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発火点
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発火点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 21~21 2/2ページ
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出版社が変わってワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズの新しい翻訳が刊行されました。信頼する訳者による翻訳ですので、出版社はどこでも構いませんね。ということで、「発火点 "Breaking Point"」(C.J.ボックス 創元推理文庫)を一気に読みました。 娘の友人の父親ブッチ・ロバートソンと山中で出会ったジョーは、違和感を抱きながら別れてしまいますが、その後ロバートソン夫妻が持つ地所から米国環境保護局の捜査官二人の射殺死体が発見されます。その捜査官たちは、その地所の工事差し止め文書を送達しに来ていました。 そして、ブッチが彼らを殺害し、山へ逃亡したことが疑われ、地元保安官事務所、環境保護局、FBI、(州知事までが馳せ参じて(笑))による大規模な「マン・ハント」が始まり、先兵としてジョーも積極的に巻き込まれていきます。 著者あとがきによるとアイダホで起きた「権力対2人の民間人」によるある訴訟がベースになっているそうですが、ストーリーの骨格がしっかりしていると伺える所以だと思います。中盤からは、小体なスリラーからダイナミックな筋立てを持つストレートな冒険小説に変貌し、謎解きもあり、読ませます。いつものワイオミングの美しい自然、エルクを筆頭とする多くの動物たち、ドローンが飛び、高射程の狙撃があって、引き起こされる自然災害の果てに、「逃亡者の峡谷」(2002年刊行。翻訳は、2019/12月)の"Savage Run"でのエキサイティングな逃避行がプレイバックされます。ある意味、邦訳の順番も相応しい。 ジョーは、メアリーベスと3人の子供たちを持つよき<家庭人>としての側面を見せつけながら、「自警の論理」に基づくウェスタンの伝統的な血脈を継承しつつ、いつも規則も法律も超えたところでしっかりと筋を通そうとします。物語の中で言及される「ワイルドバンチ」のような”滅びの美学”を見せることもありません。 2018年11月に読んだ「鷹の王」に引き続き、あの"Falconer"も登場しますよ。(今回は、郡のあちこちに死体がころがることもありません(笑))不満があるとすれば、今回もまた少し「敵」側が弱く、カリカチュアライズされ過ぎているようにも感じますが、それもまた一つの技巧なのだと思っています。 ワイオミングの大地、森林が一旦破壊されても多くの労苦を伴いながら再生していき、そのことが一人の少女の再生を励まし、寄り添うことを明確にシンボライズしています。 これからを生きる少女たちの「再生」という名の大いなる希望に比べたら、ジョーやブッチやネイトの男の哀しみなどどれほどのこともない。 | ||||
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