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残虐記
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残虐記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全101件 21~40 2/6ページ
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「桐野作品はグロくて読めない(もしくは嫌い)」という人が時々いる。 それはそうかもなぁと思うが私は全く平気というか むしろそれでこそ桐野夏生と思う。 この作品だって、扱ってる題材とか 主人公の「作品」という形を借りたモノローグとか とんでもないけど全然平気。 だって彼女の本当に描きたいのはそこじゃないんだもん。 性的描写や異端者の異常性なんのその。 ほんとに怖いのはこの世そのものと普通の人じゃね? ということがこの本を読むと克明にわかる。 弱者の立場にとことん立っているという点では 「グロテスク」よりこちらが好きだ。 きれいごとじゃないという点で 「柔らかな頬」よりはもっと好きだ。 もちろん両作品より本作は随分粗削り感がありますが。 でもそこがまた魅力なのかな。 実際の事件、しかもよりによってこの事件を題材にすることへの 不快感を感じる方がいらっしゃるのは理解できますし、 私のレビューそのものがもしかしたら不謹慎なのかもしれません。 でもこの作品を読むことで救われてる人間もいる。 それはわかっていただけるとありがたいです。 | ||||
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実際の事件を元に・・・と公言した事を踏まえて読むと、ため息がでます。(そうでなくても、ため息) 監禁された主人公が誘拐犯に恋していた、といっても、どんなところに惹かれたのか触れられていないし。ずかずかと人の心に土足で踏み入るルポライターと最後結ばれるくだりも、意味わかんない。 事件にたいする好奇心だけで、加害者、被害者の心境には無頓着。読んでいて気分が悪くなりました。 目に見えている部分にしか興味を示さない、こんな人が小説家になれるの? | ||||
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事件を下敷きにする小説は良し悪しが有ると思うが、少なくとも本作の出来具合は「悪し」しか出てきていない。 実際の新潟の事件においては、被害者の親族のみならず被害者自身が無事救出されて新しい人生を送っている。もし自分が親族だったら訴訟を起こしかねないと思うぐらい、後味の悪い小説だった。 よくもまぁこんなに被害者を愚弄するような人物設定をして世に出版したものだと思う。 | ||||
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なぜこの本を読もうと思ったのかは忘れました。自分の読書リストに書いてあったので図書館で借りて読みました。 概要は、幼い頃に誘拐されその誘拐犯と1年あまりを過ごした少女が作家になり事件について書いた小説というか手記という設定です。 結論から言えば、退屈せずに一気に読めました。これは怖い物見たさの興味をひきつけるという意味で、ホラー小説に似たような性格ですね。 でももちろんホラー小説ではありません。気持ち悪い男と少女が一緒に暮らすと何が起こるのだろう?ということです。でもそれは手段で、この小説が言いたいことはまだ別だと思います。 それは単に「私ってすごい小説家でしょう!」という想像力自慢です。小説家のパワーを一番分かり易く表現するのは想像力だと思います。この小説では、小説家を主人公にし、語らせ、しかもその内容が真実でない部分があるかもという、つまり「小説内で小説家の想像を分析」みたいなことが行われているわけです。プロがその世界についてあれこれ語り、自分がその分野でいかに優れているかを示している、そんな印象を受けました。 でも、そんな想像力自慢をしているだけあって、この作家の想像力には素晴らしいものがあると思います。そういう試みとして珍しい小説だと思います。でももちろん、小説の内容自体は結局何も残らないです。小説の中で事実が語られるわけではないですからね。 | ||||
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本書は、『週刊アスキー』の2002年2月5日号〜6月25日号の連載を 加筆し、新潮社から2004年に刊行された単行本を文庫化したもので、 柴田錬三郎賞を受賞した作品である。 現在35歳になる作家・小海鳴海が25年前にケンジという男に誘拐され、 男の部屋に1年間監禁された。男の部屋は、男自身が働く工場の2階 にあり、下には工場を営む夫婦、隣には壁一枚を挟んで「ヤタベさん」 という耳の不自由な工場の労働者が暮らしていた。しかし、工場から 聞こえる大きな音と、鳴海がいつか助けてくれるだろうと期待してい たヤタベさんの不自由な耳では、なかなかこの事態が明るみに出るこ とはなかった。 ケンジは、鳴海のことを何故か「みっちゃん」と呼び、昼間は鳴海を 性の対象としておぞましく扱い、夜は鳴海と同じ10歳児のような幼児 性を見せた。そして、文字も碌に書けないケンジは、頭の弱い、精神 疾患のある異常者だという印象を与える。そして、ヤタベさんは、こ の誘拐監禁事件とは全く無関係であるように思える。 しかし、本書の特徴は、「鳴海が10歳の時に1年間誘拐監禁された」 以外の事実が判然としないことである。ケンジとは実は狡猾な頭の良 い男だったのかもしれない。実はヤタベさんがケンジを飼い慣らして いたのかもしれない。そして、鳴海自身がもしかしたらケンジに…。 鳴海の夫からの手紙、逮捕されたケンジから数十年の時を経て鳴海に 送られた手紙、小説家・鳴海の手記、そして再び夫からの手紙、と流 れる本書の構成に加え、当の鳴海が35歳になりケンジから手紙を受け とった後に失踪したという事実が、私たち読者に、様々な視点や推察、 様々な読了感を与えてくれる。さすがはプロ作家と感じ入ってしまう 本であった。 | ||||
