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プレイバック



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プレイバックの評価: 4.20/5点 レビュー 50件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 21~40 2/3ページ
No.22:
(4pt)

そうだったのか・・

清水俊二訳の「プレイバック」を読んだとき、マーロウは何て嫌な奴になったんだろうと思った。
やたらにタバコはポイ捨てするわ、人をみないで金で情報を買うわ、手当たり次第に知り合った女と関係をもつ・・(あらためて読み直してはいませんが、そのような行為が特に印象として残ってます)

はたして村上春樹訳のマーロウはどうなのか。
あれ?以前に読んだ記憶とちょっと違うかな・・確かにタバコは投げるし金で情報を買うしみさかいなく懇ろになる、ようではあるけど、何だか卑しくさえ感じられる以前のマーロウとは違って、それを羞うような、世界を観察するよりは、むしろ自身に対する眼差しがより強く感じられるような。これはこれで、マーロウ自らをプレイバックする話として、より身近な男としての感慨をもって楽しめました。

あのセリフはというと・・村上さんの丁寧な解説で(原文読んでないので)「そうだったのか!」と新たな発見があったりして。
村上訳のチャンドラーは、毎回のご本人のあとがきも、とても楽しみなひとつですよね。

あと「Lady in the Lake」を残すのみだけれど、本文はもちろん解説も含めて最後まで楽しませてくれそうです。
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.21:
(5pt)

湖中の女の番かと思っていました。

年末になると村上さんの翻訳を待ち焦がれて、去年は無かったので、今年もダメかなとか思ってました。村上さんのオリジナル作品と違って前宣伝が全く無いのです。あと一二年は何とか生き延びて全長編(次は中編かな?)を読みたいです。
日本郵政の所為か最初の契約と違って途中から翌日配達になっていました。配達日が早かったからアマゾンで買ったのに、カンベンしてよ。(^_^)
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.20:
(5pt)

お金には「ハード」に生きるマーロウに共感

「マーロウの名台詞」を村上春樹さんがどう訳したのか、知りたくて買いました。

村上さんは、第二十五章の「マーロウの名台詞」を、
「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない」(280頁)
と訳されていました。

村上さんは、"hard"という英語を「厳しい心」と訳したのです。
でも、生きのびて行くための「厳しい心」とは、どんなこころ持ちなのでしょうか?

「マーロウの名台詞」の原文は、こうです。(306頁)
If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

巻末の「訳者あとがき」の同じ306頁に、「マーロウの名台詞」の矢作俊彦さん訳がありました。

「ハードでなければ生きてはいけない。ジェントルでなければ生きて行く気にもなれない」

この矢作訳は、正確でストレートな翻訳ですが、やはり「ハード」というカタカナ言葉では
意味するところが明らかではなく、分かりにくいです。

しかし、100頁まで本書を読み進めていくうちに、この「ハード」は
「お金に堅い(お金に厳しい)」という意味だと分かりました。

第九章の100頁に、こんなセリフがあったからです。

「五十万ドルというのはちょっとしたお金よ、マーロウ。
あなただって、それをあっさり断るほど『お堅く』ないでしょう」
原文: 
Half a million dollars is a lot of money, Marlowe. You're not too hard to take.

マーロウのような、お金で雇われる身の私立探偵が
お金に対して「ハード」に堅く(厳しく)生きていく姿が、本書の中に何度も何度も
繰り返し細かく描かれていました。

マーロウのように、お金に律儀な私立探偵が、お金にならない仕事ばかりに、損得抜きで
命をかける姿に感動しました。

マネー、マネー、マネーのアメリカ。大統領でさえ、お金のビジネス感覚で暴走するアメリカ。

そんな、あきれたアメリカにも大昔、マーロウのような人間が存在したんですね。
本書を読み終えて、ただただ驚きました。
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.19:
(5pt)

チャンドラーの「白鳥の歌」

村上春樹によるチャンドラーの新訳シリーズの6冊目。約2年毎に出るシリーズを心待ちにしている読者も多いだろう。私もその一人だ。

チャンドラーは純文学を書きたかったが、シャイなところがある彼は、そうすると自分の魂をさらけ出すことになり、それを嫌って娯楽小説にした、という説があるらしい。

新訳を読むと、これは個人によって違うだろうが、作者の魂を感じることができる。これは村上春樹訳ならではだろう。『ロング・グッドバイ』で書かれた人生の悲哀、憂愁をこの作品でも同じように(少し弱いかもしれないが)チャンドラーは語っている。

『プレイバック』はシリーズの中では決めの台詞以外は地味かもしれない。しかしあとがきにあるが、70歳を超えたチャンドラーの「白鳥の歌」として応援したくなる作品だ。
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.18:
(5pt)

