読みたくなりました。
鼻 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:鼻 (角川ホラー文庫)より
4043873018
No.19:
(4pt)

「鼻」以外は単なるオマケ

タイトルの「鼻」はよくある手法を使ってますが、展開が新しく斬新だったので星4つです。
ただ、こういった手法の欠点は、慣れていないと一読して?が残りやすいところです。
読み終わった後にざっと確認読みを要する場合があることですが、これはそうした作品の中では割とわかりやすかったのではと思います。(あくまで、この手法を使った他の作品と比べてですが)

他2つははっきり言ってオマケみたいなものでした。
例えば「暴落」などはほぼ全く同じストーリーのものを世にも奇妙な物語で観た覚えがあります。
「株式男」という話で、話のネタからオチまでそっくりです。
おそらく曽根圭介がパクッたのでしょうが、がっかりです。

「鼻」のみの評価で星4つで。
鼻 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:鼻 (角川ホラー文庫)より
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No.18:
(4pt)

お手本のようなトリッキーな表題作

ホラーは表題作しか期待できない。だが、どの話も理不尽極まりない残酷な話が犇めく。

短編2本を読了後、過大評価ではないかと疑った私を嘲笑うかのように表題作が輝いた。
まさか、叙述モノだとは気付かず、読み進めて場面は急転直下する。
ジワジワと浸食する恐怖と、ダイナミックな結末への移りゆくさまは心が躍る。
文体も趣旨もまるっきり違う作風の使い分け、設定の無駄のなさは見事。
滔々と語られる文章の小気味よさったらない。
ありきたりな人物トリックかと匂わせて、実は見てる○○が違うオチは斬新。必読である。

暴落は、当人の行動、境遇などをひっくるめて自身の価値が株というデータに置き換わり、
市場では常に株価が変動する世界が舞台である。そこでは、常に行動が監視下にあり、人助けをするなど
株価に影響を与える行動をとると、テロップという形で世俗に伝播する。悪事を働けば当然下落。
エリート重視社会への風刺のきいた小説とみてもいいかもしれない。

受難は、現代のコミュ力不足の小説化といったイメージをもって、読みだすと面白い。
トラブルに巻き込まれ、無一文でパイプに手錠で繋がれ、拘束された男性の脱出劇であるが
関わる人間のことごとくが、自己中心的。典型的なアスペのような人間もいる始末。
助けなど求めても終始無駄に。次第にやつれていく描写がリアリティ溢れる展開で、残酷だ。
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No.17:
(3pt)

高度なストーリーテラー

これが(ほぼ)デビュー作とは思えない、あたかもキャリアを積んだ有名作家さんがさらりと書くような高度なストーリー展開に驚きました。

ただし読後感がひどく悪い。これはこの作品に限らず近年の日本のホラー・怪奇系の作品すべてに対して感じることですが、「生理的不快感」イコール「恐怖」として売り出している作家さんがあまりに多い。「そういう作品もある」という割合なら歓迎しますが、近年大きな賞をとったり話題になったりするベストセラー作家さんたちはほとんどこちらの系統なのが、どうなのかと。
古い時代の恐怖作品は、言葉の規正等が甘く物語もかなりキワモノ、にもかかわらず読後感はふしぎに爽快なことが多い(江戸川乱歩など)。そうした本はいつまでも書棚に並べておきたいと思うものですが、近年の作品は読後の衝撃・内容の面白さにそこが反比例しているようで、そういう意味で☆を減らしましたが、作品としては悪くないです。「読書玄人」の方には、オチはある程度見えてしまう、あちこちに既視感アリ、かもしれませんが。

あと、これは少々邪道な感想ですが、この文庫のなかで個人的に一番面白かったのは、あとがきで大森氏が引用された乱歩賞受賞の際に会場を大ウケさせたという作者の挨拶。この挨拶を読んでから作品を読んだら、読後感の悪さも払拭されるだろう程に面白い。なんだか中島らも氏や町田康氏を思わせる味があり、本人の希望とは逆に(?)いずれおそろしく大成しそうな予感が。この作者こそが「将来有望な株」・・・?
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No.16:
(3pt)

