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ことり
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ことりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全73件 41~60 3/4ページ
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ゆっくりとこういう小説が読めるのはなんて幸せなことなんだろう。抑揚はないが静かにただ静かに流れる物語。切なさと優しさと寂しさがごちゃ混ぜに胸を埋め尽くし豊かな気持ちになれる。 | ||||
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一般社会から切り離された生活を送る兄弟の世界。精神的な異常を伴ってはいるが、決して狂気ではなく、限りない優しさがある。人物像の微妙な違いが明瞭に描き出され、移り変わる情景も映像としていつまでも心に残る。しかし、語り口は淡々として冷たく、過不足のない美しい文体自体を存分に味わうことができる。作者ならではの才能を感じる、極めて優れた作品だと思った。何度も読み返したくなる。 | ||||
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2016/1/24(日) ことり 小川洋子 朝日文庫 静謐な世界観。「悼む人」を思い起こさせる。 社会の仕組みから外れたところに佇む人たちは、仕組みの中にいる人にとって、いないも同然に扱われる。 たまさか、そんな辺境の人が「中の人」とほんの少しだけ交わることがある。 辺境の人の一人。「小鳥の小父さん」の一生を水彩画のような色合いで描いた物語。 孤独感は強く押し出されているけれど、それはどういう種類の孤独なのか。 ただただ耳を澄まして、人生を歩いた辺境の人の孤独は不思議と明るくて美しい。 | ||||
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古本屋さんでジャケ買いをしました。 小川洋子さんの本を読むのは『ブラフマンの埋葬』に続き2冊目です。 はじめ、この物語は“小鳥の小父さん”と呼ばれるちょっと世間とは上手く(器用に)馴染めないおじさんの、切ない一生のお話なんだなと思っていました。 でも本当にそれだけのお話だったら読み続けるのが苦痛になりそうなものだけれど 実際はとても面白かった、、というか途中から加速度的に読むのが止まらなくなったのです。 うまく説明がつかない感情で最後まで読み終わり、上手く言えないけどしみじみ良かったと思っていたところ 最後に載っていた解説で“小鳥の小父さん”のような人たちのことを小川さんが“取り繕えない人たち”とおっしゃっていて そうか!これは取り繕えない人が自分を偽らず正直に生きた一生のお話なんだ!とポジティブな解釈になりました。 生きているとどうしても自分の気持ちに嘘をつかなければいけない状況がだれにでもあると思いますが、 小父さんは徹底して最後まで自分の気持ちに嘘をつかずに行動しています。 たとえ誰にどう思われようとも。 「もっと上手く立ち回れば良いのに!」と、読んでて若干イライラすることもある程に、、、^^; 端から見ていたら幸せな一生には見えないかもしれないけれど、小父さんは取り繕えないからこそ 正直に生きられて、ある意味とても満足だったんだろうな、そうあって欲しいな、と感じました。 そして、自分ももう少し自分の感情に正直に生きたい気持ちになりました。 余談ですが、小川さんは日常のささやかなものや事を美しく表現するのがとても上手な方だなと思います。 『ブラフマン〜』のときは病気のお母さんのために人の家のキッチンを借りて裏ごしに裏ごしを重ねた黄金色のスープの描写がとても印象的でしたが、今回は小父さんのお兄さんがポーポー飴の包み紙で繊細に小鳥のブローチを作るさまが目に浮かぶようでした。 出来上がったレモンイエローの小鳥のブローチはすごく美しいんだろうなと想像します。 | ||||
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生きるというのは、周りから尊敬される立派な人物になるとか、歴史に名を遺すとか、 そういう「ひとから高く評価されること」じゃないんだな~って思えました。 人生に、そんな他人のモノサシは(本当は)要らない。 自分を生きること。自分になること。 主人公とそのお兄さんは、小鳥の世話をすることに専心していて、 世間からはまるで評価されていない。 だけれども、小さいながらも清らかにまっすぐに、自分の世界を生きている。 一般社会に左右されて、自己を見失ったりはしない。 なんだか、いいなあ♪こういう作品、とても好きです。 わたしもこんなふうに、誰に何を思われてもいいから、自分が愛するものをいちずに見つめて、 小さく静かに自分自身を生きていけたらいいなあ♪と思いました。 それは、ささやかだけど、なんという大きな幸福だろう。 派手な事件は起こらないけど、穏やかさと優しさに満ちたステキな物語です。 | ||||
