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バラカ
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バラカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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沙羅と優子の話がすすむなかでロザとパウロの物語、そして子どもが売られて沙羅がつれてかえる。悪魔のような男、そして震災。物語がほかの桐野さんの作品ほど密接に噛み合ってない印象でした。いろいろと見込みすぎ、だと思います。 | ||||
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桐野先生の本は大好きでほとんど読破していますが、これだけは合わなかった・・・ 何とも言えない気分になります。 初めて棄てようかなと思った本です。 | ||||
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あまりにも子供受けた傷が深く、読み手にも堪える作品でした。私には合わなかった。 リアルに感情が伝わってくる分、読後なかなか立ち直れなかったです。早く手放したい。 | ||||
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上巻は面白かった。胸糞悪い人間の描写が上手すぎる。下巻どうした? 複雑で情報量が多い話が作者都合でおしまいにされた感じ。「原爆」「宗教」「人身売買」、面白いテーマだったのに、物語として後半の展開がまったくまとめられていない、納得がいかない。途中まで面白かったのに全く上手くない終わり方に本当にモヤモヤする。 | ||||
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アウト、柔らかな頬、グロテクス、と読んでこの作品。この三作に比べて内容はペラペラ。東北の大震災という重い題材をよくもここまで軽く書いたなーと逆に感心してしまう。実際の震災でも十分悲劇なのに、原発が核爆発を起こし首都が大阪になるという設定にも全く必要性を感じない。ヒロインのバラカをめぐる陰謀もリアリティがないし、偶然が重なる中盤以降はなんともめでたいお花畑状態。心理描写が濃厚で人物描写が緻密な、あの桐野は一体どこへ行ったのか。 | ||||
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桐野夏生を好きな人は篠田節子もきっと好きだと思う、 自分がそうだからという訳ではなく実際に両著者の作品のレビュー投稿者は被っている事が多い。 因みに、この本は読んでるとどっちだったか?となり、カバーを思わず見直してしまうような作風です。 テーマも似ている。 違うのは、篠田さんなら一度出した超常現象を引っ込めたり放置したりはしない。出した以上は最後で徹底的に収束する。 そこが大きく違うと思った。 | ||||
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ばかばかしいにまほどかある作品です。人の命をなんだと想っているのか。テーマもなんだかむちゃくちゃ。子どもの人身売買と震災の大惨事と なんでくっつけるのか、作者の意図が解りません。 | ||||
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バラカをあれだけ捜し求めた父の最期の行動意味不明。 バラカの義父の死にざまが意味不明。 バラカたちを付狙うグループの存在が意味不明。 何が言いたいのか私には理解不能でした。 まともだったのは「じいさん決死隊」と同級生の親子くらいでしょうか。 | ||||
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桐野作品のドロドロした雰囲気が好きなので借りて読みました。 前半の四十代女性の恋愛観と児童売買の話は桐野らしくてよかった。 しかし、中-後半の原発の話は完全に蛇足だと思う。 原発の話は無理やりくっつけた感があり、後半に連発する現実味も乏しいご都合主義の展開には呆れた。 何よりバラカ、健をはじめとする登場人物像がこれまでの桐野作品に出てくるそれとあまりにかけ離れていて 気持ち悪さすら覚えた。 中高生が読む冒険譚の主人公とヒロインといった感じか。 特に健は大した掘り下げもなく行動理念もよく分からない。 読んでいて「気持ち悪いからもう出てくるな」と何度も思った。 あれだけ全体を通して強烈な印象を残した悪魔川島も大した理由の描写もなく 自殺してしまい拍子抜けだった。 原発は原発、児童売買は児童売買別々で書くべきだった。 テンポよく読める点は良いと思う。 | ||||
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原爆後のディストピアを描くのが本当にいい発想だと思うのに。 原爆も書きたい、ジェンダーも書きたい、海外幼児売買も書きたい、人間の黒い面や空虚な面も書きたい、結局何も十分に描けなかったって感じ。 | ||||
