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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全172件 101~120 6/9ページ
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「イタイ」話、ではなくて「痛々しい」ですね。どこもかしこも、現代の病理にあふれていて、読み進めるのが辛くなりました。 できれば十代で読みたかったけれど、大人になってからでも、じゅうぶん共感できると思います。文章もラノベ的で軽いようにみせつつ、いかにもな流行り言葉・若者言葉ではないので、大人でも嫌悪感なく読めます。 「大きな賞をとる作家は面白くない!」と勝手に決めつけていたけれど、ごめんなさい、これは面白いです。ぐいぐい引き込まれて、一気読みしました。 痛々しいだけでなくて、「イタイ」部分も多分にあって、ところどころで、吹き出してしまいます。だけど滑稽な描写のはしっこに、深刻なものがあったりするので、こんどは涙ぐんだり。 あと、かなり血みどろに「痛い」物語でもあるので、タイトルと冒頭の数行から、ほんわかしたストーリーを想像した読者は、ショッキングな場面に、目を背けたくなるかもしれません。 そして最初から終わりまで、胸が痛い。 ですが不思議な読後感がやみつきになりそうです。 文学の分野では、かなり久しぶり、「この人の本を全部読みたい」衝動にかられています。今、手元にないのがもどかしいです。 | ||||
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読むのが速い人なら1時間ほどで読めてしまうでしょう。 文章も難しい表現を使わず、会話も多いので、するすると内容が頭に入ってきて読みやすいです。 現実に対峙するために"実弾"を必要とする主人公、 現実から逃れるために"砂糖菓子の弾丸"を撃ちまくる藻屑。 でもそれだけでは、中身が大人なのか子供なのかなんて分からないのです。 必死に取り繕った上っ面を、どうにもならない現実が浸食するとき、結局何の力も持たない者は逃げ出すしかない。 こういった思春期の苦悩は語られ尽くしたテーマではあると思いますが、 それでもなお、ここに新しさや惹きつけられる魅力を見いだせるのは、主人公の兄の存在があるからでしょうか。 主人公の思いを余所に、どうにもならない現実が彼女を押し流すとき、何が失われて、何が戻ってくるのか。 あっさりとしていますが、素晴らしいラストシーンでした。 | ||||
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直木賞作家、桜庭一樹が昔書いていた、たぶんライトノベルスのミステリー。 引きこもりで優雅な生活を送る兄と、母との三人の生活の中、女子中学生の山田なぎさは一刻も早く社会に出て働きたいと願っていた。そんなある日、海野藻屑という変わった転校生がやってくる。彼女は自分を人魚だと言い張り、奇行を繰り返す。そんな藻屑にうんざりしつつも、なぎさは徐々に惹かれていき……。 表紙とあらすじだけで判断すると痛い目をみます。 なんだこりゃ、しょせん書き流しだろう、なんて思ってはダメです。(僕は思っていましたが) 内容は意外にもとてもシリアスで、多感な子供の頃の様子もしっかり描かれています。物語もさり気なく深く、そして悲劇的です。 こういうことってもしかしたらあるかもしれない。 どこかでそう思わせる力をこの作品は持っています。 最後に「それでも生きていかなきゃ」というように終わるのも、あまりにも現実的。 死の扱い方がやや雑ですが、でも面白い本だと思いました。 ちなみにですが、やはり表紙と、ところどころで出てくるアニメ風の絵はいただけません。電車で読んでいると恥かしいです。 | ||||
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 桜庭一樹著 を 先程読み終える。とある縁から読み始めたが、なんか心に残る佳作の映画みたいだな。 それもしょうもないセリフや、大根役者、ぶざまなカメラワーク、貧相なセット情景の出来の悪い日本の映画ではなく、「読んでいる自分自身がぼんやりと描く良質なイメージの世界」と言うに尽きる、つまり読者本人が心のなかで形成する無音無声の世界に心地良く浸りきれたという満足感と、その余韻を感じている。 前述の出来の悪い(日本)映画は、観る人がその映像世界に白けたり、ガッカリしたということやね・・誰とはいえんが、人気若手俳優とかがおだてられて作った映画のことやけど。 | ||||
