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文豪、社長になる



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【この小説が収録されている参考書籍】
文豪、社長になる

文豪、社長になるの評価: 4.29/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(5pt)

豪快な人!

面白かったです。菊池寛の伝記です。
菊池寛といえば、学生時代の文学史で習って、名前と著作を知っているだけの人でした。
「恩讐の彼方に」の人でしょ?あのトンネルを掘って仲直りする話。というレベルの知識しかなかったです。
この本を読んで、菊池寛という人の豪快な人柄やものすごい読書量や行動力、交際関係がわかりました。
この人の生きた時代の作家や流行や、時代背景もよくわかりました。
香日ゆらさんの「先生と僕」や伊集院静さんの「ミチクサ先生」を読んで夏目漱石のファンになっていて、それがこの作品を読むきっかけになりました。この作品は漱石のお通夜から始まります。
芥川賞や直木賞の歴史もよくわかりました。
展開が速くぐいぐい引き込まれました!
読んでよかったです。
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679
No.5:
(5pt)

"仕事や仲間、人生が愛おしくなる" 一冊。

34歳で雑誌「文藝春秋」を創刊し、作家と社長という二刀流のキャリアを歩んだ菊池寛。

若くして亡くなった親友、芥川龍之介と直木三十五の2人を偲んで昭和10年に創設した「芥川賞」と「直木賞」は、いまや知らない人はいない文学賞になった。

作家に憧れた四国の少年が、いかにしてベストセラー作家となり、文藝春秋を創るに至ったのか。稀有な文化人であり、実業家と評される一方で、その素顔は友人作家の成功に嫉妬を燃やし、どんぶり勘定の経営で会社を危うくするなど、あまりに奔放でハチャメチャ。

菊池氏の言動が、そのまま文藝春秋という会社の "人間味" を物語っているような魅力。戦争下で軍部に乗せられ、戦意高揚の片棒を担ぐことになったあたり、現実はもっとシビアだったに違いないが、それですら「おいおい、大丈夫か?」と思わせる展開が妙に心地よく、ページから目が離せなくなってしまう。

ベストセラー『家康、江戸を建てる』や直木賞受賞&映画化で話題の『銀河鉄道の父』などで知られる門井慶喜さんに、文藝春秋社から「創業100周年を迎えるので、菊池寛を」という依頼があり、世に出た "仕事や仲間、人生が愛おしくなる" 一冊。

人生の良い時も悪い時も、まわりには愛すべき人がいる。そう思って接するから、周りの人からも愛される。決して成功ばかりではなく、失敗もたくさんある。でも憎めない人柄……

今では通用しない生き方かもしれないが、それを超えて憧れすら感じる社長としての "直感と情" に学ぶことは多い。

何かと世知辛くなった日々を前に、お前は「それでいいんかい」と言われているようだ。
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679
No.4:
(4pt)

戦前文学史としての読み物

文藝春秋の愛読者としては読んでおくべきと思うし、文学史的読み物として大変面白かった。
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679
No.3:
(4pt)

特になし

特になし
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679
No.2:
(4pt)

歴史への問いかけ

おそらく膨大な資料を基にして語られる
菊池寛 の評伝小説であるが、
その人生を書きながらも
途中で遭遇する第二次世界大戦に
どれほどの意味があったかの問いかけにもなっていて
さすが歴史家としても今が旬と思わせる力筆だった。
明治生まれの私の祖父は
まだ入社試験もない頃に
菊池寛の面接だけで
文藝春秋社に潜り込み
戦前戦後に紆余曲折がありながら
最後まで一編集者として生きたのだが、
その祖父も
ほんの数行ながら登場
満州事変当時の社内での論争で
「日本は、リットン調査団のあつかいを間違ったね。もうちょっと好意的に迎えてやれば‥」と言ったそうなのだが
社中日記にでもあったのだろうか
と作家に聞いてみたい
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679
No.1:
(5pt)

『文藝春秋』を創刊し、芥川賞、直木賞を創設した作家、文化プロデューサー菊池寛の素顔に迫る傑作!

最近なんだか『文藝春秋」が面白い。創刊百年となり、関係者も気合を入れているようだ。著者は『銀河鉄道の夜』で直木賞を受賞した門井慶喜で、家康や江戸の町の創生に関する作品はNHK正月ドラマに採用された。一つの総合誌が百年も多くの読者の支持を受け続けるのはなぜか。
 本書は創業者の菊池寛の類い稀な創造性と文化的オルガナイザーとしての多様な能力をよく描いている。冒頭が、夏目漱石の臨終の場面で始まり、弟子でありながら、新聞記者として取材をしなければならなかった菊池の心の揺れがよく描かれていた。思わず、引き込まれた。
 芥川龍之介や直木三十五との出会いも興味深い。芥川が海軍の教育機関で勤務していたことは知らなかった。芥川も直木もいわゆる戦前の文士で、その卓越した才能に恵まれながら、不摂生やメンタルな挫折で短命に終わった。菊池は高松の出身で、心臓疾患を抱えていたが、作家として、出版社のオーナーとして、成功を収めた。彼の強みは、人と人とを結びつける文化的プロデユーサーとして才能である。早世した作家の死を悲しみ、彼らの名前を冠した文学賞を創設した着眼もすごい。賞がなければ、芥川も直木もとうに忘れ去られているに違いない。
 伝記小説は、作者の力量によって、現代人にも示唆を与える第一級の読み物になるか、単なる偉人先人の称賛の駄作に終わるかが決まる。著者の深い人間観察力を、次の場面の描写から知ることができた。菊池は現代的な経営者ではなく、直感の人だ。自らが目をつけて雇った宣伝部長が取引先からの広告料を横領していたことがわかり、解雇した。
 その部長が銃を持って職場に意趣返しに来た。菊池が説得して、退去させたが、その後で、専務が、社員に虎屋の羊羹を買いにいかせて、ビルの同じフロアのテナントに「お騒がせしました」と挨拶まわりを指示した。
 「虚脱のあとでは、小さな具体的な行為ほど人をいきいきとさせるものはない。社員の顔に血の色が戻り、オフィスが再びオフィイスになった」このシーンの描写によって、作者の人間観察や人間心理の理解の深さを感じた。
 軍部に支配された政府の戦意高揚のキャンペーンに心ならずも協力させられた当時の文壇のドンの菊池の唯一の抵抗が、現地でカメラに向かって歯を決して見せないという矜持だった。だが、日本政府の軍部と傀儡の旺兆銘との会談で、法政大学に留学し、日本語が堪能な相手から、菊池の文章を復唱されて、しかも『文藝春秋」を世界の雑誌と賛美された瞬間に、菊池の心の中で、変化が起きた。このシーンの描写は、本書のハイライトだと思えた。
 著者の作品は、先人の歴史的な営みを現代によみがらせる力を備えている、とこれまでも感じていた。本書も、大正昭和と日本の文化史を彩った多くの作家や文化人に活躍の場を与えた菊池寛について、改めて、その志と偉業を知らしめる働きを持っている労作である。「楽しんだ、菊池さんと仕事をしていると。それだけつ」多くの協力者の菊池評が、帯にあった。
 菊池が悩んだように、広義のメディアと時の政治的、社会的権力との距離の取り方は、いつの世もよく考えねばならない課題である。
文豪、社長になるAmazon書評・レビュー:文豪、社長になるより
4163916679

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