暴落は傑作

暴落は★5 短編の傑作だと思う。株やってる人はかなり楽しめるし、上手いと感心すると思う。受難は★1 同じ作者が書いたと思えない下らなさ。意識不明の重体でその脳内とかそんな感じかと思いきやなんでもない。落ちのないただの意味不明の下らないだけの話。鼻★2 ラストで現実的な話にするのだがだから何?という感想しか出てこない。もう少し文章が上手ければ面白く感じるのかもしれんが。叙述トリックにするよりブタとテングの話だけで良かった気がする。
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No.15:
(5pt)

現実

奇妙な世界観だが救いようもない話に現実的なものを感じる。現実は常に理不尽でいつ何が起こってもおかしくない。だから人はそれから目を背け幸福しか視ないようにする。どんなことでもハッピーエンドを望む。しかしこの作品は鮮明に現実を映し出す。現実の残酷さ。人間の醜さ。おすすめです。
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No.14:
(4pt)

よく出来た短編集

内容の面白さと文体の読みやすさで一気に読み切ってしまった。かなり上手な作家で他の作品も期待してしまう。「暴落」 一昔前ならこれはSFに分類される作品なのに今はホラー文庫から出るんだねぇ。「受難」 シュールな状況や登場人物から寓話的な物語かと思えば現実的な世界だったりでちょっと違和感があった。「鼻」 叙述トリックを使ってるので構造が分かりにくい為、ネタバレしても後書きを読んでから読み始めた方が理解しやすくて良いかもしれない。
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No.13:
(5pt)

非常に上手

とても器用で、上手な作家。
文章はこなれていて無駄もなく、まとめ方の巧さは新人作家の域を越えている。
また引き出しも多そうで、今後もまったく違った切り口から、次々と物語を書いてきそうだ。
文体の切り替えも、必要に応じて自由自在。 読みながら、器用だな〜という感嘆を素直に抱かせる。
要するに、小説のテクニカルな部分に関しては、この人はすでに一流作家の域に達している。今後いち押しの作家さんであることは間違いない。
逆に言うと、この人は小説を書くことで一体何を伝えたいんだろうな…? という疑問がちょっと湧いた。要するに、器用すぎて、この人の小説テーマというものが今いち見えてこなかった。本作でいえば、3作の短編にバラエティがありすぎて、そのどれもが非常にシニカルにまとめられているので、曽根圭介の核というか、小説家としてのメッセージが見えてこなかった。
この点は今後次第というところか。
作品に関して言うと、やはり『鼻』が断トツ。
叙述ミステリというと道夫秀介の『向日葵の咲かない夏』を思い出すが、読みやすさと鮮やかさではこちらの方がはるかに上。 文章もきれいだし、メリハリもある。「ヒビノさん」や「死んだ前妻」が現実世界では何にあたるのか、守銭奴の老婆が主人公の脳内世界では何にあたるのか、といったあたりがやや未回収だが、そんな細部をすっとばすのも新人の才気の現れと思われ、不満はさほど感じなかった。
『暴落』と『受難』は、それと比べるとやや不満。完全な一発アイデアものであり、面白いけど後に残るものが何もない。さらにこの作品どこかで読んだような…という既視感がずっと頭から離れなくて、まいった。筒井康隆という指摘もあったが、個人的には星新一の名前がポーンと浮かんだ。この2作だけだったら、星新一の二番煎じでダメ、と書いていたと思う。
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No.12:
(3pt)

リード作が

短編三作中、個人的に[暴落]が一番好きです。しかしリード作の[鼻]が分かりにくく、ただ単に私が叙述ミステリーを読み慣れていないからかもしれませんが、その点でケチをつけさせていただきます。
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No.11:
(5pt)

豪華おやつみたいな短編集

いい短編集を読むときの喜びで、一編読むたびじーんとなった。
例えるなら、ポテトチップスのりしおを食べたあと、果物がいっぱい入ったゼリーをつまんで
チョコレートケーキで締める豪華なおやつみたいだった。
3編が3編ともカラーが全く違うのに、それぞれ完成度が極めて高い。
共通するのは、設定の面白さを生かしきる構成の妙と、筒井然とした黒く軽いユーモアのセンス。
【暴落】たのしい仕組み
アイディア一発ではあるけど、“個人⇒法人”の当てはめが組み木細工ばりに上手い。
成人・結婚・昇進等のライフイベント、対人関係を企業に上手いこと例えていて、快感。
ネーミングライツ売買契約のエピソードが秀逸。イン・タムさん…。 
あと『鉄橋を木の棒で支えるのを小学生に見せて、まっとうな大人になるよう仕向ける仕事』に従事するあたりも
なんかかわいくて好き。オチがベタすぎるのが残念。
【受難】詩的
阿部公房からエロスを抜いたみたいな世界観。没コミュニケーション・過酷・メルヘンチックで、短編映画を見るような楽しさ。
ひょこたん以上に、薄汚い紳士が愛らしい。
  
