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残虐記
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残虐記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全101件 61~80 4/6ページ
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いくつもの真実と虚構が重なり合って物語りを紡ぎ出しています。それは (1)作品の世界、いわば生方淳朗の手紙の世界の真実と虚構 (2)「残虐記」と題された手記の真実と虚構 (3)「残虐記」の中に出てくる小説内小説「泥のごとく」の真実と虚構 (4)実社会で起こった監禁事件の真実と虚構 この4つの真実と虚構が入り混じり、物語が読者の生理に絡み付いてくるようである。 フィクションとノンフィクション。どこまでが真実でどこまでが嘘なのか。 まるで真実という「縦糸」と虚構という「横糸」で残虐記という名の「布」が織りあがったかのようである。そして、その布をまとった読者は心の奥まで自分の残虐性と向き合うのである。ほんと様々な意味で「怖い」作品である。 | ||||
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私は、自分の過去のことがあって、どんな風にこういった被害にあった人のことが描かれているか気になり、この本を手にしました。 私にとってはこの本は読むべき本ではなかったと思っています。 読んでいるうちに、精神の不調をきたし救急で病院に運ばれました。 私自身の体験では、この本に書かれているようなことはありませんでした。 毎日、生き残ることだけが精一杯でした。当然、加害者にこのような感情も持ち合わせていません。 こういったトラウマは、この本に記述されているようにすんなりと通り越せるものではありません。(怒)長年の治療を要し、人生全てを奪われます。 感性は人の個性でしょうけど、この本が面白いという人には憤りを隠せません。 ☆ゼロでもいいぐらいです。 | ||||
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少女監禁 そういえばそんな事件がありましたよね。 週刊誌がこぞって特集組んで。 正義感ぶりながら、覗き見趣味という記事が満載でした。 あの事件を元に、ここまで毒のあるストーリーを・・・ さすが、桐野さんです、はい。 人間の底知れない、しかも、「リアルな毒」を書かせたら、 当代一と思います。 | ||||
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表向きは登場人物たちの表現という形になっていて、全能の神たる作者は直接的には見えない。それが妙なリアリティを生み出しているが、もちろんエンターテイメント小説としての割り切り・仕掛けも用意されている。 結末ですべてがすっきりと氷解するわけでもなく、わかりやすいヒューマニティが描かれているわけでもない。 しかし、そのわかりにくさ、輻輳する複眼思考が、作品に奥行きと余韻を生み出している。 単なるエンターテイメント小説には収まりきらない読み応えを感じる作品。 | ||||
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突然、日常生活を破壊してしまう圧倒的な暴力、恐怖、理不尽さを目の前に、人はどう変わっていくのか、何を拠り所とするのか、どのようにして悲劇は生まれ、育まれていったのか・・・。 ある誘拐、監禁事件の真相を”出来事”からではなく、人間関係や心の内から探った、作者の渾身の一作。 | ||||
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桐野夏生は、「グロテスク」で東電OL殺人事件、「残虐記」で新潟少女監禁事件と、“あえて”あからさまに現実の猟奇的事件をモチーフとすることが多い。それはなぜだろうか? 最近、現実に起こる事件には“想像”をはるかに凌ぐものが多い。あるいは、こうした事件は“想像”と“現実”が綯い交ぜになることで起こっているのかもしれないが。現実が想像を凌駕していくということは、想像、もしくは文学の敗北である。現実が想像を超えていくのではなく、想像が陳腐なものに成り下がっているのだ。桐野夏生は、そのことに大変自覚的な作家であり、現実をモチーフとした作品は“現実を超えていく想像”という図式にこだわっている気がする。少なくとも作者は、“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとしている。 「残虐記」は“想像の愉楽”を反復的に読者に供するための、創作上のたくらみを持つ。小説には、語り手は嘘をつかないという暗黙の了解があるが、「残虐記」は語り手がウソをつくのだ。ほかにも小説の中に小説を組み込むというメタ的な手法や夢世界の挿入など、様々な手を尽くして、何重にも“想像の愉楽”を反芻させてくれる。作中の言葉で言えば“性的人間”、つまり想像によって生きる人間で自分もありたい、自分もなりたい、と強く思わせる作品だ。 | ||||
