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仄暗い水の底から
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仄暗い水の底からの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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水、特に海から得られるイメージは、明るく爽快で開放的なものである。だが、それと同じくして背中合わせに、暗くてどんよりして密閉的なイメージも孕んでいる。明と暗。昼と夜の違いで、これほど印象が変わるのも海が生きている証拠である。本書に収録されている七つの物語は、その海や水をテーマにしたホラー短編である。印象に残った作品から言及するなら、ラストの「海に沈む森」で描かれる恐怖は悪夢の総大将のような恐怖で、読んでいて背筋が寒くなった。映画化もされた「浮遊する水」や「穴ぐら」は生理的な嫌悪をともなう恐怖であり、これはダメな人はまったく受けつけない類の話だろう。どちらかといえば、恐怖というより嫌悪が勝ってると思う。「夢の島クルーズ」、「漂流船」、「ウォーターカラー」の三作はホラーそのままのテイストで純粋な恐怖、それこそ仄暗い海の底から漂ってくる臭気をともなった、闇に蠢くものへの恐怖を扱っている。こういうの描かせたらウマイねぇ。肌の粟立つ感じっていうの?もう、とんでもなく気持ち悪くて、究極に恐ろしい。「孤島」は、この短編集の中では少し感触が異なっている。ナチュラルな現象を扱っていて、ここには奇妙な存在も霊現象も登場しない。しかし、嫌な感触である。なんとも形容しがたい作品だ。これは長編に書き換えてもっと話をふくらませて欲しいなと感じた。ざっとこんな感じである。水がテーマなだけに、ホント嫌いな人なら生理的に嫌だろうなと思える場面が多く、そういった意味では虫酸がはしる作品集である。こういうイメージはなかなか頭から離れることなく、忘れたと思ってもふとしたはずみで思い出したりするのである。たとえば、排水口にからまった髪の毛を見たときなどに。 | ||||
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怖いです。リアリティーがあるから。夫と離婚して幼い娘と古ぼけたマンションで暮らし始める主人公。奇怪な出来事は引越し当初から起こり始める。部屋の天井にひろがる染み。それは日を追うごとに大きくなってくる。そして赤い幼稚園のバッグ。それは捨てても捨てても親子が行くところに追いかけるように現れてくる。屋上に誘われ、まるで友達と遊んでいるかのように会話をする娘。部屋の水道からは黒髪が流れ出し、不気味さはつのってゆく。その昔マンションで何が起こったのか…赤いバッグの謎、失踪した小さな女の子の謎、 これを読むと古いマンションやエレベータにはしばらく近づきたくなくなる。本と映画を両方見るとなおさら面白い。怖いけれどおすすめです。 | ||||
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どの話も水に関する話だ。7つめの短編は、プロローグとエピローグに関係した話になっている。どれも読んでいてぞくっとするが、本の内容そのものよりも、むしろ、そこに登場する人間の内面、心のうちにあるゆがんだ心理に恐怖を感じる。怖いのは怪奇現象などではない。生身の人間の心だ。そのことを強く感じるから、よけいにこの本に対して怖さを感じる。 | ||||
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水をテーマにした短編を集めた短編集。大部分の作品にお化けが出てくるのですが、お化けの姿ははっきりと描写されず、主人公がお化けの存在を確信するところで物語は終わっています。ですから、解釈の仕方によっては主人公の妄想と受け止めることもできます。このあたりが作者の腕前の見事なところで、あからさまにお化けを登場させてしまうと陳腐になってしまうことを心得て絶妙のところを引き際としているのでしょう。『浮遊する水』は『仄暗い水の底から』というタイトルで映画化されましたが、小説版と映画版では全くの別物です。ちょうどディックの『追憶売ります』が『トータル・リコール』へと大変身を遂げたように、『浮遊する水』で描かれた地味な世界の続きを思い切り派手に展開したのが映画版『仄暗い水の底から』という感じです。 | ||||
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水をテーマにしたホラー短編集ですが、どの話も読者を引き込む文章、ストーリー構成のうまさがあります。「リング」のような背筋がぞくっとするような話や、どんでん返しのある話、泣けてしまうような切なく感動する話もあり、話の幅の広さを感じました。まあ、ホラーなんでほとんどの話に幽霊が関わっていて、ちょっと飽きてしまうところもありますが。ただ、僕個人としては面白かったけど、それだけという印象です。読んでいるときは話に引き込まれてしまいますが、1冊読み終わった後にふと考えるとあまり印象に残る話がないように感じました。つまり、人から「どうだった?」と聞かれたら面白かったと答えますが、ぜひ読んでくれと人に薦めるような本ではなかったかな、という感じです。「リング」はお薦めですが・・・。 | ||||