 
【鼻】トリッキー
叙述トリックはそんなに好物でもないけど、“外科医”が自らの世界を構築した理由づけが上手くフォローされててよかった。
私は解説読んでやっと理解し、アハ体験を逃したくちですが…。
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No.10:
(4pt)

不条理小説作家としての今後が楽しみ

ホラー小説大賞短編賞「鼻」と中篇二編から成る作品。全体として、ホラーと言うよりは不条理小説の趣きがある。
「暴落」は個々の人間に株価が付き、その株価(の変動)によって人が評価される世界を戯画化して描いた作品。現代の経済・エリート偏重主義への風刺だが、実生活でも「例の件で彼は株を上げた」等の言い回しをするので、それをシステム的に徹底させたものとも言える。だが、発想のユニークさに比して、個々のエピソード、全体の仕掛けが凡庸で、せっかくのアイデアが活かし切れていない。もう少し捻りが欲しかった。
「受難」はビルの屋上に閉じ込められた男のまさしく「受難」を描いたもの。男は3人の男女と接触するのだが、"助けて欲しい"と言う男の意思は通じない。個々が隔絶した社会への風刺とも取れる作品だが、登場人物の中では、男を聖騎士と仰ぐ"ひょこたん"の存在が不気味であると共に笑わせる。ストーリーの起伏は少ないものの、不条理感だけで読ませる味のある作品。
「鼻」は鼻の形状で、ブタ人間がテング人間を差別する社会を描いたものだが、"マスク男"を追うゴシック体の一人称の文章が合間に入る。当然、この二つの物語がどうクロスするかが見所だが、見事な出来栄えと言って良い。発想は芥川「鼻」から得たと思われるが、完全にアクロバティックなミステリに昇華されている。
今後が楽しみな作家。奇想に溢れた作品をこれからも期待したい。
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No.9:
(5pt)

個人的には「暴落」、「受難」がおもしろかった

表題作の「鼻」、その他「暴落」、「受難」と3つの短編集でどれもおもしろかったが、個人的には「暴落」、「受難」がおもしろかった。
「暴落」は、自分が付き合っている人や職業、人助けなどの評判が人間の価値を決めるという発想がおもしろく、リアリティもあって楽しめた。最後の終わり方も怖くてよかったと思う。
「受難」は、ビルとビルの間の鉄扉に手錠をかけられて動けない男の話なのだが、通りかかった人間たちがみな自分の世界に入っていて、常識が通じないやりとりが爽快だった。特にスーツを着た紳士がエロ本を置いていく場面は思わず笑ってしまった。
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No.8:
(5pt)

テング

ホラー小説短編賞を受賞した作品の中で「玩具修理者」以来の当たり作品です。暴落、受難も良いですが、なんといっても表題作に尽きます。何を書いてもネタバレになりそうなので書けませんが、他のホラーとは違い、単なる異世界の話ではないところが凄いです。丁寧かつ適度な仕掛けで最後はガッツリやられます。
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No.7:
(5pt)

鼻 曽根圭介

こんなに鳥肌が立った小説は乙一のGOTH以来です暴落、受難、鼻それぞれが放つ異色で怪しい景に感動すらも覚えました人間単体に株価がつけられ、その株価に人間が振り回される暴落。不条理な事が次々に重なっていき、現代の人間の不可解な絡み合いを表した受難。そして表題作の鼻。妄想と現実の中に生まれるギャップが2人の主人公の語り口によって描かれていき、ラストに向かうにつれて幾重にも張り巡らされた伏線が一気にとかれていき、読み終わった時の感覚は宇宙です。異世界でした。鳥肌が顔にまで出てきそうな勢いでした。ミステリー小説が好きな人はこれを読まずに誰を読むのかよく分かりません是非見てください
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No.6:
(4pt)

