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宇宙の戦士



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宇宙の戦士の評価: 4.20/5点 レビュー 70件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全70件 41~60 3/4ページ
No.30:
(4pt)

やっぱり古さは否めないよ

やっぱり古い。

巻末の暴力礼賛やファシズムじゃあないかという批判と、そいつは頭悪いとぜいう再批判のやり取りなんかを見ると、その思いはますますだ。多分、今日的な目で、この本を読めば、政治的には「懐古的なアメリカ保守主義」であり、軍事思想や暴力に関しての考察は「クラウゼヴィッツそのもの」という評価にしかならないよなあ…………。ただまあ、その結論に至るには、一応、アメリカの政治史や政治思想史を考察した経験と、クラウゼヴィッツの戦争論を含むいくつかの軍事思想書の読書経験が必要だと思うけど。ともあれ、この本を暴力礼賛だの、ファシズムだのと批判したら、ヒトラーやムッソリーニやスターリンが、地獄で腹抱えて大笑いするぜwww

SF的要素として出てくるエクソスケルトン型の強化服も、そりゃ、モビルスーツの起源にはなったのかもしれないが、それ自体に新味は感じない。クモ共だって、「エイリアン」や「旧神」たちの方がよっぽど理解不可能で異星生物っぽい……。

問題人物の出てこないSF版「フルメタルジャケット」だな。そう思うと違和感のない作品。映画「スターシップ・トゥルーパーズ」が換骨奪胎であんな風になっちゃったのは、そういう古さ故なんだよな。それにプラス、戦闘シーンが少なすぎだ、訓練と「歴史と道徳」の授業ばっかじゃねえか……みたいなwwww

ともあれ、非常にレトロな作品。この作品が世に出て論争的であり得たのは、まさに世相のおかげだったのだと思いっきり思える。そして、日本における「ファシズム」呼ばわりも、まさにアメリカ政治への無知、軍事に対する音痴状況、そして何より、1970年代の日本の文化人や若い世代左傾化傾向に求めることができるのだと思うよね。

うん、でもあれね。戦争を兵士として経験した矢野さんの後書きには、やっぱり重みを感じちゃうよ。戦争や軍隊というものの是非とは関係なく、動乱の時代を若くして通り抜けた人の言葉は、やっぱり説得力が違う。

もしかすると、1970年代の日本を理解し、戦前・戦中派の人間の思考を理解するための本かもしれないね。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.29:
(3pt)

どうやって戦士マインドができあがっていくか

SF小説を読んだことがなかったので、読んでみるか、と軽い気持ちでこの本を手にしました。
SFはSFだけど、実態はアメリカの少年が心も体も一人前の機動歩兵になっていく姿を描いた物語。中身にびっくり。
それよりびっくりしたのが、投書を引用した、あとがきでの論争でした。
戦争が日常とは掛け離れている日本にいるから、平和な状態に何の疑問も感じないけれど、
この地球上では紛争が絶えず、何百万、何千万という子供たちが、生まれたときから兵士として教育されている。今この瞬間に、戦争で沢山の人が死んでいる。
この小説で描かれているような状況が、自分の回りにもいつ起こるかわからない。
そんなことを感じました。
生まれてから徴兵されることもなく、戦争から離れて生きている日本の若い世代にとっては、一読の価値はあると思います。

「しつけをするには手を上げることが必要だし、効果的だ。過去の人間の歴史では、暴力が結局のところ物事を解決してきた。我が身を祖国のために捧げることこそが美徳…。」
わかりやすい筆者のメッセージは、たくさんの議論を生んだようですが、
ふるさとへのノスタルジーを自分の戦艦に感じている描写は、共感できるところがありました。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.28:
(4pt)

もはや古典ではあるが、その価値はゆるぎません

巻末の訳者後記を読むと、1959年当時の日本人の反戦ヒステリー度合いが想像以上だったことがよく分かります。敗戦して20年足らず、アメリカからの思想教育を徹底的にたたき込まれ、過剰に順応してしまう日本人の姿に、やや哀れさを感じてしまいます。それだけ太平洋戦争で完膚なきまでに打ちのめされたことがよほどのトラウマだったのでしょう。2010年現在、分別ある大人が読めば、戦争賛美云々は取るに足らないディテールであることは同意していただけるでしょう。