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ことりが好きなので、タイトルとカバーに惹かれて購入。 ことりの美しく豊かな描写。 主人公の小父さんを取り巻く、狭いけど過不足ない世界。ごく普通で取るに足りない世界だけど、温もりがあって、読み手の私の中にもその世界が広がっていく。ありふれた景色のようで、どこか幻のような、淡い世界。 物語は、終始どこか切なくとも、美しかったです。 読み終わった後も余韻に浸りたくて、読み返してしまいます。 | ||||
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やや現実離れした物語でも、あたかも自然のことのように、 「当たり前じゃないですか」とつぶやくように、紡がれていく。 本作もまた、小川洋子ワールド全開だ。 ファンタジックで、やさしく、やわらかく、丁寧に、淡々と、物語が語られる。 読み終わったあとに、消化しきれない「何か」が心に引っかかっている。 それが何なのかワカラナイから、しばらく小川洋子ワールドが抜け出せない。 かといってイヤな気持ちではなく、夢遊のような、そんな感じ。 | ||||
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下記の主要理由2点により、☆1です。 ①ムダに冗長な情景描写/形容詞 心酔するような言葉/言い回しでもナイ描写が、ダラダラと始終続く。苦痛。 ②ストーリー自体もつまらない 物語/作者の主旨が不明瞭で、ただグダグダとつまらない兄弟の"日常"が綴られている。 | ||||
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小川洋子さんの作品はいつでも弱い人たち(あえてこの言い回しをする)への労わりと慈愛に満ちていると思う。 繊細な筆致で綴られる、温かくも切ないエピソード。 この『ことり』という作品中には、(著者の他作品の例に漏れず)その世界観を象徴するいくつかの、独特で印象的な要素が登場する。 読み進める中で、それらひとつひとつが繋がり折り重なっていくように感じる。 著者の作品を読むことでしか得られない静寂、唯一無二な時間を今回も味わうことができた気がする。 | ||||
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「小鳥の小父さん」と呼ばれた男性とその兄の一生を描いた物語だが、作者のファンとしては残念ながら、満足の行く出来ではなかった。「小父さん」の死の場面から物語が始まるが、前半の1/3程度は兄の回想譚(「小父さん」の一人称)、後半の2/3程度は「小父さん」自身の回想譚(三人称)という体裁。前半では、兄が鳥語(ポーポー語)しか喋らないという設定で、「兄=鳥の化身」というファンタジーが活きている様に映った。また、作者が以前、ある学者と、「言語=音楽起源説」について対談していた事があるが、それを反映している様でもある。 しかし、後半の「小父さん」自身の回想譚が詰まらないのである。もっと抒情的・幻想的内容を期待したのだが、恋愛模様などの、変に現実的エピソードが多く、作品の雰囲気を壊している。どうせファンタジーなのだから、作者の筆力を持ってすれば、兄と同様、「『「小父さん』=鳥の化身」に近い雰囲気を醸し出せたのではないかと思う。長編を紡ぐためなのか、妙にダラダラとした記述が続き、読んでいて退屈してしまった。 「小鳥=無垢の代表」に対する無垢の愛・奉仕を描いたファンタジーにしては夢のない物語。もっと作者の特長を活かした作品にして欲しかった所。 | ||||
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11歳の時から人間の言葉を話さなくなった兄と、兄の言葉=ポーポー語を唯一解する7歳年下の弟。二人の、愛に満ちた生涯を描いた物語です。兄は小鳥たちの言葉を理解し、人間よりはるかに深遠な世界を見ています。兄が死んだあと、長い歳月を経て兄の境地に近づき、みんなから「小鳥の小父さん」と呼ばれていた弟は、ある日おだやかな最後の時を迎えます。 完璧に作り込まれた工芸品を見ているような小説です。 言葉とは、孤独とは、生きるということの意味とは、愛とは、親子とは、兄弟とは…いくつもの思いが、あるときはささやくように、あるときは波立ち渦巻くように、湧いてきます。小説自身に解は示されておらず、読者の数だけ無数の想念が湧く、そういう小説です。 しかし、閉じられた妄想といった類ではなく、「小鳥の小父さん」が世間との接点で陥るピンチなど、胸苦しくなるようなリアリティがあります。 小川洋子の、磨きこまれたことばに、乾杯。 | ||||
