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日の名残り
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日の名残りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全354件 1~20 1/18ページ
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やや難解で、2回読みました。深い、重い、考えさせられる作品でした。実は、7年前に購入し、100ページほど読みかけ、中断していました。66歳になった今、キャリア(人生の轍=わだち)を振り返る内容は心に響きました。物語の進捗もゆっくりで、会社員時代は、そのスピード感に付いていけなかったのでしょうね…。 第一次世界大戦後から第二次世界大戦に至る時代の、イギリスの貴族階級の屋敷が主な舞台で、主人公が仕えた雇い主は架空の人ながらも、イギリスのチェンバレン兄弟を模した設定のようです。ドイツの駐英大使リンペンドロップ(ナチスの外交官で、戦後のニュールンベルグ裁判で死刑)は実名で出てきます。 誠実で善良な雇い主に、私心を捨て、尽くし続けた人生が、雇い主がナチス協力者の烙印を押されることになり、重く心にのしかかります。この葛藤は読みごたえがありました。 また、屋敷での女中頭である女性との、淡いロマンス(主人公側からは、あまり見えてこなかったのが残念でした)も、大人の恋を感じました。 主人公が結局、他の女性と結婚したのかは描かれていませんでしたね。 1週間近く、新しい雇い主から借りた高級車で、美しい風景のイングランドをドライブしつつ、自分の人生を振り返るスタイルは、ブッカー賞受賞作ぽいなあと感じました。 イングランドの風景、貴族の屋敷の様子を思い浮かべるのに、映画の方も見てみようかと思います。しばらく、カズオ・イシグロさんにはまりそうです。 | ||||
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最後の一言一句まで、中身のある、多くの意味を持たせた作品で大変満足した。 どんな名作と言われる作品であっても、起承転まではたっぷりと楽しむことができても、結末まで満足感を得られる作品にはこれまで出逢うことがなかったが、多様なテーマ、視点、主人公の極めて生真面目な性質によるユーモラスとさえ感じる思考、言動で存分に楽しませてもらうことはもとより、その点(結の体感)に大変感銘を受けた。作者だけでなく、翻訳者土屋氏の技量の成せる技なのだろう。 | ||||
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状態良でした | ||||
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ノーベル賞作家の小説だなと思いました。知的で無駄のない文章。原文は読んでいませんが恐らく翻訳も原文に忠実だったのでしょう。志賀直哉を思い出させます。個人的な好みで言えば私はそういう文章や小説はあまり好きではありません。簡素にすぎて、そそられないのです。 私は最初映画を観ました。「羊たちの沈黙」でハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスが主役の執事を演じていて、ワクワクしながら見ていましたが、何となくいつも予想を裏切られ、拍子抜けをして、最後に今度こそ彼が自分の思いを告白するのかと固唾をのんで見守っていたら、そういうこともなく…なんだか消化不良のまま終わってしまった感じです。 ひたすら淡々と物語が進み、その間時の移り変わり、歴史的な出来事やいくばくかの物語が織り込まれていくものの、私にとってはいまいち盛り上がりに欠けるなという思いを引きずったまま、気が付いたら終わっていたという感じ。でも、こういうのを名作というのかもしれません。確かに日の名残りのような印象が残りました。 | ||||
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今日、地球上で英語で書く作家は多い。大英帝国の遺産である。カズオ・イシグロ氏の本書は、言わば大英帝国の『斜陽』であって、イシグロ氏は英語文学圏の太宰治なのであろう。執事{バトラー}を通して語られる大英帝国の斜陽はいみじくも『日の名残り』と題される。因みに、執事{バトラー}とは白人奴隷のトップとして貴族邸の家政を統括する立場にあった。『風と共に去りぬ』の主人公はレッド・バトラー、あの映画にあった教会は、鐘を打ち鳴らす少年黒人奴隷の妙技からしてロシア正教の教会だったと思う。 | ||||