 読み手の年齢により受け取るテーマが異なる作品は老若男女が楽しめる名作と言えますが、本書のすばらしい点は読む時代も選ばないという点ではないでしょうか。私は40歳を過ぎてはじめて本書を読みましたが、さまざまな後年のネタ元になったというだけでなく、得るものがありました。私の場合は恩師デュボア先生との禅問答的な授業と軍隊における組織論でした。

 授業の中でマルクス論に触れるところがあるのですが、「資本論」を何十年か前に頭に詰め込んだ世代の方には暴論、稚拙と冷ややかな反応でしたが、リーマンショック後の今本書を読むと「市場価値」は絵空事だ、と言い切るデュボア先生が今の経済状況を予言して見事に言い当てていることに驚嘆してしまいます。(実際金融工学による市場価値は一夜にして絵空事になってしまいました)また、入隊後は軍隊の組織構造について多くのページが割かれていますが、その中で組織の中での仕官(マネージャー)の必要数についても言及されています。出典は定かではありませんが、必要な任務を満たすための仕官の比率は5%という記述があります。過去における多くの軍隊は総数の10〜20%が士官として配属されていた軍隊は負けるために組織された軍隊みたいなものだという論理は、そのまま現代の赤字に苦しむ日本の大企業に当てはまり、組織とマネージャーと知的労働者の比率に共通するのではと思いました。

 とにもかくにも時代を超えた快作であることは間違いありません。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.27:
(5pt)

突き抜けたSFウォーノベル

パワードスーツがミリタリーロボットアニメの先駆となった古典的名作。
同時にファシズム的な問題作と言われますが、さほどではないです。
作中のマッチョな軍国主義社会は、ネタとして楽しく読めますが、同時に、ハインラインらしい一面の説得力も持っています。
そして、ネタを本気でとらえてみると、確かに深いのです。
間違いなく必読のSF作品です。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.26:
(4pt)

記憶に残る作品

文庫巻末の本作品についての多方面からの評価は興味深かった。ハインラインの主義主張がファシズムを想起させるとの論調から、SFとしての是非を問うているあたりは、当時(1969年当時)の社会情勢を偲ばせる。

40年たった現代では、ハインラインの帝国主義、教条主義云々より、暴力が平和維持には不可欠であるという設定=世界観の中でのビルディングスストーリとして、肩の力をぬいて読むことができるのだと思う。映画化された『スターシップ・トゥルーパズ』は、その点が、パロディとして、より強調されている印象を受けた。

映画のような派手さや痛快さはないけれど、「権利」と「義務」等、現代にも通じる思想の断片が記憶に残る作品ではあると思う。異星人との戦いをとおしての成長物語としては、オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』の方が、個人的には好みではあるのだが。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.25:
(4pt)

最初に映画を見て読むのがいいだろう

私が古書店で手に入れた98年版の表紙は映画「スターシップトゥルーパーズ」から採用されていたので(題字も「スターシップトゥルーパーズ」の方が「宇宙の戦士」より大きい)まず映画から見た。そしてその後に本を読んだのだが両方面白かった。

本の中では巨大グモと戦うシーンはほとんどなく、あっても具体的な描写がないので淡々とストーリーが進んでいくが、映画では兵士はパワード・スーツを着用しておらず、血しぶきが飛びかうリアリティー重視の映像となっている。映画は細かいところは原作と違えてあるが、大まかな筋は抑えてあって大きく外れてはいない。

本は戦闘シーンが冒頭と最後のみでそのほとんどが主人公の軍隊生活であり、動機がどうあれひょんなことから軍隊に入隊し、一人前の下士官、そして将校へと成長していく話である。徴兵ではなく志願兵であるために、軍隊に残る動機付けにはかなりの枚数を要している。

冷戦時代に書かれた文末の訳者後記は、今の世では逆に違和感を感じる。読み飛ばしていい。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.24:
(3pt)