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私にとっては、小川洋子さんの2冊目の作品でした。本当に独特の世界観です!ここの部分がピークの盛り上がりってのがないように感じますが、全部読むとはぁ~難解異本読んだかなって思わせてくれる。そんな作品でした。 | ||||
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作者も信者もマイノリティに酔ってるだけって感想しかなかった。 そもそも斬新さを売りにしてるわりには「アサッテ」などの焼き直しだし。 プロ作家なのにやってることはいとうせいこうと同レベル。 | ||||
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世間と一枚皮を隔てて生きる孤独な人は、良く小説に取り上げられる題材である。描かれた孤独さが読み手に説得力を持つには、背景となる細部が事実に即して書き込まれていること、深みを持っていることが鍵となるが、この小説はそこが物足りない。例えば、メジロは昆虫や果物を食べる鳥で、穀物食の鳥ではない。また、飛ぶほどに成長した野性のメジロは人からスプーンで餌をもらったりしない。 | ||||
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淡々と兄弟仲睦まじく、ただ静かで自分たちの世界を壊すことなく、 生きていく主人公とその兄。 それが時には、周りの人たちから誤解を与えたりして、読んでいてもどかしさを感じながらも、 いかに人間社会はときには優しく、時には邪悪なものかを考えさせられる本。 私もコザクラインコを1羽飼っていますが、社会や家族で疲れたとき、 人間では癒されない癒しを与えてくれます。 変化はあまりないので、ミステリーを読むような感じではありませんが、疲れたとき、孤独を感じたときなどに読むと合う一冊です。鳥が好きな人には、特におすすめです。 | ||||
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話題になっていたので読んでみました。何度でも読んでみたいと思う本ではありませんでした。 | ||||
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私は、書籍や映画、ドラマなどに関してはレビューを書かないことにしています(実用的なものを除く)。感動した芸術作品について、私が何か感想を書けば書くほど、的確に表現できず自己嫌悪に陥り、何より感動した作品に対して失礼になると思って書けないのです。 しかし、本作品は作家の作家の絲山秋子氏が「第十回 絲山賞」を差し上げた作品であることをご紹介することで、この作品の素晴らしさをお伝えしたいと思いました。 -----「絲山賞」とは。 (絲山秋子氏のオフィシャルウェブサイトから引用) 絲山賞とは、一年間で絲山秋子が読んだもののなかで 一番面白かった本に差し上げている賞です。年末にweb日記上で発表されます。(第一回のみエッセイの中で発表)本人への連絡等はしません。(出版社が連絡している場合は多い) 名誉、ありません。正賞、副賞、ありません。 つまるところ「我が家の十大ニュースってなんだっけ」と 年末の食卓で語られるような、そんな程度の賞です。 単行本の帯や、対談等に採用されることがありますが、これは受賞者側の「粋な計らい」によるものです。 -----(引用終了) -----そして2013年12月10日に、「本作品に絲山賞を」と発表された日記。 (絲山秋子氏のオフィシャルウェブサイトから引用) 第十回絲山賞は小川洋子氏の「ことり」(朝日新聞出版 12年11月30日刊)にさしあげたいと思います。 これまでの絲山賞につきましてはこちらをご覧ください。 これほど静かで、濁りのない小説を私はほかに知りません。慎ましく生きていても、大切なものはひとつひとつ失われていく。読後の余韻が長い間心に響きます。哀しさはあっても甘さは抑制されていて、作者が本当に小説を大切にしていることが伝わってくると思います。心が騒がしくなっているとき、素直になれずに苦しいとき、ぜひ読んでいただきたい本です。 -----(引用終了) | ||||