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三島のプライバシー裁判が記憶に新しいですが、現実をモチーフにする行為は安易になされるべきではないでしょう。こういう小説が許される日本は言論の自由がある程度保障されているのでしょうか。ぶっちゃければセカンドレイプ小説といえます。 | ||||
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様々な臭いがこの作品から感じられた。 監禁前の少女の家の臭い、閉じ込められた空間の臭い、工場のそして監禁された後の臭い。 監禁される前の彼女の家から感じられるのは母親の香水の臭い、工場では人々の重くよどんだ生活臭、解放された後の彼女からはアルコール(消毒薬)の臭い、そして時の流れと共に段々と無臭になっていくのを感じた。 密室の中で無垢(であると人々が考える)な小学生と変質者、その間の関係は人々の好奇心をそそる。今の時代、売春をしている少女だって沢山いる。しかし、こういった犯罪被害者は「汚された天使」であり、人々は白いものが汚れていく場面を想像することによって一種の興奮を覚えるのかもしれない。 この作品で描かれている事件(以前あった事件を想像させるが、これは作者の産物であろう)はあまりに重苦しい。 作品の中で彼女がその後小説家として大成したというのがせめてもの救いではあるが、昨今発覚しているこのような事件の裏側に、「ふせげるけど防がなかった」「助長した」人々が多くいたという事が何より気分を重くさせる。 桐野氏の作品にしては短編でよくまとまっている、その分読みやすいが、読後はかなりきつい・・・ | ||||
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面白く読めた。 さすが桐野夏生!という感じの、読んでて気持ち悪くなるほどの書き方だった。 例の事件は連想されるけど、これは十分フィクションになってると思った。 | ||||
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この本を読む前は、 主人公の女の子が男の家に連れて行かれて、 無事開放されるまでの日々を克明に綴ったものだろう、 と当然のように思っていたのだが、それは違っていた。 男の部屋での出来事はせいぜい全体の3分の1程度である。 開放された後の話の方が圧倒的に長い。 開放後の日々の方がこの物語の本題だったのだ。 幼い頃に監禁された子供は、 そのまま殆ど精神的成長が止まってしまうのだろうと 漠然と思っていたのだが、それもこの物語では違っていた。 幼い頃に社会から遮断された空間に放り出された事によって、 彼女は普通の子供では殆ど考えられないような 精神的成熟を遂げる事となる。 このように、この物語は、いくつかの意外性に満ちている。 しかし、最後の章を読んだ後は、何か熱いものがこみ上げてくる。 それは幼い頃に特殊な体験をしてしまった事へのやるせない気持ちと、 そしてずっと誰にも言えずに胸の中にしまっていた思いを この目で見てしまったからかもしれない。 | ||||
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私には、これが特定の猟奇的な事件の深層に迫ろうと試みた作品とは思えませんでした。 むしろ、センセーショナルな事件等の当事者として他人の興味本位の想像の対象となるということがどういうことか、を描いた作品だと思いました。 猟奇的な事件などがおきると、当事者に対しては他人の好奇の目と勝手な憶測という毒が集中します。例えば、なんらかの事件について、被害者に同情することも加害者に憤慨することも、無関係な他人が当事者の心情を一方的に想像しつつ正義感を楽しんでいるのであり、要するにセンセーショナリズムという商品を消費しているに過ぎないのです。当事者にとっては当然「毒」の一つにすぎないでしょう。 そんなセンセーショナリズムを中心として渦巻く他人の好奇の目と勝手な想像の暴風雨、そこから弧絶した当事者の心の奥底という台風の目、両者の相容れなさが見事に描かれています。 センセーショナルな事件の当事者として、他人の想像の対象となるという運命を生きてしまった人の弧絶感と想像することの毒性を、洞察力を稲妻のように走らせつつ描いた、力のある作品だと思います。 なお、具体的な事件の被害者の心情に対する配慮が足りないという趣旨のこの作品に対する批判も、その具体的な事件に関連していえば「勝手な想像の毒」の一種だと思います、なんていったら良識ある方に怒られちゃうかな? | ||||