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じーんわりめぐってくるこの感じは、恐怖や不気味さより、人と人をつなぐ絆の強さ、不思議さへの畏怖ではないか。感情を抑えた文章ゆえ、泣けるということはなかった。しかしこの短編が、それぞれしみじみとした読後感を残す。人は、人とつながっていこうとする。幼くても。憎んでいようとも。父と息子。夫と妻。男と女。子どもと世界。特に「穴ぐら」、大絶賛です。何度も読み返しました。愛してはいなかった、あなぐらにはまっただけだった。憎んでさえいたかもしれなかった。その夫と妻が、死の瞬間に驚きの姿で・・・。読後は恐怖と感慨で、ふぅ~っとタメイキでした。ミステリー嫌いが、ミステリーですっかり元をとりました。嫌厭してきた人にこそ手に取ってみて欲しい一冊です。 | ||||
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短編でありながら、最後まで読む頃には目に見えないリンクに気づく事になるだろう。 ホラーであり、ファンタジーであり、短編集であり、連続した物語であるという一見、鏡面的である内容もまた鈴木ワールドの面白さの一つである。 また、鈴木ワールドの隠れたテーマになっているのが「父性」。家族、そして父親とは何か?その重要性についても、隠れたテーマでありながらも実に鮮明に描かれている。 怖ければそれでいい、そんなホラーの時代を一蹴するかのような作品である。 | ||||
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恐怖の怖い小説だと聞いて半ば意気込んで読み始めたのですが、予想とは裏腹にそれほど怖いとは感じられませんでした。同名映画「仄暗い水の底から」の原作らしいと聞いてそんな恐怖映画の原作はさぞかし怖いのじゃなかと覚悟したものの、あまり怖くなく拍子抜けしました。怖い怖いと意識しすぎて読んだ影響かもしれませんがどの短編も怪しい感リンが出てきたと思ったらただそう思っただけだった「浮遊する水」然り、この出てくる女性はきっとこうだと神秘的に思い込んだら違っていた「孤島」があり、どれも自分の思い描いた恐怖世界と異なりその異なり方があまり怖さを感じさせなかったような気がします。おおよその予想された結末が途中で読めた「穴ぐら」他も怖いと話は余りありませんでした。その中でも「漂流船」は幽霊船が登場し、何か恐怖を感じさせる幽霊船は子供の頃にそういう怖い話を聞いたことのある経験もあいまってそれと照らし合わせてやはり少しぞっとさせられました。最後の「海に沈む森」からのエピローグへの流れは恐怖どころかにと小説の世界とはいえ、人々の不可思議なつながりを感じさせられてしまいました。初めて鈴木光司の小説を読んで今まで怖いと言うイメージでの気負いがまずは打ち消されてしまいましたが、他の小説も追ってみたいです。 | ||||
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和製モダンホラー最高水準の短編集で、一定の水準以上の作品が揃っているが、冒頭の短編(タイトルは「浮遊する水」だったかな?)の出来があまりにもずば抜けている。まさに現代の都市怪談のお手本のような作品。この作品の衝撃には及ばないものの、他も一定水準の多彩な作品が入っており、読書の歓びを満喫できる一冊になっている。 | ||||
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なぜ短編なのにこんなに怖いんだろう…今まで長編を読んでもあまり恐さを感じたことなかったけど、この本は読んで行くうちに自分のまわりで起こっているような気がして一瞬読めなくなった。1人で読んでいて背筋がゾクっとした。でもやっぱり先が知りたくなって読んでしまう。怖くておもしろい!泣ける所もあったので最後はなんだかほっとした気分になった。買って損した気分にならない本だと思う。 | ||||
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この本は、短編小説集で読みきりというのが、私にはピッタリでした!一つ一つに怖さがしっかりあって、良いと思いました。短編集だと、どうでもよくなる作品がいつも、いくつかはあったのですが、この短編集だけは「どうでもいい作品」はなかったんです!!それほど、面白い作品でした!!「リング」「らせん」「ループ」「バースデイ」のような、長いのはなかなか読めない、という人はこれを読んでみてはいかがでしょうか?同じ位の怖さを短編にもかかわらず、味わうことができます。 | ||||
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