チャンドラー最後の長編

1958年に刊行されたチャンドラー最後の完成された長編。
訳者もあとがきで述べているように前作『長いお別れ(ロング・グッドバイ)』の偉大な影に隠れ、チャンドラー作品中、最も軽視されてきた不遇な長編。評者も中学生の頃、清水俊二版を一度読んだきりの久々の再読で、きっとあの名台詞("If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."が本書でどう訳されているかは読んでのお楽しみ)以外は見るものがない、妻を亡くし酒浸りのチャンドラーが義務的に仕上げた作品だろうと思い込んでいたのだが、さにあらず、往々にして脇道にそれ、ストーリーが錯綜し過ぎるきらいがあるチャンドラーの長編としてはプロットに纏まりがあり軽快に読める作品だった。未完成の映画シナリオを元にした為か、他の長編と色合いが異なる点が従来の低評価の理由だったのではないか。珍しくマーロウの色恋模様が克明に描かれている点も興味深い。
なお、訳者あとがきで、あの台詞が欧米では殆ど話題にされていないという事実を知る。漱石の『草枕』の冒頭部にも似て、日本人の琴線に余程触れたのだろうか。改めて文化の違いを痛感する。
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.17:
(4pt)

〈私立探偵フィリップ・マーロウ〉シリーズ最後の作品

本書は、アメリカの作家レイモンド・チャンドラー(1888 - 1959)による〈私立探偵フィリップ・マーロウ〉シリーズ、長編第7作 “Playback”(1958)の新訳です。訳者は村上春樹さん。本作はシリーズ屈指の名作『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』(1953)の後に書かれ、彼にとって遺作となった小説であり、シリーズ中もっとも短い作品でもあります。

本作には「タフでなければいきてはいけない」という有名なセリフがあり(有名なのは日本だけらしいですが)、ふたりはそれぞれ以下のように訳出しています。あとがきを読むと、村上さんはキャッチーな決めゼリフはすぐに陳腐になるという考えの持ち主なので、あえて耳あたりのいい表現を避けたように思われました。

“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”(原文)

「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない。」(清水訳、1977年文庫版、p. 266)

「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない。」(本書、村上訳、2016年単行本版、p. 280)

また、これまで村上訳に親しんできた人であれば、おなじみですが、村上さんの訳は基本的に硬めの逐語訳。読みやすさなら清水訳が上でしょう。一方で清水訳はスピーディな語り口を重んじるので、短く削られ、直裁的な表現になっている箇所が多い。そのためチャンドラー独特の迂遠な表現は村上訳の方が効いているとも感じます。どちらがいいかは好みの問題だと思います。

くわえて村上訳は原文にはない文章をつけたすことで、軽く説明している箇所があります。ただ村上訳では細かい部分で気になる箇所がいくつか眼につきました。たとえば、8章でマーロウがモテルの部屋に戻ったあとのシーン。

“It was cold and damp and miserable. Someone had been in and taken the striped cover off the day bed and removed the matching pillowcases.”(原文)

「部屋はつめたく、しめっていて、みじめだった。ベッドの縞のカヴァーとおなじ模様の枕カヴァーがすでにとりのつけられてあった。」(清水訳、pp. 87-88、原文ママ)

「部屋は寒くてじめじめして、惨めだった。誰かが留守中に部屋に入って、寝椅子からカバーを剥ぎ取り、お揃いのストライプのピローをはずし、ターンダウンをしてくれていた。」(村上訳、p. 89)

村上訳ではベッドカバーをはがすなどのベッドメイキング・サービスを意味する「ターンダウン」という語句がつけたされ、日本ではあまり一般的でない行為が、ホテルサービスであることがわかるよう補足されています。しかし、せっかく配慮されてはいるものの、“removed the matching pillowcases” は、“pillow” ではなく “pillowcases” なので、「お揃いのストライプのピローケース(あるいは枕用カバー)をはずし」が適切です。「お揃いのストライプのピロー(枕)をはずし」は文脈的に不自然で、原文と照らし合わせなくても見つけられるケアレスミスなため、訳者というより編集者の校閲が甘い気がしました。
ちなみに清水訳では “Someone had been in” が削られ、ベッドカバーと枕カバーがまとめて「とりのけられてあった」と訳されています(じっさいは「とりのつけられてあった」と記載されていますが、誤植でしょう)。
プレイバックAmazon書評・レビュー:プレイバックより
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No.16:
(4pt)