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私には、これが特定の猟奇的な事件の深層に迫ろうと試みた作品とは思えませんでした。 むしろ、センセーショナルな事件等の当事者として他人の興味本位の想像の対象となるということがどういうことか、を描いた作品だと思いました。 猟奇的な事件などがおきると、当事者に対しては他人の好奇の目と勝手な憶測という毒が集中します。例えば、なんらかの事件について、被害者に同情することも加害者に憤慨することも、無関係な他人が当事者の心情を一方的に想像しつつ正義感を楽しんでいるのであり、要するにセンセーショナリズムという商品を消費しているに過ぎないのです。当事者にとっては当然「毒」の一つにすぎないでしょう。 そんなセンセーショナリズムを中心として渦巻く他人の好奇の目と勝手な想像の暴風雨、そこから弧絶した当事者の心の奥底という台風の目、両者の相容れなさが見事に描かれています。 センセーショナルな事件の当事者として、他人の想像の対象となるという運命を生きてしまった人の弧絶感と想像することの毒性を、洞察力を稲妻のように走らせつつ描いた、力のある作品だと思います。 なお、具体的な事件の被害者の心情に対する配慮が足りないという趣旨のこの作品に対する批判も、その具体的な事件に関連していえば「勝手な想像の毒」の一種だと思います、なんていったら良識ある方に怒られちゃうかな? | ||||
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『グロテスク』が某事件を題材にしたように、本書を手に取れば多くの人間があの痛ましい事件を想起する。桐野作品が評価されたのは、『OUT』にしても『柔らかな頬』にしても圧倒的な構想力と想像力を目の前にしたからではないのか。 実際の事件を下敷きに、あるいはあからさまに想起させるような(逆パターンはありうるとしても)こうした小説。事件の関係者が手にとることはないと考えるのか、だとしても実際の事件で多くの傷を負った人々に追い打ちをかけるような傲慢極まりない小説。 エンターテイメントとしての小説の域を超えているのではないでしょうか。知らずに手にしてしまった桐野ファンとして、残念の一言につきます。 | ||||
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「グロテスク」を読んだとき、この作家はなんというグロテスクな神経の持ち主か、と驚いた。 しかし一方で、人間が持ちうるあらゆる矮小な悪意を書き連ねて一編とする姿勢には、それなりの覚悟が見えた。 それはモチーフとなった事件の被害者が実際に持っていたかもしれない、自己確認への悲愴な欲求を描き出す筆力につながっていたと思う。 なによりも、「グロテスク」の登場人物たちは、あらゆる悪意や差別を発し、かつ受けながら、極言すればそれぞれが精一杯に生き抜いていた。 そしてこの作品。 著者がなんと言おうと、この作品が読者に具体的な事件を思い起こさせることは避けられない。 にもかかわらず、これについて書くことへの何の覚悟も背負うことなく、しかも、あの事件は作品とは関係ないと「わざわざ」発言しつつ、 「著者の想像」だけを頼りにこのような浅はかな作品を発表するとは。 事件当時の被害者がまだ小さな子供であり、その無力な存在に対して社会が救いの手を差し伸べることができずに 長い時間が経過してしまったというその一点からだけでも、あなたはこの作品を発表するべきではなかった。 そのような作品を手に取った自分も同類と恥じつつ。 もう桐野さんの作品は読みません。 | ||||
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桐野作品はあたりハズレがあるが、これは駄作。実際の事件をヒントに得て書かれた作品だけに被害者感情を逆撫でするような平凡極まりない結末にガッカリ。読んだことを後悔した。いつもテーマが斬新だが、これは明らかに失敗。 | ||||
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異常な状況下での監禁生活。10歳の女の子が体験するにはあまりにも残酷なものだった。1年後家に戻った彼女はもう以前の彼女ではない。家族もまた以前の家族ではなくなっていた。事件はあまりにも深い傷を残してしまった。周囲の視線も突き刺さるようだ。被害者は、事件が解決したあともずっと心の痛手を引きずっていかなければならない。だが、驚いたのは彼女の心理状態だ。人は極限状況に置かれた時、そうなってしまうのか?そしてそれは、何十年たっても消えないものなのか?ラストはちょっと期待はずれ。残念ながら、意外性も感じなかった。 | ||||