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40代のキャリアウーマン(死語)2人が、かつて関係を持った川島との 腐れ縁がきっかけで急速に転落していく前半は、登場人物のほぼ全員が 厭らしい人間で感情移入できないとはいえ、この作者らしい露悪的な 筆致が功を奏してと言うべきか、それなりに面白く読むことができた。 (☆☆以下、物語の核心部分が書いてあるので、未読の方は注意☆☆) しかし、震災後の日本を誇張して描いた後半が、いかにも薄っぺらだ。 作者は何とか物語を動かそうと、一種の象徴的な存在と化したバラカが、 反原発派と推進派の間で奪い合いの対象になる、という展開に持ち込んで いるが、ツイートが拡散された程度で見つかるような場所に安住できる はずもないのに、警官等ではなくサクラがあっさりとバラカを連れ去って しまうという展開は、やや安易に過ぎると言うべきだろう。(バラカに 勝手に聖性を投影する健太と康太も、実はけっこう気持ち悪い人物だ。) その後、川島の手に落ちたバラカは、福島で半軟禁生活を送ることになり、 そこからいかに脱出するかが焦点になるのだが、震災時は葬儀屋だったはずの 川島が、いかなる過程を経て政府の仕事を請け負うようになったかの説明は 全くないままだし、このあたりになると、何がどうなればこの物語に決着が 付くのかが、作者自身にも見えなくなってしまった感があって、読み続ける 意欲を掻き立てるのにいささか苦労させられた。 本来はパウロが失った子供を探す物語であり、悪魔の如き人物として描かれる 川島が、一種の狂言回しのような存在として絡んでくるわけだが、たまたま この二人が隣人になるという、これまた都合の良過ぎる展開が導入されたかと 思うと、川島はとくに何の説明もなく唐突に自殺してしまうし(ここには一番 ガッカリさせられた)、結末に至ってもパウロがバラカと再会することはない。 一応は着地点が必要だからという感じで、短いエピローグがつけ加えられては いるが、あれほど厳しく反原発の活動家を弾圧していたはずの政権はあっさり 交代し、「ほんの少し民主的になった」と書かれるだけで、バラカたちの闘い とはいったい何だったのか、という気持ちが落ち着く先もない。 本来は力がある作者だけに残念だが、震災の過酷な現実には文学の想像力も とうてい及ばないという悪しき先例が、また一つ積み重ねられてしまったと 言うべきだろうか。 | ||||
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福島に暮らす者ですが、 前半のベビースークと子どもを欲しがるキャリア女性、の下りは 面白かったです。 でも、突然、震災になって、都合良く?キャリア女性だけが 津波で死んだり、川島のこれでもかという悪人ぶりを描くのかと思いきや、 なんだか、誰もが死んで、一体、何を描きたいのか不明。 誰もが悪人ということか? 豊田さんや健太のしていたことは何? 誰が、何が敵だったの? 色々不明で、唐突なエピローグ、海外ドラマの24みたい。 そして、いきなりの最終話って感じでした。 それと、こうなったかもしれない世界を描いたのでしょうが、 不愉快きわまりないですね、福島にいる者としては。 こうなったら面白いと思って描いてるんだろうな。 エンタメなんだし。 自分は安全な所にいるという、傲慢さが描かせている気がします。 描くなと言えないことは承知ですが、 もう筆者の本は読みたくない。 | ||||
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ファンであろうとなかろうと、私は客観的に評価します。 正直言って他の方の評価の高さに驚いています。 ここからネタバレしますよ。 この作品は長期連載にありがちな、途中で視点がころころ変わり、あげく結局収拾がつかなくなった箇所が散見されます。 交通事故死や火事による焼死。主人公の周囲で起こる不可解な事件の首謀者も、結局誰か判らない。おまけに本作最大の悪人が十分な理由もなく自殺(?)してしまう。 主題の壮大さに反して、そして文字数の多さに反して、内容やそれにもまして結末が余りにも薄っぺらい作品で、大きく落胆しました。 この本に2000円はとても出せない。 | ||||
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プロローグで東日本大震災の模様が描かれた時点で、東日本大震災・原発事故を"飯のタネ"とした有象無象の作品群の一つだの予感が走ったが、その悪い予感が当たったしまった愚作。そのプロローグでガレキの中から発見された少女が「バラカ("神の恩寵"の意)」と呟いた所から、少女は「バラカ(ある時点から薔薇香)」と呼ばれ、表題もその通りとなっている。この「バラカ」を中心として、人と人との絆の大切さ・強さを描いた作品かと思いきや、この大部(640頁超)を費やして中身がゼロという呆れ果てた作品である。 