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ザ・ドロップ
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ザ・ドロップの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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「ジョン・ウィック」を繋ぐ小品?映画は「クライムヒート」という酷い邦題で未公開のため見逃すな! | ||||
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この本を若いときだったらわからなくて、あまり良いとは思わなかったと思います 今だから登場人物たちのキャラクター、状態、気持ちがすごく想像でき、どの人も 何らかの消しようのないつらさを抱えているのがわかります。 そして、過去はいろいろあったけど、とにかくこれからでも地道に、誰かといられるだけで 幸せだ、という希望を持って必死に生きている人だけが、何とか生き延びていきます。 生きているうちに大金を掴んでもう一花咲かせたい・・・なんて思っている人は ギャングのパワーに淘汰されていってしまうのです 主人公は誰にも言えない過去があり、やくざともかかわりがあって、なかなかに自由の利かない 生活環境ではありますが、自分の事情をひとにはすべては言えないし、 守りたい飼い犬や心を開ける相手がたった一人でもいるだけで、何とか生きていけそうな気がするのは、 じつは誰にとっても言えることではないでしょうか。そういうところが すごく切なく共感できる、心に寄り添う、刺さる物語です。 ところで、エリックというチンピラ。こういう人が生まれていくのが、 アメリカって大変なことだ、と思います。 銃と麻薬があれば、日本もすぐ同じことになるのかもしれません。 どんなに愛情深く母親が育てても、ワルになってしまう子供はいるとは思いますが、 とにかく、子育ての段階において親、育ててくれる人の真の愛が 子供に注がれることを願ってやみません | ||||
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ボブがその犬を見つけたのはクリスマスの二日後だった。ではじまる「ザ・ドロップ」。 ドロップとは、ギャングが裏社会で手に入れた金を、警察に没収されないように一夜だけ預ける中継場所のこと。ここでは主人公ボブが細々と働くバーが、それである。舞台は「ミスティック・リバー」とおなじボストン、労働者たちの集まる地域、麻薬・殺しは日常の一部だ。 ボブがゴミバケツの中から救い出した大怪我をしている子犬。抱き上げたボブは、手足が不釣り合いに大きい、と感じる。犬好きの読者だったら、大型犬の子犬だ、とピンと来るシーンだ。さらにピットブルという犬種であるとわかる。危険な犬、獰猛な犬、一般の飼い主の手にはあまる「闘犬」である。ここでもう、ドキドキしてしまう。この犬を返せ、と執拗に迫る男が現れる。 ボブは並ではない手間をかけて傷を治し育てているが、この犬にはマイクロチップが埋め込まれていて、その記録には、返せ、と迫る男の名が入っていた。ボブはこの犬をロッコと名付けた。この名の由来には、深い意味が込められている。ボブとロッコは切り離せない存在になったのだということが、キリスト教世界の人は瞬時に悟るだろう。ストーリーとは関係がないが、このあたりの読み取りが本作品を輝く存在へ導く。 犬の成長としぐさの描写は、なにげなさのなかに、しびれるような優しさ、細やかさがあり、ボブの、息もできないほどの愛が溢れる。この犬を通して、この人間社会を読んでくれ、というルへインの思いが伝わってくる。 新作なのでストーリーには触れないが、結末の意外さ、面白だが十分提供されている一方、人間根源の部分に目を据えて書くルへインの魅力が、この中編に詰め込まれている。 | ||||
