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(短編集)

地雷グリコ



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【この小説が収録されている参考書籍】
地雷グリコ

地雷グリコの評価: 3.82/5点 レビュー 110件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全110件 41~60 3/6ページ
No.70:
(2pt)

私には合わなかった

普段はミステリーは海外ものしか読まないが、とても評価が高かったので読んでみた。
カイジみたいだと思って読み始めたが、不快な気分になることが多く、後半は飛ばし読みした。
ミステリーに関しては日本はまだレベルが低いのだろうか。
残念ながら。
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No.69:
(2pt)

うーん?

ライアーゲームがどれだけすごい作品がよくわかりました
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No.68:
(5pt)

スリリング

伏線、逆転への筋道はルール説明の時点で既に終わっていてそこからは相手の心を読み、誘導し針の穴をも通す精密なゲームプレイで相手を誘導する。
一つでも踏み外せば負けるとてもスリリングな勝負ばかりで最後まで手に汗握った
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No.67:
(4pt)

あっと驚く。。。

これは面白い謎解きミステリです。

ゲームとは『戦略』であることが実感できます。

つい、日常生活にゲームを見つけたくなる一冊です。
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No.66:
(4pt)

オーディブルだと最後の大一番が・

この小説には視覚情報が与えられているようなのですが、
中盤までは、情報なしのオーディブルでも違和感がない
というか、声優さんの声がかわいいのではまります!
ただ、大一番は、比較的ゲーム自体がこみいっていて
、視覚情報がないと辛いかな~感じました。でも面白い
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No.65:
(1pt)

同ジャンルの他作品の方が面白い

話題だったので読みましたが、なぜこんなに話題になっているかわからない作品でした。

この手の作品は小説でなければ色々あるのですが、
その同ジャンルの他作品と比べてゲーム自体が面白くなく、逆転の方法もありきたりなものです。
ルールの裏や隙をついて逆転するのがこの手の話の定番ですが、そのカラクリが単純で読んでいる最中にわかってしまうようなレベルの低いものでした。

またギャンブルを題材にしておきながら負け額を簡単にチャラにしてしまう点も気になりました。一度チャラにしてしまうと、今後の作品でもどうせチャラになるしなと思ってしまい、全く緊張感がなくなってしまいます。私はこの作者の今後の作品を読むたび「どうせチャラになる」と思うことでしょう。

この手の作品は福本漫画をはじめ様々な先駆者がいます。漫画原作もしているようですから、ゆかりのあるヤングジャンプのジャンケットバンクでも読んで勉強してみてはどうでしょうか?
正直言って私には劣化ジャンケットバンク、劣化賭ケグルイとしか思えない作品でした。
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No.64:
(1pt)

幼い

読むに耐えない。
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No.63:
(5pt)

ゲーム本

今年のミステリー本、一位を獲得していて、ゲームが好きな方にもおすすめしたいです。
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No.62:
(4pt)

青春頭脳ゲーム

ライアーゲームやカイジ等理詰めで勝つ系のギャンブルもの。ただし、登場人物は高校生なので狂気的な設定・人物が登場したり、敗者が死・破滅に至ったりするといったことはない。そのため、ギャンブルものによくある反社会的・退廃的な雰囲気はなく、むしろ熱い青春バトル漫画のような趣がある。理屈自体はよくできていて、ひりつく感じはしないが、スカッとはする。
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No.61:
(2pt)

面白いかつまらないかの二択なら面白い

ちゃんと面白いエンタメ小説だった。
ただ私は、これをミステリだと思って手に取った。だって本格ミステリ大賞取ったんだもの。直木賞の候補だっていうんだもの。
風聞に流されて変な期待感を持って読み始めた私が愚かであり、この作品も、筆者も、なに一つ悪くない。
本来、あらゆる作品にはなんの偏見もなく読み進めるべきなのだ。

読み終わった私の感想は「これ、原作が漫画の小説化?」だった。
そんなことはなく、もともと作者が漫画原作と活躍されている方だった。私の見識の浅さに恥いるばかりだ。そしてきちんとこの小説は漫画化された。売れるといいな出版界の盛り上がりを願うばかりだ。