謎に満ちた最終章

守るものがいない孤独な男の気ままな大人の探偵ごっこに映った。あまりにも恰好良すぎる。完璧過ぎて共感を覚えられないのだ。むしろ、同業者であるカンザスから来たゴーブルの方がずっと魅力的に映る。貧乏で野心家で、守るものはなくとも少なくとも失うものを持ってる。それでも、金脈である一流ホテル経営者のブランドンを追い詰めるシーンは傑作もので、一番の見せ場と言っていい。追い詰めるだけ追い詰め、敢えて逃げ道を与え、骨抜きにしてしまう。まさに、マーロウ流必殺の仕事術である。
 しかし、チャンドラーの最後の作品だけあって、清水氏も指摘してるように、一種の異様さとある種の脆さを感じてしまう。後半に登場するグランドル老人の世紀末を長々と理屈っぽく語るシーンはその典型であろう。でも、人生の終焉に近づきつつあるチャンドラーの本心をこの老人が代弁してたようにも見えなくもない。
 この作品を最後にチャンドラーは死んだ。そして、マーロウも永遠の存在となった。そう思って"プレイバック"すると、謎をひめた彼の最後の物語が余計に謎に満ちてしまう。奔放な悪女演じるヴァーミリアと抜け目ない曖昧模糊な魔性の女であるメイフィールドとのラブシーンも中途半端に異様に浮いて見える。
 それに最後の最後で、リンダ・ロンダリングから求婚されるシーンもとても違和感があり、逆に悲しくなった。マーロウがマーロウでなくなるように感じた。死を覚悟した人間はかくも弱くなるのである。嗚呼、一番最後に読むべきだった。
 しかし、金持ちの男に目がない魔性の女•メイフィールドとの愛の駆け引きはとてもドライで楽しく、洗練されてる。恋敵であるブランドンを冷酷にも蹴落とした時は、胸のすく思いをした読者は多かったろう。これこそがチャンドラー流処世術なのだが。結果論ではあるが、『プレイバック』は全体的に暗いイメージに、何かの呪いに覆われてたように感じる。全く謎に満ちた最終章でもある。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))Amazon書評・レビュー:プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
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No.15:
(4pt)

楽しく一気に読んじゃった

あまり評価の高くないチャンドラー作品とのこと。 しかし結構ハラハラしながら小説の舞台に身を置いて、一気に読みました。 何よりも『強くなければ生きて…優しくなければ生きる…』の決めゼリフにたどり着きたくて楽しめました。 訳者のあとがきも良いですよ。
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No.14:
(4pt)

この本を読む価値

前作までとは趣が異なる印象を受ける。
マーロウは終始同じ場所を行ったり来たりでスリル感がないし、
チャンドラー作品特有の登場人物の層の厚さも影を潜めている。
そして事件解決のプロットもなく、ストーリー自体が短い。

けれどこの作品は、探偵小説の要素などなくたっていい。
チャンドラーのファンであれば、この本の随所に哀愁を感じ、
彼のラストの作品であることに感慨を覚えるだろう。

「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない」
という名言が登場する作品だが、このセリフを目的に、まだチャンドラーを
読んだことのない人が、いきなりこの作品を読むのはおすすめできない。
前作をすべて読んでチャンドラーのファンになった人が、最後に手に取る
べき本である。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))Amazon書評・レビュー:プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
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No.13:
(5pt)

まさに、ハードボイルド

主人公の言葉の言い回し、自分の貫き方、ハードボイルド作品の王道を行く、一冊です。
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No.12:
(5pt)

チャンドラー 作 恋愛小説 ネタバレあり

Playback 「プレイバック」レビュー

プレイバックは、長いお別れの続編である。

マーロウはリンダ・ローリングと結婚する。

タイトルのプレイバックは、その名の示すとおり、

一度録音したものを再生する。という意味で、

「あなたに結婚して欲しいと頼んでいるのよ。」という リンダ・ローリングの台詞である。

そう、ロング・グッバイでも、 この作品、プレイバックでも、

リンダ・ローリングは、 マーロウに求婚する。

The Long Goodby 「I've asked you to marry me.」

Playback 「I'm asking you to marry me.」

1年半の間忘れる事の出来なかった、男のセンチメンタルである。

もしかしたら、このプレイバックというタイトル。
過去にもどってやり直す。という意味で使われているのではないか。と
感じる。
彼女と別れてしまった、その日に戻って、
やり直す。
誰でも一度くらいあるだろう。
その日に戻ってやり直せるなら、やり直してみたいと思う日が。
そんな、いい歳をした、ちょっとズルイ中年男のセンチメンタル恋愛小説。

