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乱鴉の島
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乱鴉の島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 1~20 1/3ページ
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有栖川有栖の作品は大好き。この作品は、舞台が独特の雰囲気を醸し出す閉ざされた孤島で、主人公の二人が、ある意味、絶体絶命の窮地に置かれた状況で、意外な観点から犯人を炙り出して行くのが面白かった。なにより、島の景観に興味が湧いた。 | ||||
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殺人の犯人より、島に集まる人達の目的が何なのか、の方に興味がわき、それを解き明かす火村と有栖のやりとりが面白かった。 | ||||
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面白い要素 孤島もの クローズドサークル 2人のこども カリスマ経営者の登場 クローン 火村と有栖の掛け合い | ||||
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率直に言って話が面白くない。タイトルから凝った舞台設定、複雑な背景や人間関係を期待したが、ページ数をかけるわりに島に集まった人々の理由はたいしてインパクトはなく、しかも肝心の殺人事件の動機とは無関係という全くの期待はずれ。読者を楽しませようという気が作者にあるのか疑ってしまう。 | ||||
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有栖川作品の中では、叙情性が強く出た作品だと感じました。鴉が不気味に鳴き交わしながら飛び交う様子で、まず短編の「黒鳥亭」を思い出しましたが、江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」の話が出てきたり、エドガー・アラン・ポーの詩「大鴉」の文章が裏テーマのように所々に現れたりと、どこか文学的な雰囲気も漂わせています。年老いた孤高の詩人しか住んでいない、あとは無人の孤島の雰囲気が良いです。 が、そこへ突然、ヘリコプターで降り立ったのが時代の寵児であるカリスマ経営者というあたりから怪奇な雰囲気は薄れていきますが、その次に出てきたのはクローン人間研究と、だんだんと話が異様さを増していきます。孤高の詩人を中心に集まった人たちがどういう繋がりがあるのかもはっきりせず、そのうちに連続殺人が起きて・・・という閉ざされた島の密室もので、このあたりは「孤島パズル」と共通するものがあります。 有栖川氏の読者はたぶん本格ミステリ・ファンが多く、ゆえにミステリとしてトリックの出来不出来、動機、整合性などを重視されている方が多いと思います。新本格派ということでデビューされた有栖川氏なので、それは当然なのですが、氏の作品のもうひとつの大きな特徴は、叙情性にあふれていること、それはたとえば「海のある奈良に死す」では旅情ミステリのような表現で出てきますし、「孤島パズル」のように少しセンチメンタルな青春物の趣だったりします。論理とセンチメンタルはある意味正反対のものなので、そのあたりで賛否両論が出てくるのだと思います。そういう意味ではこの作品も、好き嫌いが分かれるのではないでしょうか。 ネタばれするのであまり書けませんが、人々が2人の子供たちに期待したものにいまひとつ説得力が感じられず(個々、ケースが違うのだから、そんなことをしても意味がないのでは?)人々が集まっていた謎もやや説得力に欠けると感じました。それでも個人的には全体の雰囲気が好きで、小説としての出来、読後感ともに十分に満足でした。久々の長編を堪能できました。 | ||||
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Very nice | ||||
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まず、レビュー評価が割れていることに驚いた。個人的にかなり好きな作品だからだ。1年に2回以上は読み返している。有栖川有栖作品で1番好きな長編はと聞かれたら、これか「朱色の研究」か「ダリの繭」でめちゃくちゃ悩む。それくらい好きである。 事件や動機は正直結構しょぼいのだが、この作品の重要な要素はそれではなく、島に集まった人たちが抱える秘密であるから全然構わない。というより、この作品はもはや海老原のラブストーリーといってもいいのではなかろうか。アリスたちはおまけ。 登場人物も個性的でおもしろいし、作品中にちらばったアイロニーも作品の雰囲気を良くしている。 絶海の孤島、ザ・クローズドサークル!を期待するとがっかりするかもしれない。けれど、だからこその密会があったり、クローズドサークルを保とうとする人がいたりといったことが設定とうまく噛み合っていると思う。 このシリーズを知らない、ミステリはあまり読まない、そういう人でも楽しめるのではないかなと思った。 | ||||
