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ロウフィールド館の惨劇
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ロウフィールド館の惨劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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映画の「沈黙の女」の原作ということで読んでみた。不気味な面白さ。映画のような小綺麗な女性でなく、人生も見かけもすべてボーッと薄暗い大柄な中年女性の、知的で裕福な中産階級家族を破壊する。 ちなみに比較として フェイ・ウェルドンの「魔女と呼ばれて」もぜひ読んでほしい。 | ||||
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すごく興味深く読めた。サスペンスを読んでいるというより、1人の人間考察として、とても面白かった。ユーニスという人物造形は完璧だったと思う。チョコレートバーが大好物で、テレビにかじりついて過ごす‥ユーニスという人物が実在しているような気がしてくる、少なくとも作者の近くにモデルになる人物がいたのではないか?そんなふうに思ってしまうくらいに生々しい文盲の中年女‥。 実際当時のイギリスには文盲がどのくらい珍しかったのかは分からない。人に知られたらそんなに屈辱的なことだったのだろうか。 多分そんなことは関係ないんだろう。人がどう思うかではなく、自分が恥ずかしいと感じたら、それはもう立派なコンプレックスなんだろう。環境の被害者ともいえるユーニスは哀れでもあり、寂しくもあり、何とも読み終わった後も色々考えてしまった‥ 終わり方も印象的だった。 | ||||
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今、書店に行ってルース・レンデルの本を探しても、なかなか見つからない。レンデルの初期の代表作のひとつである本書も、古書でしか手に入らない。わたしはどうしても本書が読みたくなり、Amazonマーケットプレイスで購入した。昔の文庫は字がすごく小さいので、できれば現在の大きな版組みで読みたかったのだが。 それから、昔の海外小説は訳がぎこちない。原文がもそもそ分かりにくいということもあるのかもしれないけど、とりあえず訳しました、みたいな乱暴さが見受けられなくもない。それに比べると、近年は翻訳のレベルもだんだんアップしてきていると思う。 さて、本書は「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである」という出だしの一文によってよく知られている。しかし読了してみて、正直なところ書き出しのインパクトがすべてかな、結局そこを超えられていないかもね、という感想を持つに至った。 結末は分かっているのだから、そこに至るまでがサスペンスフルに描かれるのかと思えば、案外そうでもなく、肝心の殺しの場面も意外とあっさりで、その後の刑事の捜査もダラダラとキレがなかった。まあ、そこがかえって英国文学的な香りと言えなくもないのだが、だとすると邦訳があまりに散文的ではないだろうか。 | ||||
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読み始めると翻訳が悪いのかそれとも作者の文体がこうなのか、P・D・ジェイムズを読んだときのカクカクした感じの文章に似ていて読みにくく、読んでは止め、思い出しては読みを繰り返していたのだが、我慢して読んでいるうちに気にならなくなってきた。 この惨劇はカヴァディル一家に雇われた読み書きのできない文盲の家政婦であるユーニス・パーチマンときちがい女のジョーン・スミスによって行われたもので、動機は文盲であるユーニスが主人のジェームスから解雇を言い渡された事による恨みからきている。 ユーニスの48歳の誕生日。その日の11時にいきなり電話が鳴る。電話が苦手なユーニスはしぶしぶ電話に出るとそれは主人のジョージからの電話で、彼は祖父が設立した会社の社史をまとめておいたノートを忘れたと言い、表紙に書かれている文字を告げ引き出しに入っているはずのソレを探してこれから向かう運転手に渡してほしいというものだった。 文盲のユーニスにとって一番恐れているのは彼女が文盲であることがバレてしまうことだった。 大切な書類が届かず急いで帰宅したジョージはユーニスを問い詰めるが、彼女は見つからなかったと嘘を言い終いには「そんなこと、あたしの知ったことじゃない」と横柄な態度でジョージに背を向ける。 そんなユーニスの態度に怒り心頭に発した彼は妻のジャクリーンにユーニスのあの非礼や嘘にがまんがならない。