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海辺のカフカ
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海辺のカフカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全520件 341~360 18/26ページ
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非常に興味深い作品でした。小説は本来前提とする知識を懇切丁寧に提示しないものですが、この作品には詳細すぎる引用がつき、しかも著者の解釈まで述べています。こうして、必要とされる教養を提示し、主題部分に入ります。教養の導入では絶対に誤読を許さない姿勢があるのに対し、主題部分は筋こそ丁寧に解説してありますが、メタファーが一義的には思えず、感覚的に分かっても、言語で説明するのは困難です。教養主義者と共に小中生にも開かれたテキストですが、知識に頼らずどこまで読めるかが測られます。教養人と呼ばれる虚飾を暴力的に否定している大作です。 | ||||
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村上氏の小説はこの「海辺のカフカ」が初めてなのですが、 冒頭からの独特の文章と編成に少し戸惑いました。 別々のお話が代わる代わる進んでいく形式には読み進めて慣れましたが、 田村カフカ側のお話がどうも読みづらい感じがしました。 「例えば〜」と長々語られる別作品についての文章は 正直、あまり読む気が起こりません…。 所々の性描写もストレートすぎてあまり自分の肌には合わないように感じました。 一方でナカタさん側の進行は淡々としていて読みやすく、和みました。 (猫の心臓のくだりは他の方も仰るように、少々気分が悪くなりましたが…^^;) 村上氏の作品は良い評価も多いので、 一度触れてみる機会が出来てとてもよかったと思います。 ですが、今後また作品を読みたいかと問われると…微妙です。 読書経験の少ない若者の意見ですが、少しでも参考になればと思います。 | ||||
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こういった作品に「謎解き」を期待するのは不謹慎なことかもしれません。当然、明確な答えなどは著者は用意していないでしょう。しかしそんな抑制も効かなくなるほど、細かな情景描写や心理描写がもどかしく感じられ、先へ読み進みたくなる作品です。 物語は、唯一「東京都中野区野方」を共通点とする、少年と老人の話が全く無関係に並行して語られ、上巻の最後でようやく関連を持ち始めます。 この2人のまわりに、さまざまな人物が行き来します。その中には、かなり浮世離れした人物が何人かいます。いわくありげな人たちの前史も明らかにされ、一幅の絵と、一編の曲に収斂していきます。 老人と少年がどういう形で出会うのか。あるいは出会わないのか。出会うとしたら、それはやはり瀬戸内海の向こうなのか。少年は母と姉にも会うのか。そして、父の予言どおりの展開になるのか。なぜ、老人は猫との会話能力を失ってしまったのか。少年と老人のどちらが罪を犯したのか。・・・などなど。 そして最大の謎は、戦時中に小学生たちを襲った「事故」でしょうか。・・・下巻に進まないわけにはいきませんね。 もちろんストーリー展開を離れたところで、じっくりと心理描写などを味わうこともできます。多感な15歳の家出少年の揺れる心と大胆な行動。実社会とほとんど無関係に生きている老人の純粋無垢な心と、実社会のただ中にいる人たちとの珍妙なやりとり。そして、ときに前触れもなく起こる超常現象の数々。 そして大島さんをはじめ、脇を固める人物たちの短くも印象的なせりふも、読者をうならせずにはおきません。 | ||||
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タフな15歳の不思議な魅力にひかれる。まだつながらない登場人物にもひかれていきます | ||||
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私は村上春樹のファンではないが、彼の主著はほとんど読んでいる。彼の小説はどれも、主人公の性格、モチーフ、文体といった点で類似しているが、この小説もその例外ではない。ファンは、また村上春樹ワールドに帰ってきたという感覚を抱くだろうが、アンチは、また同じパターンかよ、と感じるだろう。 私は村上春樹はストーリー・テリングの天才だと思うが、本書でも村上は天才振りを発揮している。ここまで読ませてくれる作家は少ない。他方で、本書が文学として捉えられることには若干違和感を感じてしまう。村上文学の「文学」たる所以は、その象徴性にあると思うのだが、この小説は彼の他の作品に比べると象徴性の点でやや陳腐である。下巻がどのような展開を見せるのか楽しみ。 | ||||
