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熱源
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熱源の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全136件 121~136 7/7ページ
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歴史的に犠牲を強いられた少数民族と弱小国家・・という視点で語られる壮大な物語です。わかりやすいテーマで、文明批判が大好きな文明人から支持される内容だと思いました。 しかし、終始【犠牲者=アイヌまたはポーランド】対【加害者=「文明」】という単純な構図で語られる物語に共感することが出来ませんでした。 アイヌに寄り添う作者のスタンスはときに過剰で独善的な印象を受けました。 【弱肉強食の摂理】という表現も奇妙だと感じます。帝国主義や資本主義は「摂理」? それらを「文明」と呼び、「強者」と位置付ける視点がすでに偏っていると思います。 自然界のみならず人間世界が弱肉強食の原理で動いているとするならば 親友を出し抜いて美人と結婚したヤヨマネクフには二番目の妻も与えられ、親友シシラトカはいつまでも独身。(ヤヨマネクフの方が容姿が優れていることを作者は作中で何度かほのめかしています。) これもまた弱肉強食の悲劇なのでは・・ 本作品はたいへんな力作労作で、読み手の体力も消耗する作品です。直木賞は選考にあたり文章力は問わないのかと考えました。 内容は好みさえ合えばとても充実しているので、映像化したら成功する作品ではないかと思います。 [2月10日加筆修正] | ||||
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荻上チキのセッション22聞いて興味を持って読みました。 川越さんの歯切れのいい受け答えが良かったんだけど、思った通り面白い物語でした。 スケール感があり、中退したかもしれないけど歴史学科にいた片鱗を見せる語り口で面白かった。 | ||||
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サハリンと北海道に住む、アイヌ及びギリヤークの人々を軸に 帝政ロシア時代から、日露戦争・ロシア革命・第一次世界大戦・第二次世界大戦までの時代を描いた小説。 シベリア流刑を期に、アイヌ研究をしたポーランド人がいたという史実に驚きます。そして小説だからこそ描かれる、アイヌの人々の苦難やそれによりそう和人・ポーランド人。 歴史本だと、単に「ロシアで革命がありました」「北海道に屯田兵が入りました」「ロシアと日本が戦争しました」「サハリンがロシアから日本に割譲されました」「ロシア革命がありました」で終わるのでしょうが、人々の暮らしは住んでる土地を統べる国が変わろうが、戦争があろうが、延々と続いていく・・という当たり前のことを、小説は改めて教えてくれます。 | ||||
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琉球処分という小説だ。似ているが、多様性とスピード感がより現代的。 | ||||
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直木三十五賞の対象が「無名」「新人」「中堅作家」であり、最終候補作5作品から賞確定までの過程が、結果的に「新人」を軸の1つとなったことを考慮すれば、至極妥当な選定であったと言えよう。 受賞の根拠として「近年稀に見る大きなスケール」「登場人物が生き生きと描かれている」が挙げられていたが、その点は確かに評価できる作品ではある。 しかし、「近年稀にみる大きなスケール」とは原田マハ作品で見られるような時系列で実在の人物を登場させ、架空の人物を配し語らせることで辻褄を合わせることに成功した物語の「地政学的な範囲の広さ」と「時系列の幅」を意味しているだけとも言える。「登場人物が生き生きと描かれている」も、主要な多数の登場人物を大胆な時間経過で次々と短く描きつないでいく手法をとったからこそ、本来ならば描かなければならない葛藤や変化を十数年間すっ飛ばし、その変容を容易にした側面も指摘できる。 そして最大の問題はモチーフである「熱」を随所に無理に挿入した結果その意味が拡散し、テーマである「熱源」が非常に曖昧で作品を貫く幹としての役目を果たせていないことだ。ストーリテリングの点に於ける甘さは、選考委員の指摘に賛同する。 第160回直木賞の奇跡のような重厚な最終候補作群「宝島」「信長の定理」「童の神」「ベルリンは晴れているか」らと比較すると、同じ賞でありながらこれほどまでに「新人賞」としてふさわしい賞レースになってしまった今回の結果には苦笑するしかない。 | ||||
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漫画「ゴールデンカムイ」のせいもあり、アイヌへの興味はこれまでになく高まっているのではないでしょうか。 本作は、実在の人物を主人公にしているため、例えばアイヌに超能力的なサバイバル技術を持たせるなどの荒唐無稽な設定はなく、細部でも例えば日露戦争時には「腕に巻いた時計」第2次大戦時では「腕時計」と何気に区別をつけており、全体的によく調べてい書いているな、と感じました。著者の「これを書きたかったんだ」という意欲がひしひしと伝わる力作で、直木賞受賞はごもっともです。アイヌの末裔の方々の感想を知りたいです。 | ||||
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サハリン(樺太)を主舞台に、近代国家列強の拡大主義によって、少数民族がもみくちゃにされていん様子を描いた良作。群像劇の手法がとられ、数人の視点人物が、それぞれの立場と問題意識で激流を生き抜いていく。ボーランドの独立運動から白瀬南極探検隊、金田一博士のアイヌ・ユーカラ保存活動まで多岐にわたる事象を盛り込んでいる。その分、やや焦点がぼやけた感もあるが、場面ごとの描写には力があり、細かなユーモアもあって好感を持った。 | ||||
