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OUT
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【この小説が収録されている参考書籍】
OUTの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全291件 161~180 9/15ページ
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強烈なリーダビリティでもってグイグイ引っぱられる物語ではあるが堅実に着実に緻密に練りあげられた物語はラストに至って一気にリアリティを失う。これは読んだ人しかわからないことだが、勢いにまかせて書いてしまおう。 要するに、佐竹と雅子の同族としての悲劇は、もっぱら作者のひとりよがり的な印象しか与えず、読者にとってすんなり理解できる類のものではなかったということなのだ。しかし、実際のところそのひとりよがりな解釈をまるで写真を切り取ったかのように、明確に現実として位置づけようとする作者の手腕に舌を巻いたのも事実なのだ。 この作者は確かな感性をもっている。研いだナイフのように鋭利で冷たい光を放っている。それは本書の主人公である雅子に象徴される孤高の極みであり、極北のストイシズムでもある。ぼくが思うに、この人の対極にあるのが宮部みゆきなのだろう。 本書は主婦を主人公に据えながら、まさしく生粋のハードボイルドだ。それも、今まで読んできた多くの主人公の中でもとびっきり冷たく、乾いた造形で描かれる主人公である。 ぼくは本書で初めて桐野作品に接したのだが、これを読んだあと十年近くも彼女の作品を読めずにいた。なぜならば、これ一作で十年分お腹一杯になってしまったのだ | ||||
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桐野夏生の作品は好きなものの一つで、新刊が出るたびに買っていた。テーマの取り上げ方にもその筆力にも双手をあげていたひとりである。 しかし今回のこの作品(購入は出版後間もなくだった)は、読まされてしまったが、もう二度とこの作者の本は読むまいと思うに十分であった。 関西風にいえば「えげつない」の一言。 いまなお「あの」場面が想起される。それほどインパクトが強いので、好きな方はそれでよかろうし、それを否定するものではない。 でも私は“もう結構”である。書棚の同氏の本は手に取る気にもならないので。 これって評価でなく、単なる好き嫌いだけの文章になってしまいました。 | ||||
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桐野夏生の作品は好きなものの一つで、新刊が出るたびに買っていた。テーマの取り上げ方にもその筆力にも双手をあげていたひとりである。 しかし今回のこの作品(購入は出版後間もなくだった)は、読まされてしまったが、もう二度とこの作者の本は読むまいと思うに十分であった。 関西風にいえば「えげつない」の一言。 いまなお「あの」場面が想起される。それほどインパクトが強いので、好きな方はそれでよかろうし、それを否定するものではない。 でも私は“もう結構”である。書棚の同氏の本は手に取る気にもならないので。 これって評価でなく、単なる好き嫌いだけの文章になってしまいました。 | ||||
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すげえ女…というのが率直な感想。アウトローな男が数人登場するにもかかわらず、その逸脱っぷりがまだ正常に思えるほどの女である。だから正直、生々しい描写が多いにもかかわらず、興奮して頁をめくってしまう自分がいた。節ごとに描写対象を変える形式、及び結合から分離に向かう人間関係の描写は著者の十八番であり、次の展開への渇望感に拍車をかけてくれた。 人物の性格や人間関係の描写がリアルな一方、偶然の連鎖が極めてファンタジー的なところが、辛うじて臨界点を超えないでいられるポイントだろう。 結局、最初からOUT的要素を持っていた女は、運命のようなものに手繰り寄せられ、本来の居場所(OUT)に帰着するということか。 | ||||
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すげえ女…というのが率直な感想。アウトローな男が数人登場するにもかかわらず、その逸脱っぷりがまだ正常に思えるほどの女である。だから正直、生々しい描写が多いにもかかわらず、興奮して頁をめくってしまう自分がいた。節ごとに描写対象を変える形式、及び結合から分離に向かう人間関係の描写は著者の十八番であり、次の展開への渇望感に拍車をかけてくれた。 人物の性格や人間関係の描写がリアルな一方、偶然の連鎖が極めてファンタジー的なところが、辛うじて臨界点を超えないでいられるポイントだろう。 結局、最初からOUT的要素を持っていた女は、運命のようなものに手繰り寄せられ、本来の居場所(OUT)に帰着するということか。 | ||||
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映像で見るのは怖そうなので、本をチョイスしました。 有名な本だけあって、買って大正解でした。 これだけの長い話を最後まで上手くまとめられるのが凄いなぁ…っとただただ関心。 ただ…下の佐竹と主人公の展開は、あまり好きじゃない。 | ||||
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映像で見るのは怖そうなので、本をチョイスしました。 有名な本だけあって、買って大正解でした。 これだけの長い話を最後まで上手くまとめられるのが凄いなぁ…っとただただ関心。 ただ…下の佐竹と主人公の展開は、あまり好きじゃない。 | ||||
