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首無の如き祟るもの
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首無の如き祟るものの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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必ずしも古典的本格作品とは言えない作品である一方、本格推理ファンのつぼをくすぐるネタはそれこそ満載で、あざとさすら感じます。ほとんどやりすぎ。 古典的本格部分のメイントリックはわりとあっさりしているのですが、「信頼できない語り手」を自然に用意した上で、これでもかと何層ものメタ記述を重ねて真相を隠蔽しているやり方は秀逸。それでいて記述もなかなかフェア。サービスといえば、「厭魅」読者がにやりとする場面もあります。 京極的題材を扱っているにしては文体がちょっと軽いのと、狙い過ぎな(笑)感じがするのとで一つ星を引いときます。 しかしねえ、「減門七味」の『猫婆』ってねえ、猫好きで有名な加門七海のファンよ怒るべし(笑) | ||||
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内容知らずに買った久々のヒットだった。 やっぱりこういう雰囲気の物語は昭和20から30年代くらいが良く似合うように思える。 | ||||
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ミステリではお馴染みの〈顔の無い屍体〉 トリックの巧緻なアレンジが秀逸な本作。 跡取りとなる男子を祟りから護るため、その姉妹を身代わりにするという、男尊 女卑的な因習に支配された旧家を背景に、次々と首なし殺人事件が起こります。 跡取りの周囲には、不審な死を遂げた二卵性双生児の妹や、その事件の後に行方不明となった娘の使用人、 そして、跡取りと交流のあった男装の推理作家など、思わせぶりな属性を持つ人々が配されており、作者は、 それらの登場人物を操作し、幾重にもトリックを掛け合わすことで、過去に多くの作例がある〈顔の無い屍体〉 テーマに画期的なアプローチを行うだけでなく、真相を導き出す、スマートな手筋の構築まで実現しています。 また、本作の大部分は、事件が起きた村に住んでいた作家が、時を経て 当時を回想し、雑誌に連載した小説という体裁の作中作となっています。 この趣向には、本作の真相にかかわる、メタフィクション的トリックが仕掛け られていて、それを読み解くためには、巻頭の刀城言耶による「編者の記」、 そして、巻末の新聞記事と、雑誌の目次といった「外枠」の部分に注目する 必要があります。 本作の結末は、一見ホラー的幕切れのようなのですが、作者は自作解題で〈『首無』 の結末に関して色々な解釈があるようですが、真相は一つです〉とコメントしており、 合理的解決が「正解」だと示唆しているように思われます。 よって、やはり、作者が「外枠」の部分に託した メッセージを読み取ることは必須といえましょう。 (特に、雑誌の目次の「×××発表」に要注目) | ||||
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数多くの不可解な事項(本の分量も残すところあと少しなのに、まだ37項目も!!)、それが「たった一つのある事実」に気付くことによって 鮮やかに解きほぐされていきます。 さらにその後にも推理は思いがけない方向へと駆け抜けていき、最後には感動すら覚えるほどの着地の仕方。 メインの事件である婚舎の集いに端を発する首無連続殺人事件。 その10年前に起こった十三夜参りの「首無」騒動と不審な死。 それらが事件の当事者である少年の視点と、村の駐在からの二つの視点で描かれ、とても見やすい構成になっています。 また今回の原書房→講談社文庫に際し、いくつかの点で改良がなされました。 ひとつに、村の地図、媛首堂、栄螺塔などの地図、見取り図の追加があります。やはり、こういったものがあるだけでムードが高まり嬉しくなります。 更にこれはネタバレになるので詳しくは書けないのですが、終盤にあった齟齬が綺麗に書き直されています。 僕もそうですが、原書房版を持っている方も買ってみても良いと思います。 今のところ、長編として「厭魅〜」「首無〜」「凶鳥〜」「山魔〜」「水魑〜」が、 短編(中編)として「首切〜」「迷家〜」「隙魔〜」「密室〜」が作品となっていますが、 「首無〜」は「厭魅〜」に並ぶ紛う事なきシリーズ傑作のひとつです。 また行き詰まり、袋小路などと称されることの多い本格推理ですが、麻耶雄嵩氏の某作品などと同様、 「首無〜」はこれから先の本格推理小説の可能性を垣間見せてくれる良作であるとも思えてきます。 未読の方は、ぜひとも手にとっていただけたらと思います。 | ||||