さて、誤解がないように言うが、この小説はちゃんと面白い。
もしもこれがライトノベルとして出版されて手に取ったら、舞台設定がちょっと適当だけど頭脳ゲーム戦をちゃんとやってくれている! と感心して高評価しただろう。
だけれどもこれはラノベではなく権威ある賞を受賞した一般文芸作品として売り出されていた。

これはミステリでもなければ、文芸としての人間ドラマもない。
登場人物は人間ではなくキャラクターとして描かれており、ドラマ描写は弱い。ライトノベルのキャラクターか、よくてキャラ文芸。それが悪いのではなく、それを一般文芸とするのが悪い、というのはもう老害じみてるのかもしれない。……でもこれ、どう考えても漫画化を前提としてるよね? 

話は基本的に、ワトソンポジの主人公がホームズポジで活躍する女の子のゲームをハラハラしながら見る構造だ。頭脳ゲーム戦は主人公のピンチを演出しながらもルールの裏をかいて勝つという形式を繰り返す。
もちろん、頭脳ゲーム戦の出来はいい。世に溢れるラノベの頭脳戦はすべてこれの真似をしろと言いたいくらいお手本の構造をしていて、エンタメ的で、もうはっきり言って漫画のプロットじみている。最初から漫画で楽しませろ。

総じて、エンタメとしてのお手本とすらいえる完成度が高いキャラクター小説である。
読んでいて気持ちがよく、楽しく、けれども文芸作品ではない。今回は候補止まりだったが、こう言った作品が直木賞をとったら、完全な時代の変遷になるだろう。それは悪いことではなく、文芸というジャンルがよりエンタメとして洗練されていく過程なのだと思う。

なんにしても、偏見なく読みたかった一冊です。誰だこの小説をミステリだとか売り出したのは。
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No.60:
(5pt)

傑作

各話の前半に仕掛けられた伏線が回収されて真兎の逆転勝利につながる流れが非常にスリリング。本格もの、頭脳戦ものが好きな方に強くお勧めします。また戦われるゲームは全て一般的なゲームにひねりを加えたものなので文章だけでは分かりにくい部分もあるのですが、各話に丁寧な図解が施されていて助かりました。
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No.59:
(5pt)

グリコ森永事件の亜種⁈かと思ったら、ロジックの戦いの学園ドラマ⁈

所々、ロジックすぎて、食傷気味になるけれど、総体して面白い⁈
一年も前の本なのに、青葉区の図書館では、20冊に、200人待ち=約一年待ちと聞き、電子書籍にしました。因みに図書館では、どうやるのか、電子書籍版の貸し出しも待ちだった。鮎川哲也のファンは好きかも⁈砂糖のスティックが2本と、出てくるのは鮎川哲也の例の刑事さんへのオマージュでは⁈
それにしても1週間で三つの賞を総なめって⁈他にいるのかなぁ⁈
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No.58:
(3pt)

解決がトンチ頼り…

トンチを効かせてルールの穴を突くような解決が多く、「それってあり?」という結末が多い割に、重要なルールが確認されてなかったりして、納得感は乏しかったです(地雷グリコなら地雷が重複作動するか当然確認すべきとか、自由律じゃんけんならどこまで強力な効果が許されるかもっと試したほうが良いとか)。
比べたら酷ですが、カイジやLIAR GAMEといった漫画界の同じジャンルの傑作と比べると数段以上落ちると思いました。
ゲーム自体は面白いものが多かったので☆3にします。
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No.57:
(5pt)

手品のような小説。

天才高校生がいろいろなゲームに挑む、というお話。
読み味はカイジをはじめとするデスゲームものに近いですが、青春小説なので人は死にません。

どのゲームも、既存のゲームをひとひねりして独自の戦略性を持たせたものです。
主人公は限られた時間の中で頭脳をフル回転させ、攻略法を編み出し、敵に挑みます。

非常に読みやすい文章で、ページをめくる手が止まらないとはこのことか! というくらいさっさと読めるのですが、何気なく読んだ文章の中に攻略のヒントが隠されていることが多々あり、まるで手品を見ているようでした。