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一言で表すなら、無駄に長い。 無駄な面が多いと思う。 読んでいて深みがあまりないから、すらすら読んでいくことができなかった。確かに物語がひとつに収縮していくのは面白いんだけど、二つのストーリーを一つのものにまとめるための調整のために長さや描写の濃さに制限がでていたんだと思う。 でもこんな作品でも引き込まれるところはあって、後のところは結構つまらなかった。 | ||||
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このタイトルは良く聞いた事があったんですが、名作になる理由がわかります。ちょこちょこナカタさんについての過去のレポートがあったんですが、あの辺は流し読みでも問題ないと思います | ||||
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上巻で、凄まじい勢いで展開し、拡大し、膨れ上がった世界観は、やっぱり物凄い勢いで、急速に集約していきます。 登場人物たちはそれぞれ、自力で自分の宿命に決着をつける。 宿命を完全に消化する人、新しい運命を切り開く人、新しい運命を引き継ぐ人、みんなそれぞれ、帰るべき場所に帰っていきます。 漠然とした世界観を「メタファー」の一言で片付けているように捉える人が居るのも理解できます。 この作品に対して、「理解できない」「意味がわからない」という感想を持つ事は、ある意味当たり前で、ごく普通の感覚だと思います。 ただ、この作品は(というか、村上春樹の全ての作品通じて言える事ですが)、抽象の元になっている具象を敢えて明確にしない事で、最終的な解釈を読者に委ねているんですよね。きっと。 敢えて答えの余地を残す事によって、読者ひとりひとりが、それぞれ違う解釈や感想を抱く事が狙いなのだと、私は勝手に思ってます。 そしてそれは、決して読み手側に何かを押し付けようとしない、書き手側の優しさの現れのように思えます。 私は、自分自身が、この作品を理解し切れているとは到底思えません。 それでも、「世界の全てはメタファーだ」という大島さんの台詞は、私の中で凄く強く生きていて、何度も何度もこれに救われた気がします。 元々、人間の脳(或いは心)=フロイトの精神分析の構図を分解し、物語という時系列で再構築したものが村上春樹の作品であって。 海辺のカフカは、村上作品の中で最も、人間の精神構造とか魂、意識や意志のような、観念的な方向に迫った作品だと思います。 村上春樹自身も、この作品で新しい視座を切り開き、拡張している。だからこそ、読み手にもそれが伝わり、新しい何かが切り開かれる感覚を覚えます。 村上春樹の長編は、絶望と喪失の果てに、僅かだけど確実な希望が残る、という展開がお決まりだけど、この作品の果てに残される希望は、ちょっと他作品とは種類が違う気がします。 読むたびに、脳が浄化されるような気がするのは、私の勘違いかなぁ。 とりあえず私は、この作品が、村上春樹という日本が世界に誇る作家の持つ一番新しい能力の集約だと思っています。 | ||||
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全ての物語、全ての登場人物は、かつて分けられた自分自身を探す旅を続けます。本作はその旅の物語です。 シェイクスピアが随所に散りばめられていたり、カフカ少年が図書館で読む本が、夏目漱石だったり千夜一夜物語であったり、読者の目を欺く仕掛けがたっぷりと仕掛けられています。 でも、そんなイコンはこの小説の中であまり枢要な存在ではありません。 プラトン「饗宴」をモチーフにしていることがわかれば、この作品の持つ言葉の力や構成やキャラクターに対してその計算され尽くした言葉の選択に驚かされます。 これまでの、他者を見下し、関係を構築することを拒否し、希薄な人間関係の中で、自らの内面にも無関心な、「落ち着かない」などという意味のない言葉でしか感情を表現できない村上春樹の作品とは全く異質な、というより正反対なアプローチの本作に対しては、従来のこうした表層的な言葉の羅列が好きな読者からすれば裏切りにも近い受け止め方をしたのもよくわかります。レビューの評価が割れていることがそのことをよく表していると思います。 しかし、本作は傑作です。 素晴らしい。 | ||||