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知人に進められて読んでみたのですが、あまりにも素晴らしすぎるが故に、四日間くらい落ち込み続けました。 ネタバレは避けますが、これほどまでに短くまとめて、内容がしっかり濃いものになってる作品は珍しいと思います。 ただ、優れているがゆえに、感動ではなくあまりにも可哀想で涙が流れました。正直あんまり人にはオススメしたくないです。 桜庭さんの不可避な悲劇を描いた初期作品で、桜庭さんファンには大いに価値のあるものなのでしょうが、自分にはショッキング過ぎました。 小説としては非常に優れているのですが、読むには注意が必要な一冊です。 ただ、素晴らしい作品である事はどうしても否定できません。 「どうせフィクションなんて作り事だ」と思える方になら、必読なのではないでしょうか? | ||||
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虐待される子供、引き籠る子供という現代的なテーマを、大人との戦場を生き残った子供が大人になれる、そして大人になるとそれを忘れてしまう、とヒロイン「なぎさ」の視点で、友人の美少女「藻屑」に起こった不幸な事件を回想するといった手法で描かれている。 虐待を虚言でまぎらわすヒロインの友人「藻屑」と、引き籠りでヒロインだけに理知的な話をする兄「友彦」は、いわば戦場でキャンディーでできた弾丸を撃っているようなもので無力であった。 結局「藻屑」は自身の父親に殺されてしまい、事件後、兄「友彦」はキャンディーでない実弾を撃つために、少し象徴的すぎる感もあるが、自衛隊に入隊することになる。 凄惨な悲しい事件であるはずなのに、猟奇的でもなく扇情的ではなく、美しく静かな文章で作者の力量が光る。何度も読み返したくなる作品。 子供だけでなく、忘れられた思春期の何とも言えない「子供を生き抜く」という不思議な感覚を回想をするために、大人にも薦めたい。 | ||||
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砂糖菓子で出来た弾丸では子供は世界と戦えない。 あたしの魂は、それを知っている。 桜庭一樹の出世作となった本作。 筆者が十八番とする、“あたし”の物語。 “少女には向かない職業” “推定少女” “私の男” といった順番で筆者の作品を読んでいるのだが これらの作品に比べると、“あたし”と“大人”の距離は遠い。 別次元の生き物として表されている様に感じるというよりも “あたし”は自分の見える範囲、認識出来る範囲でしか物事を捉えられない。 その象徴としての“教師”や或は“友人”なのだが 本作は“あたし”=“どこにもいけない無力な子供”を 先にあげた三作よりも強調して表現している。 無論それは筆者の作品を発表した順から考えれば逆であり 最近の作品になる程に、“あたし”と“大人”の違いを様々なテーマで 描く様になっているのであるが。 先の順番で読んでいる私にとっては寧ろ本作は、 無力故に、無知故に何も出来ずにただ現実を生き 次第に嫌悪している対象へと自身が進まざるを得ない現実を。 決して忘れずに、かつてそれらと戦ったという想いを胸に 世界を行きていく辛さを書き表している。 | ||||
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ドストエフスキーが創造したイワン・カラマーゾフが児童虐待を許す神の義を問うたのは19世紀だった。私たちは問いかける相手を持たない。神なき国で神の義を問う道は、生き残って世界と戦い続けることだけだ。この作品は、砂糖菓子の弾丸で世界と戦おうとした少女に生命を与えることに、確かに成功した。 | ||||
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タイトルからふわふわと甘いファンタジーものを想像していたらとんでもなかった。もともとはライトノベルレーベルから出版されたらしいが、単行本、一般文庫にして正解だと思う。もう随分と前に書かれたものなのに、まるでつい最近初版が出版されたかのような題材。作家名にひかれてたまたま手に取ったものだったが、読んでいて痛かった。でも読んでよかった。特に最後の数ページは新聞に載せてほしいくらい。最近、この本に出てくるクイズと似たようなものを小学校教師が子供たちに問いかけたというニュースがあって、びっくりした。教師も病んでる。 | ||||
