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海辺のカフカ
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海辺のカフカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全520件 321~340 17/26ページ
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相変わらず内省的で感傷的で自己愛に満ちた主人公(=村上春樹本人??)が紡ぎ出す、自己発見の物語ですが、非常に面白いと思います。主人公の愛の行方、その結末は近親相姦的で非常に胸くそ悪い感じではあるのですが、あえてその禁断の部分に踏み込んでみせたぜよ!って主張を感じて逆に潔し、って感じですね。村上作品群の中でも中々面白いと思います。 | ||||
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15歳の少年の家出。そこから物語の扉が開く。実はかなり不思議な話だ。最初は、現実的な話のように思える。それがすこしづつ、そうとは思われないエピソードが絡んで境界があいまいになってゆく。 主人公の少年。カラスと呼ばれる少年。ナカタさん。関係を示唆する2つの世界。中野区、山梨県、高松。細部の描写にこだわった平易な文体。神社、銀色の物体、猫、図書館、血、シューベルト、高知の森、ロードスター。 多くの謎と暗示。予感。効果的な小道具の配置。よく練られた写実的な表現力。静と動。細やかな心理描写。ありそうなこと、そうでないこと。いろいろなシーンが交差する。しかし、けして混沌とはしていない。そして、物語は少しづつ深みを増しながら展開する。 さくらさん、大島さん、佐伯さん、星野さん、ジョニー・ウォーカー。西洋の古典や近代文学からの引用。父が遺した予言。生霊。そして、海辺のカフカ。 読んでいて抵抗感や違和感は生じる。それも計算のうちかもしれない。とりあえず、この世界に身をゆだねてページをめくってゆけば、それなりに楽しめて、そしていつの間にかハマっている。個性的な作品だ。 厚さはあるようだが、活字は大きく、行間も広め。これを読むのに見た目ほどの時間はかからない。 | ||||
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いちおう小説という形態ではあるが、読み手の創造力によって物語にもなれば単に某大な文字を見たに過ぎないともいえる厄介な作品である。前半はカフカとナカタさんの物語が交互に意図的に配置され、どこで接点が生まれるのか読者の興味を高まらせてゆくが、後半(下巻)は読者の創造と想像力によってどうにでも解釈してよい作品である。この作品を読んだ読者は現時点で「村上春樹」が意図している地点まで到達しようと思わなくてもよいのだと思う。カフカは読者其々の真相心理の闇の中に潜んでいるかもしれないし、そんなものは潜んでいない人もいるかもしれないからだ。それにしてもこの小説には行間を読み説く箇所が全くない。まるで映画を見ているかのように上巻から下巻まで読み進んでしまう。それだけ描写が詳細なのか内容が不可解なのか?「本を胸にあてて登場人物の心理を考え込む箇所がないんですけど春樹さん!」と思わず言いたくなってしまう。 しかしこの小説には意図的にか単なる諧謔か魅力的に作られた面白いキャラクターが多い。中日ドラゴンズフアンの「星野」青年。猫とは話せるが人間(おそらくスポーツ・ライター等の類であろう)とは話さない(話せないか)中田さん。大阪では行方不明になったままなのになぜか四国に現れたカーネル・サンダース等々。 とりあえずこの小説は一度肩の力を抜いてさっと読み終えて、いつか読者の心に響くものができた時にゆっくりと腰を据えて読めば良いの類の物ではないかと思う。 | ||||
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村上ワールドがわからないとむずかしいかもしれないですね 田村少年の内面の世界とそれを取り巻く父や佐伯さん大島さん 一方のキーマンであるナカタさんとホシノさん 深く考えずに読み飛ばす感覚のほうが、15歳の主人公の理解に つながるとおもいます。 | ||||
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マイクロソフト日本法人元社長の成毛真(無類の読書家)が勧めていたのがきっかけで読んだ。 初めての村上春樹であったが、読者を引き込む技はさすがだと思った。読書を楽しむ本としては悪くない。 何かしらのメッセージを持ってはいるが、白い怪物に代表される突飛な部分が 二流のおとぎ話風な印象を与え、強烈に心に突き刺さるほどではない。 名作には、作家の魂の底から滲み出るものを感じるが、 この本は、読み手や、その評判を意識し過ぎという感じがする。 ほかの村上春樹作品を読んでみたいとは思わなかった。 | ||||