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純文学と大衆文学という分け方が日本にはあるが(海外にも高尚なものとエンターテインメントみたいな分け方があると思うが)そんなのは無意味だということをカズオ・イシグロを読むと思う。それぐらいこの人の小説は面白い。日本の退屈な純文学に慣れていると、こんなに文学が面白いわけがない、おかしい、と妙に落ち着かない気分にさえなる。 本作はイギリスで最も権威のあるブッカー賞を受賞した、カズオ・イシグロ(1989年当時、弱冠35歳)の代表作である。1993年にはジェームズ・アイヴォリー監督で映画化され、わたしはそれで知った。それまでE.M.フォースター原作の映画を撮っていたアイヴォリーが、日本人の小説を? と頭の中がクエスチョンマークになったことを覚えている。 あれから30年、初めて原作を読んでみた。とにかく面白かった。しかるのちに映画も再見したので、比較めいたことを書いてみると、ひたすら「陰」のムードをまとった映画に対して、小説には不思議と「陽」のムードがある。最初これは訳者・土屋政雄氏のなせる業かと思ったが、いやいや本作は根源的に「陽」のムードをはらんでいる、とラストまで読んで確信した。 映画『日の名残り』も嫌いじゃないが、原作本来のムードに近いのはドラマ『ダウントン・アビー』的な世界観ではないかと思う。アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスはただただ陰気で気味が悪いけれど、それよりダウントン~のジム・カーター演じる執事のほうがスティーブンスに近い気がする。それに、やたら辛気臭い映画の音楽より、ダウントン~の音楽のほうがしっくりきそうである。 先にもちらりと触れたが、土屋政雄氏の訳がとても素晴らしい。カズオ・イシグロは、またとない日本語のパートナーを得たと思う。その土屋氏によるあとがきがせっかくよい文章なのに、さらに丸谷才一の解説(いきなりネタバレ全開で内容がダイジェストされている)が付いているのは蛇足である。 | ||||
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だってあの時はそうするのがいいと思ったんだもん、しょうがないじゃん、という言い訳を延々としている話。 実直、勤勉が盲従を産む。しかし、一縷の希望がもたらされるのもそれ故にか。 ハルキムラカミは乾いて冷たいがカズオイシグロはしっとりとほの暖かい。 | ||||
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今頃になって読んでみました。実は私は、村上小説を何度読んでも途中で挫折していたので、実際にノーベル賞を受賞したイシグロ氏の小説でも同じく挫折したら、これはもう自分の読解力や感性の無さが原因だと判断するしかないと思っていました。 と思って恐る恐る本書を読み始めると、もう止まりません。私が村上小説で挫折するのは、男女のとりとめのない会話がだらだら続く箇所なのですが、本書にはまずこれがありません。まだ読了していませんが、とりあえずスラスラ読めるのが嬉しいです。 スラスラ読めるのは、土屋政雄氏による見事な翻訳のお陰でもあります。原文を読むと、平易な英文なので読みやすいですが、これをいかにも老執事が話すような語り口で翻訳したのは、もう名人芸としか言いようがありません。この日本語版はまさに、イシグロ氏と土屋氏の共同作業の賜物です。 | ||||
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生きるは、黒沢の映画をどうアレンジするのか、気にしながら観て一気にファンになった。 この映画はまだ見ていないが、ぜひ観てみたい、そう思わせる小説だった。 | ||||
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何かで紹介をされてて興味を持ち購入 気分的に真夏の今、読む感じではないと思い、秋になったらじっくり読みたいと思います 楽しみです | ||||
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男として、仕事人として自信を失くしている頃に巡り合った一冊です。 あの時違う選択をしていたら...このまま自分の人生はどこに向かうのか、そしてなんのために生きるのか... 夕陽の場面を多様して、視覚的にも「日の名残り」を想像させてくれます。 読み終えると、これに日本人的甘えと中年男の妄想力を付け加えれば黄昏流星群に至ることに気づくかもしれませんが、みなさまはいかがでしょう。 | ||||
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自信をもって定年退職された方には、是非読んで頂きたいと思います。 主人公は「理想の執事」たる事をひたすらめざします。 人の「品格とは」なんだ!「偉大さとは」…と、極めて有能で忠実な「執事」であるが為 人生に悩み、心を押し殺し、そして老いて行きます。 そして、旅の行き着いた先で「人生とは」いかにあるべきかとの「キーワード」を見つけます。 この文庫本を読み、DVDを買い、単行本の「ノーベル賞記念版」も買ってしまいました。 | ||||