気負わずに名作を楽しみましょう。

何の予備知識もないまま読み始めましたが、満足できました。
異性人vs地球人の戦闘がメインのエンターテイメントと勘違いしていましたが。
優秀なレビューがたくさんあるようですので、あえて初心者目線で書きたいと思いますが、
戦闘もそこそこあり、強化スーツを身に付け破壊しまくるカタストロフィと、軍隊の中に
おける主人公の成長物語とで、十分楽しめます。
軍隊の厳しい戒律と運営の手法については、現実社会における管理職の研修テキストに
なりそうなほど、良く考えられ良く書き込まれています。
思想的な主張が強いことで賛否あるようですが、あまり構えて読まなくても良いと思います。
難解ではないですから、深く考えずとも、単純に楽しめるでしょう。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.23:
(4pt)

納得しました

僕は映画スターシップトゥルーパーズの大ファンです。先日この原作を読みましたが、凄く面白かった。
冒頭でいきなりラズチャック隊長がすでに死んでいたことにはビックリしました!

映画に登場した名前がそこかしこに出てきてニヤリとさせられます。が、映画のように青春してなくて淡白に描かれています。
カルメンなんか丸坊主ですし。

ズィム軍曹の描写は映画とかなり似ていると思います より熱く、男らしい!

敵であるバグですがクモ野郎と呼ばれていて、見た目もまんまクモですし、何か武装してるみたいで、映画のように野蛮極まりない感じではないと思います。映画の方がかっこいいですけどね

戦闘はちょっと分かりにくい感じがしましたが、ここは勢いで読みましょう!

映画版のファンで本が嫌いでなければ、間違いなくお勧めします

最後に「暴力は何も解決しないというのは希望的観測でしかなく、それを忘れた者は手痛いしっぺ返しを喰う」というセリフが素晴らしいと思いました
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.22:
(4pt)

「権利」と「義務」、「権利」と「責任」

「ファシズム」論議はさておき、このハインラインの作品は、SF小説と言う形式を取りながら、「権利」に対する「義務」や「責任」の問題を取り上げているのだと思います。
民主主義が謳歌される中で、様々な「権利」が叫ばれ、そこから引き起こされる様々な問題も起きています。
でも、これは民主主義の性でしょうか?
本来、「権利」には「義務」や「責任」がついてくるものです。そこがしっかり果たされないから、こうした問題が起こってくるのだと言うことでしょう。
そこから、「ファシズム」議論に一足飛びに行ってしまうのは、どうなのかなと思います。

ハインラインのこの作品はSF小説なのですが、ジョニー個人を徹底的に描いています。
クモとの宇宙での戦いも出てきますが、それはあくまで背景にしか過ぎません。
新兵の訓練の様子や、士官学校の様子、上司との関係などが、500ページの大半を占めます。
それだけ、ジョニーという一人の人間を通して、「権利」と「義務」、「権利」と「責任」の関係を描きたかったのだろうと思います。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.21:
(5pt)

ハイスクールの時に「数学が出来なかった」連中は...。

アヒルのようにトコトコ歩く「機動歩兵部隊」へ配属。
一方、ハイスクールの時に「数学が出来た」連中は、
高卒後、宇宙戦艦のパイロット候補生として訓練を受け、
階級は「准尉」。宇宙艦のブリッジに配属されて
規定の「航行時間」をこなせば、直ぐに「少尉」殿。

機動歩兵に回された主人公は、「叩き上げ」コースを
歩んで、鬼軍曹に扱かれ捲くって漸く、本作のラスト辺りで
オフィサーに為る。

79年版『ガンダム』では、決定的に「欠落」していたのが、
此方で描かれていた「能力格差に基づく格差社会的な状況」。
勿論、高校の数学の成績に、男女差なんぞは関係無い。
其の意味では、本作でジェンダー論を語るのは、「愚の骨頂」とは
言わないまでも、豪い「時代錯誤」である。男女雇用機会均等法以前の
4半世紀近い、大昔のノスタルジックな話に耽り過ぎ。
例えば、「数学の出来ない女子高生」は、鉄のゴリラの着ぐるみに
入って、惑星周回軌道上から地表へと降下して、地上戦を戦う。
対するに「数学の出来る男子高校生」は、鋼鐵の装甲に護られた
室温華氏70度前後の、空調の完璧に効いた宇宙艦のブリッジで、
モニターとキーボードに囲まれたコンソールに向かって座り、
宇宙艦のオペレイションの仕事をする。
男か女か等、全く関係が無い。其れこそ、「適材適所」って奴である。