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とある人からお勧めされて読み始めました。正直「ライトノベル」と言うジャンルには興味が持てない上に、ペドっぽいイラストが受け付けられないので不安に感じました。最初の30Pくらいまで読んだ段階では「文体が気持ち悪い」と感じました。「弾丸」と言う言葉を使う主人公。中学生特有の強がった言葉表現なのかもしれませんが。あと、実の兄、父親に向けられる思慕が、年上の恋人に向けられて入るものにも感じて、私にはちょっと無理…と、感じました。ただ、物語は90P以降からテンポも良くなり、面白くなって(引き込まれていく)いきます。冒頭で「海野藻屑がバラバラ死体で発見される」とあり、「何故彼女は死んだのか」「犯人は誰か」と興味をひかれます。また、話が進むに連れて、『発見当日』の描写が章の間に挟まれており、それを見ると「何故主人公は死体の場所が分かったのか」「何故引きこもりだったはずの主人公の兄が主人公と共に死体を捜しに来ているのか」と、読者の謎は深まるばかりです。100Pを越える辺りから、ストーリーのテンポも良くなり、読みやすく感じました。とある感想では「読者が謎に思った事が解決されてない」と言ったものがありましたが、三章で全てが明らかになります(と、私は思います)。ストーリーの題材が『児童虐待』『進学』『引きこもり』『学級内の孤立』と社会の抱える問題がテーマなので、万人受けする内容とは思えませんが、それなりに面白く読めました。冒頭でも述べられて入るように、海野藻屑は死んでしまいます(それも残酷な方法で)。そのため、主人公が幸せになれたかと言えばそうではありません。が、少なくとも、彼女の環境は良い方向に進んで行きます。それが主人公、読者にとって救いになったと思います。最終的には主人公も、その兄も、その歳なりに『自立』します。ダラダラと年齢を重ねるのではなく、「社会に生きる為の道」を共に選択したのだと思います。贅沢を言えば、もう少し、冒頭部分を簡潔にしてくれたほうが、読者は読みやすく(飽きにくく?)なったかもしれません。(作者によると、小説を1本上げたあと、イメージが浮かんで勢いで書き上げたそうです。それを編集に持って行くとトントン拍子で本になったとか。)キーとなる事件の発端の場面に行くまでは『背骨の無い』文章を延々と読まされているようで面白みを感じませんでした。(キー部分以降は流れるように進むのでサクサク読めました)編集サイドがもう少し頑張ってくれたらな、と思ったので、星は3つにしました。 | ||||
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元々がラノベだったからか非常に読みやすかったけど…。作者がなにを伝えたかったのかが理解できなかった。オチは冒頭にある通り。それでもヒロインに救いが欲しかったとか思うのは自分だけでしょうか。 | ||||
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タイトルに引かれて思わず手にとってしまいました。 思春期の少年、少女のあやうさ、残酷さ、アンバランスさがセンスのいい文章とあいまってよく表現されていたと思います。 残酷でヘビーな内容なのにどろどろとした感じにならずさわやかでちょっぴり胸が痛むような甘酸っぱい青春ものって感じの読後感・・・。 バラバラ殺人事件を作者独特の世界観、ポップで甘い文章で包み込んで全く違うものに変えてしまっています。 | ||||
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この小説を高校生の内に読めて良かった、と、叫びたい。 青春へと移り行く少女の自我。それを2人の対照的な少女の邂逅から描いた本書である。 主人公・山田なぎさは、母とひきこもりの兄というシングルマザー家庭で過ごし、兄を養うために社会的な自立に価値観を置くリアリスト。転校生・海野藻屑は美人だが空想ばかり言って周囲から浮きがちな儚げ少女。 一方的に藻屑に好かれたなぎさはやがて藻屑に惹かれていく。 子供にとっての大人とは、学校とは、青春とは、それらがどこか幻想的な筆致と共に残酷なまでに鮮やかに描かれていく。 青春とは、重みである。そのことを本書は私達のコンセンサスとして表明してくれた。 あなたが青春の渦中にあっても、あるいはそれを乗り越えた人であってもぜひ読んで欲しい。 しかしライトノベルを意識せざる負えない表現――決して稚拙だという意味ではない――も多々あり、一般受けはしないかもしれない。その点でマイナス1。 興味が湧いたなら、七竈と私の男も合わせて呼んでみることを薦めたい。 | ||||
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この小説はDVや引き籠りなどの社会的問題になっているテーマを著者なりに描き切った小説。 小説としては矛盾や構成に不備があるものの、読者に与えるメッセージ性は強烈なものがある。 社会問題に興味のある方はもちろんのことだが、現代社会で起こっている実際の事件を 他人事のようにしか受け止められない人には是非読んでもらいたい一冊だ。 | ||||
