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地図と拳



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【この小説が収録されている参考書籍】
地図と拳

地図と拳の評価: 3.85/5点 レビュー 78件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.85pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全78件 61~78 4/4ページ
No.18:
(4pt)

事実?創作?

どこまでが史実でどこまでが空想なんだろうか。あまりにも詳細な設定や展開に作者の知識に驚かされる。直木賞受賞もさもありなんと納得。私も引揚者だから帰国の場面などそうだったのかと改めて知ることも多い。骨太の小説はいつまでも忘れない。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.17:
(5pt)

新しい感覚の時代小説

弁当箱のように分厚い時代小説というと、購入するのに勇気が要りましたが、読み出すとまさにページターナーで、あっという間に読了しました。厳しい時代に材を取りながら、地図という新しい切り口を加えることで、軽やかな読後感が現代性があると思いました。さすが直木賞と思わされました。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.16:
(5pt)

満州を舞台にした一大叙事詩

読んでいる途中で、直木賞を受賞した。なるほど、確かに読みごたえはある。ここには真実がある。架空の都市をめぐる物語ではあるが、孫文と蒋介石と関東軍とソ連がぐっちゃぐちゃに戦っていた満州で、実は何が起こっていたかということを丁寧にひも解いてくれた。時系列にして、背景を語り起こしてくれた。明らかに架空の超人や変人が何人か出てくるが、彼らは結局、歴史を案内するガイドにしか過ぎない。どこか諦念を抱えていて、運命に逆らうことをあきらめている。
 最後に参考文献をあげているが、参考文献の羅列だけで8ページもあるのだ。満州とは何だったのか、少なくとも日本にとって満州とは何だったのか、がわかったような気がする。
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4087718018
No.15:
(5pt)

作家の想像力の凄み

冒頭の時代設定が絶妙。山田風太郎ファンが追い求めるような明治末期なのだが、荒唐無稽ではなくめちゃくちゃリアル。白熱かつ迫真のシーン展開の連続で息もつかせない。あたかも実際にタイムトラベルして見てきたかのような情景描写の連続で、読みながら、まるで超大作の映画を見ているようだった。クロニクルに推移しながらさまざまな視点で物語が進むのも、読み手側に憑依の錯覚を覚えさせて心地よい。
実力のある作家の作品というものに久々に出会った感がある。今回、直木賞を獲得したのも当然というしかない。
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4087718018
No.14:
(3pt)

2日で読める

難しい小説ではない。
厚さの割に登場人物が少ないから筋が追いやすい。
ぶっ飛んだ感じの展開はない。
戦争の描写がリアル(のように見える)。
1日半潰す価値は、(まあまあ)ある。
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4087718018
No.13:
(5pt)

最高!

分厚かったけどまだまだ読み足らなかった
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No.12:
(5pt)

満州を舞台にした大河小説 建築と都市計画という視点が斬新

この著者の本は初めて読むが、600頁を超える大作である。
巻末の参考文献を見ると満州と日中戦争に関する文献だけでなく、建築と都市計画に関する文献も含め膨大な資料を渉猟した労作であることがわかる。

物語は日清戦争後の1899年の序章から戦後の1955年の終章まで、編年体の歴史書のように時系列で満州を舞台としたドラマが語られる。
この時代の満州は、日本から見れば、日清日露戦争を経て、戦前の旧日本帝国が満州開発に着手し、ついには満州国の設立に至る経緯と、日中戦争から太平洋戦争へと戦火が拡大する中で満州がうち捨てられていく過程であり、中国側から見れば、ロシアに次いで日本という外国勢力の支配に抗する民族解放闘争と中国内の国民党と八路軍の内戦が展開していた激動の時代である。
それゆえ、従来は<戦争と民衆>あるいは<侵略と抵抗>という視点で歴史や小説が描かれることが多かったのではないか。
これに対し、本書は「地図と拳」という表題の視点で描かれている。「拳」とは軍隊と戦争のことであるが、「地図」とは未開の土地を開発する都市計画とそれに基づく建築を意味している。もちろん、都市計画と建築といえども旧日本帝国の支配政策の一環であり、日本の支配が失われると破棄される運命となる場合もあるが、その土地の風土と民衆に適った都市計画と建築であれば日本の支配が失われても残る可能性がある。このあたりはいわば超時代的でコスモポリタンな建築家の夢想とでもいうべきかもしれない。

本書に登場する人物の中には、大日本帝国のイデオロギーを体現した憲兵も配されているが、主たる登場人物はイデオロギー的には比較的自由な学究肌の人物が多い。
実際にこのようなイデオロギー的に自由な人材が満州開発にかかわっていたのかは疑問であるが、都市開発と建築という視点で満州を描くのは斬新な視点といえる。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
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No.11:
(3pt)

