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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全172件 161~172 9/9ページ
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リアリストで実弾(=生活に役立つもの。お金?)を求める山田なぎさと、真実を隠す為に嘘で自分を塗り固める、一見不思議ちゃんの海野藻屑。 この2人の友情がだんだんすごく、すごく私にとっていいものになっていくんですが、13歳が撃つ弾丸はちっぽけで役立たずで、儚く消えてしまいます。 ひきこもって貴族のようになった兄・友彦の行動、担任の思いなどに感動しながらも、やっぱり2人が親友となっていく様子をもっと見たかった、 けど・・・やっぱりこの世に砂糖菓子の脆い弾丸は通じないんだな・・ 親に保護されていないと生きていけない状況の中でもがいてもがききれなかった少女達の物語です。 | ||||
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大人だから感じることがある。 私は子どものココロを知っているつもりでも、もう大人。 免許証と選挙権と納税の義務と引き換えに、私は子どもでいる権利を失った。 それは紛れもない事実。 だから、なぎさや藻屑の思いは理解できるけれど、担任の言葉にシンクロした。 「俺は大人になって、教師になって、スーパーマンになったつもりだったから。(中略) ヒーローは必ず危機に間に合う。そういうふうになっている。 だけどちがった。」 ヒーローは必ず危機に間に合う。 何て夢に満ちていて、何て儚い愚かな妄想なんだろう。 間に合うわけがない。大人は子どもを守れるけれど、それはごく一部の場合でしかない。 大人にできるのは、子どもに迷惑をかけないようにすることくらいなんじゃないのかな。 | ||||
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リアルなことにしか興味のない実弾主義の女の子山田なぎさと、自分を人魚だと言い張り砂糖菓子の弾丸ばかりぽんぽん撃つ転校生、海野藻屑。 二人の共通点は13歳で未成年で義務教育で、まだ自分で運命を切り開く力がないこと…… 切なくてやりきれないお話でした。 なぎさの一人称が本当に13歳の女の子のそれのように感じられて、だからこそ率直で痛々しかった。 二人の未来は冒頭に記されているのですが、それでも読んでいるうちに「幸せになって」と願わずにはいられません。 ああもう、藻屑ちゃあん…… 現実を隠すための彼女の荒唐無稽な嘘の一つ一つが胸をえぐっていきました。 ライトノベルはいえ、とってもいいお話です。 あと、なぎさのお兄ちゃんの友彦がとても格好よかったです。 | ||||
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最初の1ページを開けば、 最悪の結末が読者を待っている。 桜庭一樹はひどい。 ライトノベルという甘く脆い「砂糖菓子の弾丸」に見せ掛け、 こころを撃ち抜く「実弾」を読者に向けている。 「ぼくはですね、人魚なんです」 転校生・海野藻屑はそういう。ミネラルウォーターをはなさず、 足の変色を「汚染なの」といい、周りから嘘つきといわれる。 「大人になりたい、実弾を持ちたい」 リアリスト山田なぎさは藻屑との交流を通し、 そして最悪の結末を迎えるまで、何もできない自分の無力さを知る。 この二人を中心とした物語は決して暗いばかりではない。 しかし、桜庭一樹の銃口は常に読者へと向いている。 何もできなかったなぎさや、大人たちは無力だけど、 なら、あなたは何ができますか、と。 「可愛そうに」ですまされない問題提議。 これをライトノベルというプラットホームから発した威力は、 読んでいただければおわかりになると思う。 傑作だと思う。 でも、こんな結末を納得するわけには行かないから、星は4つ。 | ||||
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同作者のGOSICKシリーズを気に入っていたのでこの本も読んだ。 前評判はある程度聞いていたが、実はたかをくくっていた。 私は甘くみていた事に気がつかされた。 簡単に言えば悲劇的な話だ。 本当に笑ってしまう程の悲劇だ。 私はこの本を読み進める最中、 砂糖菓子の弾丸しか持てない子供達が哀れだった。 意味も無く実弾を撃ちまくっている大人達が不気味だった。 一部の登場人物に心底共感できない自分にほっとしたりもした。 しかしなにより、作者である桜庭一樹が恐ろしかった。 一体どのような怒り、無力感、憎悪、そして愛を心に抱えればこのような 作品が書けるのか全く想像できなかった。 美しく、同時に嫌悪すべき瑞々しい作者の臓物がここにある。 じっくり読んで行けば、構成的に微妙な所や、描写不足などの 不備を見つける事が出来るかもしれない。 しかしこの作品にそんな物はどうでもいいのだ。 うねくる混沌に引きずり込まれる。 圧倒的な崩壊の予感に誘われてページをめくる手が止まらない。 そうして読者は自分の手で傷口を広げ、臓物を発見する。 読むべきだ。 かつて砂糖菓子の弾丸を手にした「子供だった」はずの大人達は 全員がこの作品を読むべきだ。 そして決して目を逸らしてはならない。 | ||||
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この話にSF要素はありません。したがって、現実的に有り得る事態というか、実際に世界のどこかでは必ず起こっている事態。それが読み進めるうちにじわじわと染み込んできて、並みのホラー作品より怖くて残酷。最初から最後まで終始重い雰囲気になっている。 二人の少女がちょっとしたことから互いに興味を持ち、正反対のものを求めながらも近づいていく。読んでいくごとに辛い現実とそれに翻弄される二人が生々しくも表現されている。 この物語は著者が急に思いついて、すぐに書き上げてしまったものらしい。試行錯誤を繰り返した作品よりも、意外や意外、こうした突発的に書いた文章の方が力が宿っている場合もある。200頁に満たない本文に関わらず、この作品は伝えたいことをしっかり伝えきっている。 | ||||