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新潟で起こった少女監禁事件を下敷きにした本書。桐野夏生の本の中では比較的読みやすい本だと思います。量もそこまで多くなく、中身もそこまでえぐくない。(ただし内容自体は衝撃的ですが…)文章全体が失踪した作家の手記という形を取っており、主人公の記憶や妄想が混じり、読んでて、結局のところ真実は何なのか、というあたりがわかんなくなってきたりもします。すっきりとした読後感を味わうような作品ではないので、読書にそういうものを求めている人にはちょっと面白くない作品かもしれませんね。ただ、主人公の心情、葛藤を描いたリアルな描写は一読の価値ありだと思います。 | ||||
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『週刊文春』2004ミステリーベスト10国内部門第6位。 どうしてこれが6位なんだろう? と思った。 『残虐記』とは、小説内小説のタイトルだ。その作者名は、『小海鳴海』という。 小海鳴海は、25年前、10歳のとき、25歳の男に拉致され、1年余りの間、監禁された。 小海鳴海の書いた『残虐記』は、その事件の一部始終を、虚実まじえながら書き綴ったものだ。もちろん、桐野夏生が書いた小説『残虐記』の中での虚実であり、虚も実もフィクションである。 フィクションではあるが、男が少女を拉致・監禁するという事件は、現実の世界で実際に起こっている。その実際の事件に接した桐野夏生が、事件に触発されて想像したことをただつらつらと書いた、という感じがしてならない。 盛り上がりも感動もなく、答えのない謎に付き合う気持ちも起こらないまま、淡淡と読み終わってしまった。 作者の伝えたいメッセージが、見えなかった。単なるエンターテイメントとして、書いたようだ。 が、単なるエンターテイメントとするには、題材が生生しく、重過ぎるように思う。 拉致・監禁した犯罪よりも、興味本位や好奇心、ずれた同情などで被害者を傷付けてしまうことよりも、エンターテイメント小説の題材にしてしまうことが、最も『残虐』であるとさえ感じてしまった。(もちろん、拉致・監禁した犯罪者が最も残虐であり、その犯罪者を生かし、保護し、社会に戻してしまう日本の司法システムもまた同じぐらい残虐であると思う) | ||||
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複数の語りによるスタイルで重厚かつ重層的に人間を描いた「グロテスク」同様の芥川龍之介の藪の中を彷彿させる「いったい何が真実か」をコアとして作品は進む。しかし、行為・具体化という描写を中核として高い完成度を達した「グロテスク」と比較すると、その重層性は薄い。~作中作家による過去の分析が妄想とリンクして夢を作るあたりの設計は上手いのだが、監禁者と主人公の関係性の本質に到達するポイントがあっさり前半に頻出しすぎ、その結果、サスペンスのストーリテリングとして安易な結果も多い。全体として過去への分析そのものがストーリーの核を成す形態である事が裏目にでて「語るに落ちる」に至り、単純に言えば、平坦な分かりやす過ぎる説明的作品になってしまっている。~本作は2002年に雑誌連載であったようだが、制作実行は「グロテスク」とどちらが先であったのか?正直、「グロテスク」に到る、実験習作、といった印象が拭えない。~平凡な作家であれば「力作」と認知されてしかるべきかもしれないが、「OUT」「グロテスク」といった卓越した完成度を達成した著者ほどの実力作家からすると、本作を『桐野夏生のマスターピースの一つ』とは言いがたく、まだまだ高い到達点を望みたい。 | ||||
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新潟県人ということもあり、あの女児監禁事件との関連を思わせる題材にひかれ、手にとってみたものの、こんなに重い気持ちになるとは。ものすごいスピードで読み終わり、再び手にする気にはなれない。本当は星1つも、やりたくない気持ち。読みながら、私は少女の気持ちになり、母親の気持ちになり、成長した被害者の気持ちになり、犯人の倒錯した擬似恋愛にもいくらか共感を示しながらも、今まで感じたことのない、吐き気すら覚える胸くその悪さと、怒りを覚えた。想像力、妄想はひとの自由かもしれない。でも、この本は、色んな性犯罪被害者の心を二度傷つける内容ではないのか?これを読んで初めて、遅くも、被害者の気持ちになりかわることができたような気がする。現実の事件に傷つき、事件の終わった後も周囲の好奇のまなざし、詮索との戦いが待っている。この本を読んだ私も、好奇心で被害者を傷つけた気になった。私には幼い娘がいる。娘を守れるだろうか。もしも娘が被害者になったら(そう考えてしまうほど、世間には幼女を狙った犯罪が多すぎる!)、私は娘の盾になるほど強い人間になれるだろうか。 | ||||
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