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(短編集)
砂の女
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂の女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全175件 41~60 3/9ページ
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"夢も、絶望も、恥も、外聞も、その砂に埋もれて、消えてしまった"植木等のスーダラ節が流行った1962年に発刊された本書は学生の時に読んだ時は終始ていねい語で話す女や部落の描写に"犬神家の一族"的な【直接的な怖さ】しか感じなかったが、今はシンプルな構成の中に社会や時代、あるいは資本主義へのメタファーが写実的な描写の中に込められているのを感じ、より息苦しく、深く刺さる。 個人的には、再読して【逃れられない】砂の描写の素晴らしさ、そして"男"の心理状況の変化が今なら少しわかる気がした。山形の某所がモデルらしいのだけど、一体どんな所なのだろうか。。 逃れられないしがらみを感じる誰か、あるいは物語を描きたい誰かにオススメ。 | ||||
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昆虫採集に訪れた砂丘で、部落の住民によって、砂穴の底にある家に閉じ込められた男。家が埋まらないように砂掻きをし続ける女。男は何度も脱走を試みるが、その度に失敗。主人公の男の視点で、奇妙な出来事の顛末が語られる話。 望んでもいないことを強要される不条理な世界に捕捉された男。読んでいて、「人間がこの世に生まれてくること」のメタファーだと感じた。人間は誰しも、生きたいと望んで産まれてきたんじゃない。強制的にこの世に産みだされ、生きることを強要される。生きていくうえでやっているすべてのことは、女がやっている砂掻きのように、無意味で徒労な行為にすぎないのかもしれない。メタファーに関しては、義務教育だとか、勤労だとか、他にも様々な解釈ができそうだ。 主人公が感じ、考え、やったことや、砂の女とのやりとりは面白い。様々な物や事に関する比喩表現もユニーク。 砂の女が、どこまでも受身で、自分の境遇を受容している姿にも考えさせられるものがあった。 最後に、主人公が「あわてて逃げだしたりする必要はない」と考えが変わったのはなぜか。 安部公房はノーベル賞候補になっていたということだが、そのことを十分に窺わせる作品だった。 | ||||
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現実にはないことを描いて、現実にある事象の特徴を認識させる小説でなのかと思った。幅広くいろいろなことに当てはまるような感覚になる。描かれているのは現実にはありえないことではあるのだが、人の内面的な観点をもってすると思い当たるような、ちょとした重圧を常に感じ続ける小説である。文章を細かく噛みしめるようによまなかったので、再読しようと思っている。また、一つの文章に新たな発見があるのだろうと思える。 | ||||
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学校でも習う超有名作家さんですが、お初でした。さすがやなぁと素直に感じました。 映像化されたこともあったらしく、見てみたくなりました。 | ||||
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不条理よりももっと怖いのが習性であることを嫌という程分からせてくれる。蟻地獄のような砂の穴に落ちた高校教師は、女と食事を共にし、条項まで交わしてしまう。こうなるとかつての家族も仕事もどうでもよくなり、彼女との生活が彼の習性となる。逃げるチャンスがあるのに逃げずに止まってしまう。ギリシア神話のアキレスは、あの世で生けるオデュッセイアに出会い、一旦あの世の食事をするともう二度と現世には戻れなくなると告白する。人の性の恐ろしさを感じさせる傑作だと思う。 | ||||
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日本文学と呼ばれる作品でここまで面白く引き込まれた作品はこれが初めて。 読んでて全てが重くて息苦しかった | ||||