「男より子供が欲しい」と嘯いてドバイで乳児を"買う"42歳の独身女性とその親友、その共通の男の知人(元愛人)で「悪霊」スタヴローギンを想起させる悪漢の川島、その乳児の実の父で、乳児探索に命を賭け、ヨシザキという牧師の宗教に(半分)帰依するパウロ、ヨシザキと川島との不思議な因縁と要素は揃えているのに、これらの間の有機的結合が皆無で、作者の意匠・物語構成が発散している。そして、物語の中心は、甲状腺ガンを有した「バラカ」を、原発反対派及び原発推進派双方が<イコン>として争奪戦を繰り広げるというバカバカしいもの。東日本大震災・原発事故の被災者の方に対する鎮魂・悼みの念が全く感じられない。また、作中で、「バラカ」の心情に沿うかの様に、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」を再三引用しているのも"あざとい"。 作中で、ヨシザキが「失敗のサイクル(からの脱却)」という説話を繰り返す(例えば、パウロの「失敗のサイクル」は「飲酒→暴力」)が、作者の「失敗のサイクル」は「テーマがないのに執筆し続けなければならない職業的作家の宿命」だという風な詰まらない感想しか覚えなかった。 | ||||
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好きな作家だったのに、こうも続くと残念としか言えない。 これまでのレビューで指摘されていることに賛成である。 私が読んだバージョンは、作者の後書きがなかったので、「執筆中に震災が起きて追加変更された部分がある」から咀嚼できていないという言い訳を読まなくてよかったと思う。 すべての登場人物が不自然すぎた。 色々と個性的な人物が出てきて、その背景や人物描写が濃い割には、その後の物語に貢献しておらず、何度も肩透かしをくらう。 致命的なのは、バラカが好きになれなかったこと。 主体を塗り残していくネガティブペイントという手法でくりぬかれたような存在で、それはそれで貫き通してほしかったが、中途半端に表に出てきた。 なぜ彼女が皆に奉られるのか、その魅力がぜんぜん伝わってこなかった。 私がすべてのドラマに要求するのは、それを伝えるのはセリフではなく、エピソードであってほしいということだ。 | ||||
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全くダメ。ストーリー展開も三流。 原発事故を取り上げ、社会派小説にしたかったのかもしれないが、調査不十分な面が逆に質を落としている。 | ||||
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3.11の現実と、原発事故はより深刻さを増した仮想を描き、震災小説を世に出された勇断は高く評価したい。 主人公バラカを取り巻く展開は面白く、次のページを早くめくりたくなったのは事実。 しかし、終盤、あと数ページを残すのみになっても、父娘が再会する流れは期待できず、もしかしたら続編へ続く・・・ってこと?と心配した程で、でも、エピローグにその後の説明(描写というより敢えて)があり、物語は完結した。 震災、原発事故の物語も重要ならば、父娘の再会もそうであって欲しかった。なのに、終盤たった2、3行で父娘のその後を説明したのみで終わる。とうとう再会は叶わなかったどころか、電話で話しもせず、SNSでちょっと交わしただけの、ほんの知人程度の扱いである。これには驚いた。その後の薔薇香にはおじいちゃんが、まさしく父親代わりの存在であり、実父パウロは薔薇香が生きていく上で必要はないのかもしれない。でも父親の方の想いはどうなる?また、冒頭からのパウロのこれまでの人生描写は何だったのか。あまりにも放り投げた感が否めない。さらに、その後のパウロの行動も理解しがたい。いくら日本で指名手配されているからといって、死んだと思っていた娘が生きていて見つかったとなれば、第三国でもどこでも会おうとするはずだし、再婚して音信不通って・・・、最後の最後でキャラが変わってしまったようで残念だった。これなら、続編でもいいから薔薇香が40代になるまでを丁寧に描いてもらった方がよかった。 川島が数年間で富を得たというのは、資産2億円という遺産相続からか、と想像したのだが、屋敷は売らずにそこに住んでいるという、ならば葬儀屋から転職し、広告代理店の社長になったことと関係があるにしても、その経緯はほとんど語られることはなかった。 川島が自殺した動機も今ひとつ説得力に欠けるし、それまでの悪魔的な存在が、なんともあっけなく、やすらかにとも言える最期で死んでしまった。まったく盛り上がりもなく終わった感じである。 もし、川島が自殺ではなく、パウロと交戦して死んだとかなら、まだ起承転結の「転」が描けたのではないだろうか? 薔薇香を苦しめる敵が、何で誰でだったのか、姿が見えなさ過ぎでイライラし、結局何も描かれ仕舞いだった。 サクラやムラタ、そして川島が「悪」なら、読者がスカッとするそれなりの結末を期待する。(少なくとも「水戸黄門」や「必殺」で育った私は)しかし、それらは全然解消することなく消化不良のまま残っている。そして、この物語は善人も悪人もいとも簡単に死ぬ。 それから、原発事故の描写があまりにもあっけなくて期待外れだった。いや、なにも世紀末的な惨劇を期待していたのではない、もっと科学的かつ、その後の被災地の様子を詳しく描いた作品を期待していたのは私だけだろうか。 | ||||