出て行ってもらおうと言うが、彼女はああいう人なのよ。お願いだからもう一度チャンスを与えてあげてといなされ一応矛を収める。 それからまもないある日、ユーニスと二人きりで部屋にいた娘のミリンダと談笑中にユーニスは文盲であることを見抜かれてしまう。慌てふためいたユーニスは掴んでいたミリンダの秘密を父親にバラすと脅かすのだが、ミランダは父親に正直に告白して許される。 そしてミリンダはユーニスに脅迫されたことを父親に話す。これを聞いた妻のジャクリーンも憤慨し今回はユーニスに暇を出すことを同意する。 ユーニスはジョージに解雇を言い渡されても泣きもせず、感情を表すことも無くただテレビを見ているだけだった。この先どこへ行こうか、なにをすればよいかなどと明日のことを思い煩うことは無かった。どうにでもなる。 気にすることはただ一つ村人に自分が文盲であるということを知られてしまうということだった。 だから外へも出ずジョーンに会うことも無くひっそり村を出ることを決めていたのだが、なのに突然きちがい女のジョーンがやってきて明日の夜、最後の晩に教会で会う約束をしてしまう。 そして最後の日。その日は日曜日。セント・ヴァレンタイン・デーで、カヴァディル一家は思い思いの姿勢でテレビのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を見ていた。 その時ジャクリーンは新聞の余白にオペラの批評めいたメモを記し、ミリンダは父親にプレゼントされたテープレコーダーに録音しながら見ていた。 そしてこの時ユーニスとジョーンは教会から戻り足音を忍ばせ銃器室をうろうろし、銃を手にふざけていたが、それをキッチンに置き二階のジャクリーンの部屋に入り狼藉を繰り返しまた階下のキッチンに降りてきた。 ジョーンはもっと面白いことをやりたい。これを発射したらあいつら震え上がるわよ。とショットガンを取り上げ弾を込めた。 その時物音に気づいたジョージがやってきた。二人を見て驚き早く銃を置け。さもないと警察を呼ぶぞと怒鳴る。この時ジョーンに先をこされてはならないとジョーンから銃を取り上げユーニスはジョージの頸部めがけて発射した。 こうなったら他の連中も殺さなくちゃと二人は居間に入り弾をこめなおし、顔色も変えず家族を一人一人殺していった。 犯行をやり終えた後、車で去ったジョーンは壁に激突し、集中治療室に運ばれたが、身動きもできず、喋ることも聞くこともなくそのままだった。 ユーニスは何事もなかったように手に触れた物の指紋を拭き、銃も綺麗にし納得がいくまで時間をかけて現場の始末をし、警察に電話をした。 訪れた刑事に犯行が行われた時間には友人の所へ出かけておりましたと自分のアリバイをスラスラ答え信用させ、刑事が捜査している間、なにくわぬ顔をして刑事らを接待しながら彼女の頭を占めている問題はまだ受け取っていない未払いの給金の心配だった。 結局はジャクリーンのオペラの批評めいたメモと犯行の様子がすべて録音されていたミリンダのテープレコーダーが見つかりユーニスは逮捕されてしまうのだが。 うーん。この事件はユーニスが文盲であったために引き起こされた事件というより、出会ってしまったのがきちがい女のジョーンだったということがモンダイだったのではと思うけどね。 事件の起こる前日ユーニスは黙ってこの村を去ろうと決めていたのだから。 確かに文盲であることは理解力の不足はあるが、それが即殺人につながるとは思わない。 つまり悪魔のささやきがなければ。 ジョーンにそそのかされ、しまいにはその気になりやってしまった。ということでしょう。 これを読んでいてこれは映画化されれば面白いなあと思ったわ。 大柄で骨太の残忍で陰気な眼をもった石のような女のユーニス・パーチマンはキャシー・ベイツかな。 鳥ガラ女のジョーンは誰かしら。 最初は読みにくかったが、ユーニスとジョーンの二人の強烈なキャラクターのおかげで退屈することなく、最後まで興味を持って読めました。 | ||||
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おもしろい! 久しぶりの小説なのですが、直訳な感じがまた不気味さを増します。まだ途中ですがサスペンス好きな方にはおすすめします。 | ||||
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本を開いて1行目に、犯人の名前と動機が書いてあります。 「ユーニスバーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである。 」 えええ!?バラしていいの?そこから始まるんですか?逆に気になるー。 で、読み始めると、タラタラとスローモーションのように、ゆっくりとお話が進みます。 まあ、犯人と動機は分かってますから、後は事件が起きるのを待つだけですしね。 けっこう待たされます。 じりじりと。 この小説は、このじりじり感を楽しむものなんでしょうね。 案外楽しめました。 人間のコンプレックス心理をうまく捕らえた作品です。 | ||||