おっと、ジェンダー論方面に、話が逸れちまった。
「格差」の話に戻して見るか...。

・・・尤も『79ガンダム』の「ミハル」のエピソードでは、若干
其の辺の「格差社会的状況」を匂わせては居たが、純粋に
「能力格差」の問題では無かった。

当時の中学生や高校生は、『ガンダム』繋がりで本作を読んでいたかも
知れないが、「戦争賛美か反戦か」とか、「メカフェチの俺としては」とか
其ればっかりで、この部分を読み落としていたかも知れない。

因みに、本作には、マルクス主義に言及されて居る部分がある。
「能力格差」は「格差社会」を生み、「格差」が固定化されて、
「社会階級間の闘争」へ。
しかし、地球人以外の敵が現れた場合は、「幸いにも」、
或いは「不幸にも」、或いは、その中間かも知れないが、
人類同士で「階級闘争」なんぞ、悠長な事を遣っている場合じゃない。
ハインラインは、その辺りは、当然、判り切っていた様だ。
要するに、「暴力論」自体は正しいが、暴力の向かう
其のヴェクトルが、問題だと言う事らしい。ハインラインに拠れば。
但し、「労働価値説の誤謬を暴く」辺りでは、結構、
滅茶苦茶な「暴論」、いや、横田順也級を遥かに凌ぐ
「超」ハチャメチャな「超弩級暴論」が展開されているのだが、
このSFは、基本的には、エンターテインメントだからねえ。

所で、オーケストラ指揮者のI氏がメルボルンか
何処かの、フィルで、楽団員全員と猛練習を
していた時、オーケストラのメンバーに
こんな事を言っていたそうだ。

「君達は、日本人の僕に『駄目だ、駄目だ、
そんな風じゃ』と、散々言われて、もういい加減
頭に来ているかも知れないし、僕自身も
ウンザリしているけれど。いいかい。
僕も君達も、高校の時に『数学が出来なかったから』
今、此処に、こうして居るんだからね。」

おっと、また、話が逸れちまったぜ。

大学1年生の頃、思い描いていた『ガンダム』的未来世界と
現実の21世紀の乖離。寧ろ、「格差社会の切り口」では、
現実は、ハインラインの本作に近くなってしまっている感がある。

イラク戦争の時に、戦場で戦っていた地上部隊の歩兵もアメリカ人ならば、
其れと、全く同時期、2003年の春に、ヤンキース・スタディアムへ行って、
松井の大活躍に、「ゴジラ!ゴジラ!」と大喜びしていたのも、
「同じ」アメリカ人だった。・・・厳密には「能力格差」では無い。
そうして見ると、ハインラインは、結構「フェア」な奴だな。・・・
勿論、「両方とも」選挙権・参政権は有る。
少なくとも、2003年の時点ではそうだった。
将来は、どうなるかは、判らない。

また、金持ちが「選挙権なんか要らねえよ。
その代わり、税金も払わん。」とばかり、
PTに為ってしまうのは、もう、リコの
親父の世代が、現実に現れているのかも知れん。