怪作現る

次がどうなるのか気になって、最後にぐるっと世界が反転するような結末が・・・・
久々に凄いまさにあっと言わされるようなホラーを読んだと思いました。
これは本当に凄い作品です。
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No.5:
(5pt)

自らを追い込む作者

人間の価値を、株価に例えるのは面白い発想ですね。
株価の上下が気になって仕方ないのは現代の投資家達。
でも、あの世界では皆が気にしています。
自分が知っている人、知らない人、もちろん自分も。
本を読み終わり現実に戻る。
再び現実世界を考えてみました。
この本以上のことが、今起こってるんじゃないかと恐怖しましたね。
賞をとった鼻よりも、はじめの作品の方が好きです。
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No.4:
(2pt)

鼻だけについて書いておきます

まず、とんでもなくわかりにくい作品です。
私は頭が悪いので、一読してもなんのこっちゃ?でした。
解説を読んで、ああなるほどと思えました。
しかし、解説読まないと理解できない小説って・・・
それだけです。
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No.3:
(4pt)

なつかしい不条理劇

ホラー大賞短編賞受賞作の「鼻」の他、「暴落」「受難」の2編を載せた短編集。
「鼻」よりも、初期の筒井康隆作品風の2編の方が惹かれました。なつかしい感じのする不条理劇です。
「暴落」は、個人が株式市場の評価の対象となる社会の悲劇が、「受難」はビルとビルとの隙間から出られなくなった男の不条理な事態が、一人称で心理を抉るように描かれています。
それに比べると、「鼻」はもちろん秀作なのですが、ややトリッキーな小説で、もやもやした読後感になりました。
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No.2:
(5pt)

発想が豊かで、話も面白い

「暴落」は、現在の格差社会、競争社会を少なからず反映させた社会SF。他にもいろいろな要素を含んでいて、後味爽やかな感動作にもなり得たと思いますが、そうならない(そうしない)のがこの作者の持ち味なのかもしれません。アイデアがいっぱい詰りすぎていて、長編にして欲しかったというのが正直な感想。
「受難」は、その状況設定から、自分も映画「SAW」を連想しました。「暴落」と同じく、落としどころがどこになるのか見当もつかないので、読み進みながらドキドキハラハラしてしまいました。
「鼻」は、結果的には星新一の「マイ国家」ばりの不条理ホラーなのですが、やはりどこに辿り着くのかが読めず、固唾をのんでページを繰りました。
まだ作品は少ないようですが、これからどんなテイストの作品を書いてくれるのか、とても楽しみです。
鼻 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:鼻 (角川ホラー文庫)より
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No.1:
(5pt)

バリエーションに富んだ短編集

「暴落」「受難」「鼻」の短編三本収録。
「暴落」は個々人が株式上場して、家庭、学歴、職歴、日頃の行い、また友人の
秀劣などが株価を、つまりそに人間の価値を決める社会の話。これはそのまま
「世にも奇妙な物語」の脚本としてありそうです。割とオーソドックスな流れで
はありますがグロテスクかつドライなラストが印象的です。
「受難」は映画「SAW」に酷似したシチュエーションを用いながらオリジナリティ
あるスリラーになっています。ある場所から身動きできなくなった主人公の元に
集まる三人の人物がそれぞれおもしろい。主人公にとって救世主になりうる彼ら
がみんな曲者で、全く役に立ちません。ほとんどコメディーのようなやり取りが
返って歯がゆさと憔悴感を際立たせています。
受賞作「鼻」は先の二作とは全然異なる毛色の叙述モノ。叙述モノと書いた時点
で半分ネタばれみたいなもんですが、単純に読者をひらりとかわすオチだったら
掃いて捨てるほどあります。おそらく読んでまず眉をひそめ、あるいは読みなが
らオチが読めそうなのに眉をひそめ、それからどどどどっとこの恐怖の意味がわ
かるような、そんなおいしい(二度読みできる)お話です。
雰囲気の異なる三つの短編はそれぞれレベルが高く、一気に読めてしまうのでお
すすめです。
鼻 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:鼻 (角川ホラー文庫)より
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