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地域社会の共同体の一員として、細々と生活を支える糧を得る何処にでもいる人々。 社会(誰か)は、それらの人々に与えられた責務を全うさせるため、逃げ出さないように何かで縛ろうとする。 その縛りは不条理な条件で人々の自由と生活を切迫する。(=梯子が外された砂で囲まれた穴の底)それに加えて、日々積み重なってきて、必死で対処し続けないと生活を脅かす様々な問題が追い打ちをかけて日々を忙殺させる。(=絶え間ない砂を掻き出す労働による飢え渇き、砂だらけの不衛生な環境による病) その中で、この不条理から不意に抜け出そうと抜け駆けする人間を見張る社会(誰か)が居る。 小説上では、これらの描写を含め異質な世界や非日常が描き出されていると感じるかもしれないが、まぎれもなく「砂」を根源とした比喩、隠喩を交えた現実世界の社会の仕組みを描写していることに気づくだろう。 このような小説が世界で高く評価されたという事は、どの国、地域でも共通する人間社会の成り立ちにおける琴線に触れる何かが描かれているという点が、非常に興味深い。 この小説を読み終えたとき、いままで開けた日常で感じていなかった閉塞感を現実で感じるような、奇妙な体験ができる。 しかし、それは決して絶望だけではない。 その光を、あなたは見つけられることができるだろうか。 社会の根幹をえぐる問題作。お勧めです。 | ||||
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レビューというと、なぜか文章にしてしまう。いとう・奥泉両氏は語り倒している。 ボクたちは、いつから作品を語り合うことをやめてしまったのだろう。 両氏の語り 個人的には、「砂の女」における性描写に生き生きとしたものを感じる。なかなかおおっぴらにはできない話題だが、否それゆえに、語りは伸びやかである。 世界的知的財産と評して良い(と思う)「砂の女」をかくも楽しく語り倒してくれた。 | ||||
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タイトルやあらすじなどから、空気系の、美意識に訴えかけるタイプの作品を想像していたけど、違った。砂にまみれた生活の描写は情感たっぷりと言えなくもないのだが、そんな環境において主人公がどう行動するか、というのが主たる見所だろう。砂は、象徴としての意味を持ちつつも、箱庭的アプローチを用いて人間の本質をあぶり出す道具として機能している。本作が有名なのは、様々な思想家が叩き台に使ってきたからであろうと推測する。 ちなみに、自分の心に最も残ったのは、「女」が砂穴から抜け出そうとしない理由を聞かれ「歩きくたびれてしまいました」と語る場面。1つの場所に定住するため引っ切り無しに砂を掻き出し続ける彼女の姿は、日々の雑務をこなす我々そのものだ。進化論における”赤の女王仮説”を思い出したりもした。 | ||||
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安倍公房の名著。 なんだろう。この読後感は・・・。 唯一無二といっていい世界だと思います。 昆虫採取が趣味の男が砂山に覆われた村に迷い込む場面から物語が始まります。 砂掻きをしないと埋もれてしまう廃屋を守り続ける女。 一宿一飯の宿代わりだったのつもりが、男を逃がすまいとする村人に脱出を阻まれ、女と延々と続く砂掻きをする生活に陥ります。 あの手この手を使って脱出を企てるも、砂の壁を乗り換えられず、いや乗り越えても村人達の必要な追跡に会い、女との共同生活に戻される男。 やがて女が妊娠したことが分かると同時に、ふとしたから脱出方法を発見し実際に脱走に成功するが・・・。 いつでも脱走することはできるんだ。それよりもこの脱出できる方法を伝えたい。伝えれらるのは・・・、そう女しかいない。 自らの意志で再び女との生活に、砂を掻き続ける生活に戻っていく男。 誰しもが現状を変えたいという思いに刈られたことはあるのでしょうが、決断ができない。いやそもそも現状を変えたところで、本当によりよい未来が待っているのか確信が持てない。そもそも俺は今の暮らしの何が不満なんだ、いやいや案外悪くないだろう。結局現状が居心地がいいんじゃないか。 今の自分の生活にあてはめてそんなことを考えてしまいました。 20か国語に翻訳され、今なお高い評価を受け続けるいう「砂の女」。 そう、読後感が砂のようにまとわりつくのです。 | ||||
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急に自由を失った男の話である。砂の穴倉に閉じ込められて外から縄梯子を下ろしてもらわないと出られない。中には三十前後のいかにも人が好さそうな小柄の女がいるだけで、水や食料、たばこなどは外から供給される。男は必死に逃げようと画策するが、結局捕まって穴倉で女と生活すようになる。 二人して働いてラジオを手に入れ、女は妊娠するが、2か月経って下半身を血に染める激痛を訴え、町の病院に入院させることになった。女が連れ出されても縄梯子はそのままで、男は登って外に出たが、別にあわてて逃げ出す必要はないという境地だった。結局男は7年以上戻らず失踪者と認定されてこの話は終わる。 男は昆虫採集を趣味にする教師で、俳優の香川照之を念頭に置いて読んでいたが、ぴったりのはまり役で、彼を主役に再映画化してもらえないだろうか。 | ||||