手品って、観客の視線や意識をうまく誘導することでトリックに気付かせないようにしていますよね。で、タネ明かしを見ると「ここに仕込んでいたのか!」とびっくりする。『地雷グリコ』はそんな驚きに満ちています。後から細かいところを確認すると、ちゃんと「仕込み」がなされている。この仕事の丁寧さはまさにミステリ作品です。

小説らしく人間を深く描いているかというとそうではないのですが、そういった点はあえて控えめにして青春エンタメ小説であることに徹し、ゲームの面白さを描くことに全力を注いでいる姿勢は、間違いなく評価に値します。面白いものを面白く描くぞ、という誠意を感じるのです。
とはいえ、関係性オタクにはある程度の栄養を与えてくれる作品でもあります。

面白かったです。ありがとうございました。
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No.56:
(5pt)

安心してください 誰も死にません

それでも、とにかくハラハラする。
殺人こそ起きないが、犯罪すれすれのグレーゾーンな事ばかり起こる
コージーミステリーとも少し違う
本格ミステリーが好きな人は、殺伐とした場面が出てこないと、少し物足りなさを感じてしまうかもしれないが、この作品に関してはそんな心配もいりません
唯一心残りは、若い頃に読みたかった
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No.55:
(2pt)

少年漫画のような読みやすさ

軽い気持ちであれこれ考えずにグングン読める。少年漫画とか、ライトノベルみたいな爽快さ。若い世代には特に人気が出そう。
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No.54:
(2pt)

ミステリーではないので要注意。カイジの限定じゃんけん的な世界観で、漫画なら面白そうだが・・・

まず、「本格ミステリ大賞」受賞作品だったので、自分が考える本格ミステリーの文脈で読み始めたのが良くなかったかもしれない。蓋を開ければ、カイジの限定じゃんけん的な世界観を、高校生主人公の学園物に置き換えた作品だった。
それぞれの章ごとに独自ルールのゲームが設定されているのだが、後半にいけばいくほど、内容が複雑化していくため、今一つ乗り切れないまま終わっていく印象だった。キャラクターや舞台設定も非常に漫画的なので、これが原作の漫画だったら面白いのかもしれない。小説というフィールドで読者を引き込むには少し力が足りないかなとという印象で、全体的に消化不良だった。
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No.53:
(5pt)

最高

嘘食い、カイジ、ライアーゲーム、ACMA GAME、…
頭脳バトルものってめちゃめちゃ面白いですよね。
この本でたっぷり楽しめます。
このジャンルで大事なのは、
・シンプルなルール(読者がルールの理解を諦めてしまうレベルでは全く面白くない)
・納得感のある勝利(ルール違反がなかったことを読者が完全に理解でき、読者もその発想さえあれば真似ができる方法)
・ゲーム情報の適切な開示(実はこんなことしてました、は最小限であってほしい)
・ロジックのストーリーテリング(プレイヤー視点、観客視点の情報開示・解説が読者の興味を持続させる)
・派手などんでん返し
あたりだと思っていますが、この本は完璧です。
さらには全体をつなぐサイドストーリーもちゃんとオチがついて、読後感が爽やかでした。
いやーー最高です。
もっと続きを、何卒ぜひお願いします!!
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No.52:
(4pt)

戦略ゲームと学園生活が絶妙に融合

この小説は、学園を舞台にした戦略ゲームを軸に展開するストーリーで、綿密な戦略設計に感心させられました。ゲームのルールや展開が非常によく練られており、読者を引き込む要素となっています。

登場人物たちの駆け引きや心理戦が見事に描かれており、まるで実際にゲームに参加しているかのような臨場感があります。ただし、細部まで突き詰めて考えると、いくつかの矛盾点もありえそうではあります。

学園を舞台にしているため、緊張感のある戦略ゲームの合間に日常的なシーンが挿入され、適度な息抜きになっています。この「ゆるさ」が物語に 深みを与えていると同時に、時折緊張感を損なうこともあり、評価が分かれるポイントかもしれません。