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要は、村上春樹さんの創る作品が好きかどうかなんですよね。クセがあるのは事実です。村上春樹さんはもともとそういう方ですし、一般的な小説と比べたら、なんだこれと思う様な表現もかなーりあります。一見逃げのようにも見える、はっきりとしたもののないストーリーや人物、なんとも言えない読後感。人物描写にしたって、普通の小説には考えられないような表現のオンパレードですよ。なんかもう、気持ち悪いぐらいの変態的な描写もあります。 と、まあ「村上ワールド」とも言われるように、良くも悪くも独特なので、とにかく一回読んでみた方がいいでしょう。レビューを見るぐらいなら、図書館に足を運ぶとか、買ってみるとか、すべきです。こういう超前進的な、いわゆるアーティスト思考の作品は、内容がどうのこうの言っても、及ばないんですよ。あまりにも突飛しすぎているから、結局は自分の目で判断するしか無いんです。それで自分の中でウケたら良し。ウケなかったら処分するなり何なりと、ってところです。 どちらにせよ現代小説を語る上では、やっぱり外せない存在ですし、読書が趣味というお方は、一度は触れてみては如何でしょう?そんなに高い買い物でもありませんしね。 | ||||
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SF 青春 家族 思春期 バイオレンス 全ての要素を盛り込んで物語が一気に流れていく。 素晴らしいのめり方をさせてくれる傑作です。 それぞれの人間に語らせる言葉のひとつひとつが自己への対話を促すような気さえする。 本の分厚さをものともしない、読み終わりたくない面白さです。 | ||||
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村上春樹の本はこれが始めて。有名作家の著作物は呼んでおかなきゃ名と言う気持ちで、タイトルだけは知っていたこの文庫本を買ったが、読んでいて実に退屈極まりないと感じた。上下2冊同時に買ったものだから、途中でやめるのももったいないと思ったので我慢して最後まで読んだが、結局、面白いと言う印象はもてなかった。しかし、妙に印象に残る場面が多く、面白くないと思った小説でこのように文章の内容が印象に残ったことは過去に無く、これが村上春樹の力なのかなと。もう一度呼んでみようと言う期には今のところならないが、印象に残った不思議な感覚。 | ||||
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この作品はとても構成をしっかりと考えて書かれている。 本質的には一人の少年が父親を殺して(あるいは乗り越えて)心理的に成長する話を カフカ少年とナカタさんの2つのストーリーを平行して語ることにより、再構成する 表現方法をとっている。 カフカでは、少年の内面を丁寧に描き心の成長を描いている。一人称で語られるのはそのためで 、内面の複雑さを強調できるようにするためかもしれない。また、ナカタさんでは実際の事実を 無機質にたんたんと描写している。暴力や外的なかかわりなどを。ナカタさんに心がないと作中で 表現がなされたのも、物語の外的な部分を担っていたからだ。 つまり、ひとつの事件を分解して再構成している小説ということだ。より、事象を丁寧に描写するため ではないかと思った。 | ||||
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家出したナイーブな少年と 奇妙な事故に巻き込まれて不思議な力を身につけた老人の 両面から語られるストーリー. 読んでいると全体に視野が狭く世界感に広がり感じられないが 両者とも社会的には弱者であり そういう目線を意識しているのかもしれない. 計算づくだとすれば高度な表現力である. 前半は少年の内面の描写と老人の半生の説明に多くを費やし なかなかストーリーが進まないが ある事件からストーリーは急展開し 2人の運命が接近し始める. 下巻に待ち受ける結末に期待が高まる. | ||||
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物語が進むうちに主題が、「世界の不条理」から、いつの間にか、「内面の問題」にすりかわってない?なんか、TV版エヴァと同じ様な、肩透かしを喰らった感じこれがセカイ系ってやつですか?あと、物語の中の社会問題の扱い方に、引き付けられる物がないなぁ | ||||