補足。
キヨサキの言う「学校での頭の良さ」と「世間での頭の良さ」についても
本作は、当て嵌まるかも知れん。数学が出来て、高卒で軍のオフィサーに
為ってしまった者が、前者。リコの父親の様に、「金持ち」に為る事を
人生の目標として、参政権には、特に拘らない生き方をする者が後者。
ハインラインが「フェア」と思われるのは、どちらの生き方を「選択」
するかは、個人の「自由意志」に委ねられているという辺り。
其の意味では、「学校での頭の良さ」を持つ人間を必要とする
「社会システム」を前提に描かれた作品世界である。良く考えたら、
スプートニク・ショック直後に書かれた作品なので、旧ソ連の
理科系教育に対する、アメリカ側の劣等感の様なものも、垣間見える。
日本だと、高校の理数科が出来始めた頃と、時代背景的には
同じ様なもの。しかし、冷戦に勝ってしまった、90年代以降は
リコの親父の様な生き方が、「脚光を浴びる」様に為った、と言うか
クローズ・アップされた感がある。45年以上前の作品だから、
「今昔の感」と言った所だ。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.20:
(5pt)

困難を乗り越えて、成長する主人公

自己プロフィールに、組織論に興味があると書いているの
で、そちらの視点からレビューします。他のレビューアの
方とは、かなり違う内容になると思います。
もちろん、SF小説としても大好きなんですけど。。。
 
初めて、読んだのは高校生の頃でした。
中学生の時に初代ガンダムがTV放映されて、パワードス
ーツがモビルスーツ(ガンダム)の元ネタだと、設定資料
で書かれていたからですが。。。。
初代ガンダムも、アニメにしては、ドラマ性と人物描写と
世界観と社会性メッセージを、持つと高評価されてました。
主人公(アムロ・レイ)を等身大の人間とし、その人格的
成長が特徴的です。アニメが、幼児・小学生向けから、中
高生・若者向けになった歴史点だと思います。
「宇宙の戦士」のほうは、主人公のリコが一人前の戦士に
成長すること(いわゆる、男になること)を描いていま
す。(リコの一人称で)軍隊組織の説明やら、パワードスー
ツの技術的説明やら、訓練の様子やらが描写されるのです
が、作品世界に奥行きを持たせる為でしょう。
“一人前の戦士”への成長を賞賛すると軍国主義だと批
判されるかもしれませんが、“強い男”になる成長物語
で、舞台設定を軍隊にしただけだと思います。もう少し
平和的な職業(例えば、警察官や消防士)だったら、作
品内の緊張感が無くなるでしょうし。「新人は困難な
仕事を乗り越えて、ようやく一人前になれる。」という
ことは、もっと平和的な(危険の伴わない)一般企業で
も同じです。
 
さて・・・
 リコが入隊した理由は、女の子にもてたいから。
   (地球を守るという使命感からではない。)
 ちなみに、新入社員が会社(業界・職種)を選ぶ基
 準は、とりあず給料の額か?
   (その職業・職種への誇り・使命感を、持ってい
    るわけではない?)
 
そんなリコが、一人前の戦士になれたのは、訓練漬けの
日々のおかげだと思います。
語弊があるかもしれませんが、スパルタ式教育を受けな
ければ、一人前になれない場合もある。「やさしい」
と「甘やかす・過保護」は違う。
そんなことに、気が付かせてくれる作品です。
やさしくて厳しいズイム軍曹も、やぱり、男ですねえ。
 
追伸
   男女雇均法の趣旨・ジュンダー(社会的な性差)押
  付の問題に照らして、“男は強くなくてはならない”
  という全時代的なレビューになっていますが、言葉の
  アヤということで、ご理解下さい。『一人前の戦士』
  イコール『一人前の社会人(職業人);男女問わず』
  ということです。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.19:
(2pt)

人類は幾多の戦争で何を学んだのか

「夏への扉」のあの心優しいハインラインはどこへ行ったのか。この本の書評は客観的には書けない。"力の哲学"を真っ正直に説いた本書に、小生はまったく同意できない。人類は幾多の戦争で何を学んだのか。例え、本書にあるように人類の滅亡がかかった異星人との戦いであってもである。アメリカ人による自己主義的な、パックスアメリカーナの聖典と捕らえて失笑に伏すことも許したくない。あるたわいも無いTV番組で日本の武士道について議論をされていた時に、ある俳優がいった言葉を思い出す。「日本の文化は武士道では生まれないし生まれてこなかった。日本の文化は商人の文化であり、農民の文化である。」小生は、この言葉の中の「日本」を人類に置き換えた上で、この言葉に同意する。科学技術の急激な発展が戦争によってもたらされた事実はあるけれど、それは本来の姿ではない。人類がこれまで発展してきた文化は、決して戦いの中で育ってきたものではない。戦いから学んだ人類が商人や農民の文化をより発展させることを、小生は望む。決して"力の哲学"なんかに負けてはならない。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.18:
(3pt)