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ある日、主人公とその兄は必死に山を登っていた。見つけたくない“あるもの”を見つけてしまうために。生き残るために必要な弾丸を手に入れること。そしてその弾丸を手に入れるために犠牲となるもの…。砂糖菓子でできた弾丸では、世界と対峙することは不可能なのでしょう。 「こんな人生は全部、嘘だって。嘘だから、平気だって」 | ||||
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中学生の娘に薦められて読みました。 藻屑の皮膚の下にある痛み。 なぎさが実弾を欲しがる叫び。 貴族の兄から抜け出た薄もや。 ほんの少しだけ出てくる大人の現実。 桜庭さんの小説は初めて読みましたが、 惹かれて捉えられるというのでしょうか。 気がつけば世界に入り込んでいて切なかったです。 | ||||
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こういう雰囲気が好きな読者はいるだろう。 こういう筋書きもアリだろう。それを否定する気はない。 だが私は、ヘンに夢見がちな登場人物らがそれぞれに自慰に耽り続ける様がたまらなく気持ち悪かった。 中学生である主人公も、ニートの兄も、海野親子も、同級生の少年も、皆気持ち悪い。 おのおのが好き勝手に振る舞い、精神的自慰以外に興味を示していないように見えた。 登場人物らの言動が中途半端にリアリティを欠いているのが、上のように感じた所以だと思う。 リアリティがないならないで構わないのだが、リアリティのなさが面白みを持つところ迄は行っていないのだ。 とりあえず色々なネタを混ぜこぜにしてみました、といった印象の話だが、如何せん浅い。 児童虐待ネタも引き篭もりネタも掘り下げが浅い。ミステリ臭さも中途半端。 バカ丁寧に書かれた思春期の内心の揺らぎと、取って付けたような軽い残酷描写の落差も気になった。 最後のタナボタ的な収束も安っぽかった。 "実弾"および"砂糖菓子の弾丸"という比喩には感心したが、良かったのはそこだけ。 | ||||
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もともと2004年に富士見書房から出たもの。 著者のお得意の、少女を主人公とした残酷な犯罪の物語である。ひとかわむける前の作品であり、ストーリー自体には平凡な面が目立つ。どこかで見たような要素をつなぎあわせた話なのである。 しかし、文章の緊迫感とリリカルな味わいは一級品だ。ぐいぐいと読まされる。そして哀しい。 再読すべき一冊だな。 | ||||
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読んでみてまず思ったのは「せつない」藻屑が救われなかったこそこの物語があったのだろうが、藻屑には救われて欲しかった | ||||
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主人公「山田なぎさ」の一人称で語られる物語。 なぎさは、早く自分でお金という実弾を得たいと考えるリアリストだった。 そんな、なぎさの通う中学校に美しい転校生「海野藻屑」がやってきた事から物語が始まる。 彼女は現実とも妄想ともつかない事ばかり口にする。 そんな藻屑に、なぎさは苛立ちを隠せない。 そして、なぎさの傍にはもう一人、夢の世界の住人がいる。 それは引きこもりの兄「友彦」だった。 きれいで物腰が柔らかいが、自分の世界に閉じこもってしまった兄 そんな二人に挟まれたなぎさは・・・・。 この小説は、現実の苦しみから逃げ出したいばかりに夢の世界に入り込んでしまった藻屑と友彦 その二人に挟まれた「なぎさ」が、現実の世界で必要とされる弾丸、つまりお金や社会的な地位を求めながら それとは知らないうちに夢の世界に入り込んでいながら、そこから叩き出しされてしまい、現実に引き出される喪失感と悲しみが描かれています。 これは幻想の世界から少女が脱却する。 思春期の少女の苦悩と現実への回帰が主題だと思います。 つまり少女の成長を残酷な現実を見せ付けられる事で描かれています。 作品の中では何とも救われ難い展開が続きますが、この物語から少女の思いと共感するのは 誰もが思春期に抱いた絶望と喪失を、この物語を通して感じ取る事ができるからでしょう | ||||
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