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長く休みが取れたときは、必ず読み返したくなる1冊。 話を思い返すだけで、自分が砂に巻き込まれたような感に囚われて息苦しくなる。 20代、初めてこの作品を読んでから、読ませる作家は、文章だけで人の想像力をこんなに掻き立ててくれるものだのだと知りました。 抜け出したくて抜け出したくてたまらなかった穴から空を見上げる。そして次第に憎悪と執着が生まれ、穴のことだけを考え始める。 もう故人となってしまった著者ですが、その逸脱した鬼才さは、100年後でもすたれていないでしょう。 | ||||
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近代文学の最高傑作との呼び声も高い作品との評価に惹かれて購入した。蟻地獄に監禁され、当初は激しく抵抗するものの、やがて諦めと同時に、単調な日常に慣れて行く。女は男と違い、家庭内の退屈で単調な生活に疑問もなく順応する。日常の様々な状況や問題を、比喩を用いて表現する手法もなかなかである。シュールな物語であるが、わかっていても引き込まれて行く。しかし、「夜と霧」や「ショアー」のような、実体験を基にした作品ほど、インパクトは受けなかったのも事実であった。 | ||||
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昆虫採集にきた男は、穴底の砂の家に、半ば捕らわれる形で、そこに住んでいる砂の女と暮らすようになる。自分が採集される側になった皮肉を男はどう思ったか。勿論、何度も脱出を試みるが、その都度、集落の人間に見つかってしまう。この理不尽と不条理に最初は悩むが、やがて砂の生活にも慣れ、逃げるチャンスがあっても、逃げようとしなくなった。ここで籠の中の虫と自分を同一化したのか。7年後、男は失踪者の審判を下され、死亡の認定がなされた。まさにその時、自由という形が垣間見えてしまう皮肉。 自由とは空を飛ぶ鳥のようなものだけを言うのではなく、ひとつの所に巣ごもりして、主体的にじっとしているのも自由の変形であるとしたら、男は今、どういう心境なのだろうか。客観的に見て、男が何に適合したのかと言えば、砂の女にだけである。「砂の女」は、読者各々の中で、如何様にも比喩的に捉えられる対象でもある。 | ||||
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安部公房の不条理が満載の作品です。 この作品のモデルになったといわれる砂浜(山形県某市)へ 作品を読む前に行ったことがあり、 より作品のリアリティや怖さを感じることができました。 始まりも終わりも不条理まみれです。 | ||||
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ニートやひきこもりは、ある意味で環境に順応した結果なのでは考えていた自分にとって、結末はリアリティを感じられました。 最初は比喩が多く読み進めるのが苦痛でしたが、半分ほどすぎると次に次にと本をめくる手が止まらなくなりました。 | ||||
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描写が素晴らしい名作。 安部公房は一通り読みましたが、夢のような世界観を描写することにかけて第一級だと、思っています。 特にこの砂の女は、初めて読んだ安部公房作品ということもあって、読後しばらく、あぁすごい作品をよんだものだと、呆けてしまうほどでした。 なんと妖しく、美しいことか。 | ||||
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なんか読むと落ち着く。ある意味怖い内容なのに何故か懐かしい気持ちになる。 | ||||
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初めて読んだのが10代の頃。その後20代、30代、40代、50代、、と10年に1度位読みたくなる。人生経験とともに読後感が変わる。 | ||||
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ぼくが高校生の頃、ノーベル文学賞に一番近い作家と言えば安部公房でした。近年は若い人に余り読まれなくなったみたいな気がするけど、こうした閉塞した時代だからこそ、彼の作品の価値がより見えやすくなるのではないかな。特にこの代表作は年取ってから読み直すといっそう味わい深い。文体の手触りは少しも古びていないと感じます。ノーベル賞の件も含めて、ある意味、村上春樹の先駆け的存在。 | ||||
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