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少女を監禁する知恵遅れの男 それに関連する大人たち 成長するにつれてその闇に悩む被害者 男の欲望などをドロドロに描くところは 作者が本当は男性なのかと思ってしまう。 | ||||
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モチーフに、と公言している割に、なーんか、主人公に共感できなくって。 なぜ誘拐犯を愛した、と言えるのか、 最後になんであの人とくっつくのか、 その過程の描写があいまいすぎて、ぱっとしないまま終わりました。 事件に対する好奇心と裏腹に、当事者の心境には無関心。ある意味、暴力だと思います。 キリノさんの作品って、人間愛が感じられないんですよね。 | ||||
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拉致監禁された少女の残酷な手記。 まったく救いようの無い世界なので、鬱な気分になった。 それでも、必ず最後には救いがあると信じて最後まで読んだ。 最初から最後までゾクゾクする作品。 | ||||
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人の想像は果てしないと感じる一冊です。 少女誘拐監禁事件をベースに、より重厚な人間模様を描いております。 面白い小説を読みたい人におすすめの一冊です。 | ||||
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こういうドロドロ感を書かせたら桐野サンは格別ですね。 人間、耐えられない境遇に遭ってしまうと、人格が壊れる前に 別の世界を見出してしまいます。自分の世界を構築してしまう わけで、過酷な状況に陥られなくとも 秘密のノートを作ってみたり 秘密基地を作ったり…ままあることです。 誘拐され監禁された彼女は「性的人間」になった。 大人でも 女性でもなく「性的な人間」 桐野さん表現力が豊かですね。 | ||||
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桐野夏生の小説は読み出すととまらない。 残虐記もまさにそんな小説。 失踪したとある作家の原稿とその夫の手紙だけで、 物語は進む。 まさに「薮の中」。 語られている物語は、 徐々にストーリーの輪郭を失っていき、 読者に謎を残したまま終了する。 人間の業がテーマであろう。 家族、孤独、性、愛情。 とても日本的なテーマ設定をしていると思う。 この「残虐記」に見いだせるテーマは多様で、 どれも重い。 かつ本書にはそれらの問題について、 救済や希望を提示している訳ではない。 決して爽やかな読後感ではないが、 ずしりと腹に響くような手応えのある作品。 | ||||
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比較的薄い本なのに、何故か読み終わるのに時間がかかった。 恐らく、終始一貫して重苦しい雰囲気で話が続くせいだろう。 それが、著者らしいといえばそれまでだが、相変わらず 人間の泥臭さというか深層心理を見透かすかのごとく 読んでいて、嫌な共感を覚える。 作品の世界観に没入は出来なかった。 しかし、監禁された少女が逃げられない状況で自分の内面と 嫌でも向き合いながら、折り合いをみつけるというよりも 人間がもっている陰湿な部分を強調して、生き抜いていく 様子が、監禁されている悲惨さよりも少女の怖さを 増幅していくので、ここでも桐野ワールドがしっかり展開される。 面白いとか、そういう感想ではなく、著者の世界観に またしてもやられてしまった。そして、またしても 読了後に少し気分が悪くなる。 なのに、幾日か過ぎて本屋に行けば桐野夏生と書かれた本を 手にしている自分が想像できてしまうのが、良くも悪くも 自分がこの作家の作品が好きな証拠なのだろう。 | ||||
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桐野さんは、避けていたので 初めて読みました。 あの事件を「モデル」にした話で、如何なものかとも思いますが・・ 事件を通してしか、見えない世界があるように思います。 犯人とその関わりのある人々。 被害者とその家族。 夫々が、この事件との関わりの中で 人間が浮き上がってきます。 このあたりが、桐野さんの上手い所なのでしょう。 被害者は、犯人に「会いに行った」のでしょうか?? 人生は、残虐です・・・・ | ||||
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「OUT」などで有名な桐野夏生のノンフィクション系小説。 本当にあったかのように見せる書き方がとにかく上手いです。小説内に手紙や小説をおいて、さらに全体をある人間が書いた小説として読ませる。 こんなに複雑なことをやっているのに、まったく気にならずに読めます。しかも、ぐいぐい引き込まれます。 本当にあったことが何なのか。 そして、真実は一体どこにあるのか。 煙に巻くのではなく、正々堂々と、真正面から、でもわからなく描くやり方には心底脱帽しました。考えさせられることも、ものすごく多く、しかも深いです。 これ、傑作ですよ。 久しぶりにドキっとしました。 | ||||
