■スポンサードリンク
バラカ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
バラカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全82件 21~40 2/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
遅れ馳せながら読みました。大変面白かったです。個人的にはOUTより下に来ますが、グロテスクより上です。前半で拡散し尽くした話しが大震災直後の幻想で終わり、後半怒涛のように収束している様は感服しました。言葉にならない災害がようやく言葉になった感があり、それだけでも価値のある小説です。不謹慎との声もあるようですが、桐野夏生が書くのであれば、これ以外の形ではありえないでしょう。山崎豊子じゃないんですから。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
冒頭から引きこまれました。 しばらくぶりに桐野さん作品を読みましたが、 やっぱり面白い。 特に前半は人物の細かい描写と展開がワクワクさせ、一人一人に入り込めます。 人身売買というショッキングな出来事から東日本大震災への展開は、わかっていながらも意外性のある流れでより夢中にさせました。 後半になっても先が気になりどんどん読み進めましたが、前半に比べてなんだか薄っぺらい。一人一人に入り込んで読む深みのある前半とは違い、後半は着地に困りながらストーリー展開してるように感じてしまった。 なので後半は、桐野さんの表現力にうっとりするところがなかったのが残念。 中途半端に感じる部分もあるまま終わり、 読後はモヤモヤが少し残ります。 それでも充分楽しませて貰いましたし、 なにより夢中になって読めますよ! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私はこれかなりの高評価です。 確かに内容的には義父の死など意味不明なくだりも多いし、赤ちゃん売買・震災・宗教などあれこれもりこみすぎてごちゃごちゃなところは否定できない。それでもこの作品には桐野夏生らしいものすごいぞーっとする恐怖感が作品全体にいきわたりとにかくとりつかれたように興奮状態でページをすすめずにはいられません。これは初めて読んだ作品でもあり、また彼女の最高傑作でもある「OUT」をよんだときを思い出しました。 その不気味さはヒロインのバラカすらそう。悪の義父がつぶやく「子供でもなめてはいけない。大人よりも危険な存在なときもある」という言葉にも思わずはっとさせられるほどの迫力。 こういう高揚感をもって作品よませてくれる作家ってやはりいないなと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ばかばかしいにまほどかある作品です。人の命をなんだと想っているのか。テーマもなんだかむちゃくちゃ。子どもの人身売買と震災の大惨事と なんでくっつけるのか、作者の意図が解りません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
バラカをあれだけ捜し求めた父の最期の行動意味不明。 バラカの義父の死にざまが意味不明。 バラカたちを付狙うグループの存在が意味不明。 何が言いたいのか私には理解不能でした。 まともだったのは「じいさん決死隊」と同級生の親子くらいでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
桐野作品のドロドロした雰囲気が好きなので借りて読みました。 前半の四十代女性の恋愛観と児童売買の話は桐野らしくてよかった。 しかし、中-後半の原発の話は完全に蛇足だと思う。 原発の話は無理やりくっつけた感があり、後半に連発する現実味も乏しいご都合主義の展開には呆れた。 何よりバラカ、健をはじめとする登場人物像がこれまでの桐野作品に出てくるそれとあまりにかけ離れていて 気持ち悪さすら覚えた。 中高生が読む冒険譚の主人公とヒロインといった感じか。 特に健は大した掘り下げもなく行動理念もよく分からない。 読んでいて「気持ち悪いからもう出てくるな」と何度も思った。 あれだけ全体を通して強烈な印象を残した悪魔川島も大した理由の描写もなく 自殺してしまい拍子抜けだった。 原発は原発、児童売買は児童売買別々で書くべきだった。 テンポよく読める点は良いと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
多作なので、たまに惜しい作品もある著者ですが、 こちらは読み応えがありました。 震災と福島について、いろいろな角度から問題提起しているし 人物像も興味をひかれました。総合的に大作です | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原爆後のディストピアを描くのが本当にいい発想だと思うのに。 原爆も書きたい、ジェンダーも書きたい、海外幼児売買も書きたい、人間の黒い面や空虚な面も書きたい、結局何も十分に描けなかったって感じ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