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一気に最後まで読みました。 佐竹がジワジワと4人を追い詰めていくさま、見事です。 佐竹と雅子の対決、もう壮絶でした。 脳裏に焼きついてなかなか離れませんでした。 描写が生々しいので血とかダメな方は心の準備が必要かもしれません。 二人にしかわからない心理、 私には最後まで理解が難しかったけど 衝撃だったという意味では実に心に残る作品でした。 | ||||
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一気に最後まで読みました。 佐竹がジワジワと4人を追い詰めていくさま、見事です。 佐竹と雅子の対決、もう壮絶でした。 脳裏に焼きついてなかなか離れませんでした。 描写が生々しいので血とかダメな方は心の準備が必要かもしれません。 二人にしかわからない心理、 私には最後まで理解が難しかったけど 衝撃だったという意味では実に心に残る作品でした。 | ||||
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雅子が社会や常識や家庭からアウトしていったように 作家桐野夏生にとっても、出世作、ブレイクなどの言葉では 説明しきれない「OUT」としかいいようのない転換点が 本作だったと思います。 ラストについては、読者が期待するような結末に向けて落と し込むという、ミステリそのもの(あるいは乱歩賞作家として の作法)へのOUTを宣言したのではないかと思います。 その、読者をも突き放すような決意は「柔らかな頬」でさらに 大議論を呼び起こし、その後の作品でも常に挑戦的な仕掛けを 試みています。 本作品は、そんな作家としての獣道に入っていくような決意が 伺えるような高濃度の物語としての魅力があります。 | ||||
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雅子が社会や常識や家庭からアウトしていったように 作家桐野夏生にとっても、出世作、ブレイクなどの言葉では 説明しきれない「OUT」としかいいようのない転換点が 本作だったと思います。 ラストについては、読者が期待するような結末に向けて落と し込むという、ミステリそのもの(あるいは乱歩賞作家として の作法)へのOUTを宣言したのではないかと思います。 その、読者をも突き放すような決意は「柔らかな頬」でさらに 大議論を呼び起こし、その後の作品でも常に挑戦的な仕掛けを 試みています。 本作品は、そんな作家としての獣道に入っていくような決意が 伺えるような高濃度の物語としての魅力があります。 | ||||
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東京郊外の弁当工場に勤める4人の女たち、来る日も来る日も続く工場と家を往復する鬱屈した毎日。季節は初夏、次第に増していく湿度とともに女たちの鬱屈したエネルギーが一気にOUTしたときに、何が起きたのか。グロさ、心の闇、鬱屈した女たちの心象風景、殺伐とした弁当工場の描写が冴える。桐野氏の筆が上手く、難しくないのでどんどん読める小説。桐野氏のもつハードボイルドな感触が半分くらい入っている。この小説に出てくる上海ホステス「安捺」(脇役なのだが)の生き方は後の桐野氏の小説「グロテスク」の脇役「美君」と非常に通じるところがある。桐野氏が賞をとった小説なので、桐野ファンなら絶対おすすめだし、桐野氏の小説を読んだことがない人も世界に入りやすい小説。作品全体に通じる初夏の湿度を味わって欲しい。 | ||||
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非常に面白かった。 なんといっても主人公雅子の際立ったキャラクターに目を奪われる。 平凡で満たされない生活を送っている彼女に突如のハプニング。 彼女の冷静で緻密な性格がこのハプニングの中でフル回転し始める。 そのあたりが恐ろしくもなぜか頼もしく感じられた。 生き残ったメンバーの後の人生・破滅とかいったものも一切感じさせない、女達の恐ろしいたくましさ。 主人公雅子の比類ないキャラクターがストーリーをぐいぐいと引っ張って行くところに、強い魅力を感じる。 面白い、非常に面白い。 | ||||
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非常に面白かった。 なんといっても主人公雅子の際立ったキャラクターに目を奪われる。 平凡で満たされない生活を送っている彼女に突如のハプニング。 彼女の冷静で緻密な性格がこのハプニングの中でフル回転し始める。 そのあたりが恐ろしくもなぜか頼もしく感じられた。 生き残ったメンバーの後の人生・破滅とかいったものも一切感じさせない、女達の恐ろしいたくましさ。 主人公雅子の比類ないキャラクターがストーリーをぐいぐいと引っ張って行くところに、強い魅力を感じる。 面白い、非常に面白い。 | ||||
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それにしても、彼女の筆致とテーマの硬質さよ。雅子を始めとする主人公達の息の詰まるような閉塞感と孤独感とはここでも共通。それは生い立ちや家庭環境、容姿や能力、学歴や社会的地位などなど、様々ではあるものの、その差異を「階級差」あるいは「差別」と称してもよいかもしれません。個人が絶対に越えられない壁に束縛されていること。 閉塞した空間にガスが圧縮されたかのように一気に濃度が高まり爆発する。しかし爆発してもそれは解放されたことなのか。解放とは何からの自由なのか。自らを解放するために、肉体を「解体」する作業に従事したというのは洒落なのでしょうか。肉体が肉体としての関係性を「解体」させられたように、彼女たちは人間的「関係性」さえも無意識のうちに「解体」してしまいますが、自らの精神は全く解放されないという悲劇。 ここでも永遠の束縛と解放の永久運動があるのかと思いきや、作者は全く別な回答を用意していました。そう、何者からも自由であるかのように振舞っていた佐竹という存在。いや彼こそが一番不自由な、過去の自分という存在に束縛されて生きていたという矛盾。隠されたもう一つの自分自身、一番 OUTな奴。目覚まされたふたつのOUTな魂が出会った世界は凄絶さを極めます。考えようによっては「佐竹」という解答があるだけに、まだ救いがあるのがこの小説の逆説的な特徴と言えましょう。 | ||||