群像劇だからかもしれないが、誰が主人公なのか(複数いても良いが)がどうもよくわからない

今、満州という話題を取り上げれば、本書のように中国人の視点(ただし共産八路軍は否定しつつ)と軍よりと反体制よりの日本人という3視点を登場させることになるのは当然だろう。だから、著者が何をしたかったのかがよくわからない。”孫悟空”の超人的肉体鍛錬のところや108人の子供のエピソードなどはSF的な名残だが(著者はSF出身)、本筋にはあまり絡まないし、ロシア人宣教師の意味もよくわからない。高木が死ぬ直前と転向者Kが死ぬ直前の描写は、もちろんそんな経験はないので迫真的であるなどと言えるわけはないのだが著者の想像力の才能を感じた。Readableでもあるので、一気読みはしてしまったのだが、どうもよくわからなかったというのが正直な読後感。
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No.10:
(5pt)

地図は時間を記録する。拳は時間さえ破壊してしまう。

第二次世界大戦前後の満州を舞台に、都市を造ろうとする人々の群像劇。地図は歴史を刻む。拳はロシアによるウクライナ侵攻のように地図を変えようとしている。地図とは何か、地図を作成する目的は何か、地図に盛り込まれる情報は何か、都市計画と戦争と歴史が絡み合う中で、最後に残るのは何か。作品自体は大きく盛り上がるようなものではないが、600ページを越える作品ながら、ずっと読んでいたいくらい読ませる作品だった。
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No.9:
(5pt)

深遠に問いかける。

惹き込まれた圧巻の640P。
その”燃える土”の物語は1899年春から1955年春まで。
それは満州のとある地から始まった。
描いたその地図は建築とともに拳は衝突していく。
その過程で”地図とは何か”を深遠に問いかける。
”光は命”
”時間を無限に延長させる”
思慮のもと、主観的な光を設計し、白紙の地図を連綿と旅すること。
つねに読み手の内面に問いかけられて、見えてくる道がここにある。
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No.8:
(2pt)

凡庸で冗長

「蒼穹の昴」の本やドラマで意気投合したある人に勧められて手に取った本。しかし長大な文章と日露戦争前からWW2後までの大河スケールの話、、、と思いきや登場人物のやりたいことがちっとも伝わらず、舞台となる架空の町で何回か動乱が発生するがそれがクライマックスでもなんでもなく、盛り上がりに欠けることおびただしい。AMAZONレビューも高評価ですが何故何故??冗長かつ凡庸なダラダラ話にしか読めませんでした。
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No.7:
(5pt)

未だ見ぬ街に想いを馳せる

不思議な物語。時間は一方向に流れつつ、視点が次々に変化する。それら人物を内包していた空間の物語。空間の変化とそこで行われた業の物語。
決して読みやすい作品ではない。視点変化と中国独特の固有名詞が読むリズムを時折阻害する。しかし、冷めた目線で描かれた毒を含んだエピソードが、無知と暴力の歴史を伝え、読む手を止めさせない。
そこには罪に対する意識があり、それは新しく描かれた戦争の物語でもある。我々は何をしていけば良いのか、どう生きていくのか、あの時代に想いを馳せながら静かに考えさせてくれる。
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No.6:
(5pt)

久しぶりに出会った、読むのがやめられない小説!

面白すぎて読むのを止めるのが難しい小説に久しぶりに出会いました。
無駄のない、しかし表現力と展開力のある文章に作家の力量を感じます。
おそらく、ものすごく多くの取材、読書をしないとこれだけのストーリーは書けないでしょう。
膨大な情報を、小川哲さんの脳を介して、こういった作品として読める、その凄さ、素晴らしさにも感動します。
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No.5:
(5pt)

物語の「閉じ方」が秀逸すぎる

小川哲氏の作品は「ゲームの王国」「嘘と正典」(特に表題作)共にとても面白く、今回も期待して読み進めました。ただ、それは、良い意味で裏切られることになります。

「ゲームの王国」(文庫)では、上巻での圧倒的リアリティに対して、下巻のSFチックな内容にどうも没入できない自分がいました。今回も「始まり」でその要素が垣間見えたのですが、抑制が効いており、日露戦争から満州事変へと進行する物語の現実感を損ないません。逆によいアクセントになっているほどです。

また、いわゆる歴史群像の形をとりながらも、一貫して貫かれる軸が存在し、物語をつなぐ縦糸としての機能を十二分に果たしているのが大きな特徴でした。それゆえに、「どう物語を閉じるのか」が私にとっての焦点でしたが、想像のはるか上をいく内容に圧倒されてしまいました。

「地図と拳」
読者それぞれに「地図」が象徴するもの、「拳」が象徴するものの解釈は違うのだと思います。
しかし、タイトルは「地図と拳」以外にはあり得ない、そう感じています。
間違いなく、小川哲氏の最高傑作です!
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
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No.4:
(5pt)