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火村シリーズの長編作品でオーソドックスな孤島モノ。 火村と有栖川は羽を伸ばしに知人の宿がある島に出かけるが、間違った島に上陸してしまい数日間をその島で過ごすことになる。そこには著名な文化人である老人と彼の熱烈なファンたちがいた。そこに、肚に一物を抱えた若き起業家が乱入してくる。老人とファンたちには何か隠し事があるようで、火村たちに対する態度に違和感があった。そんななかで第一の殺人が起きる。――といったあらすじ。 島にあつまった人々の目的は何か、殺人を犯したのは誰か、と探っていくことで話が進行する。随所に散りばめられた衒学的要素、電話線を切った斬新な動機、アリバイから犯人を特定する際のひねりのある論理が魅力的だ。 本格ミステリ読者にはたまらない本だが、一冊のエンターテイメント小説と考えると、展開がゆっくりしていて派手さにも欠けるなどといった点から、読者を選ぶだろう。 | ||||
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スマートな作風、厭味のないペダントリー、ほどよいユーモア、というような言葉で有栖川有栖を語ったのは綾辻行人だった(確か『46番目の密室』の解説で)。その中で、何よりも本格ミステリに向ける眼差しが素敵だ、と綾辻は書いている(手元に本がないので、正確ではないかもしれないが)。それを読んだとき、さすがうまいこと言うなあ、と思った。僕自身も、その眼差しに魅せられている一人なのだ、と激しく同意したものだ。 極論すれば、有栖川有栖の作品は、「面白い」「面白くない」の二元論では語れない、というような思いがある。誤解のないように書いておかなければならないのは、もちろん面白い有栖川作品はたくさんある。しかし、面白いだけなら、ほかのミステリ作家の作品にもいっぱいある。僕たちミステリファンにとって有栖川有栖という作家が稀有なのは、その作品にこめられた真摯な眼差しが、かつてクイーンやカーやクリスティーに夢中になった初心を思い出させてくれるからだ。ピッと背筋を正されるような感じがするのである。 と、言わずもがなのことを長々と書いてしまったが、本書『乱鴉の島』。なんと、今のこの時代にコテコテのクローズド・サークルものである。『そして誰もいなくなった』の時代に比べて、孤島を舞台にすることのなんと難しいことか、と嘆息せずにはいられないが、有栖川有栖はそれを逆手にとって新たな孤島ものの地平を切り拓いてみせた。 【※※から※※まで、少し作品の内容に触れます】 ※※ 孤島ものの定石は、犯人が犠牲者たちを逃がさないように孤島状況をつくる、というものだが、本書の場合はちょっと違う。その他の理由からつくられた必然の孤島状況で、たまたま殺人事件が起きてしまった、というものだからだ。なので、殺人事件の謎そのものよりも、なぜ孤島状況が生じたか、のミステリ的興味こそが、サスペンスの原動力になっている。 ※※ 本書は、『そして誰もいなくなった』とは似て非なるものでありながら、それでいて愚直なまでに正統な孤島ものの系譜に属する優れたバリエーションだと思う。そう、愚直なまでに、というのは有栖川有栖の有栖川有栖たる所以だ。音楽でいえば、有栖川有栖はブラームスなのだ(なんて書くと、かえって分かりにくいか)。偉大なる先人たちに最大限のリスペクトを捧げながら、常に新しいものをクリエイトしようとする営みからは、苦悩、喜び、情熱といったものがあふれ出て、それが作品に結実しているのがよく分かる。そんな本格ミステリのマエストロに、僕は深い愛情を抱かずにはいられないのだ。 | ||||
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有栖川さんの作品は、短編ばかり読んできましたが、長編も素晴らしいです。 少ししかない情報を一つ一つ積み上げて犯人を見つける展開には脱帽します。 | ||||
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典型的な孤島物な感じだが殺人事件の謎解きには大して面白みが無く、 どちらかといえば『なぜ彼らはこの島に集まったのか』という謎がメインで、 いくつかの推測がなされじわじわと真相に近づいていくのは面白いのだが、 最終的に明らかになる真相がそれまでの想像と大して差がないのがややガッカリ また『なぜ犯人は被害者の発見をわずかに遅らせようとしたのか』という謎の答えが 現代的かつ孤島物というネタを利用したものだったのが、新世代的ミステリな感じがした 名作とまではいかないが、まあそれなりに楽しめる作品 | ||||
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否が応でも期待してしまう孤島ものですが、本格ミステリーとしてみると有栖川作品としては物足りなさを感じます。 それでもロジック重視の有栖川ミステリーではあり、真相解明の流れは流石です。 ただ本作のテーマがまずありきで、それをベースに本格推理物に仕上げたという感じがします。 | ||||
