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日の名残り
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日の名残りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全402件 21~40 2/21ページ
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老執事の独り言が、延々と続くだけの話なのに最後まで読んでしまいました。情景が目の前に浮かんでくるような描写力は、映画のシーンを見るようです。まだ「クララとお日様」と2作しか読んでませんが、この作家ならどのようなつまらない日常を切り取っても最後まで読ませてくれると思います。今度は、もう少し、エキサイティングな「私を離さないで」を読んでみようと思います。 | ||||
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哀愁漂うこの作品。 とても余韻が残る味わい深い作品でした。 その中でも個人的に感情を 打ちのめされてしまった部分を 覚書としてしたためたいと思います。 本書の文章にも触れますので 内容を知りたくない方はご注意お願いします。 自分が打ちのめされてしまった部分は、 文庫本226ページから228ページにかけて主人公がガス欠に見舞われてしまった場面です。 この場面の描写はスティーブスンの過去・現在・未来の人生を表してるのではないかと思えてなりませんでした。 以下、長くなるので部分的に引用していきたいと思います。 "いずれにせよ、十五分ほどドライブしているうちに、私は荒涼とした湿地帯に出ました。 右も左も一面の沼地のように見え、前方にはもやが広がっていました。 納屋や農家らしきものが浮かび上がってきましたが、それ以外には、人の住んでいる気配というものがまったく感じられませんでした" これはスティーブスンの現在の心理状態を表してるのではないのか? 沼地やもやと行き先も限られ先も見通せてない状態のように思われます。 また、人の気配がないというのは現在の彼の状況を仄めかしてるのではないか? "私はここでUターンし、先ほど通り過ぎた記憶がある曲がり角を捜して、道路をしばらくもどったと存じます。曲がり角は確かにあり、私はそこを曲がりましたが、その新しい道も先ほどの道とたいして変わらず、むしろいっそう寂しい感じすらいたしました" ここでは、今さら戻ってみても、もはや手遅れということを仄めかし、新しい道を選んだとしても結果はあまり変わらず、さらにどこか滑稽じみた哀愁も感じられずにはいられません。 "両側の生け垣にはさまれ、まるでもう夜になったような暗さの中をしばらく走っていきますと道路が急な上りになりました" 「生け垣」というのは 個人的には彼の信念「紳士としての品格」を手にするために、 彼が作り上げだものの道筋の暗喩ではないのかと思いました。 その作り上げだ信念が邪魔をして、 周りの風景を見ることができないのではないのか。 「急な上り」は品格ある紳士としての道のりを表してると思いました。 "フォードはさらに数ヤード丘を上りつづけ、そして止まりました。辺りの様子を見に車から降りてみますと、夕焼けの明るさはあと数分しかもちそうにありません" フォードは彼自身を表してると思います。 イギリスの高級車といえばロールスロイスが有名ですが、 イギリス車ではなく、アメリカの車フォードであるのも、 彼が今はアメリカに雇われの身であることを示してるのと思います。 そして、ガソリン、彼の心のエネルギーは坂の途中で力尽きます。 "私が立っておりましたのは、立ち木や生け垣で囲まれた急な上り坂の途中でした" "丘のさらに上のほうでは生け垣がとぎれ、かんぬきで閉じた広い門が、背景の夕空にくっきりと浮かび上がっています。私はその門のほうへ道を上りはじめました。あの門から周囲を見渡せば、位置感覚もとりもどせるでしょうし、もし近くに農家でも見つかれば、そこですぐに助けが得られるという期待もあったのだと存じます" 夕焼けを背景にした広い門は、「品格のある紳士」のゴールの象徴だと思います。 頂上では生け垣が途切れておりますので、 頂上に立てば自分に課したを"生け垣"を下ろせるのではないのか、 そしてそこでやっと助けを求めることができるという彼の無意識の現れではないでしょうか? "ですから、その門の脇に立ったとき、私の目に飛び込んできた光景には、少なからずがっかりさせられたことを告白せねばなりません。門の向こう側には、草地が急傾斜でくだっておりました" ですが、残念ながら頂上は彼が期待していたほどのものではありませんでした。 彼は「執事としての品格」を手に入れたんだと思います。 ですが、それは蓋を開けてみれば大したものではなかったと彼の人生を否定してるとも思われない残酷な描写に感じられました。 "もやがしだいに濃くなってくるなか、あの寂しい丘の上に立って、門越しに遠くの村のあかりをながめているのは、決して楽しい気分のものではありませんでした" これは彼が仕事を得た栄光と日常にあるしあわせとを比較してるように思われます。 そして、それは決して楽しい気分ではなかったと。 "このままフォードへ引き返し、誰かが車で通りかかるまで、中で待っているのが最善ではないか・・・" "それに呼び止めるもなにも、先ほどフォードを降りてから、ここを通りすぎた車は一台もありません。いえ、考えてみれば、タビストックを出てからは車を一台も見た覚えがないのです" 先程フォードは執事としての彼自身を表してるのではないかと述べましたが、 「執事としての品格」を手に入れるために坂を上り続けているのはもはや彼しかいないということではないでしょうか? 昔は多くの同業者と切磋琢磨してた栄光の時代は過ぎ去り、孤独に邁進する彼の孤独さと執事という文化が無くなりつつあるという描写に思えます。 