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表紙にひかれて衝動買い。 一気に読んで、面白かった。 江川蘭子を出しちゃうところといい、 ネタがたくさんつめこんであって楽しかった。 でも、最初から首無し死体トリックだよ、と提示されているから、 そのつもりで読むわけで、うーん、ちょっと伏線がありきたりかも。 民俗学っぽいものが好きな読者だとすぐ気がつくような。 いや、首無し死体トリックの王道なのか・・・。 斧高くんの設定も、ちょっと安易なのでは。 | ||||
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民俗学と本格ミステリを融合する試みで知られる作者が、媛首村と言う山奥に伝わる"首無女"伝説に纏わる殺人事件を扱った秀作。叙述形式も凝っていて、全体は事件が起こった時の捜査担当巡査の妻で、現在は作家の妙子が書いた事になっており、その奇数章は使用人の少年斧高の視点で、偶数章は妙子の夫の高屋敷の視点で書かれている。冒頭で、妙子は「事件の真相は私も知らない」と断っている。媛首村を治めるのは、一守(主家)、二守、三守の秘守一族。媛首村には"淡首"と言う首の無い女の亡霊が、一守の跡継ぎ(男)に祟ると言う伝承がある。徹底した男尊女卑を貫く一族では、一守に跡継ぎが居なければ他家が取って代る事も可能で、このため一族の人間関係はドロドロ。 まず戦時中、一守の跡継ぎの長寿郎が儀礼のため媛首山の神社に向け、提灯を手に階段を登って行く様子が描かれる。ここまでは、柳田国男氏「遠野物語」、横溝正史氏「獄門島」の香りが濃厚。媛首村の村人は柳田が言う所の"山人"だろう。長寿郎の後に二卵性双生児の妹の妃女子も続く。斧高は長寿郎に憧れを抱いており、二人を付ける。そして、妃女子は不可能状況の下、井戸の中で死体で発見される。犯行方法も謎だが、被害者が長寿郎でない点も謎であり、怪異な雰囲気が横溢する。事件はウヤムヤに終り、次の舞台は10年後、高屋敷が復員した後に起こる一守の"婚舎の集い(嫁決めの場)"。花嫁候補は3人。二守、三守の娘と遠戚の娘で毬子と言う長寿郎の同人誌仲間。毬子は怪奇作家江川蘭子の世話人で、この辺り、乱歩へのオマージュの意図か。そして媛首山で連続して起こる、毬子の首切り殺人、長寿郎の失踪、蘭子の出現、そして長寿郎らしき男の首切り殺人...。 結末も凝っている。精緻な計算の下で書かれた作品で、濃厚な伝奇ホラー風味と本格味が見事に融合した一級品。 | ||||
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刀城言耶シリーズの第3作です。 第4作の「山魔の如き嗤うもの」が あまりにも面白かったため、 発表年を遡ることになりましたが、 本作品を購入しました。 「山魔−」同様に傑作と呼べる作品でした。 ホラーとミステリが巧く融合しているところは、 「山魔−」と同じです。 この作品でのホラー色は「首無」という化け物、 ミステリの味付けは「首無し連続殺人事件」の謎、 という趣向です。 おどろおどろしい雰囲気の中、 連続殺人事件をめぐる謎の解き明かしは、 ちょっと複雑。 でも、後半60ページの どんでん返しに次ぐどんでん返しの連続は、 「山魔−」と同様に圧巻で、 これでもかとばかりに ミステリの醍醐味を味あわせてくれます。 シリーズ第1作、第2作を 読みたくなるとともに、 恐らく発表されるであろう新作も 今から楽しみになってしまいました。 | ||||
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面白かったです。メインのトリックはとてもよいと思う。枝葉のトリックではがっかりもある。さほど怖くない、現実味がない、という感想ももつが、むかし横溝正史を楽しんでいた頃と同じような、ミステリーに私が期待するものは十分味わわせてもらいました。最後の部分では、はるかむかしに読んだカーの小説を思い出しました(もしネタばれになるとまずいので作品名は書きません)。 | ||||