ヘレン・ヴァーミリアとの情事には、自分の部屋を使う事を良しとせず、

行為の時には、「愛してなくても良いじゃないか。そんな事を考えるのはよそう。

すばらしい瞬間だけを楽しめればいいんだ。」と言っている。

「なぜ、ここじゃいけないの?」という彼女の問いに

「こんな事を言うと、君は帰ってしまうかもしれない。僕はここで夢を見た事がある。」
1年半前の事だ。その夢がまだ何処かに残っている。そっとしておきたいんだ。」

「その女は金持ちだった。僕と結婚するといった。うまくいくとは思えなかった。

おそらく、もう会う事もあるまい。だが、忘れられないんだ。」

ベティ・メイフールドの場合には、 もっと、ひどい男になっている。

関係を持った後、

彼女は「あなたを愛してるんだと思ってたわ。」といっている。

それを、はぐらかして「あれは夜だけの事。」

「それ以上の事を考えるのはよそう。」 と言って逃げる。

その後、彼女はこう言っている。

「恋をした事がないの?毎日、毎月、毎年、 一人の女と一緒にいたいと思った事はないの?」

これには答えず、「出かけよう。」とマーロウ。

その後だ。彼女が例の質問をする。

「あなたのようなタフな男が、どうしてそんなに優しくなれるの?」

この質問。 {君が好きだから。][君が大事だから。]という答えを
期待していると思うのだ。

それに答えて、あの有名な台詞。

「タフでなくては、生きていけない。優しくなくては生きていく資格が無い。」

と。。。またしても、はぐらかす。

そう、愛する女、心に残る女性が居るにもかかわらず、

愛のない関係を持ってしまった男。

せつないね。

リンダからの電話に答えて、

「さびしいのよ。あなたに会いたい。」

即答で「1年半前のこと。」と答え、

「ぼくはここにいるよ。いつもここにいる。」

リンダのための場所を用意して。

冒頭に出てくる。ジーンとヘルガは、きっと素敵なカップルで、

マーロウとリンダが結ばれる事を望んで、

チャンドラーに手紙を書いたのではないだろうか。と推測する。

だからこそ、彼らが居なかったら、

この本を書く事は出来なかったと チャンドラーは冒頭で書いているのではないか。

ロング・グッドバイは、完成された作品だと思う。

極めて完成度の高い作品という意味で。

それは、きっとチャンドラー自身も感じていただろうし、

続編を書く必要は無かっただろう。

この作品。恋愛小説として、読んだ方が良いのではないだろうか。

これまでのマーロウ像と少し違うのは、

すぐには、手を出さない印象のマーロウが、今回に限り、情事が多いのは、

忘れる事の出来ないリンダの代わりを求めていたとは考えられないだろうか。

とにもかくにも、やはり素晴らしいですね。

ロング・グッドバイを読んでから、 読んで下さい。
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4150704538
No.11:
(5pt)

どこまでも カッコいい

プロットには少々?というところが最後に感じられましたが
全くこの作品の瑕疵にはなっていません。
プロットなんかまあどうでも良くて、悪党や小悪党を含めた魅力的な人たちが
生き生きとカッコいいセリフを吐きまくる チャンドラーの遺作
チャンドラーの弱りを感じる面もあるが、作者とすると一番言いたいことが言えた
作品になったのだろう


プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))Amazon書評・レビュー:プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
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No.10:
(5pt)

読んで下さい。私立探偵マーロウの魅力を....

レイモンド・チャンドラーファンでなくとも、これを読んだなら前作も、前作もと追いかけ読者になること間違いなし
特にプレイバックの情景表現は筆舌に変えがたし、魅力あり。勿論訳者清水俊二さんも彼の代弁者として素晴らしい。
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No.9:
(5pt)

異文化との出会い

55年ほど前の小説、しかも海の向こうの国。
主人公の恋愛、身の処し方にはとても異質なものを感じる。
勿論、共感する部分もありますが。
また、聞きかじりの知識についても再考させられます。
強くなければ、
タフでなければ、
しっかりしていなかったら、(この本の訳)
といろいろありましょうが、
「義理がすたれりゃ この世は闇だ」と超超超訳、理解しました。
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No.8:
(5pt)