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東京島を読んですっかり桐野夏生ファンになった。2冊目がこの残虐記だ。少し読んで、新潟少女監禁事件を調べた。K市は柏崎市のことか?じゃM市は何処?色々想像しながら読み進めた。主人公の少女の気持は理解出来ないところが多いが、こんな人間関係もあるのだなと思う。現在はこの物語の時代背景より、複雑化していると思う。この様な理不尽な事件が起きない事を切に願う。 | ||||
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芥川賞作家の、保坂和志の著書にも記載してあるのだが、「小説家だからといって小説を自分に都合良く使ってはならない」(記憶で書いているので語句は違うと思う)ということを、やっているのが、この桐野夏生だと思う。 著者の「東京島」もそうだが、同じシチュエーションで描いた小説ならば、石原慎太郎の「秘祭」が際だって良くできている。 小説家は、小説を「都合良く」使ってはならないと思う。 これは、制作する人間に共通の暗黙の了解であると思う。画家も作曲家も。 このような書き方をしている限り、もうこの著者の進む「小説」は開かれたものにはならないはずだ。 | ||||
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桐野氏だから相応のレベルは維持していますが、内容の面白さのわりに、もやもやが残ります。ケンジへの気持ちは、もう少し書き込んでいただきかった。主人公の結婚相手にしても、もう少し驚かせて欲しかったと思います。読みはじめには、大きなどんでん返しを期待していました。それがなかったのが残念です。 | ||||
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気になっていた桐野夏生の最初のチョイス本としては、快心作じゃないものを手に取ってしまったのかもしれない. "残虐"とのタイトルから想像したままに、 一種甘美なエロスで物語を進める筆致、、というか、 ・・主人公を苦しめた世間の想像力が読む側と同質というニヤリも楽しめたが、 総じて後に何も残らなかったのが予想外だった. 聴いている間はとめどなく再生される密度の濃い想像に圧倒されるが、 終わると消えて何も残らぬようにできた音楽のようだ. その過程をダイレクトに楽しむことがこの作の本質なのかもしれないけど、 ならさらに「単なるヨミモノ」の域の中にあると感じた. そのように楽しむべき作なのかもしれないけれど. なお筆致と書いたのですが、 年齢的には"子ども"の少女の言葉づかいや語彙のセレクトに馴染めなくて、 そのリアル感のなさが手応えのなさというか、それでいまひとつ没頭できなかったのかもしれない. けれど、それがこの人らしい強い創造の世界を生みだす独特のテクスチャーかも、と予想する. | ||||
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これが全くの創作であったのなら、星5つどころか7つでも8つでもつけたいところ。 しかし、どれほど作者が「偶然の類似性」を強調しようとも、あきらかに特定の事件をモチーフとしているのは確かであり、読んでいて不快さがこみ上げるのを抑えようがない。「読ませる」作家なのだが、この作品は「読まされたくない」。 ノンフィクションやドキュメンタリーなら、それはそれでいい。その場合は不十分ながらも事実があり、関係者との間には信頼や、あるいは契約がかわされる。しかし題材だけいただいて、作者の勝手な「想像」で書いた内容としては安易に過ぎる。作者の緻密な文章力や表現力でもって、それをやられるのだから当時の被害者やその家族にとってはたまったものじゃないだろう。「グロテスク」に続き、これもある種の「セカンドレイプ」ともいえる。作家として以前に、人間性が問われる作品。「枯渇してしまった」のは作者自身なのだろうか?「Out」の鮮烈さと力強さはどこへいってしまったのだろうか。 本当は星ゼロにしたいけれどゼロ評価ができないのと、(万にひとつもないとは思うが)「想像する悪意の他者」を作者本人が現実世界で演じている可能性もあるとして、星ひとつ。作者には「言霊」というものを、もう一度真摯に考えてもらいたい。 | ||||
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桐野夏生はこれまでも「OUT」、「グロテスク」、「リアルワールド」など様々な実際にあった事件に発想をえた作品を書いてきた。今回の残虐記も、言うまでもなく7年前に起きた「新潟少女監禁事件」をモデルにしている。 良識的に言えばこうした手法に対し被害者の感情を考えろ、といった批判も成立するのだろうが、桐野夏生の場合、事件自体は作品発想の原点に過ぎない。徹底した「現実」の換骨奪胎により、その虚構世界は全く違うものになっている。しかも「現実」以上にリアルなある種の「現実」を構築することに常に成功するのだ。 今回も犯人のケンジ、主人公の少女と言うキャラクターに、隣部屋から二人を覗いていたと見られるヤタベと言う中年男を作り出すことで、「男のSEX」の不条理性をこれでもかというほどに抉り出している。長く女という「性」にこだわってきた作者にすれば、初めて本格的に「男」と言うテーマに取り組んだ作品と言えるのではないか。 そして。 エンディングを読んで、ああ、この小説は桐野夏生にとっての「私小説」だったのだな、と気づかされる。 宮坂検事が「夫」であったと言うオチ。 それは監禁されていたという過去をもつという意味でなく、結婚生活における夫婦と言うことを描きたかったのだと言うことに気づかされるからである。ある意味で結婚生活というものも、女性にとっては監禁に近い「残虐記」になりうると言う暗喩が感じられる結末だ。 | ||||
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