ある意味ジェンダーSFとしても読める

戦争賛美SFとして物議を醸したが、

ハインラインは古臭い保守反動主義者ではない。

女尊男卑の思想が流れているのは、前衛的。

宇宙の戦士というタイトルだが、 知的レベルの低い男は宇宙船のパイロットに成れずに、

歩兵になるしか愛国心を発揮する場所がないのだ。

強化服を着た機動歩兵が、宇宙人と戦う物語だが、

核バズーカは四発しかなく、

宇宙人との肉弾戦は、筋力を増強する強化服で行うので、

腕力しか取り柄のない男が歩兵になるのだ。

宇宙船のパイロットは知的な女性ばかりだが、

軍人なので女性も丸刈りなのがかっちょええ!

硬派な戦争SFである。

美しい女性は何もしなくても守られるべきだという視点がないので、

ある意味ジェンダーSFとしても読める。

男女平等を訴える女性は、国家が戦争状態になったら、

もちろん丸刈りの志願兵になる覚悟があるんだろうな?
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.17:
(5pt)

軍隊礼賛ではない

ハインラインの出世作。59年ヒューゴー賞受賞。日本では66年に翻訳出版され、ベトナム戦争(60-75年)下の時勢もあり物議をかもした作品。ハインライン自身は「どうしてこの本が(ヒューゴー)賞を取れたのかわからない」と語ったという。

表面的に見ると、軍隊礼賛、暴力肯定の非常にマッチョな思想を語っているように見えるが、実はそうではない。この作品に描かれている「軍隊」はわれわれの世界に存在する現実の軍隊とは違うのである。むしろ作品中では現実の軍隊は否定的に描写されているが、ミリタリーアレルギーの人にはそれが目に入らないようである。

私の理解では、ハインラインがこの作品で言いたいことは、「共同体のために自分を犠牲にすることができる人間だけが、共同体の意思決定を行うべきである」ということである。つまり私利私欲のために共同体を利用しない人間だけに、共同体の意思決定を任せろということ。そのためのしくみとして「軍隊」を持ち出したに過ぎない。

元はジュブナイルとして発表しようとしていたせいかアラも多いが、半世紀近く経っても世界中で読み継がれるだけのことはある名著といえよう。必読。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.16:
(5pt)

《必要悪》について

個人的には、大好きな作品。確かに、賛否両論分かれるところだろうが、個人的には、本書のような《戦闘的エゴイズム》は、生きていくために欠かせない《必要悪》なんだと思う。娯楽小説としても一級品だし、大人になるためには絶対に欠かせない《必要悪》の存在を、大胆に肯定した、ハインラインの最高傑作の一つだと思う。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.15:
(4pt)

かつての少年よ!!

主人公のように綺麗なお嬢さんにカッコつけてとんでもない仕事に就いてしまい、毎日朝から晩まで走らされ、怒鳴られ、いやいややっているうちになんとなく困難を乗り越え、精神的に成長し、組織に染まってしまった。

 そんな人生を送ってしまったかつての少年たちに推薦したい小説です。

 新兵訓練の描写にある余りにストレートな教本そのままのメッセージといい、兵役が身近な国の読者に向けた物なのかな?と思います。

 SF小説ではあるんですが、「毎日耳に蛸ができるくらい聞かされたお題目だなぁ。」などと思い出すような読み方がいいんではと思います。

 その手の会社勤めをしていないと、SF的な考察とか右だ左だという部分に目が行ってしまうかもしれません。私には小説的に余り重要だとは思えませんでした。

 私も私を鍛えてくださった方々に感謝します。それ以外何でもない、そんな小説です。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.14:
(5pt)