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ユーニス(と相棒)が一家を皆殺しにしたのは文盲であった ばかりではない。 彼女はロンドン時代、様々な強請りを働き、実父を窒息死させる。 その性格といえば、何に対しても無感動である反面、 休火山のようにいちどきに噴火する激情を持ち合わせてもいる。 ポーラやオードリーが彼女を一目見て覚えた動物的な嫌悪感は 根本的な悪や精神的問題点を鋭敏に嗅ぎ取った結果だろう。 もし彼女が常人(文中、狂人ではないとあるが決して ふつうの精神にあらず)であれば、文盲という境遇でも惨事は起こら なかったはずである。 ミリンダに途中、見破られる場面がある。 読み書きできない人は珍しくないので今から覚えればいい と親切に提案される。 しかしユーニスはそれを無視し、ミリンダの弱味につけこんで 脅迫するのである。 彼女のまわりにはこうした理解のある人(おそらくミリンダだけ ではなかったはずだ)がいたのに、ただひたすら発覚をおそれ、 自分の殻に閉じこもってゆく。 もし彼女が文盲でなかったとしても、何らかの罪を犯し続け、 いつの日か発覚していると思う。 ユーニスが殺人を犯したのは根本的な精神的欠陥のためでは ないだろうか。 なお、後年クロード・シャブロル監督が舞台をフランスに移して 映画化しているが、そちらも観ごたえのある作品に仕上がっている。 | ||||
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人間は優越感と劣等感の間を浮遊しているものであるが、得てしてどちらかに偏っている人間も多い。本書の犯人は文盲ということで異常なほど劣等感を持ち、それが露見するのを怖れるのだが、ついにバレてカヴァディル一家を惨殺する。 私たちは外見的に判断できる者には対処の仕方もあるが、内面的に悩みを抱えている者には、それが判らない分、知らぬ間に傷つけているかも知れないのである。そしてそれが殺人まで行くとゾッとしてくる。 本書は冒頭の二行で、誰が、如何なる理由で、誰を殺したかが述べられているので、到叙推理小説になるのだが、この手法は犯人の気持ちが読者に乗り移り、被害者の何気ない言葉が強烈なインパクトになり、犯罪へ傾斜していく過程が判り不気味だ。 偶然も重なり、警察側が犯人を割り出せない状況はイライラしてくるが、この辺りが、ルース・レンデルの力量なのだろう。私たちの日常生活のなかで、このような人物が居るかも知れないという恐怖感がソワゾワと立ち上がり、見事だ。 | ||||
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秋の夜長のお供に最高の一冊。活字中毒の私を満足させる一冊です。 | ||||
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この小説は、主として犯人側の視点で物語が進められる「倒叙」形式の作品である。文盲であることを隠してとある屋敷に家政婦として雇われた中年女性が、次第次第に追いつめられていく様が乾いた調子で淡々と綴られていく。物語の進行は一見非常にシンプルであるが、その実、結構手が込んでいる。「文字に見捨てられた」主人公ユーニスの共犯者はキリスト教の狂信者であって、それは言いかえれば文字の向こうに幻想をのみ見ている人物である。いわば「文字に取り憑かれた人」なのだ。そして、この二人が犯人であることを告発するのは「声」であり、その「記録」である。言語の様態が巧みに取り込まれた構築美をなす佳作。 | ||||
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週刊文春 1984年 海外7位 衝撃的な一文から幕を開ける本書。ここから陰惨な事件が綴られていく。 ストーリーはごくシンプル。カヴァデイル家の家政婦ユーニスが、雇われてから、雇い主への凶行に及ぶまでの一年間を追っていく。ヒトは、強いコンプレックスに苛まれたとき、一見ささいな事をトリガーとして、行動を抑制できなくなるのかもしれない。極端ではあるけれども、そんな、誰にでもある心の闇の部分を見せつけられた気がする。 ユーニスとともに、事件の中心人物となるジョーン。二人が出会ったとき、カヴァデイル家の末路は決定づけられる。お互いを蔑みながら、寄りかかろうとする二人の奇妙な友情が、ストーリに厚味を与えているようだ。 本書の登場人物達は、スノビッシュなアッパーミドルクラスの人々。典型的な英国支配階級としての彼らが、ボタンの掛け違いから、運命に絡めとられていく様が、じっくり描かれている。それぞれが、それぞれの勝手な理屈で行動し、ユーニスによって、最終的に死という点に収斂されていく。冒頭の一文で結末が明らかなのだが、それでも読者にページを繰る手を休ませない。カウントダウンをするかのような、レンデルの読ませるテクニックはすばらしい。 | ||||