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村上春樹氏の本を初めて読みました。なんとも不思議。確かに性描写が非常に多いです、私は過激すぎるものは苦手な部類です。グロテスクな描写もあります。でも止められない。読みだとすと次へ次へと進んでしまう。不思議な力があるみたい。読み終えた後、数時間たっても余韻が抜けません。物語に入り過ぎてしまうので、出来るだけ家で読むようにしました。感じ方は人それぞれですので、やはり嫌いな方もいるでしょう。でも私は友人に勧めたくなりました。そして感想を聞きたくなりましたよ。 | ||||
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登場人物のキャラクター設定が、とても奇抜。まず、そういう設定を置いて書ききってしまう筆力に脱帽です。 15歳の田村カフカ少年の老成した感じ、大人顔負けの自己規制、行動力、判断力。そうなった背景があるにしろ、60歳を超えてるナカタさんが文字が読めず、会話のしかたも素朴で素直な感じ。この年齢とキャラの対比が面白い。 他の登場人物サイキさんや、大島さんの設定もかなり超個性的。 しかも、これらの主要な登場人物は皆、なんらかの問題や弱点を抱え、社会的には弱者の部類に入る。子供、老人、50過ぎの複雑な過去のある女性、ネタバレになるので書かないが、大島さんもそう。 しかもカーネル サンダース やジョニー ウオーカーまで出て来るので笑ってしまった。 これらはトリックスターとして書かれてる。 神話をベースにして、様々な古典を読み込みながら、宮崎駿の物の怪の世界じみたエンターテイメント性を付加してる。よーく、読むと、つじつまの会わないところや無理のあるところもあるけど、そこはそれ、読んで楽しむものですから。 身体感覚の扱い方、性への態度、音楽への視点、善悪の基準については、かなりはっきりした作者の視点が出てる。 そこに、はっきりとした「現代性」を感じる。 もりだくさんながら、優れたエンターテイメントなのですっと読める。 哲学や、神話学、心理学、音楽の知識の背景を持って深読みしようと思えばできるようにも構成されてるのは、さすが。 | ||||
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「15歳」の少年が大人になることをテーマにした小説。文字を無くした男、エディプス・コンプレックス(=「父殺し」)、夏目漱石論(「三四郎」と「坑夫」の比較論)など、その他色々な文学的モチーフが重ねられるつつも、メイン・モチーフとしては、残酷な「世界」「他者」と少年がいかに向き合うようになるかが、いつも通り内向的で非現実的なストーリーで語られる。 明らかに、発表当時に不可解で血みどろな事件を色々と起こしていた「壊れる10代」をターゲットにして「大人になること」を一生懸命に語ろうとした作品なのだが、不幸なことにこの作品は実際に壊れている10代よりも、「大人になりきれない自分」に若干ナルシスティックな魅力を感じる20代〜40代の読み手に熱狂的に支持されたのだった。もちろん、そんな読み手達を相手にして「大人になること」を語る意義は十分にあるが、一番読んでほしい読者層に届かなかったことは、作者とこの作品の不幸な点だろうと思う。 この「ブンガク的」で居心地の良い内向的世界が、本来「大人」であるべき年齢層の日本人に受ける状況は決して健康的ではない。(村上作品の効用の1つには、「大人であること」に疲れた大人達の癒し本としての効果がある。)そろそろ、僕らには「こんな時代に大人であること」を愚直に考えた文学作品が必要なのではないか。だって、村上春樹がトップランナーになってからこっち、僕らはもう20年くらい同じトラックの上をグルグル回ってるんだぜ。 | ||||
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村上作品の「世界の終わり…」のように、登場人物の話が平行して進んでいき結果的に交わるところが楽しめます。万人受けではないと思いますが、小説に現実やリアリティを求めるよりも、その世界観そのものを味わうことに意味があると感じます。例えば、図書館の縁側から見える庭、森の中の静けさ、『海辺のカフカ』のメロディーや、絵の中から向けられたまなざし…。想像するそれらは想像でしかないけれど、確かなリアリティを持って物語の世界を静かに語りはじめます。そこに耳を澄ますと色々なものが見えてきます。ちょうど風の音を聞くように。 | ||||