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それにしても、彼女の筆致とテーマの硬質さよ。雅子を始めとする主人公達の息の詰まるような閉塞感と孤独感とはここでも共通。それは生い立ちや家庭環境、容姿や能力、学歴や社会的地位などなど、様々ではあるものの、その差異を「階級差」あるいは「差別」と称してもよいかもしれません。個人が絶対に越えられない壁に束縛されていること。 閉塞した空間にガスが圧縮されたかのように一気に濃度が高まり爆発する。しかし爆発してもそれは解放されたことなのか。解放とは何からの自由なのか。自らを解放するために、肉体を「解体」する作業に従事したというのは洒落なのでしょうか。肉体が肉体としての関係性を「解体」させられたように、彼女たちは人間的「関係性」さえも無意識のうちに「解体」してしまいますが、自らの精神は全く解放されないという悲劇。 ここでも永遠の束縛と解放の永久運動があるのかと思いきや、作者は全く別な回答を用意していました。そう、何者からも自由であるかのように振舞っていた佐竹という存在。いや彼こそが一番不自由な、過去の自分という存在に束縛されて生きていたという矛盾。隠されたもう一つの自分自身、一番 OUTな奴。目覚まされたふたつのOUTな魂が出会った世界は凄絶さを極めます。考えようによっては「佐竹」という解答があるだけに、まだ救いがあるのがこの小説の逆説的な特徴と言えましょう。 | ||||
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上巻では季節は夏、逸脱行動をしながらも妙な期待感と精神の高ぶりを見せていた主人公たちが、下巻の冬、一気にそれぞれの破滅へと転がり落ちていく。上巻での初夏の妙な高揚感から、この下巻の、抜き差しならない破滅とつめたい「冬」という季節。桐野氏はこの小説内で、季節と温度の描写と登場人物の心象を絶妙にシンクロさせている。上巻を読んだなら、下巻は一気に読めると思う。終わり方はハードボイルド。 この文庫版の終わりに解説が載っており、発売当時の1997年にはなかった「下流社会の女の生き方の小説」という解説が展開されている。それもなるほどと思った。 | ||||
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上巻を読んでいる時は、弥生の事件にかかわった人達の間の信頼性の薄さや刑事の執拗な捜査から、 いつか絶対バレるだろう、それだけのリスクを犯して雅子が弥生に協力する理由を、 読者がどれだけ納得出来るように描けるかがポイントだと思った。 ところが下巻に進むと、それまでのリアルな描写が減り、展開がドラマチックになって行く。 作者の筆致により引き込まれるように読み進められるものの、さすがに事件の当事者弥生までもが 蚊帳の外に出された時は、主役が雅子だとはわかっていても、そんな〜と思ってしまった。 二人の間に流れるような運命的な描写は理解出来たが「死なないで」は個人的にはNG。 単に好みの問題だが、そういう二人だからこそ惹かれ、 一緒になれない事も運命とわかりきっている雅子にこのセリフはちょっと安っぽい感じがした。 | ||||
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上巻を読んでいる時は、弥生の事件にかかわった人達の間の信頼性の薄さや刑事の執拗な捜査から、 いつか絶対バレるだろう、それだけのリスクを犯して雅子が弥生に協力する理由を、 読者がどれだけ納得出来るように描けるかがポイントだと思った。 ところが下巻に進むと、それまでのリアルな描写が減り、展開がドラマチックになって行く。 作者の筆致により引き込まれるように読み進められるものの、さすがに事件の当事者弥生までもが 蚊帳の外に出された時は、主役が雅子だとはわかっていても、そんな〜と思ってしまった。 二人の間に流れるような運命的な描写は理解出来たが「死なないで」は個人的にはNG。 単に好みの問題だが、そういう二人だからこそ惹かれ、 一緒になれない事も運命とわかりきっている雅子にこのセリフはちょっと安っぽい感じがした。 | ||||
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描かれている人間の描写がすごい、の一言。「これはミステリーだ」とか「これはサスペンスだ」という括りで語れない。人間の本質を表す道具として筆者は文字を使い、出来上がったのがこの作品であったのだと思う。奇抜なトリックを使わずとも、充分にミステリーであってサスペンスに溢れる作品。 負の力で引き寄せられてしまう怖さ。それが自分の欲望、しかも具体的でない欲望によるもので引き寄せられ、戻れなくなる。誰もが負の部分を持っていて、普段折り合いをつけて生きている。事実、登場人物である4人のパート主婦たちも、モヤモヤした欲望と現実の間で生きてきたにも関わらず、突如崩れていく。その描き方にとても説得力がある。 | ||||
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