以上があくまで自分の解釈になります。 皆様がこの書籍を楽しむ一つの一助になってくれれば幸いです。 とても長くなってしまいましたが、 これらの部分をそう解釈して読んだとき 感情が一気に揺り動かされ、 とても強い哀愁が6時間くらい心にのしかかってきました。 丁寧な文章でこんなにも感情を突き動かされることにとても驚嘆します。 自分は「わたしを離さないで」も読んではいたのですが上手く感情移入ができず、 ノーベル賞委員会が選んだ理由として「感情を揺り動かす」があったのですが、 この作品でそれを体験することができてとても良かったです。 最後になりますが、スティーブスンが最後ジョークを覚えようという描写は見てて心が痛くなってしまいました。 品位あるイギリスがアメリカに対しておどけた道化になってしまうという 時代の流れとは言え、誇りや品位を保っていてほしいという自分の願いがありました。 | ||||
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この本はイギリスで読んだら、より情景が鮮明に映し出されるのではないかと思った。イギリス行ったことないけど。 | ||||
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小説の中の一つ一つの場面が、登場人物との会話を含めて映画のワンシーンを観ているような描写。特にミス・ケントンとの再会の場面とラストの老人との会話と沈みゆく夕日の場面は本当に秀逸。いい映画を観たような気持ちがした。 また、言葉の裏側にある人の思いの描き方が、日本人の言わなくても察する感性をとても刺激してくれる。どうして気がつかないのかともどかしい思いがする。 この察する文化が海外で高い評価が得られたことも嬉しい。 | ||||
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難しいけど、いろいろ考えさせられました。 | ||||
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原書を理解する助けに使用 | ||||
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本日、読み終わりました。多くのレビューアの皆様の話から、私が気づけなかった様々な事を気づかせていただけました。大変感謝しております。お礼もかねて、短期間のイギリス在住経験が在る者として、(日本人と違って)【一部のイギリス人はこう読みそうだ】というのを思いつきましたので、披露させていただきたいと思います: スティーブンは『理想を追い求めて頑張ったけど、後から振り返ると、取り返しのつかない失敗をした人生だった』という結論に至ります。しかし、このようなスティーブンは、2つの大戦を通じて没落を重ねた20世紀のイギリス自身に重なると思われます。そして、アメリカ人が新しい主人になることまで含めて、スティーブンは20世紀のイギリス自身の擬人化に見えてきます。すると、最後の見ず知らずの男の励ましは、そのような没落の国のイギリス人全員に対する励ましです。その励ましを受けて前向きに生きていこうとする初老のスティーブンは、カズオイシグロの考える、没落したイギリス人のあるべき姿なのだと思います。 さて、日本も、バブル崩壊や中国新興国の台頭などを通じて、20世紀中盤のイギリス同様に、現在進行形で没落中であると思われるます。かつてのように日本が輝くことは、今後はもうありますまい。そう考えると、上記の励ましは、我々現在の日本人に対する励ましにも思えてくるのです。 | ||||
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派手なトリックや言葉はでてこない、年配の方にはご理解いただける内容ですね、若い方等には面白くないと考えます。 | ||||
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執事のスティーブンスはお客様の夫人に問われた。 「あなたはダーリントン卿のもとで働いていたんでしょう?」 「いいえ、そうではございません、奥様」と彼は作り話をする。 このやり取りに、今の主人はご立腹だ。 しかしスティーブンスは 「これはこの国の流儀に関することでございます」と誤らない。 彼は偉大なる紳士であるダーリントン卿に使えていたことを誇りに思っていた。 そして、卿に使えていたことを見せびらかさないことで主人を守った。 自ら文をわきまえる。謙譲の美徳とも言える。 これがスティーブンスのいう執事の品格なのだろう。 古き佳き時代の英国紳士の話に出合える小説だ。 | ||||
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アマゾンのジェフベゾスについての本を読んだら彼の大好きな小説とのことで、ノーベル賞を取った英国育ちの日本人作家ということもありずっと気になってはいたのでこの機会に読んでみました。最初はどういう展開になるのかと淡々と読んでおりましたが、読み進めるうちに主人公の心の動きや英国の田舎の自然の描写に引き込まれていきました。さらには第二次世界大戦を引き起こすことになる第一次世界大戦後のドイツの戦後処理や、英国の田舎の人とのやり取りから民主主義の是非というような今日にも通じる問題にまで繋がり、最後の告白から 夕暮れの景色が浮かぶようなラストの余韻がずっと残っています。この本はある程度の年齢になって仕事や人生経験を積んだ人に響くのではないかと思います。翻訳も読み易く言葉遣いも雰囲気に合っていると思います。なお、マーケットプレイスで購入したのですが、たぶん出品された方のと思われる細かい読書メモが挟まれており ヒトラーと戦った英国の誇りや、戦後の日本の立ち位置を考察するコメントが書かれており そういう読み方もあるのかと参考になりました。誰かに勧めたいですが、自分の内面を重ね合わせているように思われるので 言わないでおきたいというような不思議な気持ちにさせられました。でもあのジェフベゾスの愛読書だなんて! | ||||