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皆さんのレビューが奥深過ぎて気が引けますが、一読者から一言すごく面白かった村上春樹さんの書く食べモノや洗濯や掃除するシーンはリアルで、何故か読んでいると癒やされます | ||||
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上質のエンターテインメントでもあり、「いまの時代を生きる」ことの意味を考えるヒントが沢山あり、なんとも欲張りで、素敵な世界でした。私を含め、多くの人々の支持を得られることでしょう。ただ、本当に書きたかったのは、少年のカフカではなく、「60歳のカフカ」ではなかったのでは内でしょうか。 | ||||
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ノルウェイの森の後に読んでの感想。 抽象的メタファーがあるものの中身がないよう。曖昧に書いて、読み手が想像(誤解)して深みがあるように見えているよう。 どちらも思春期の男が旅先で少女の裸と出会い成長。もう少し異なる男女関係の話を読みたかった。 過去の傑作をオマージュしているものの、その方法が夢落ちというのが…。「日本を代表する作家」らしいスキルを見せてほしかった。 | ||||
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これはこういう意味じゃないかとかあのエピソードはここに繋がるんじゃないかとか、いやそうだとすればこの台詞が矛盾するとか、一つ一つの事柄にとらわれて散々考えに考えた挙句、ふと「もしかして書いた本人はそこまで考えてないんでは」という疑念に駆られる小説。 だがその答えの出ないパズルを解いている感覚こそが、この作品の最大にして唯一の面白さではないだろうか。 村上春樹は多くの作品の中で時空に囚われない普遍性について描こうとしているように思うが、そしてその発想や切り口はいつも面白いのだが、どうにも魂に響かない感じがする。 パズルに夢中にさせて、深読みさせて、引用して、「メタファー」の一言で煙に巻いて、実は何もないことをごまかそうとしているような。 とは言え十分に楽しめる作品ではあるので、読書に何を求めるかによっても大きく評価が分かれるかもしれない。 | ||||
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80年代デビューの頃から村上ファンですが、初期の頃の透明な空気感が薄れ、暴力性の部分が大きくなった感じを受けました。数年前に読んだ時はこう思ったので、最近になって再び挑戦してみましたが、やはり同じ感想を持ちましたし、展開も複雑すぎて少し心が離れました。けれども村上作品をチェックせずにはいられないファンなので、もう少し様子をみようと思います。 | ||||
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この本の独特の世界観が好きです。主人公には今ひとつ共感できませんでしたが、大島さん、星野青年、ナカタさんの3人がすごく好きです!最後まで謎が残り続ける作品で消化不良なところは多々ありますが、それはそれでいいんじゃないかな、と。想像力をかき立ててくれる作品でした。 | ||||
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この本の中で私が秀逸だと感じたのは、「闇」のとらえ方です。 闇とは、文字通りの夜の闇と、私たちの心の闇の二つを指します。上巻P476あたりのくだりで、古来この二つの闇は同一視されていたことが、源氏物語を例に挙げながら説明されます。源氏物語では「生き霊」が頻繁に出てきますが、これは人の心の闇、隠れた感情が空間を超えて霊となって現れたものです。六条御息所の生き霊は、夜の闇をすり抜けて葵上の寝所を襲いました。要するに、現実世界の「距離」という概念が、闇の中では意味をなさないわけです。 このことを踏まえて現代に目を向けると、夜の闇はすっかり消えてしまったが、心の闇≒深層心理はそのまま残っています。夜の街は電灯で明るく照らされるけれども、人間の心を照らす電灯なんてものはあるわけもなく・・・。「海辺のカフカ」では、この深層心理を描く部分に大きな比重がおかれています。なので、少なくとも「冒険小説」を期待して読まないほうが良いかと思います。 いったんこの小説の世界観に引き込まれると、最後まで一気に読まずにはいられません。主観では文句なしに☆5つ。 | ||||
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