キャラクターの個性や表情、ゲームの展開など、視覚的な要素が豊富なこの作品は漫画化にも向いていそうです。アニメーションでキャラクターたちの駆け引きを見られたら、さらに楽しめそうですね。

全体として、戦略ゲームファンや学園モノが好きな読者におすすめの一冊です。
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No.51:
(5pt)

(2024-122冊目) 人生はゲームではないという言葉が読者に迫るもの

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 高校生たちが、特殊なゲーム競技を闘っていく学園青春ミステリーの連作短編集です。第171回直木三十五賞こそ逃しましたが、第37回山本周五郎賞受賞、第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉受賞、第24回本格ミステリ大賞【小説部門】受賞ほか、数々の栄誉に輝いた昨2023年の話題作です。

『地雷グリコ』
 頬白高校の学園祭で各クラスは模擬店を出すのに最適な場所を独特の競技で奪い合う慣習がある。校舎の屋上にカレー店を開きたい1年四組は、同じ場所にカフェを開店したい生徒会を相手に戦うことになる。学園祭実行委員が提案したのは「地雷グリコ」――頂上まで進む石段の数をジャンケンの勝ち負けで競っていく競技だが、各チームは階段途中に3個まで地雷を設置することができる。地雷を踏むと10段後退を余儀なくされるのがルールだ。1年四組代表の射守矢真兎(いもりやまと)は生徒会の椚(くぬぎ)先輩と「地雷グリコ」を戦うことになる。
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 階段のぼりの「グリコ」とは、グーがグリコで3段、チョキがチョコレートで6段、そしてパーがパイナップルでこれまた6段進めるという、日本全国津々浦々、子どもたちが必ずどこかでやっているあれです。これに、踏んだら10段後退を求められる地雷が組み合わさった独特のルールで戦います。進む段数が3の倍数という規則性と、後退段数が10という不規則性、さらにはどこに地雷を埋めたのか互いに隠しているという機密性が加わって、精緻な計算を求められる頭脳戦と、相手の心を読み解く心理戦の、複雑極まりない戦いが進むというわけです。
 もちろん地雷といっても本当に爆発することはありませんので、危険はないのですが、それでも知的で行き詰まる攻防が続く物語の見事な展開は、読んでいて一度も倦むことがありません。
 こんなゲームを考えるとは、なかなか粋な話です。

『坊主衰弱』
 頬白高校のかるた部は地元の〈かるたカフェHATANO〉と揉めて店を出禁になってしまう。なんとか禁を解いてもらおうと店にかけあうがマスターの旗野さんはけんもほろろ。たまたまそのやりとりの現場に居合わせた真兎は、出禁を解くことを賭けて旗野さんと勝負をすることに。旗野さんが提案したのは、「坊主衰弱」という独特の勝負だった。
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 百人一首かるたの坊主めくりに複雑なルールが付加された「坊主衰弱」。しかも最後に真兎が手にした札10枚ごとに、かるた部員1人を出入り解禁にするという話です。つまり部員10人全員を解禁するには手札100枚すべてを真兎が獲得しなければなりません。偶発性に左右される坊主めくりで、ひとつのミスも許されないなど、およそ無理無体な話です。果たして真兎はどうやって勝負に完勝するつもりなのでしょうか。
 ネタバレしないように記しますと、真兎は頭脳を駆使してというよりは――しかもあまりスマートだとは私には思えない――策を弄して勝ちにいきます。その点は少々肩透かしを食った思いが残りました。