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村上春樹『海辺のカフカ』上下巻、新潮文庫 久々に読み返してみました。2002年に刊行されて、すぐに購入して読んだように記憶しているから、ぼくが20歳か21歳の時です。ずいぶんと前のことのようにも感じるし、つい最近のことでもあるようにも感じます。 記憶というのはやはり不確かなもので、まるで新しい物語を読むかのように楽しむことができました。なんとも燃費の良い話です。もちろん大枠としては「読んだことのある物語」なのですが。 次に読み返すのは、きっとぼくが30代の半ばくらいにさしかかったころだろうか。楽しみだな。 はじめに読んだ時にも(たしか)感じたことだと思うのですが、ナカタさんとホシノ青年というふたりのキャラクターは、もちろんぼくにとってはということですが、村上作品における傑出した登場人物であるように思います。佐伯さんや大島さんのような深み(かげ)は感じられませんが、それを補って余りある魅力がふたりにはあるように思います。何と言えば適切かわかりませんが、広がりみたいなものが。 なにはともあれ、次は『少年カフカ』を読もう。実を言えば、今回『海辺のカフカ』を読み返したのも、この『少年カフカ』(村上さんと読者とのやり取りを記録したマガジン)を読むためのものだったのです。ああ楽しみだ。みなさんどのように『海辺のカフカ』を読んだのだろう? | ||||
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この小説は大人の童話です。あまり理詰めで読むと裏切られます。ありそうでもなんでもない【―実際には,このような時空の捩れは存在すると私自身は信じていますが―】,荒唐無稽なファンタジーです。しかし,死を悼む気持ちを持っている人ならば,結論部分は納得できるでしょう。ただし,結論部分は死者から生きる者に向けた素晴らしいメッセージです。 ところで,私は比較的熱心な村上春樹の小説の読者ですが,この物語の手法は,けっこう手が込んでいます。村上春樹にしては珍しく,精緻に筋を組み立ててから書いています。その点が新鮮でしたね。酷評もわからなくはないのですが,読む価値は大いにあります。他の小説以上に頁を繰りたいという気持ちが湧いてきます。というわけで,星は五つ星です。 (ここからは作者への注文。長野県で起きた集団睡眠事件前後の硬質な文章―たとえば,担任教師の手紙や軍関係の報告書の文章―がもたらす緊張感という手法を作品の要所要所に利用して欲しかった。後半はスピード感と詩的な隠喩に満ち満ちていて,それはそれで悪くはないのだが,もう少し,息の長い散文の魅力を表出して欲しかった。人物像の形容が中途半端な気分にさせられたのが,佐伯さんと星野くん。これは,想像力の貧困とこちらが指摘されそうだが,映像的なイメージが湧かない。もう少し書き込んで欲しいところ。徳島,高松の街の描写も余計な情報だから省いたのだろうが,星野くんの目を通じて,もう少し欲しい。リアリティー描写と夢幻世界の描写は必ずしも二律背反ではないのではないか・・。春樹君,生意気な事を申し上げてすまない。) | ||||
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内容は深い。視点も相変わらず先を行っている。作者の文章力、構成力はずば抜けているから読み応えもある。でも、肝心の作品自体にオリジナリティがない。折衷主義に逃げていると言ってもいい。どこかで見たことのある展開。あふれかえる引用とオマージュ。 同じことサリンジャーが行ってなかったっけ?この言い回しはまるでブローティガンだなぁ…などなど。 別にそれが悪いというわけではないけど、春樹の場合、いつも引用が有機的に物語と結びついていないから、単なる情報の寄せ集めに見えてしまう。そのような作品からは、知識を香水のように振りまいた文化人の自意識しか感じられない。先人たちの功績を器用に盗んで、うまく消化して、それを「自己完結的に」混ぜ合わせているに過ぎない。そしてそのようなオムニバス的な物語が評価されてしまうということは、これからの文学のことを考えると非常に残念なことだと思う。 異質な人々との邂逅や不可解な謎。日常を揺さぶるそれらのファクターはすべて均等に薄められ、あるいは適度に誇張されて「エンターテイメント」として物語の世界にたち現れる。それを捏造とは言わないが、なんとなくシステマティックでよそよそしい感じがするのは、描写が淡々とし過ぎて生々しさが感じられないから。そして悲劇のファムファタールは主人公と交わり、搾取されて、人形のように「美しく」生き絶える。それがまた女性のナルシシズムをくすぐるのだ。まるで秀才の答案用紙のように、悲劇さえもきちんと整えられたこの物語は、素晴らしいと同時になんともいえない虚無感も抱かせる。 また、いつものように、登場人物が饒舌だ。そしてその口調もやけに「説明的」でわざとらしい。物語を読むと言うより、なにかの授業を受けているような気がする。登場人物を説明的な口調にしてしまうことで、本来のコミュニケーションのもつ自然さ、素朴さが失われてしまっている。それにやたらと読者を啓蒙するようなセリフが多いのもなんだか説教されてるみたいで不快だ。 | ||||