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読み進めながら、ずっと涙が止まりませんでした。 子供ゆえの無力さが悲しかった、というような評もありましたが、無力なのは子供だけなのかな?自分が大人になりきれていないからそんなことを思うのかな?と疑問に思いました。 何も演じず、ありのままに暮らしている人はいないと知っている人にも、まだ知らずにいる人にも、読んで欲しい作品です。 | ||||
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砂糖菓子の弾丸に撃ち抜かれた。 目を覆いたくなるほど残酷で、狂おしいほど優しい作品。かなり痛い。桜庭一樹の代表作「ゴシック」シリーズとはちょっと違う、作風としては乙一氏を思わせる繊細さがあって、日常に潜む異常さの描写が特徴的。 主人公の少女山田なぎさの独特な語彙を通じて表現される寂れた地方都市の情景と、そこで生きる凡人達の日常生活という名の道化芝居の読後感の悪さは、この作品の軸になるものだ。父親は死に、兄はひきこもり、母は道化の生活。さて自分はというと、クラスメイトの道化芝居を醒めた目で見つめ、担任のつまらない人間性を横目で見ながら、どうせ一時の夢である恋心を抱いてみる。こんな至極日常的な不幸。しかし、はじめの一文で、そんなけだるい悲劇はもう相対化されている。ここの構成は桜庭一樹のうまさだ。そこに突如転校してくる海野藻屑という少女との出会いによって、そんな日常的な不幸がいっぺんにぶっ壊れる。何せ彼女は非日常的に不幸だったから。海野藻屑は、その名前と自分は人魚と言い張るところから、もうかなりイタイ。しかし、話が進むにつれて現れてくる、彼女の姿はもっと痛い。正直に言って全部読んでも、この作品が一体何なのかよくわからないが、何かがとてもよく伝わってくる。海野藻屑の登場で引っ掻き回された山田なぎさのけだるい悲劇はどんどんと侵食されてなくなってしまうのだ。神だった兄は人間に戻り、つまらない担任は実は大人だった。現実を変える実弾を求めていた山田なぎさは砂糖菓子の弾丸で戦う海野藻屑と出会って、自分も砂糖菓子の弾丸で戦っていたことを知る、ということだろうか。しかし、この陰惨な青春話は基本的に優しさにあふれている。一行一行の密度の濃さはさすがだ、桜庭一樹のイメージが変わった。 | ||||
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読み終えた後、仮に自分の身近に虐待を受けているらしい子供がいたとして、その子に何かしてあげられるだろうか? 助けてあげられるだろうか?そう考えてみた。以前なら間違いなく「可哀想に…」と思うだけで何もしなかった。 けれど1人の大人として、それでは駄目なんだ、手遅れになってから「こんなことになるなんて思ってなかった!」 「誰かが何とかすると思ってた!」と後悔しても遅いんだと、この1冊に気づかされました。 いつか自分が親になる時が来たら、その子には安心をあげたい…。 『今日もニュースでは繰り返し、子供が殺されている。どうやら世の中にはそう珍しくないことらしい、とあたしは気づく』 このなぎさの言葉が事実であることをとても悲しく思います。 | ||||
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「青春暗黒ミステリ」のあおりには正直「なんじゃそりゃ!?」ってかんじだったんですが読後このあおりは間違ってなかったなあと実感しました。実際ハードカバーで出てても違和感ない内容です、かわいいイラストが浮いてしまうくらい容赦ない話なんで(笑)いや、私はオタクなんでかわいい挿絵があったほうがお得だなーって感じですが。 虐待の話です。たった13歳で人生に絶望して妄想に逃避した女の子が出てきます。自分が人魚だと信じることで脆い精神の均衡を保つ危うく儚い少女がでてきます。 これは少女と少女の不均衡な友情の話です。 主人公が欲したのは世界に打ち込むことができる実弾、それは即ち経済力や自立心などを意味するものでした。自分の足と力で家族の生活を支えるための実弾。その友人が欲したのは甘い甘い砂糖菓子の弾丸、妄想の世界に打ち込むことで脆く危うい自我を支える虚構の弾丸。 少女たちはそれぞれのやり方で世界に弾丸を打ち込んでいた。 彼女たちは二人とも子供で、大人に庇護されなければ生きられないかよわい存在だったから。 けど、大人が庇護してくれない場合は? 自分が最も庇護してほしい大人から傷つけらてボロボロにされた場合は? 藻屑と渚の選択はあまりに切なく、藻屑に訪れた結末は不条理なものでした。 「砂糖菓子の弾丸では、子供は世界と戦えない」 読後、この言葉がいつまでも耳に残ります。 | ||||
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桜庭一樹の話を基本的にシンプルな話が多い。そしてシンプルである分、ひたすらキャラクターたちがなにを考えているかをていねいにそしてわかりやすく書きまくるのである。心理状態をていねいに描写し続けることは文章が難しくなったりする危険を常時はらんでいるが、著者はこの問題を実力で解決している。中学生から大学生のレンジに対してターゲットを設定しているが、もっと高年齢でも十分に楽しむことできる本だと考える。 | ||||
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最初でいきなりゲームのバッドエンディングを宣告されます。しかしなぜそうなったかについては分からないので、ついついやってしまいます。もしかしたら途中の選択肢でもっといいエンディングがあるかもと思うわけです。小説は1本道なので選択肢は無いわけですが、そんな中でも希有な希望を抱いて読んでしまう1本でした。 | ||||
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