東日本大震災の後で小説を書くとはどういうことか。誠実な小説家であれば誰もが向き合わざるをえない問いに、桐野夏生は5年の歳月をかけて格闘し、意表を突く答えを提示してみせた。悪意によって失われかけた希望が、聖火のように人から人へと受け渡される、その波乱の道行を追ううちに、いつしか僕たちは、オリバー・トウィストが、あるいはリトル・ドリットが、近未来のディストピアに忽然と現れたことに気づいて驚愕する。どこを見回しても絶望しか見つからないこの時代にあって、桐野はあえてディケンズの持つ野太い物語に一縷の希望をを託した。そして長い年月の果てに、部厚い雲間から一条の光を差し込ませることについに成功した。紛れもなくこの小説家の代表作であり、多和田葉子の『献灯使』や吉村萬壱の『ポラード病』とともに、東日本大震災後に書かれたもっとも優れた小説の一つである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
40代のキャリアウーマン(死語)2人が、かつて関係を持った川島との 腐れ縁がきっかけで急速に転落していく前半は、登場人物のほぼ全員が 厭らしい人間で感情移入できないとはいえ、この作者らしい露悪的な 筆致が功を奏してと言うべきか、それなりに面白く読むことができた。 (☆☆以下、物語の核心部分が書いてあるので、未読の方は注意☆☆) しかし、震災後の日本を誇張して描いた後半が、いかにも薄っぺらだ。 作者は何とか物語を動かそうと、一種の象徴的な存在と化したバラカが、 反原発派と推進派の間で奪い合いの対象になる、という展開に持ち込んで いるが、ツイートが拡散された程度で見つかるような場所に安住できる はずもないのに、警官等ではなくサクラがあっさりとバラカを連れ去って しまうという展開は、やや安易に過ぎると言うべきだろう。(バラカに 勝手に聖性を投影する健太と康太も、実はけっこう気持ち悪い人物だ。) その後、川島の手に落ちたバラカは、福島で半軟禁生活を送ることになり、 そこからいかに脱出するかが焦点になるのだが、震災時は葬儀屋だったはずの 川島が、いかなる過程を経て政府の仕事を請け負うようになったかの説明は 全くないままだし、このあたりになると、何がどうなればこの物語に決着が 付くのかが、作者自身にも見えなくなってしまった感があって、読み続ける 意欲を掻き立てるのにいささか苦労させられた。 本来はパウロが失った子供を探す物語であり、悪魔の如き人物として描かれる 川島が、一種の狂言回しのような存在として絡んでくるわけだが、たまたま この二人が隣人になるという、これまた都合の良過ぎる展開が導入されたかと 思うと、川島はとくに何の説明もなく唐突に自殺してしまうし(ここには一番 ガッカリさせられた)、結末に至ってもパウロがバラカと再会することはない。 一応は着地点が必要だからという感じで、短いエピローグがつけ加えられては いるが、あれほど厳しく反原発の活動家を弾圧していたはずの政権はあっさり 交代し、「ほんの少し民主的になった」と書かれるだけで、バラカたちの闘い とはいったい何だったのか、という気持ちが落ち着く先もない。 本来は力がある作者だけに残念だが、震災の過酷な現実には文学の想像力も とうてい及ばないという悪しき先例が、また一つ積み重ねられてしまったと 言うべきだろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
もしかして起こったかもしれない、バラカの物語です。 自然の脅威と人間の醜さに翻弄されながら、逞しく生きる少女。 一番怖いのは”人間”で、一番やさしいのも”人間”だと思う、一冊です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
福島に暮らす者ですが、 前半のベビースークと子どもを欲しがるキャリア女性、の下りは 面白かったです。 でも、突然、震災になって、都合良く?キャリア女性だけが 津波で死んだり、川島のこれでもかという悪人ぶりを描くのかと思いきや、 なんだか、誰もが死んで、一体、何を描きたいのか不明。 誰もが悪人ということか? 豊田さんや健太のしていたことは何? 誰が、何が敵だったの? 色々不明で、唐突なエピローグ、海外ドラマの24みたい。 そして、いきなりの最終話って感じでした。 それと、こうなったかもしれない世界を描いたのでしょうが、 不愉快きわまりないですね、福島にいる者としては。 こうなったら面白いと思って描いてるんだろうな。 エンタメなんだし。 自分は安全な所にいるという、傲慢さが描かせている気がします。 描くなと言えないことは承知ですが、 もう筆者の本は読みたくない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ファンであろうとなかろうと、私は客観的に評価します。 正直言って他の方の評価の高さに驚いています。 ここからネタバレしますよ。 この作品は長期連載にありがちな、途中で視点がころころ変わり、あげく結局収拾がつかなくなった箇所が散見されます。 交通事故死や火事による焼死。主人公の周囲で起こる不可解な事件の首謀者も、結局誰か判らない。おまけに本作最大の悪人が十分な理由もなく自殺(?)してしまう。 主題の壮大さに反して、そして文字数の多さに反して、内容やそれにもまして結末が余りにも薄っぺらい作品で、大きく落胆しました。 この本に2000円はとても出せない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