SF界の巨匠の残した傑作

異星人との戦争という、SFとしては非常にオーソドックスな設定ですが、今読んでも全然古くないのがすごいですね。

単純にジャンル分けするとSFになるだけで、その実、有名な文学作品と比較しても、その内容には遜色がないです。

また、本書は科学的なフィクションという娯楽的な要素を、きっちり押さえながら、同時にひとりの青年が、様々な苦難を乗り越えながら大人の男になっていく成長の物語でもあります。

作中で主人公が受けるある授業では、価値あるものを手に入れるためには、常に犠牲が必要であり、

価値あることに犠牲を払うことは悲しいことではなく、むしろ誇り高く生きるために必要なことなんだという哲学が語られます。

これは、もう形を変えたハインラインの若者への人生啓蒙書ですね。日本の社会では、色々なタブーがあって仕方ない部分もあるのですが、こういう心の教育をもっと子供にすべきだと思います。

ハインラインはかなり多くの作品を残しましたが、文句なしに代表作品のひとつとしてあげることができると思います。若い人に読んでほしい作品ですね。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.13:
(5pt)

ガンダムの元ネタです

何不自由ない家庭に生まれた甘ったれ坊ちゃんのジュアン=リコが、ひょんなことから地球連邦軍に入隊し、機動歩兵としてクレンダツウ星人との戦争に身を投じていくうちに、「真の男」へと変貌していく様子を描いた「男の小説」。

 ハインラインが未来世界に仮託して、現代の倫理と秩序なきアメリカ社会、人間社会を痛烈に批判した問題作。タカ派・ハインラインの思想が濃厚に出ているにも関わらず、決して押しつけがましくないのは、人間の勇気と誇りが感動的に描かれているからであろう。

 最もSFらしからぬSFとも言える。ちなみに、日本の「機動戦士ガンダム」のモデルでもある。

 1960年、ヒューゴー賞(長篇部門)を受賞。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.12:
(5pt)

読んでみなくちゃ始まらない

もちろんSFとしても読み応えは充分である。

パワードスーツ(強化服)というアイデアは今日、SFではスタンダードになっている。

生み出したのはハインラインだ。

描かれるのは軍国主義に近い(イコールではない)政体の近未来国家。

軍隊組織の礼賛。自由のために流れる血を褒め称える姿勢。

保守的な刑罰論。

日本人がアレルジックになる要素てんこ盛りである。

しかし、作中でデュボアが語る言葉はハインライン自身が若者たちに問いかける言葉であり熱がこもっていて、誠実で、説得力があり、示唆に富んでいる。

ズィム軍曹やフランケル大尉の在り方は組織の中におけるマネジメントの範とも言える部分を多く含んでいる。

ぜひ読んで、ハイラインの熱い問いかけに耳を傾けて欲しい。

つべこべ考えるのはそれからで良いんじゃないかな。

正しい答えなんて無くって、問題は何を選択するかなんだから。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
4150102309
No.11:
(5pt)

繰り返し読める。

今30台半ばの自分の様な「ガンダム世代」にとって
中高生の頃これを読んでないヤツは「モグリ」だった。
「クモ」対人類という構図、パワードスーツ、新兵教育、
そして降下と「ベーコンのフライ音」。
どれも刺激的で面白く、ズイム軍曹のお説教はどうでも良かった。
でも社会に出てそれなりの経験積んでから久しぶりに読んだら
あ~ら不思議、ズイム軍曹達の口を借りた筆者の言葉全てが
重く鋭く突き刺さる。
日本は治安が悪化して殺人事件は日常茶飯事、
DVや少年犯罪は年々凶悪化し
犯罪のリピーターがじゃんじゃん増えている。
しつけのできない間抜けな親が
「死」や「他人の痛み」を理解できない子供達を育てる。
悪い部分までアメリカナイズされてしまっている。
今回読んでから
「日本は全体的に刑罰の底上げした方がいいんじゃないのか?」と思った。
(抑止力にならないヌルい刑罰なんて刑罰じゃないもんね)
「時計仕掛けのオレンジ」とセットでどうぞ。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))Amazon書評・レビュー:宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))より
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