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類稀な働きをする執事が、人生の夕暮れに、過去を振り返り、いつも近くにいた愛すべき女性を 失った悲しみを改めて感じながらも、前を向く話。 なのだが、読ませ方がうまいというか、執事の回想のような感じで、過去と現在、 イギリスの風景、大きな屋敷での会合などを織り交ぜながら、執事の日常、主人への忠誠、 を描いていく。自分にとっては稀有な作品だった。 仕事に全身全霊を傾け続けた男の生き方へのやんわりとした皮肉なのかと、読後すぐは感じたが、 仕事に邁進することで、何かを失っていたとしても、それはそれでいいではないか。 これからも前向きに生きる方が大事だというメッセージを感じた。 それは、イギリスという国への思いかもしれない。 気に入った言葉、「烏合の衆が話し合ってなんになる。」p285 「時計を後戻りさせることはできませんものね。」p343 | ||||
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発送も迅速で、とてもキレイな物が届きました。価格も安く買えたので、大満足です。 | ||||
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今44歳独身の僕。 毎日は平和で楽しく笑顔にあふれている。ゴルフに夢中になっている。 だけど今が全て。今が全てだとわかっている。 後にも先にもない今現在を夢中で生きていきたい。 怖がらず新たに挑戦したい。 けこんしたい。。。 そんなことを思わせてくれた物語でした。 明日はあの娘を誘ってみようと思います。 | ||||
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イギリスの田舎を旅する初老の執事の回顧録。主人公は、執事としての品格を追求するあまり、信頼関係を築いた同僚の女中頭への想いにも向き合えない、不器用なまでに真面目な男だ。今彼に残されたのは、かつての主人が外交官であった時代にお屋敷を訪れる錚々たる来客をもてなしたという、華々しい過去への矜持だけである。しかし、執事としての職務を全うするために全身全霊をつくすも、忠誠を誓った主人とも悲壮な別れを経験する。 どんな後悔があろうとも時間を戻すことはできない。今できることを精一杯やるんだ。夕暮れの海岸で偶然出会った男が言う。「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」 | ||||
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老執事の独り言が、延々と続くだけの話なのに最後まで読んでしまいました。情景が目の前に浮かんでくるような描写力は、映画のシーンを見るようです。まだ「クララとお日様」と2作しか読んでませんが、この作家ならどのようなつまらない日常を切り取っても最後まで読ませてくれると思います。今度は、もう少し、エキサイティングな「私を離さないで」を読んでみようと思います。 | ||||
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哀愁漂うこの作品。 とても余韻が残る味わい深い作品でした。 その中でも個人的に感情を 打ちのめされてしまった部分を 覚書としてしたためたいと思います。 本書の文章にも触れますので 内容を知りたくない方はご注意お願いします。 自分が打ちのめされてしまった部分は、 文庫本226ページから228ページにかけて主人公がガス欠に見舞われてしまった場面です。 この場面の描写はスティーブスンの過去・現在・未来の人生を表してるのではないかと思えてなりませんでした。 以下、長くなるので部分的に引用していきたいと思います。 "いずれにせよ、十五分ほどドライブしているうちに、私は荒涼とした湿地帯に出ました。 右も左も一面の沼地のように見え、前方にはもやが広がっていました。 納屋や農家らしきものが浮かび上がってきましたが、それ以外には、人の住んでいる気配というものがまったく感じられませんでした" これはスティーブスンの現在の心理状態を表してるのではないのか? 沼地やもやと行き先も限られ先も見通せてない状態のように思われます。 また、人の気配がないというのは現在の彼の状況を仄めかしてるのではないか? "私はここでUターンし、先ほど通り過ぎた記憶がある曲がり角を捜して、道路をしばらくもどったと存じます。曲がり角は確かにあり、私はそこを曲がりましたが、その新しい道も先ほどの道とたいして変わらず、むしろいっそう寂しい感じすらいたしました" ここでは、今さら戻ってみても、もはや手遅れということを仄めかし、新しい道を選んだとしても結果はあまり変わらず、さらにどこか滑稽じみた哀愁も感じられずにはいられません。 "両側の生け垣にはさまれ、まるでもう夜になったような暗さの中をしばらく走っていきますと道路が急な上りになりました" 「生け垣」というのは 個人的には彼の信念「紳士としての品格」を手にするために、 彼が作り上げだものの道筋の暗喩ではないのかと思いました。 その作り上げだ信念が邪魔をして、 周りの風景を見ることができないのではないのか。 「急な上り」は品格ある紳士としての道のりを表してると思いました。 "フォードはさらに数ヤード丘を上りつづけ、そして止まりました。辺りの様子を見に車から降りてみますと、夕焼けの明るさはあと数分しかもちそうにありません" フォードは彼自身を表してると思います。 イギリスの高級車といえばロールスロイスが有名ですが、 イギリス車ではなく、アメリカの車フォードであるのも、 彼が今はアメリカに雇われの身であることを示してるのと思います。 そして、ガソリン、彼の心のエネルギーは坂の途中で力尽きます。 "私が立っておりましたのは、立ち木や生け垣で囲まれた急な上り坂の途中でした" "丘のさらに上のほうでは生け垣がとぎれ、かんぬきで閉じた広い門が、背景の夕空にくっきりと浮かび上がっています。私はその門のほうへ道を上りはじめました。あの門から周囲を見渡せば、位置感覚もとりもどせるでしょうし、もし近くに農家でも見つかれば、そこですぐに助けが得られるという期待もあったのだと存じます" 夕焼けを背景にした広い門は、「品格のある紳士」のゴールの象徴だと思います。 頂上では生け垣が途切れておりますので、 頂上に立てば自分に課したを"生け垣"を下ろせるのではないのか、 そしてそこでやっと助けを求めることができるという彼の無意識の現れではないでしょうか? "ですから、その門の脇に立ったとき、私の目に飛び込んできた光景には、少なからずがっかりさせられたことを告白せねばなりません。門の向こう側には、草地が急傾斜でくだっておりました" ですが、残念ながら頂上は彼が期待していたほどのものではありませんでした。 彼は「執事としての品格」を手に入れたんだと思います。 ですが、それは蓋を開けてみれば大したものではなかったと彼の人生を否定してるとも思われない残酷な描写に感じられました。 "もやがしだいに濃くなってくるなか、あの寂しい丘の上に立って、門越しに遠くの村のあかりをながめているのは、決して楽しい気分のものではありませんでした" これは彼が仕事を得た栄光と日常にあるしあわせとを比較してるように思われます。 そして、それは決して楽しい気分ではなかったと。 "このままフォードへ引き返し、誰かが車で通りかかるまで、中で待っているのが最善ではないか・・・" "それに呼び止めるもなにも、先ほどフォードを降りてから、ここを通りすぎた車は一台もありません。いえ、考えてみれば、タビストックを出てからは車を一台も見た覚えがないのです" 先程フォードは執事としての彼自身を表してるのではないかと述べましたが、 「執事としての品格」を手に入れるために坂を上り続けているのはもはや彼しかいないということではないでしょうか? 昔は多くの同業者と切磋琢磨してた栄光の時代は過ぎ去り、孤独に邁進する彼の孤独さと執事という文化が無くなりつつあるという描写に思えます。 以上があくまで自分の解釈になります。 皆様がこの書籍を楽しむ一つの一助になってくれれば幸いです。 とても長くなってしまいましたが、 これらの部分をそう解釈して読んだとき 感情が一気に揺り動かされ、 とても強い哀愁が6時間くらい心にのしかかってきました。 丁寧な文章でこんなにも感情を突き動かされることにとても驚嘆します。 自分は「わたしを離さないで」も読んではいたのですが上手く感情移入ができず、 ノーベル賞委員会が選んだ理由として「感情を揺り動かす」があったのですが、 この作品でそれを体験することができてとても良かったです。 最後になりますが、スティーブスンが最後ジョークを覚えようという描写は見てて心が痛くなってしまいました。 品位あるイギリスがアメリカに対しておどけた道化になってしまうという 時代の流れとは言え、誇りや品位を保っていてほしいという自分の願いがありました。 | ||||
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この本はイギリスで読んだら、より情景が鮮明に映し出されるのではないかと思った。イギリス行ったことないけど。 | ||||
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小説の中の一つ一つの場面が、登場人物との会話を含めて映画のワンシーンを観ているような描写。特にミス・ケントンとの再会の場面とラストの老人との会話と沈みゆく夕日の場面は本当に秀逸。いい映画を観たような気持ちがした。 また、言葉の裏側にある人の思いの描き方が、日本人の言わなくても察する感性をとても刺激してくれる。どうして気がつかないのかともどかしい思いがする。 この察する文化が海外で高い評価が得られたことも嬉しい。 | ||||
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