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カズオ・イシグロの代表作を名訳本で鑑賞できます。 | ||||
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耳が、滲んでいました!少しだけ残念ですが、他は、問題なし綺麗です! | ||||
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関心を持ち読んでみましたが、紳士淑女ではなく堅物執事の内面に焦点が当てられており、たいへん興味深かったです。この執事さん、英国紳士に仕える者の鑑というよりかはむしろ、典型的なアスペルガー症候群のパーソナリティの持ち主なのでは? | ||||
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恥ずかしながら、今はなきノーベル文学賞の受賞作品としてカズオ・イシグロを知りました。 日本人として生まれ、英国に帰化した作家として、英語からの翻訳作品 伝統的なお屋敷での品格ある執事の回想録であるので、どこまで読み進めれるかなというのが 当初の穿った感想ではありますが、 日常の淡々とた出来事の回想録ながら、一気に飽きることなく読み進めることができました。 一番の素晴らしさは、訳者の日本語ではないかと思います。 素晴らしく丁寧で美しい日本語として訳されています。 品格ある執事の道を追求したスティーブンがもらった小旅行 美しい田園風景の道中での出来事を通し、長年使えたダーリントン卿への尊敬と忠誠 先輩執事として尊敬する父の最後 女中頭との思い 第一次世界大戦と第二次世界大戦を通して、 その間に行われた館での非公式な会議など を回想録として 「執事」とは何か、「品格」とは何かを語ります。 大英帝国の栄光が失せていくイギリスを 執事の思いをとおして表しているような作品でもあり 最後、スティーブンが夕日をみて涙するシーンは 今まで、自分の感情を決して人前では見せてはいけないと 執事として生きてきた、人生の郷愁のようなものを感じてしまいます。 どんなに一生懸命に生きてきても、ふと振り返ると 後悔があったりするものです。 そのうえで、また次のステージに進もう。。。 変化する時代への一歩をふみだそうとするスティーブン 誰しもが人生の晩年に感じる思いなのかもしれません 何度も読みかえし考え感じたいと思う作品です | ||||
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忠君であり続けたカタブツすぎる老いた主人公執事。頑なにすぎる人間が老いて気づくこと。本当は気づいていたのに気づかないようにしてきたこと。信念の生んだことと、喪わせたこと。 一人称の文体から、話し手は気づかず読者には透けて見える、度し難い、微笑ましいような、哀しいような、喪失。 全く立場も時代も違うが、信念を通そうとかっこつけてきて致命的な喪失になったことは数ある。それは誰しも人生の夕方に気づくものなのかもしれない。そしてそれは悪いことではないのかもしれない。 | ||||
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執事の職務がスティーブンの性格を作ったのか、スティーブンの生来の性格が執事に合ったのか、最後まで興味が尽きませんでした。 | ||||
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これは···、どの辺に主眼を置いたものなのだろうと気にもなったけれど、それはそれとして。民主主義の悪い面が目立つ昨今、歴史を辿れば昔から危惧されてきた面だったのだろうと気付かされた。 | ||||
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品格とは何か?其れは「偉大さの追求」である。筆者は人間が追求すべきもの、其の明確な答を、繁栄を築いた大英帝国のある執事を通じて伝えている。文学は人々にある種の哲学的な答を与えるべきものだと思うが、本書は稀に見る格好の書である。 世界は歯車である。世界にどれだけ貢献したかどうかが今の世代の価値基準である。等、世界観が変わる端的なメッセージも印象深い。 淡々としかし端的で確かなメッセージは込み上げてくるものが多い。 人間一人一人が偉大さを追求することで国の繁栄は築かれていくのかもしれない。 | ||||
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物語で綴られたイギリスの田舎の風景。 先人の勝ちとった歴史の中から生まれた伝統や暮らし。一喜一憂にはつくられないこの風景こそが、イギリスをイギリスたらしめているものではないか。 執事の品格とはなにか。そして、真の偉大さとは何か。物語から語られる過去と現在のストーリーひとつひとつが、もう過ぎ去ってしまった良き時代を丁寧な描写と心地よい言葉で描かれている。知的なユーモア、イギリス的な皮肉、哀愁も素晴らしい。 読後はこの物語の余韻も心地よく、過去、現在、未来と物思いにふけることができる。 | ||||
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オリジナルがいいのでしょうが、非常に読みやすかった。 | ||||
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