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「バラカ探し」に「震災」を強引に詰め込んだ感じが否めない。 ひとつだけでも充分成り立つ物語なのに、なんだか散漫。 他のレビューにもあったので調べてみると、「ドバイという人工楽園を舞台にした父と娘の物語」という構想で小説すばるに連載予定だったが、その打ち合わせ最中に 東日本大震災が発生。 連載開始を延期して物語に大震災を盛り込んだとのこと。 別に盛り込むこと自体は悪くは無い。 しかし、それによって散漫になってしまっている上に、無理に詰め込んだ震災後のストーリーに難あり。 反原発派が投獄、抹殺されていくってそんな・・・ もちろん反原発派を抑え込みたい人達はどんな状況でも存在するはずだが、物語の設定は現実の数十倍規模の放射能漏れ。 関東には住めなくなって関西に遷都しているわけだから国民の数分の一は被災者の筈なのに、 それをないがしろにしてオリンピックにまい進する政権? 国会前で大規模な反原発集会が続いたのは記憶に新しいが、仮にその中の一人でも国家から暴力を受けようものなら途轍もない暴挙として歴史に残った筈。 物語では反原発派の都合の悪い人間は投獄、抹殺されていき、報道はプロパガンダで被害に蓋をしようとする。 いったいどこの国の話をしているのか。 そもそも物語の設定通りの被害なら、投獄、抹殺で黙らせることが出来るような数の被災者ではないでしょう。 もちろんフィクションなのだから仮想でいい。 だが仮想の中での整合性は、ある程度成立していないと駄目でしょう。 オリジナリティに富んだ話であることは確かだし、好きな作家だけに残念。 | ||||
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とりわけTVディレクターと出版社勤務の二人の女性描写が、余りにもご都合主義かつ平板。まぁ、TV屋なんかはそれでもいいのかも知れないが(それにしてもドキュメンタリーを製作するにはそれなりの覚悟がいるはずだが、その辺りもいい加減)出版社勤務の女性のフラフラぶりはあまりにもひどい。むろん出版社と一口に言っても、弥生や人文、白水社、みすずや小澤といった一流出版ばかりではないのは分かるが…。それにしても学生時代に妊娠させられ、墓場までその秘密を持って行こうと苦悩しているはずなのに、その原因になるヒール役の男にあっという間に取り込まれ、結婚してしまう。さらに婚姻後に「ねえ、結婚してよかったのかどうか教えて!」と、友人に依拠する。とても主体的に生きているキャリア・ウーマンとは思えない。この辺り、篠田節子さんの「アクアリウム」同様、筆者の同性フォビアを感じてしまうのはぼくだけだろうか。 また、ヒール役の男も「なぜそうなったのか?」がストンと落ちない。たとえば、宮部みゆきさんの「模倣犯」における、緻密かつ細緻なキャラクターの積み重ねと場面描写、その蓄積が最後のカタストロフに至るまで首尾一貫し、巨大なコーダを構築しているのと比べると、やはり相当物足りなさが残る。また、北野慶さんの「亡国記」同様に重要なテーマを軸にしながら、それが活きていない憾みを拭えない。「このシチュエーションだからこそ本作が生まれたんだ」という説得力が希薄と言わざるを得ない。力のある作家さんであるが故に残念だ。「模倣犯」のように、ハード・カヴァー二分冊の大分なヴォリュームでありながら希薄な部分がなく、かつ、圧倒するゴシック的構造感と深さ、余韻の長さを備えた、思わず唸る「ロマン・ノワール」を、次作に期待したい。 | ||||
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題材は、グンマ県のブラジリアンタウン、ドバイの赤ちゃん市場、福島第一原発の四基全部の爆発、東日本の汚染、大阪遷都と大阪オリンピックと、現実を少しずつ変えて派手に並べるのですが、読者の想像の上を行くものは何もない。とにかく無意味に長い。描写は手荒で、四、五歳の少女の思考を追う文章に、「なかろう」等の文章があるかと思うと、小六の男児が「古風だ」と言ったりする。また、登場人物は、老若男女が皆、何かあると「肩を竦め」る。 東京オリンピックで浮かれている日本人が、こんな本を読むわけはないし、関東まで広がる汚染の実態を気にしている人たちにとっては、既知の事柄以上の何も書かれていない。せめて、福島第一原発の水蒸気爆発がニュースで取り上げられたが、実際には福島第二の方が、事故は甚大だった、けれどもそれは、政府によって伏せられて報道管制が敷かれていた、という設定で話が進めば、もっとふくらみが作れただろう。それをしなかったのは、「福島第一」を固有名詞と見なしている人たちを、読者に想定しているからだと思われる。「第一」と「第二」の違いを、説明しないと分からない人たち。それはつまり、日本の汚染の実態を知らない、海外の人たち。 というわけで、おそらくこれは、英訳を前提に書かれた小説だと思います。アメリカ人なら、「肩を竦め」ることに違和感を抱かないだろうし。もしそうなら、日本人には読む価値がないという結論になり、星は二つまでしかつけられません。 | ||||
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