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ずばり 21世紀の「金田一耕介シリーズ(横溝正史」ですね。因習、伝説、怪談、陰惨な殺人事件、あっと驚く真相、でもその後ゾクっと・・・。面白いです。 でも・・・ このシリーズ、登場人物の名前が めちゃくちゃ読みにくい!!山田太郎、鈴木花子、山本一郎、田中良子・・では 雰囲気が出ないんでしょうが 出てくる人 出てくる人がみんな 変な苗字 変な名前ばっかり!! なかなか覚えられなくて 何度も巻頭の「登場人物紹介リスト」を見にいくのは ちょっとな〜。 三津田先生! 「山魔〜」の次作からは 登場人物名を もうちょっと普通のにして下さい! | ||||
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登場人物のキャラクター設定含め小説としてもう一つ書き込めていない歯痒さは感じられますが、謎解きを楽しむミステリーとしてはかなり面白いです。 ラスト怒濤の21の謎一気解決から過剰なまでのどんでん返しまで、よく考えたなーとうならされます。 ホラーテイストのエンディングもかなり好きです。 次作以降更に練り込んだ人物設定や世界観を加味してものすごい傑作を書いて欲しいです。 | ||||
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横溝正史を「最後の探偵小説作家」と呼ぶらしいが、 一度絶滅してしまった探偵小説がまるでトキやコウノトリのように復活した... 初めて読んだ三津田信三を、わたしはそんな風に感じた。 設定、時代背景、猟奇的な犯罪、なまめかしさ、どれをとっても 推理小説というより探偵小説と呼ぶにふさわしいテイストだった。すばらしい。 読者は、この禍々しい物語の犯人が誰で、どう犯罪が行われて、 その動機は何かを、神経を研ぎ澄ませて、作家が綴るコトバ一つ一つを かみ締めながら読む。それでも、あのラストの大どんでん返しには驚かされるし、 確かにフェアだよなぁ...と思いながらも、そこに気を止めず 読み進めてしまったことを悔しく思った。 再読の必要性に迫られる一作だ。1回目は単純に楽しむため、 2回目は確認をするため......。 ヤラレター! このどんでん返しは、想像つかなかった。 トリックの複雑さはクロフツの「樽」を少し思わせ、 覆い尽くす黒く不気味なムードは、やはり横溝正史の遺伝子だと思った。 夢野久作っぽくはない。 ただ、大ラスの不気味さは、「ドグラ・マグラ」の『ブゥーーーーーーーン』に 匹敵すると感じた。このラストが描きたいがために、作者はこの形式を取ったのだろうか。 作家の筆を借りる形で、物語が進む方式はこれまでもあったが、これは......。 戦後ミステリの好きな方なら、クスリと笑ってしまうようなトリヴィアが いっぱい詰め込まれている点も見逃せない。 だって、主要登場人物の一人に江川蘭子ですよ! これを知ったら、もう読むしかないでしょう。 | ||||
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三津田さんの小説を今回初めて読んだ。本のタイトル、事件性、物語の出だしの語り等々横溝正史氏をかなり意識した、というよりも、もろ横溝氏の大ファンが描いた推理小説である。土俗的な物語に本格推理のエッセンスを十分詰め込んだ作品に興味をそそられたし、読み手のミステリーファンの急所を摘むような展開を支持する読者もかなりいると思う。しかし、凝りに凝った人物名のわりに、印象度がかなり薄い登場人物、会話の単調さなどは、横溝氏を意識すればするほど、見劣りしてしまう。その辺はネックであるが、十分有意義な時間を過ごせた作品であったことで、星4つはつけたい。 | ||||
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横溝ミステリは妖美で好きだけど、なかなかその後を継ぐ作家さんがいないなあ……と思っていました。この本を手に取るまでは。 この人ならば、横溝ワールドの正統後継者といっていいんじゃないでしょうか。 旧家。奇人。伝承。因習。祟り。そして、死。日本ミステリの中に存在する、美しく禍々しきもののすべてがこの作品にはあります。文章は丁寧で読みやすいし(たまに誤植があるのはご愛嬌です)、比喩も良く、謎も深い。何よりも、最終章で繰り広げられる二転三転のラストには感嘆させられます。 物語のキーパーソンとなるある少年の態度には「あれ、この子、あんなショッキングなことが起きたのに意外と平気そうだなあ」とか、「このお巡りさん、現場に向かっている最中なのに呑気なこと考えるなあ」とか、疑問点がまったくないわけではありませんが、それは瑕疵です。完璧な人間、完璧な作品はありえませんから、無視してもいい。充分、傑作と呼べる作品です。いや、最近の新本格ミステリには飽き飽きしていたけど、これはヒット作です。 徹底的に読み返してもまだ最後に残る不気味な謎に、思わずぞくぞく。この作品には、最初から最後まで読み通すだけの価値があります。決して、オチだけ読んでみよう、などと立ち読みをなさらぬよう。 | ||||