地図も建築も時間を保存する。同じ場所に同じ形の建築が存在することで、人間は過去と現在が同一の世界にあるのだと実感します。

あまりの面白さに悶絶しそうになった『ゲームの王国』のように、動乱期の国を舞台にその時代の歴史的事実を背景に作者の法螺話を見事に融合させ、これがSF小説に転換していくという構成となっているのかと思いきや、本作の舞台は1904年の日露戦争の数年前から1945年の終戦まで(1899年の序章と1955年の終章を除く)の満州を舞台とした群像時代小説となっています。
 したがって、『ゲームの王国』のようなSF小説を期待すると肩透かしと思われるかもしれませんが、『嘘と正典』のいくつかの短編小説のように、小川哲には、SFというジャンルに捕らわれない幅広い作品を生み出す力を感じていたところ、本作はなかなかの力作だと感じます。
 もちろん本作においても『ゲームの王国』の中に登場する不可思議な能力を発揮する人物(孫悟空)も登場しますが、そこにはそれほど大きな力点は置かれていません(個人的には孫悟空の活躍がもっとあるのかと思っていましたが・・)。
 ただ、本書においては物語を語る視点が章を追うごとに変わっていくのですが、当初は誰がメインとなる主人公なのか戸惑いながら読み進めていくことになります。

 日清戦争後、不凍港を求め南下政策を行うロシア帝国との間の朝鮮半島や満洲の権益をめぐる争いが原因となり引き起こされた日露戦争。
 絶対に勝つことはないと言われていたロシアとの戦争で勝ってしまったことによる成功体験。
 ロシアの本拠地であった満州を日本が統治する

 何もない場所に鉄道を走らせ、駅を作り、駅の周辺に都市をつくる。
 鉄道が都市をつくるのであれば、その鉄道の路線を決めるのが地図。
 いわば「地図」が都市を生む。
 国家とは。
 国家とは法であり、為政者であり、国民の総体であり、理想や理念であり、歴史や文化でもある。どれも抽象的なもので、形のないものだ。その国家が唯一形となって現れるのは、地図が記されたとき。すなわち国家とは地図であるとも言える。国家の歩みは、更新されてきた地図の歩みでもある。

 満州という広大な土地の地図を作る。
 それが本書に登場する細川やロシア人宣教師クラスニコフ、須野、須野の息子明男らの目的だ。
 地図も建築も時間を保存する。
 同じ場所に同じ形の建築が存在することで、人間は過去と現在が同一の世界にあるのだと実感する。
 一方、世界地図を見て明らかなように人の住める世界は狭すぎるがため、暴力によって何かを解決しようとする「拳」、つまり戦争がなくならない。

 世界中の地図を読み込み、どの国家がどの土地を狙っているのか、戦争となったときには、どこが戦場になり、どういった戦いがどのくらいの期間行われ、各国の備蓄資源や技術力から、どちらが優勢か、そして、そもそも有事に至るかどうかも含め推測することが、戦争のなくならない世界においては重要となる。

 世界では、今まさに、戦争が続いている。
 拳によって地図を変えようとしている。
 本書は、今こそ読まれるべき物語と言えるかもしれません。
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No.3:
(5pt)

傑作

傑作でした。今だからこそ多くの人に読んでほしい
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No.2:
(3pt)

この長大さに見合った読後感ではない

600ページ長の重量級小説。その長さに見合っていないとは言わないけど、それでもここまでの長さが必要だったのかな?との思いは否定できない。

幾人かの登場人物は確かに魅力的、地図や建築に関する学術的な記述も決してとってつけた感はなく物語の要素として確りと嵌っている。
仙桃城の50年の歴史と、日本の戦争の歴史を重ね合わせ、物語を語ることで多少の散漫さが生じることはきっと仕方ないことだとも思う。
青龍島の秘密にもちゃんと回答が用意されていて、読後感も悪くはない。

悪くはないのだけど、この長大さの中で面白い要素が繋がらず、溶けてしまっている。
共産党細胞の話をはじめ、面白い要素がかなりあるのに、ストーリー全体にあまり有機的にリンクしてないように感じられた。
特にSF要素である超人的な神拳会の能力と千里眼が小説全体の中で重要な役割を果たしておらず、尻切れ蜻蛉感が強い。この辺りをもう少し書き込んでもらえれば違った読後感になったと思う。

読んで損というわけではないが、やはり長すぎる。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.1:
(5pt)

日清戦争から第二次世界大戦の日本を通じて、2022年の日本を思う

今までの人生で一番面白かった本かもしれない。

ノルウェイの森、百年の孤独、マチネの終わりに、今まで読んで人生観変えられた本はいくつもあったけど、この歳になってもそういう感じってまだあるんだなあと痛感している。

この本は日清戦争から太平洋戦争の終わりまでを描いていて、中国もロシアも出てくる。2022年の日本人が読むべき本だとも思うし、そういうのを抜きにして単純に完成度が高いとも思う。

地図についても考えさせられるし拳についても考えさせられる。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018

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