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自分自身を見つけられず、影を引きずったように生きている人たちの物語を 通じて、人間として生きていることの意味を問いかけている本でした。 答えは提示されていません。答えが無いためスッキリしない感じもします。 登場人物が悩みや苦しみ、迷いを背負った人たちなので、暗い感じもします。 それでも、人間として生きていることの意味を、たまには自問してみる価値 があると思われる方にはお勧めです。 生の意味だけでなく、日常の生活、勉強や仕事に明け暮れる毎日の中で、あ まり考える機会が少ない友情、血縁、愛情などの基本的な問題も考えさせてく れます。 佐伯さん、星野青年などの登場人物はそれぞれ異なる答えを持っており、カ フカ少年がたどり着く境地も他の登場人物とは異なっています。どれが正解か 明示的な示唆さえありません。解答の付いていない問題集を買ったような物で すので、イライラする人もいると思います。 ミステリー小説のように謎が解決することもありません。空から魚が降って くるような怪現象が起きても原因について合理的な説明や解明が無いままだっ たりします。他にも理不尽な現象が現実世界に起こりますが、その原因に対す る合理的な説明はありません。 解答や説明がが無いと落ち着かない人にはこの本は無理かもしれません。お まけに、登場人物が影を引きずっているので、トーンも暗いです。 それでも、良質の問いかけをしてくれる良い本です。 | ||||
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過大評価されているこの作家の、愚作中の愚作である。このような子供だましのような作品が出版されること自体が不思議である。読むだけ時間の無駄としか言いようがない。具体点は、すでに悪い評価を与えているレビュアーの方々によって網羅されている。 カフカ少年の部分は、15歳の少年の視点から書かれているのだろうが、その言動が老人のそれであって失笑だ。ナカタの部分は、月並みな想像力の結晶のようなもので、そこらの漫画の域を出ていない。全般的に、やたらと説教臭く、そんなに説教したいのなら、小説など書かずに論文でも書いたほうがいいのではないかと思ってしまう。また、いたるところに作者の病的な心理状態がかいま見られ、そのナルシシズムに辟易する。 海外で評価が高いと聞くが、おそらく一部のマニアックな読者に評価されているのではないだろうか。とても日本文学を代表する作品として胸を張れるような作品ではない。 | ||||
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いわゆる「アンチ村上春樹」と自称する人達がいます。私はそうではなく、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を頂点とした氏の青臭くも緻密な80年代の作品群を愛好して来ました。ですが一方、こんなのはマトモな文学じゃないとする意見にも内心少しだけ同調も出来たのです。いわば、“自閉症のハードボイルドごっこ”とも言えなくもない世界観はお世辞にも外向きではないですし(逆に言えば「何か」を共有できればとても親密になります)、作品強度を上げるための“非常に緻密な描写/文学や音楽に関する豊富な知識の引用/謎掛けと焦らしによる巧みなストーリー・テリング”は、賞賛に値すると同時に、冗長というか読者を“なんだか解らないけど解ったつもり”にさせるような危険も孕んでいます。そして、意味がありそうで無いようなもどかしさ... 自覚的に読書している人達はここで“ちょっと待った”をしたくなるかもしれません。 さて、21世紀になって発表された本作。ここでは、今までとは少し異なる変化があります。さんざん謎掛けをしておいて、結局ろくに明かさず放り出すという手口はいつもと同じですが(笑:好意的に解釈すれば、読者に委ねるとなりますが)、その読後感は以前よりも解放感があります。閉塞感や諦観は少し後退して力強さが加わったか、と。生々しさを備え始めた性描写や振り切った残酷描写は、以前のイメージに対する挑戦とも受け取れます。