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本格ミステリベストワン獲得作なので読む前から期待値が上がってしまうが、読んでみると火村シリーズとしては凡作の部類で詰まらないという訳ではないが、何故よりによってこれがベストワンなのか・・・と思ってしまうのは確実。 孤島ものだが、出版当時の時世を反映してホリエモンもどきの若手社長やらDNA操作など従来の孤島ものから想像される雰囲気はあまりない。火村シリーズとしてはページ数の多い作品だが、殺人が起こるまでは長いし、事件自体も非常に地味なものである。メインの殺人ネタが地味なのでSF的な味付けで何とか体裁を整えたような感じ。あまり本格ミステリベストワンというコピーに踊らされずにいつもの火村シリーズの一編として読めばそれなりによく出来た作品だと言える。 | ||||
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実は、著者の作品を読むのは、この作品が初めて 本格ミステリーベスト10の2006年第一位ということで かなり期待読みました。 読みやすい文章と描写で 物語の世界観にへすぐに入り込めました。 ポーの詩の引用、面白い登場人物などすいすい読めます。 どんな連続殺人が起きるのか、どんなトリックと解決があるのか、と期待しながら読みすすめました……。 と、思いながら読んできましたが 案外な感じで肩すかしを食らいました。汗 これって本格ミステリーなのか?と、読み終えて疑問が 自分が期待したものとはかなり違っていました。 動機とトリックも何とも平凡な感じで…… 普通に小説としては興味深く読める部分がありよかったのですが やはり本格ミステリーとして身構えて読むと肩すかしを食らう作品です! | ||||
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この本は、冒頭からポー、そして日本のポー(江戸川乱歩)の怪奇、幻想小説を暗示しているのがわかる。 そこに現代のSF、いやそれを超えてリアルになりつつある不気味なもの、「クローン」を題材にしているのはいい。 いいがそれなら最後までそのテイストを維持して欲しかったものだ。 序盤でおどろおどろしさを意識し、オカルトベースを期待して読むと肩透かしをくらう。 火村とアリス、二人の持ち味が後半急速に消えていってしまった(終盤の火村にいたっては……)のが彼らのキャラクターを愛する身としてはなんとも悲しい。唯一良いのは、子供二人との交流シーンだろうが、やはりどことなくとってつけた印象を受ける。 また現代のサブカルチャーについても触れてはいるものの、やはり問題提起を途中であきらめたような書き方である。 せっかく背景が出来上がり、アイテムがたくさんあるというのに、どうにも構成が下手で個々を生かし切れていないのが残念だ。 また、主人公二人以外の面々に一切魅力を感じないのも問題がある。 正直犯人ととりまく面々、中心軸となる人物の集まりが、メンヘラチックで乙女じみた妄想をするだけに留まっているのがなんとも消化不良で、味気ない。はっきり言ってつまらない。犯人の動機となった人物にも、それだけ人を盲信させるだけの人格を感じられなかった。 登場人物がなそうとしていることはエゴイズム抜きに歪んでいることなのに、それを一切顧みることがない面々、他者(この場合には火村達にか)にその感動を押しつけて平然としている様は滑稽を通り越してうすら寒い。 作者が昨今の医療技術に一喜一憂している人々を皮肉っているのなら、まあ成功したとはいえるが、火村のフォローを見るにそうではないのだろう……。 以上のことから、多作な有栖川作品の中でも、最低作であるといっても過言ではない。 | ||||
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本書は推理作品としては凡作だが、個人的に好きな作品。 作者シリーズものには火村英夫ものと江神二郎ものがあり、私は常に読者への挑戦状を挿み込むなど本格推理に徹しながら青春ものの青臭さを感じさせる江神ものがすきなのだが、本書には江神もののような青臭さのようなものが感じられる。 本書はいわゆる孤島もので、火村作品では初めてだが、江神ものならそのものズバリの「孤島パズル」と、もう一つ「双頭の悪魔」があり、推理作品としては断然これらの方が良い。 本書のシチュエーションは解説にも若干触れているが、同じ江神ものでもむしろ「女王国の城」に近い。 主人公たちが紛れ込んだ場所(本書は黒根島、「女王国の城」では人類協会の総本部)で、主人公たちをとり囲む集団が集団としての秘密を抱え、その秘密保持のため主人公たちと対峙する。 ただ、本書の場合、その中心にいる孤高の詩人・海老原瞬と、その海老原を取り囲む人々との関係性がイマイチ不明で、皆が海老原の熱烈なファン・同志だというが、では彼のどの作品のどういうところに彼らが惹かれたのかとかの説明は一つもないし、あるいは別の事情(海老原との、あるいは彼の亡き妻・八千代との個人的なつながりがある等)があったとしても、それらは一切描かれていないため、彼らが抱えている秘密を解き明かされてもイマイチ実感を伴わない。 にも関わらず、私が本書を気に入っているのは、ポーの代表的な2つの詩、「大鴉」と「アナベル・リー」が作品全編にその雰囲気を(「大鴉」は不気味さを、「アナベル・リー」は透明な哀しさを)漂わせているからである。 殊に「大鴉」で何度も繰り返される“Nevermore”、これを海老原が訳したとされる「ケシテモウナイ」が、作品全体にかすかな通奏低音の響きを奏でており、作品全体の寂寥感をいやが上にも高めているのである。 | ||||