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三津田信三の快進撃が止まらない。本作「首無の如き祟るもの」は「厭魅の如き憑くもの」「凶鳥の如き忌むもの」に続く刀城言耶シリーズの第3弾になる。ただし、この作家の作品だけあって、これは確かに刀城言耶シリーズだけどはたして???(あまり具体的には書けないですね・・苦笑)といったまたまたメタなナゾを含んでいる。 それにしても面白い。いつものように土俗的・民俗的な信仰の世界を、彼なりのタッチで精緻に描いており、その「設定」の面白さ、それに付随する人間たちの振る舞いの妙なリアルさが見事だし、それは環境を整えた巧みな設計によって支えられている。また、ミステリとしての成立がきちんとしていて、その点、おそらく何度も試行錯誤したのであろうと思うが、非常にフェアな(だけどトリッキーな)書きぶりは見事。だから、最後に語られる「何がナゾなのか」「どこに解決策があるのか」といった理知的な論法が見事に決まる気持ちよさがある。 視点を描き分けることで(誰の視点か、というのは大事だ)、言葉の定義の境界条件をたくみに操る様は超一流だ。加えて極上のエンターテーメントに仕上げてしまうという力量を持っている。 「集落」「因習」「信仰」といったキーワードはどことなく横溝正史を彷彿とさせるけれども、登場人物には現代的な思考の持ち主も入り混じり、そのことが私には近づきやすい。終結部で、たった一つのボタンをかけかえるような仮説を立てるだけで、多くのナゾがつぎつぎにとき解かれていく様子は演出効果も抜群で圧巻。早くも次回作を期待しています。 | ||||
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とてもおもしろく読めた。 シリーズ3作目であるけれど、この作品が群を抜いてよかった。 雰囲気、トリックどれをとっても文句なし。 難点は、シリーズ物に共通するマンネリ感だろう。 今はまだそれも楽しめるが、これがいつまでも続くとどうなるか? 伝統を重んじる本格ミステリ愛好者にとってはそんなことは問題ないのだろうか? とはいえ、それはこの作品の出来のよさとは無関係のことである。 | ||||
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もう、出だしからして完璧に構築されたこの世界観にノックアウトされてしまった。土着的な民間伝承と旧家をめぐる因習と因縁。まさしく横溝正史のあのオドロオドロしい世界を再現したかのような舞台設定がミステリマインドを激しく揺さぶる作品で、本格物としての完成度もかなりのハイレベルだ。本書の謎の素晴らしいところは、動機がまったくわからないところにある。もちろんどうやって犯行を成し得たのかという謎も重要なのだがラストの解明部分で頭の霧が一掃されるのは動機が解明したときなのである。それもこれもただ一つの行いに端を発しているというのだから、畏れ入る。まさしくラストの解明部分は圧巻で、探偵役の刀城言耶自身が挙げた三十七項目にもわたる謎や問題点が次々と解明されていく件は息つく間もないおもしろさ。久しぶりにミステリでのカタストロフィを味わった。ましてや二転三転するどんでん返しとくれば、これはもうお手上げというしかないではないか。ここで驚かない人はいないだろう。ぼくは二回アッ!と声をげてしまった。そして行きつく先は、ああ、これは言えない。まさか、こんなラストが待っていようとは・・・。 この探偵役の刀城言耶って、そうなの?前二作読んでないから、まったく未知数なんだけど、これはいったいどういうことなの?これではまるであのカーの「○○○○」とおんなじラストではないか。ともあれ本書は素晴らしかった。久々に本格物で大満足の一冊だった。 | ||||
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