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ユーニス・バーチマンがカヴァデイル一家4人を惨殺したのは、たしかに 彼女が文字が読めなかったからである。 小説冒頭の二行である。 ユーニス・バーチマンは、家政婦としてアッパーミドルクラスのこの家に家政婦として雇い入れられた。 訳者はユーニス・バーチマンをその後「文盲」だと表現するが、英語がilliteracyと表記されているのだろうか。 小説を読むと、経済的理由などで学びたくても学べない境遇だったのではないようだ。 所謂、読字障害であると思われるのである。 | ||||
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ユーニスが、家政婦として雇われたアッパー・ミドルの裕福なカヴァデイル家一家4人を惨殺したのは <彼女が文盲だった>からである。だがそれだけではない事情あったー。 カバーにもそう書いてある。ネタバレではない。ネタはあらかじめバラされている。 かつて“静かな恐怖”をここまで戦慄的に描いた小説があっただろうか。 人のいい田舎者の女召使いが、石のように無感動に人を殺す様を描いたミステリーがあっただろうか。 まさしくレンデル会心の一撃。才女をしてこれ以降、本作を凌ぐプロットは創出しえていないと断言しよう。 ミステリー好きならば、必読。ミステリーとして読まなくても、出色。 これだけ書いて読まない貴方を気の毒に思う。ぜひとも!お読みなさい!! | ||||
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その凶行に至るまでの時計を巻き戻していくと 登場人物たちが次々と選んではいけない選択肢を選んでいくところが どきどきする、というか、怖い ジェットコースターがカタカタと頂上に登り詰めて行く感じ? そっちはダメー!それはダメー!と言いたくなりながら 物語が進行するところが、この本の良さではないかしら | ||||
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家政婦ユーニスは文盲。この秘密を知る者はいない。誰にも打明けるつもりも無い。秘密を知られるくらいなら相手を殺す。それなのに家族は、夕食に「***」を用意してね、等とメモ書きを渡すのだ。読者は、そんな事をしたら"死"に近づくだけなのに、と思う。ここが作者の腕の見せ所だ。そんなメモ書き等しないで読み上げれば良いのにとか、メモ書きと違ったものを買ってくるユーニスに疑問を持てば良いのにとか読者に心配させる時点で、作者の術中に嵌っている。作者のワナの掛け方と心理描写が卓越しているのだ。 イギリス社会において文盲率がどの程度なのかは知らないが、死と引き換えにする程のものとは思えない。だが、ユーニスにとってはその秘密が全てなのだ。しかし、そんな事を考えている余裕を与えない程、物語はスピーディに進み、やがて破局が近づいてくる...。 問題点を冒頭で明示しながら、それでも読者を引っ張る作者の技巧が光る傑作。 | ||||
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ルース・レンデルの作品解説には 時々異常心理といった言葉が出てきますが その異常さは突然生まれるのではなく、 徐々に作られていくところを 彼女はいつも良く書いていると思います。 なので個人的には誰もが異常になりうる怖さに 面白さを感じます。 冒頭から引き込まれる作品なので 彼女の作品を読み始めるのには 最適なのではないでしょうか。 | ||||
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推理小説なのに、冒頭の二行で事件・犯人・被害者そして動機までを明かしてしまう作者、ルース・レンデルは自信満々だ。しかし、それで面白さが減じることは決してない。ページを読み進むごとに背筋が粟立ち、登場人物たちの行動に思わず声をあげてしまう。今忠告してあげれば、彼らがあらかじめ予告された運命を回避できるのではないかという儚い望みを抱きながらページをめくるうちに、あっという間に終焉へと導かれる。そして、再び冒頭から読み返したくなる。 | ||||
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