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人の言葉が全く話せず、自分だけの言語を話す兄と、ただひとり兄の言葉を理解できる弟の物語。兄は人の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりは理解することができる。 そんな2人の、2人きりの静かで、やさしく、せつなくて、寂しい暮らしを、淡々と、でもそっと包み込むように描いている。 2人の暮らしは慎ましく、穏やかで、でもささやかな幸せに満ちているんだけど、なんだかたまらなくせつなくて、「この人たちにはもっと、慎ましくないはっきりくっきりした大きな幸せをつかむ権利と方法があるんじゃないのか!」とつい、思ってしまう。 でも、きっと彼らはそんなものは全然必要としていないんだろう。私ってやっぱり俗物だなぁと思う。もっと美味しいものを食べたり、旅行したり、映画を見たり、小鳥を飼ったりすればいいのに!と思ってしまうのだ。 何が幸せかなんて、人に測れるものじゃないのにね。きっと2人は幸せだったのだ。でもなんかしみじみとせつない。 小川洋子の作品は、そんな気持ちにさせられるものが多く、読み終わったあと、なんだかすーっと心が静かになって、心の隅っこに溜まった汚れが浄化されるようなそんな気がする。 「明日からも頑張ろう!」とは決して思えないんだけど(笑)「明日からもっとしみじみしよう」みたいな。 | ||||
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世間の多数派を占める「犬の小父さん」でも「猫の小母さん」でもなく、圧倒的少数派の「小鳥の小父さん」が主人公という所に心惹かれて本書を手に取りました。私は大の小鳥好きです。 私も今までの人生で二人ほど「小鳥の小父さん」に出会ったことがあります。 二人とも商店街の外れにある、さびれた風情の「小鳥専門店」の店主さんでした。 第一印象は、決して社交的とは言い難い雰囲気。でも小鳥について何か尋ねると、途端に目を輝かせて饒舌に語りだし、時折人のよさそうな笑顔を見せてくれます。話していると、小鳥という、手のひらに乗るほどの小さくて儚い命を心から慈しんでいるのが伝わってきて、心温まる気持ちになったのを良く覚えています。 そんな過去に出会った小鳥の小父さんたちを主人公に重ねつつ本書を読み進み、ぐいぐいと物語に引き込まれて行き、一気に読了してしまいました。 まず印象に残ったのは、著者の「小鳥の小父さん」へ注がれる眼差しがとても温かいということ。普通なら変わり者と思われてもおかしくない主人公ですが、小川洋子さんの静かで柔らかい文章で、その心情がとても丹念に描かれているため、読者も主人公に共感し、感情移入出来るのだと思います。私は特に小父さんが図書館司書に淡い恋心を抱くくだりに共感しました。この図書館司書の女性が、実に心優しく素敵な女性で、好きになってしまう気持ちも良く分かります。遅ればせながら小父さんに訪れたささやかな恋の予感。そんな自分に戸惑いながらも浮き立つ気持ちを抑えられない小父さん。とは言え、相手は小父さんを異性としては見ておらず、結局切ない片思いに終わるのですが、この辺りの小父さんの心情が小川さんによって細やかに描き出されていきます。 これと言ってスリリングな展開があるわけでもなく、「小鳥の小父さん」の慎ましやかな日常が描かれている小説なのですが、一文たりとも飛ばし読みすることのできない程、引き込まれてしまいます。これはただただ小川洋子さんの小説家としての「読ませる力」の素晴らしさによるものだと思います。 私は読み終わった後、不器用だけど誠実に生きた「小鳥の小父さん」の人生に思いを馳せ、静かな感動の余韻にふけり、しばらく放心状態となりました。 小父さんにとっての小鳥がそういう存在であったように、ささやかな日常の中で、自分が心から「愛おしい」と思える何かを大切にして生きて行きたい・・・そんなことをしんみりと考えさせられた小説です。 | ||||
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鳥籠を、抱きかかえたまま発見された「ことりの小父さん」! サスペンスドラマを連想させる物語のはじまりに、戸惑いながらもページをめくると…… 「ことり」という響きからイメージされる様々なものが、次第に現れてくる。 青空薬局、ポーポーキャンディー、小鳥ブローチ……いつしか「昭和の香り漂う世界」へと誘われ心地良い。 中でも「ミチル商会の社史」の出現には、「さすが、小川さん!」と発想の奥深さに感嘆するばかりだ。 そして、愛らしいばかりでなく「ことり」の持つダークな面も、同時に描かれていて、人間の身勝手な愚かさも痛感する。 「幸福な王子」を少し感じさせるラストは、切ないけれど心が温かくなる。 | ||||
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