チャンドラーのけじめの作品

久しぶりにチャンドラーを読み返し、で、改めてチャンドラーの文体なのか訳者清水氏の妙訳なのか(本人は謙遜なのか「日本語になおすと、魅力が半減してしまう」と)、すばらしく無駄の無い文章、だと惚れ直す。私はこのプレイバックを今回読む時、「最後の作品」だと知っていた。だからかどうかはわからん。しかし、この「プレイバック」は、結論から言うと、チャンドラー、マーロー、の双方の人生の「プレイバック」作品となっていることが途中からわかり始める。ホテルのロビーの老人や駐車場係に代表される脇役たち、アレッサンドロ部長刑事のようにまともな希望の持てる景観を出し、そしてマーローには、リンダとのまっとうな人生、を。チャンドラーは、これが自分の最後の作品だと決め、書いたのだろう。なので、個人的には、ほかのチャンドラー作品を読んでから、この作品を読むことをお勧めします。
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4150704538
No.7:
(5pt)

タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。

タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。――ハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーの最後の作品『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー著、清水俊二訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)の中に一節である。

女性から「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」と聞かれた主人公の私立探偵、フィリップ・マーロウは、このように答えたのである。

生島治郎の有名な訳では「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」、清水俊二の訳では「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」となっている。

相手が抱えている悩みや哀しみを自分のものとして受け止めたとき、初めて人は優しくなれるのだと思う。
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No.6:
(5pt)

さらば、愛しき探偵よ。お幸せに。(ネタバレあり)

『The Long Good-bye』より4年、チャンドラーの遺作にして、マーロウ最後の作品。
しかし時制としては上記の作品の一年半後、『湖中の女』よりは前だと思われます。

前作でのリンダ・ローリングとの失恋を、マーロウは未だ引きずっています。
それもあってか、女性に執着するわりにはあけすけな言葉をかけ、求められて応じるも、
一線を引くことを忘れない。それを知っているから女たちは去っていく。
どやされても自分を曲げない不器用な男の、別の不器用な一面が見られます。

事件は地味で、物語は短く、しかし印象的な台詞がとても多い作品です。
マーロウは同じところを何度も何度も行き来しつつ、同じ人に何度も会い、
やがて真実を見出すも、自分から“名探偵”になろうとはしません。
まるで現実の探偵のように依頼をこなし、報告することを主としています。

ラスト、パリからの長距離電話を受けたマーロウは、リンダ・ローリングの求婚に、
いよいよ身を固めるかのような返事をします。果たして彼は幸せになれるのか。

物語は実にいいところで終わります。マーロウとリンダのその後を想像せずにはいられない。
でも、この物語より後の時制であるだろう『湖中の女』で、リンダは出てきません。
マーロウは相変わらず貧乏な探偵で、皮肉屋で、真っ直ぐで、白髪が混じり始めています。

やっぱり彼らは半年しかもたなかったのか。それは想像するより他にありません。
しかしこの本を読み終えた今は、とりあえず、「さらば、愛しき探偵よ。お幸せに」。
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4150704538
No.5:
(5pt)

渋く、時折甘く。

マーロウの名言が
心に染み渡ります。
さすが、マーロウというのが
ほめ言葉によく似合います。
決してこの本は名探偵なんかは存在しません。
マーロウですら、時にドンパチに巻き込まれ、
負傷して伸びてしまうことがあるのですから。
しかしながら伸びたところで、彼の渋さは落ちません。
それはマーロウの行動そのものが
男なのだからかもしれませんね。
ちなみにこの本は割と色香の漂う作品です。
しかしながら嫌味な文章でないのは
お見事だなと感じました。
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4150704538
No.4:
(4pt)

本作が主人公フィリップ・マーロウの実相や実態に一番近い

訳者の清水俊二さんがあとがきで記しているように、これまでにはない不思議な感覚を覚える作品です。
チャンドラーの遺作ということもあり、読者・ファンは、そのミステリアスな作風以上にその背景、例えば、本作「プレイバック」を通じて語りかけてくるチャンドラーのメッセ−ジを作品をとおして理解しようと試みる。私自身は、前半部分までマーロウの言葉・セリフが情けなく感じていました。しかし、すべてを読み終えて、本作が主人公フィリップ・マーロウの実相や実態に一番近いのでは、との感想です。
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))Amazon書評・レビュー:プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-3))より
4150704538
No.3:
(4pt)

マーロウの気持ち

この本はいつものストーリーの流れ出ないことに、気づくはずでしょう。いつもと「何かおかしい」と感じるはず。途中、突然(と感じるでしょう)老人が話し掛けてくるシーン、読み終えて感じたのは、自分の育て上げたマーロウにある老人に扮したチャンドラーが語りかけているのではないか。つまり、読んでいる間マーロウになりきっている人達にたいし、自分の気持ち・思いを伝えているのではないか。老人の「言葉」に敬意をはらって聞き入っているマーロウ。マーロウに読書中なりきってる我々もチャンドラー、彼の言葉に敬意をはらいたいものであります。
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4150704538

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