すごい、この世界をこのように描いて、さすが桐野夏生という感じです。 物語は、311のあの危機を乗り越えた世界だけど、現実とはちょっと違っている。 福島の原発は4基とも爆発し、東日本には住めなくなっている。 主人公はバラカとよばれる少女、日本で生まれ、誘拐され、ドバイの市場で売られ、福島の放射能汚染地区で発見される。 原発事故後、反原発派は現商業資本主義に抵抗しているが、原発推進派により、アンダーグラウンドの中で抹殺されていく。 もしかして、現状もこうなのではとも思ってしまう。どこまでがフィクションで、どこまでが本当なのか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
プロローグで東日本大震災の模様が描かれた時点で、東日本大震災・原発事故を"飯のタネ"とした有象無象の作品群の一つだの予感が走ったが、その悪い予感が当たったしまった愚作。そのプロローグでガレキの中から発見された少女が「バラカ("神の恩寵"の意)」と呟いた所から、少女は「バラカ(ある時点から薔薇香)」と呼ばれ、表題もその通りとなっている。この「バラカ」を中心として、人と人との絆の大切さ・強さを描いた作品かと思いきや、この大部(640頁超)を費やして中身がゼロという呆れ果てた作品である。 「男より子供が欲しい」と嘯いてドバイで乳児を"買う"42歳の独身女性とその親友、その共通の男の知人(元愛人)で「悪霊」スタヴローギンを想起させる悪漢の川島、その乳児の実の父で、乳児探索に命を賭け、ヨシザキという牧師の宗教に(半分)帰依するパウロ、ヨシザキと川島との不思議な因縁と要素は揃えているのに、これらの間の有機的結合が皆無で、作者の意匠・物語構成が発散している。そして、物語の中心は、甲状腺ガンを有した「バラカ」を、原発反対派及び原発推進派双方が<イコン>として争奪戦を繰り広げるというバカバカしいもの。東日本大震災・原発事故の被災者の方に対する鎮魂・悼みの念が全く感じられない。また、作中で、「バラカ」の心情に沿うかの様に、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」を再三引用しているのも"あざとい"。 作中で、ヨシザキが「失敗のサイクル(からの脱却)」という説話を繰り返す(例えば、パウロの「失敗のサイクル」は「飲酒→暴力」)が、作者の「失敗のサイクル」は「テーマがないのに執筆し続けなければならない職業的作家の宿命」だという風な詰まらない感想しか覚えなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長編小説ではあるが、手に汗に握りハラハラドキドキの展開で一気に読ませた。お手軽なストーリーでは24Hみたいに、どんなに主人公に危機が迫っても都合よく助かって、白けてしまうんだけど、この物語はなんとか、バラカちゃん無事に居てと、感情移入してしまう。下らないハリウッド映画や見るに堪えない日本のTVドラマより、よほど面白いんだから、あれこれ粗探しせず、素直に楽しんだら良いと思う。前作よりどうだこうだと、すぐ言いたがる人がいるが、すべての作家が前作よりも面白い作品を書き続けることが出来れば、みんなノーベル文学賞取るんじゃないの?! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
好きな作家だったのに、こうも続くと残念としか言えない。 これまでのレビューで指摘されていることに賛成である。 私が読んだバージョンは、作者の後書きがなかったので、「執筆中に震災が起きて追加変更された部分がある」から咀嚼できていないという言い訳を読まなくてよかったと思う。 すべての登場人物が不自然すぎた。 色々と個性的な人物が出てきて、その背景や人物描写が濃い割には、その後の物語に貢献しておらず、何度も肩透かしをくらう。 致命的なのは、バラカが好きになれなかったこと。 主体を塗り残していくネガティブペイントという手法でくりぬかれたような存在で、それはそれで貫き通してほしかったが、中途半端に表に出てきた。 なぜ彼女が皆に奉られるのか、その魅力がぜんぜん伝わってこなかった。 私がすべてのドラマに要求するのは、それを伝えるのはセリフではなく、エピソードであってほしいということだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説や映画の褒め言葉の一つに「悪い人がひとりも出てこない小説」というのがあるが バラカを読めばそんな修辞の遊びがとても薄っぺらなものに感じてしまうではないか。 この本の登場人物はヒロインであるバラカと爺さん決死隊以外は、 悪人とかごくつぶししか出てこないという前述の小説的ぬるさとは極北にある存在です。 