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(短編集)
秋の牢獄
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秋の牢獄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全89件 41~60 3/5ページ
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掲載されている三編とも、何かに「閉ざされる」ことを題材にしたお話です。 好みは分かれるかもしれませんが、個人的にはいずれも楽しめました! 恒川さんの独特の世界観や、読後の余韻がいい感じです。 気負った感じのないフラットな文章なのですが、 気が付くとすっと異界にさ迷いこんだような感覚にさせられるのは 流石だと思いました。 この方のファンタジー小説は今後も追っていきたいです! | ||||
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単行本としては三作目、三つの中編が収められています。 自然や空気、都会の人の流れ、情景を描く筆の滑らかさにいつも感心します。 独特の幻想小説はこの筆調とセットだからこそ輝くのだと思います。 表題の「秋の牢獄」は正直、少し冗長かとも思いますが、 「幻は夜に成長する」が素晴らしかったです。 このドロドロとした情念や先の見えない恐怖、滅入る話の筈だのにとても魅力的です。 | ||||
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浅羽氏「時間ループ物語論」で取り上げられていたので 読んでみた。スタイリッシュで素直な文章で、伝承の ような物語が3篇収められている。帯にあるよう「現代 の遠野物語」という形容が確かにしっくりくるテイスト の作品。いずれも語り口が巧みで引き込まれる。 他のレビューアも書かれている通り、3篇とも「囚われ」 る物語で、その中ですごすの主人公達の心のありようが 読み手にさまざまな思念を乱反射させる筈だ。 | ||||
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三つの不思議な物語が収録されている短編小説です。 【秋の牢獄】 主人公の女の子が目覚めると11月7日が再びやってくる 人の行動や天気など万物全てが昨日の11月7日と全く同じ 時を重ねるのは、自分の記憶のみ。 しかし、 この奇妙な体験をしているのは彼女だけではなかった。 自らのことをリプレイヤーと呼ぶ仲間がいたのだった。 彼らにしか見えない町を漂う北風伯爵とは一体? そして、11月8日を無事に迎えることができるのか…。 【神家没落】 主人公の男が偶然迷い込んだのは、不思議な萱葺き屋根の古い家だった。 そして、そこに住む老人にこの家を託される。ただでは出られないことを知らずに… 家とその敷地は一年をかけて日本中を移動する 見える人は訪ねてくる、そうじゃない人には男を含め空気同然。 果たして男は家を出ることができるのか…。 【幻は夜に成長する】 不思議な幻術使いの主人公の女は、とある場所で歪な生活を送っていた。 彼女の力はどんな幻も人に見せることができる。幸福、そして地獄すらも…。 そんな彼女の元に救いを求め、悩める人々が集まる。 しかし、それは彼女が望んだことではなかった。 如何にして彼女に幻術が備わったのか…?歪な生活に至るまでの全てが 彼女の過去にその答えがある。 読書慣れしている方でしたら、休みを使って2日程 そうでない方でも4日あれば読みきれるかと思います。 以上、皆様の参考になれば幸いです。 | ||||
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夜市で彼の作風に惹かれ、本作を購入。 読み終えた感想は、正直、思っていたものと違うなあということ。 収録の3編すべてに言えることだが、全体的に淡白な文章で、読みやすいが心に訴えかけるものがない。 理不尽な境遇に対する絶望や、今後を想っての悲壮感が伝わってこず、良くも悪くも創作物を読んでいるのだという現実に引き戻されてしまう。 あと、夜市では、絶望的な状況においても全体的に優しさが垣間見える物語であったが、今作はやや非情。 特に最後の「幻は夜に成長する」では、読んでいて苦しくなりました。 作者自身、自分の作風に迷いがあるのではと、勝手に邪推してしまいます。 | ||||
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平易な文章で、これほど神秘的な世界を描けるのかと、驚きました。 三篇の内、特に最初の一遍、タイトルナンバー。 その最後の一行になぜ心が震えるのか、自分でも分かりませんでした。 | ||||
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恒川光太郎さんの本は文庫になっているのしか読んでいませんが僕はこれが一番好きです。 どの話も外れが無い。中でも表題作の秋の牢獄は素晴らしいの一言。 最後の一文を読んだときは鳥肌が立ちました。 別に大どんでん返しがあるとかそういう訳ではないんですが、余韻を残して本当に自然に物語がフェードアウトしていく。 いい意味で主人公のそれからを考えないですむ、本当に素晴らしい話だったと思います | ||||