それから、登場人物達の「顔」が見えるようになって来た事。ユーモラスな「ナカタさん」と星野青年のコンビは新鮮でした。その一方、主人公はまだ“のっぺらぼう”の印象が強い。しかも、家出をして目立たぬよう気をつけている少年の選んだ偽名が「カフカ」と言うのも... なんでもメタファーで切り抜けるのは少し苦しいような気もします。 そして、本作では自我/孤独/死(及び死後の世界)と言った従来からのテーマに加えて、一種相反するとも言える(疑似も含めた)家族=愛というものが大きく取り上げられています。そこでも、男女愛とオーヴァーラップする母子愛という表出がユニークです(この場合、前者は互いに一方通行になっていたというのが私の解釈です。もちろん、そうでないかもしれません(笑))。一方、皆さんはあまり触れていませんが、父性を媒介にしたもう一つの流れも興味深いです。この辺りの意図が明確なので、単なる謎解き(遊び)に終わらない手応えがあるのかな、と思います。 総じて作者の苦闘が垣間見える作品と思いました。ある部分は見事に成功していて新しい境地も開拓し、ある部分は不完全なまま放置されているようです。ですが、この作家がそういった自分自身を見せ始めた事に私は期待―そして、希望を感じました。なので、アンチの人にもオススメかもしれません。 | ||||
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村上春樹さんの小説を読むのは初めてです。最近の話題性で、空港で何となく買いました。 表面上のストーリーがどうなっていくのか気になって、面白くて、どんどん読み進んでいきます。 それに織り交ぜて、あるいは、表裏一体のその裏側で、ナカタさんに代表される登場人物などを通した、多くの比喩的・暗示的な表現で、現実と非現実の境界線を超越して、人間の内面世界に深く入り込んでいきます。 そんな非現実的な話はただのおとぎ話だ!と言い切れない、人間にとって、現実の問題として、とても重要なことに触れようとしていると思いました。 村上春樹さんは、読者がそれをどこまで、どう読むのかと、チャレンジしていると思えてなりません。(まさか、あっかんベーはしていないでしょうが) 私自身、矛盾に満ちた読後感でびっくりしています。 娯楽をもたらす読み物としてとても面白いです。でも、その単純な面白さとは別のところで、深く心に響く表現がびっくりするほど沢山出てきました。 読者を俗な形で引き付ける、スピード感のある、ストーリーでありながら、非常に深い、いってみればややこしいナゾかけで、人間について考えさせる表現が交錯していています。 美しい小説とは思えないので評価は★三つですが、それ以上の余韻に満ちた読後感をもたらしました。 | ||||
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評価が分かれるのも無理はないかな、と思う部分もありましたし、 明確な「答え」が提示されていないのにもやもやしたりもしましたが、 間違いなく傑作だと思いました。 ものすごく簡単に言ってしまえば、これはある少年の成長の物語。 だけど、とても切ない物語。それを魅力的に書き上げてくれています。 性的表現は露骨ですし、最終的によくわからないまま終わってしまった ふしもありますが、そんなことはどうでもいいのです。 ただ切なく、それでも美しい話でした。 星野青年は第3の主人公です。 彼の考え方は私の考えにとても近いので、非常に身近に感じました。 彼が喫茶店で考えるシーンがとても好きです。 | ||||
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私は、このような長編小説を読むのは、久しぶりでした。 リアリティーのないストーリー。ファンタジーとも、SFとも言えないような世界。だけど、そのストーリーには、リアリティがある。 読み進むにつれ、リアリティーのないストーリーに、真のリアリティーを感じました。普段のコミュニケーションでは、通じることのできないような、複雑な深層心理を小説に表現していて納得させるからだと思いました。ふたつの大きなテーマを感じました。『暴力の意味』、そして『記憶と喪失』です。 それから「メタファー」という言葉がキーワードになっているのか?と、思うほど、よく、使われています。私は、これを読者に対するキーワードのように考えました。この小説は、私の心、そして読者の心のメタファーなんだと。 語り得ないものを語るために小説はあると言うのなら、村上春樹さんの小説は、まさしくそれだろうと、思いました。 | ||||
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