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サハリンアイヌの物語を中心に近現代の民族とは何か、人間が生きる歴史とは何かを問う構造。ソ連赤軍の女性兵士、ポーランドの独立運動家、薩摩出身の明治政府の軍人、大隈重信、金田一京助等多彩な立場と思考、そして言語を読ませる。つくづく多民族社会、多言語世界だなあ~と思わせる。「日本人」て言ったって近代の産物だよね。 | ||||
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分断と不寛容の現代社会。 多様性を認めない欧米の波は、日本にも押し寄せています。 ”日本民族”の優性を信じて疑わぬ日本人たちにより虐げられていく先住民(アイヌ)を様々な角度から描いた本作は、それが100年前の姿を描いた物語とはとても思えぬほど今の日本とよく似ています。 静かに淡々と綴られる文体にもかかわらず、著者が込めた熱源に、読んでいて胸が熱くなりました。 ひさしぶりに名作に出会えた感動に、心地良い読後感に包まれました。 | ||||
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水は高いところから低いところに流れるのが自然の摂理。 電気も同じ摂理だが、抵抗として電球をつければ、熱を帯び、光り輝いている。 明治から昭和にかけて、日露戦争を経て、第2次世界大戦を経て、樺太を語る。 人が生きるということを語る。 極寒で深々とした森に豊漁の海。 様々な民族が住む大地、樺太。 ただ住んでいるだけなのに、様々な影響を受けて翻弄されていく。 波に流されず立ち向かう志。 生きている証拠を残していく。 この大地で強く生きていく。 史実に基づいたフィクション。 読後はつい胸が熱くなる。 | ||||
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樺太(サハリン)に生まれたアイヌ、故郷を奪われ生き方を変えられたヤヨマネフクと、リトアニアに生まれ、ロシアの同化政策により母国語を話すことを許されず、皇帝暗殺の罪を着せられサハリンに流刑となったブロニスワフ・ピウスツキ。実在する2人の物語を主軸に描かれたフィクションは、文明という名の暴力、弱肉強食という摂理、民族のアイデンティティについて静かに訴えかける。 厳しい自然を克服する知恵と経験により、サハリンでひっそりと暮らしていたアイヌを始めとする少数民族は、土人と呼ばれ蔑まれ、屯田兵による開拓や数度の戦争に翻弄され続けた。日本とロシアが奪い合い、国境が引かれ、統治する国が変わり続けた島。老いたアイヌが問う「人が住んでいる。ただそれだけではどうしていけないのだ」と。 優秀な民族が劣った民族を教導するというヒューマニズムを装った支配。先住民族に文明的な産業と文明を知る教育を授けるとき、そこには誰が残るのか?しかし、「誰か」であるということが、生死や穏やかな暮らしよりも優先すべきことなのか?という二つの考えが相克する。 史実をもとに描かれた物語は、金田一京助、白瀬矗、大隈重信、二葉亭四迷など実在する人物が登場し、そのユニークなエピソードは重苦しい空気を明るくする。時代に翻弄され、滅びゆく民と言われたアイヌ。アイヌとは彼らの言葉で「人」を意味するという。明治から昭和に至るまでのこの壮大な歴史小説は、民族、国家、思想を超えた、正に人と人との物語だった。 何日もかけて読み続け、極寒のサハリンを踏破したような疲労感のなか、この物語の主題である「生きているならできることがある」という思いが渦巻き、「熱源」というタイトルのとおり、胸の中に熱い思いがふつふつと湧き上がるような熱い作品だった。 | ||||
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しばらくぶりに、芯の有る小説を読んだ気がします。 極限のなか、教育とは何か! 今の時代にも問われる事かと思います。 弱肉強食の摂理のなか、生きてゆくに必要なものとは! | ||||
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間宮林蔵が海峡を確認するまで樺太(サハリン)が島か半島かも「文明社会」では知られていない時代からそこに暮らす先住民が、のちに侵略してきたロシアと日本の覇権に翻弄されていく様を史実を踏まえ、物語られます。 今までにバイコフ、アルセーニエフ、そしてニコライ・ブッセの「サハリン島占領日記」、チエーホフの「サハリン島」を読んでいたので、戦争を知らない作家が作る物語(高橋弘希の「指の骨」を読み始めたときもそうでしたが、)は嘘くさいなと思いながら読み進めました。 ところどころに【熱】を入れてあざといなとも思いました。 しかし一気に読めました。 少しアカデミック崇拝がありますが、実在のブロニスワフ・ピオトル・ピウスツキと「極」で知った樺太アイヌの山辺安之助を中心に置いたユーカラですね。 多分何らかの賞を取るでしょう。 | ||||
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・史実を基にしたフィクション ・北海道、樺太を舞台に歴史に引き裂かれ、そして繋がれた人々を描く ・最初は複数名の主役の軸を理解するのに時間がかかるが、それが済むと途中から流れに乗って読める | ||||
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緻密な描写、民族とは何かを考えさす。アイヌへの愛情、ロシアの政治犯のサハリンでの流刑、他民族が結びついていく、金田一京助周辺の人々、南極探検、悲しみと戦争を通底に、普遍性を持った壮大な物語が紡がれる。 | ||||
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日本とロシアの主権が交錯する時代のアイヌと東欧の民族問題。とにかくスケールが大きい。 (僕の無知を棚にあげて言うと)大隈、二葉亭、金田一に加えて南極探検隊までが登場する話が史実をもとにしているなんて、少し信じがたい位。 弱肉強食の摂理を受け入れるのか、抗うのか、生き続けるという別の答えを求めるのか、読者に突きつけたテーマも重たい。 キャラクター設定も入念で小説としてのレベルも高い。 必読。 | ||||
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