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ボストンの下町で過去を引きずり、ひっそりと生きる男ボブ、ある日偶然ゴミ缶から子犬を 拾ったとき、自分の過去をも巻き込む危険な駆け引きが始まる。 過去を恐れて逃れ、夢も希望も一切捨てて生きる男を描く小説 といえば知る人ぞ知る幻のノワール作家デイヴィッド・グーディスを思い出すだろう。 トリュフォーによって映画化されて有名な「ピアニストを撃て」や、近年映画秘宝 で取り上げられて再評価されてる「狼は天使の匂い」の作家だ。 我々がイメージするアメリカ人に似つかわしくないほど、暗く生きる男たちの悲哀を書かせたら 右に出るものはいない作家のひとりでもある。 よくよく考えると、デニス・ルヘインの作品も、「ミスティック・リバー」や「シャッターアイランド」 もグーディスの作品のように過去や過ち、トラウマから逃れようともがく男たちを主題にしている。 そして、原題「アニマル・レスキュー」、映画化の際は「ザ・ドロップ」として公開された本作も ボストンのうらぶれた街をここぞとばかり舞台にし、登場人物たちは皆揃いも揃って 過去に縛られて生きる人間たちばかり。 おそらく中編小説は作者にとって本邦初になるこの作品だが、持ち味や魅力は 一切狭まらずに、むしろ凝縮されて濃厚な物語に仕上がっている。 日本公開がまだ未定らしいが、映画版も充分期待できる作品だとおもう。 | ||||
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さすがに”巨匠”と呼ばれる作家のクライム・サスペンス物には重厚な緊張感ミチミチで読ませるわー ただ、ナディアとロムジーといった女性の扱いが、なんとなく中途半端な気がするが、中編小説ゆえ しかたないかーそう考えると、本作はやっぱり長編にして、さらに書き込まれた其々の登場人物の 物語を読みたかった気もするが~ ところで、185ページで1400円!高いとは思うが、海外翻訳ものの売れ行き減少し、海外物自体の日本展開が 激減著しい昨今の日本の現状では、いたしかたなしか~1万部売れても売り上げは1400万円、版権料、翻訳料 とか考えてゆくと、あまり儲からんなァー私のような海外翻訳ミステリ好きには先行き心配な現状。 | ||||
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主人公のボブは、ギャングの息のかかった場末のバーの従業員として、弱い立場におかれ、なかなか思い通りにいかない人生を過ごしています。 著者の長編前作「夜に生きる」の主人公、ジョー・コグリンは、ギャング組織の階段をまたたくまに、のし上がっていきましたが、本作の主人公・ボブは、それとは対象的です。裏社会の組織とのしがらみをなんとか凌ぎながら、生き抜いていきます。ボブの生活の背景となる場末の街並み、人物群像は、やや暗鬱な雰囲気に包まれています。それゆえ、読み進めるにつれ、この暗い生活から巧く抜け出して欲しい、と、ボブの生き様に、共感を強く覚えます。 そのボブが、仕事場からの帰り道に、ゴミ箱に捨てられ、弱った捨て犬を拾います。あわせて、そのゴミ箱の階上の部屋のナディアと知り合うこととなります。 ボブの今までの孤独な人生に、心を許せる仲間ができたかのように思われたものの、それからまもなく、勤め先のバーが強盗に襲われ、裏社会への上納金を奪われたあげく、その裏社会の一味に、絶対に金を取り返すよう、脅されます。さらには、かつての仲間を殺害したのでは、と、取り沙汰される、街のゴロツキが収監先から釈放されます。 また、ボブの雇い主で従兄の「マーブ」が、本当にボブの味方どうか、怪しい動きをちらつかせ、なんとも不穏な空気を漂わせます。 突如に見舞われた厄災、不遇な状況から、ボブが抜け出せるかどうか。その先の展開には、妙な生易しさ、安易さありません。窮地から抜け出そうとあがくボブと相対し、健気にボブに懐く、ロッコと名付けられた捨て犬の様子と仕草が、不遇に佇むボブの姿、立場を投影しているような、なんともいえない「憂い」と「意地らしさ」滲ませ、本作を味わいを深めています。 作中に散りばめられた、皮肉の効いた言い回しも切れ味抜群です。 「ニューヨークのツインタワーに飛行機が突っ込んだころ流行っていて、タワー崩壊したときには既に流行遅れになっていた」読み出して数ページで、エッジの効いた表現が飛び込んできて、本作の雰囲気に一気に引き込まれました。 | ||||
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