偽善、虚栄、無責任、無関心、総体的な異物排除の社会的圧力、建前優先、エゴイズム・・ 本書で登場する「聖霊の声教会」が教義的悪と唱える「負のサイクル」の因子そのものたちが 人の姿をカリカチュアライズされながら代わる代わる登場し、バラカに迫害を与えながら あっさりと死んで退場していきます(くたばるというのがもっとピッタリかも・・・・) バラカという言葉はアラビア語で「神の恩寵」を意味するそうです。 ドバイの幼児売買のマーケットに集められた子供たちは男児も女児も人種も関係なく みなバラカと呼ばれる。ブラックなネーミングセンス、どこまで真剣なのか?只の洒落なのか? この本の主人公もそのバラカの中の一人、アル中の日系ブラジル人の父と、新興宗教と浮気に 逃避する母の間に生まれた可愛らしい女の子。 1歳と半年で浮気の駆け落ちの途中で母親は死に、自分は幼児売買に売られてしまう・・というか 最初から幼女としての商品価値目当てに殺されたのかもしれない。 彼女を買いに来たのは日本からの40歳の意識高い系の独身OLの友人二人組、雑誌ライターの女が バラカを2万ドルで買いテレビ局の製作の女が特番の為に彼女の買付けのシーンを撮影する。 悪趣味な番組だ。案の定この企画は没になる。 ここまでの筋で読者は、この本はああ”屑だらけ小説”なのだな、と早々に予想する。 そしてその予想は読み進むにつれ裏切られることは無い。というかもっともっと屑が出てくる。 ライターの女は自称悪魔気取りの糞詐欺師と帰国直後にくっつき妊娠し入籍する、一方買われたバラカは 母親に懐かずに育児放棄にあう、いびつな一家が東北への転勤の前夜にバラカは厄介払いのように テレビディレクターの女に預けられるが、バラカを手放した女は宮城県に着いた翌日に夫の留守中に 311の大地震の津波に襲われ報いのように死ぬ。 そこから先は更にパラレルワールドのディストピア、現実世界ではギリギリで留められたフクシマの原子炉が この世界では4基ごと吹っ飛んで東北関東は放射能による立入制限区域となり首都も産業も西日本に 逃げ出して日本は国の半分が使い物にならない二流国の混沌と無秩序と、政府の抑圧の世界になった。 立入禁止区域の中で独り生き残っていたバラカは爺さんボランテイアの一人に保護され、やがて10歳になる。 自分の意志とは無関係にバラカは原発推進派、反対派の其々の恰好の広告塔として狙われ、拉致され、 逃亡し、生き延び続ける、屑ばかり、自分の目的の為にだけバラカを取合う下種な大人の中に僅かな救いのように 数人の善意の人達がバラカを助けるがその力はあまりにも弱い。 リアルでありながら寓意的でもあり神話的でもある膨大な物語は650頁、執筆期間は震災を挟んで4年に至ります。 途中で大幅に修正と物語の拡張がなされ、当初は父が子を探す話:が、滅びかけの世界で物のように売られた娘が 自分と世界を取り戻そうと遍歴する話:に変貌しました。 エピソードがバラバラで唐突すぎるという指摘があるようですが僕にはかえってリアルに映りました。 それもそのはずです、現在の僕たちの現実の世界、このニュースや事件の唐突さは如何でしょう? どうみても映画や小説のほうがよっぽどシナリオライズされていて調和がとれています。 更には地震や洪水といった天災の数々、ホームドラマのような日常をいきなりパニック映画に転換する理不尽さ、 それこそがリアルな現実世界。 辻褄も脈絡もない世界をしたたかに逞しく生きなければならない我らは時にはこのような本を読んで括目する必要が あるのだと、読み終えて深い溜息と共に思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
全くダメ。ストーリー展開も三流。 原発事故を取り上げ、社会派小説にしたかったのかもしれないが、調査不十分な面が逆に質を落としている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は、外国人労働者、新宗教、40代独身女性の悩み、幼児売買、東日本大震災、放射線汚染による健康被害、原発推進派と反対派の争い、と多くのいろいろなテーマが盛り込まれている。 他のレビュアーの方の御指摘の通り、いろいろなテーマを盛り込みすぎた感を免れない。 そのうえ個々のテーマの掘り下げは驚くほど浅い。例えば、外国人労働者の労働環境についての描写はないし、沙羅と優子の2人の独身女性の性格は実は驚くほど一致している。沙羅がなぜ子供を持とうとするのかについての心理描写も薄い。 本書は本来、幼児売買の対象にされた少女バラカの数奇な運命がメイン・テーマのはずなのに、いろいろなテーマを盛り込みすぎたため、今ひとつバラカに焦点が合わない感もある。 しかし本書は650頁の大作であり、評者はそれをほぼノンストップで読み切ることができた。次々に事件が起きストーリーが展開していき、登場人物のダークな側面が露呈していく過程がサスペンスフルだったからだ。 このことは本書がエンターテインメント小説としては第一級であることを示している。著者の桐野氏はそのような評価のされ方を好まないだろうが。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!