『自由律ジャンケン』
 生徒会長の佐分利は真兎の勝負強さを聞きつけて、生徒会に引き入れようとする。その強引な物言いに真兎は自由を奪われると反発するが、中学時代の同級生である雨季田(うきた) 絵空(えそら)の名を挙げられて、佐分利の提案するゲームに負けたなら入会することを条件に話に応じる。そのゲームとは「自由律ジャンケン」なる不思議な勝負だった。
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 この「自由律ジャンケン」とは、「7回勝負の勝ち越し戦。出せるのはグー、チョキ、パー+両者の考案した〈独自手〉を合わせた5種。〈独自手〉は基本何でもあり。そして効果はお互いにわからない状態で勝負を始める」のがルール。これが「地雷グリコ」に似てなかなかクセの強いゲームです。〈独自手〉が何に勝って、何に負けるのかは審判だけに事前に明かされ、プレイヤー(と読者)には伏せられたまま試合が進みます。読者はそのからくりを真兎と佐分利といっしょに推理しながら頁を繰ることになります。そしてその伏せられていた効果と、真兎の最後に仕掛けたトリックの見事さに息を呑むこと間違いありません。
 物語は特殊ジャンケンの勝負がついた後も続きます。佐分利が真兎を求めた真相の、これまた異様な状況が、さらに次の物語へと読者を牽引するのです。

『だるまさんがかぞえた』
 真兎らは星越高校の生徒会と故あって勝負をすることになる。相手方が提案してきたのは「だるまさんがかぞえた」。そしてこのゲームによって互いに1枚10万円のチップを取り合うことになる。
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 賭ける対象が1枚で10万円と高校生にとっては高額過ぎるのですが、それが1枚や2枚という話ではありません。特殊ルールのせいで賭け金の桁がどんどん積み上がっていきます。絶対不利の状況にもかかわらず、真兎はどうやって勝ちを収めるのか。
 その頓智のような、それでいてなかなか小気味よく相手をねじ伏せる展開には快哉を叫びたくなります。どんなにがんじがらめに見えるルールにも、解釈の自由が残されている点があり、それを見事に衝いていく真兎の勇姿が眩しいのです。

『フォールーム・ポーカー』
 真兎らは1枚10万円のチップを巡って星越高校の生徒会と最終決戦に臨む。対戦競技は頬白高校の旧部室棟内の4部屋を使った特殊なポーカーゲーム。チップを巡る掛け金はやがて数千万円レベルへとつり上がっていく。
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 真兎の対戦相手は中学時代の同級生の絵空。このふたり、中学卒業間際になにやらあったようです。表面上は元同級生という穏やかで懐かしげな様子を見せるのですが、高額掛け金を巡って容赦のないバトルを展開することに全くの躊躇がありません。
 ポーカーゲームの交換(チェンジ)の札は4つの部屋に配置されています。相手がどの札を手中に収めているのか、残りのカードは何であるか、を制限時間内に類推しながら二人の対決が進行します。取られる戦術はこれまでどおり、提示されたルールの中にある小さな抜け道を見つけるだけではありません。命の危険もありうるかなりヤバい手が繰り出されて、物語の緊迫感はかつてないほど高まっていきます。果たして闘いの決着はどうつくのか、手に汗握る物語を楽しめます。

――このように、5つの短編は緊迫感あふれる高度な頭脳戦の顛末を描いていきますが、物語の芯はそこだけではありません。それは人生はルールでがんじがらめのゲームではないという真理。そして高校生という若く、無知でありながら無茶を厭わない青さが放つ眩しさ。その青さが人間関係の気詰まりや行き違いを図らずも生んでしまうことはあるものの、壊れたり歪んだりした関係をしなやかな意思の力によって修復しける若者の逞しさです。
 真兎と絵空は中学時代にやらかしてしまった密かな負い目を抱えてきた経緯が最後に明かされます。そしてそれを正すのに自分たちがまだ手遅れではない事実を知るのです。
「『人生はゲームだ』なんてふざけたこと抜かすやつを信じちゃだめだよ。【……】人生はなかったことにできないじゃん」(52頁)
 こう話す真兎は、絵空との関係をリブートしようとします。人生にリセットボタンはない。やってしまったことを受け止めながら次の段階へと進むことが大切。そう覚悟するこの若さが本当に羨ましく感じられます。みずみずしい若者たちの物語を読めた満足感が残りました。

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地雷グリコAmazon書評・レビュー:地雷グリコより
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