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無人島に近い孤島に火村&アリスコンビが行く・・・それだけで、嫌が応にも期待が高まってしまうではないか・・・孤高の文学者、海老原瞬の元には”海老原ファン”の人々が集まっていた。その別荘に、行き先を間違えた(正確には二人を乗せた船が行き先を間違えた)二人が”招かれざる客”として滞在することになる。鴉が集まる絶海の孤島。滞在客は、ただファンが集まっただけだと言うが、何やら別の目的が見え隠れする。そこにヘリコプターで現れたカリスマ経営者。彼の目的は。次の船が来るまであと3日。何もない島で何も起こるはずはなかったのだが・・・ と、期待しすぎたのかもしれない。久しぶりの長編だっただけに、次々と人が殺されるか、難攻不落なトリックか、と大掛かりなものを期待してしまった。 しかし、島に集まった客が本当のことを言っているのかどうかもわからない、という限られた情報しかない中で、きちんと論理的に犯罪を立証していく過程は、さすが本格ミステリ。安定感がある。ただ、今回はアリスがちょっと出しゃばりすぎな気がして、それが鼻についた。もう少し、火村先生の出番が多い方がファンとしては嬉しいかな。せっかくの長編だから、もう少しドロドロした人間関係、なんていうのも面白かったのでは、と思う。何を目的にこの人たちがこの島に集まったのかが最後まで明かされないが、殺人の動機としても少し弱い気がするし、読後は若干消化不良気味の感が残った。 | ||||
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謎解きのまともに機能しない推理小説の多い中で、有栖川作品は常に高いクオリティーの謎解きを提供してくれるので、その点では安心して読むことができます。本作品も、推理の面白さという点で、読者の期待を裏切りません。 とはいえ、今回作者はあまりに多くの要素をこの作品に詰め込みすぎました。孤島、ポーの詩、IT長者、クローンなど、どれか1つだけでも十分魅力的な舞台を作れるのですが、それを1つの小説に詰め込んだばかりに、却って読後「な〜んだ」という感じしか持てませんでした。豪華な舞台衣装を着た演歌歌手が、ビンボーくさい世界を切々と歌う光景とよく似ています。 もともと、有栖川作品は、動機(犯人の心理)面にはあまり重きを置いていません。今回の作品では、作者はこの部分の強化を狙い、このような派手な舞台を設定したのでしょう。しかし、その試みはこの作品については完全に失敗したと言わざるを得ません。 | ||||
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孤島での殺人、ポーの詩の余韻、孤高のカリスマ作家や現代のミダス王とも言えるハッシーなど、 状況設定、登場人物にはとても魅力があります。 現代科学と男女の愛が、孤島に集まる集団の謎に絡み合っている点もロマンチックです。 でもでも、だからこそ、動機の点が痛かった。 凄く通俗的で唐突で、「えっ。なにそれ」と呟きたくなる気持ちになったのは、 自分だけではないと思います。 本格物を書こうとする真摯な姿勢が感じ取れる作家さんだけに、惜しい。 この作品では別の動機、別の犯人を用意して欲しかったと思います。 | ||||
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このところの有栖川有栖作品は「らしくない」ものが多かったように思う。 テロリストが登場したり、パズルが単なるパズルで終わってしまっていたり うまくいえないけれど、盛り込んでいるわりには物足りないと感じることがあった。 今回の作品ではクローン技術に手を出すと知って 読む前に及び腰になってしまったのだけれど、杞憂だった。 まちに待った、読みたかったミステリーだった。 孤島というガジェットにひかれて、本を手に取った人は拍子抜けかもしれない。 奇怪な登場人物も、謎の子守歌も、酸鼻を極める連続殺人も無いのだから。 でも、これが有栖川アリスなのだ。端正な論理に身をゆだねればいい。 こけおどしなんて必要ないのだ。 ねちっこい人物描写も邪魔だ。 謎ときの果てに人物像と人生が浮かび上がってこその探偵小説なのだから。 今回も読後の余韻が素晴らしい。 島に残った火村と海老原はどんな会話を交えたのだろう。 有栖川有栖はロジックで詩をつぐむのだ。こうでなければいけないのだ。 | ||||
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