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夜市のような雰囲気のノスタルジックで幻想的でどこか物悲しいものを求めていたのでこれは少し期待はずれでした。 私は表題作が一番気に入りました。王道な設定で都市伝説にヒントを得て書かれたような作品なのですが、淡々と進む話の中に秋の空のような一抹の物悲しさがあって良かったです。恋はデジャ・ブ [DVD]を少しだけ思い出しました。さまよえる湖と迷い家がドッキングしたような神家没落も設定が面白かったです。百鬼夜行抄 (1) (ソノラマコミック文庫)にあったマヨイガを思い出しました。(巻数は違ったと思います。どの巻だったか思い出せません。) 残念だったのは、現代が舞台だから・・・なのか風の古道のコモリが10倍悪くなったかのようなキャラクターや嫌らしい言葉遣いをする登場人物が多くなったことです。風の古道のコモリも胸の悪くなるようなキャラクターでしたが、神家没落にも似たような登場人物が出てきて辟易します。いじめっ子や、逆にいじめ場面から助けられて妙に偉ぶり主人公の気分を害する人もいましたが、これはどういった効果を狙ったものだったのか・・・よくわかりません。作品の幻想的な雰囲気を損ないつつ、読者を嫌な気分にさせるのが目的なら多分、効果覿面でした。現実でもこんな嫌な性格の人は、滅多に見ません。それが短編の中にこれでもかっというようにわんさかいます。薬で自由を奪われた挙句、囚われた女性が陵辱を甘んじて受け入れる、というような描写のある作品もあり、夜市のようなものを求めていた私は戸惑いました。この衝撃は漫画版の風の古道、まつろはぬもの 6 (ヤングサンデーコミックス)冒頭を読んだ時に近い気がします。 | ||||
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以前読んだ恒川さんの「夜市」と似てますね。驚きの展開や泣ける人間描写はありませんが、洗練された文章や一風変わった設定には舌を巻きます。短編集なので気軽に読めるのも○。 | ||||
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北村さんの作品だと、もっと悩みや悲しみまで描くのだろうけれども、それよりも恐怖が前面に出ている。 リプレイヤーが周りにいたらどんな感じだろう。 自分の日常は何回も垣間見られているのだ。 | ||||
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既に書かれている方がいるとおり、デジャヴュとしてはめずらしいものではない。 SF的に考えれば新スートレック118話「恐怖の宇宙時間連続体」の方が遥かにSFである。 したがって読んですぐにネタとしてはたいしたものではないと感じてしまったのだが、読むにつれて主人公を含む人間描写の引き込まれていった。 とはいえ他の作品に比べれば、甘いと言わざるをえない。 この作品は最後の一行、主人公の短い言葉が作品を最後の最後に上げる結果となった。 | ||||
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デビュー3作目となる07年作。透明感ある文体で綴られる、怖いようなどこか懐かしいような世界とそのリリシズムがやはり独特で、素晴らしい。 十一月七日、水曜日を何度も何度も繰り返すことになった女子大生の姿を描く表題作「秋の牢獄」。その日どれだけのものを積み上げ、あるいは失っても(たとえ事故を起こして死んでしまっても!)、朝になれば全てがリセットされまた同じ「十一月七日」が繰り返される、という世界。物語は、そんな世界において同様に「リプレイ」を体験している仲間たちとの出会い、そしてある日突然訪れる「終焉」を絡めながらどこか幻想的な儚さを感じさせるヴェールの中で展開する。 続く「神家没落」でもまた、現実と一本線を挟んで並存しているような異世界が描かれる。非常に限定された閉鎖的な空間、という意味で前編と共通しているが、こちらでは後半で生身の「悪人」が登場することで、先のノスタルジックな透明感とはまた違った、憎悪の色を孕んだドライヴ感が生まれている。 そしてラストの「幻は夜に成長する」はまた先の二編いずれとも異なるテイストで、しかし同様にあるものに「囚われている」女性の半生が描かれる。クライマックスに向け高まっていくその情念はホラーのようでいて、しかしその女性の持つ凛とした佇まいやそれを描写する美しい文体が、この作者にしか書けない異世界の磁場を生み出している。読中の昂揚感もさることながら、読後の余韻に素晴らしい深みを感じる三篇。絶品です。 | ||||
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「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の3編で構成。 「秋の牢獄」については読んでる途中、この発想の作品、映画はよくあるパターンと思ったりもした。 作中でこんなことが映画にあったと言われているのはビル・マーレー主演のコメディー「恋はデジャ・ブ」のこと? などと思いながら読み進めていた。 だが、北風伯爵が絡む中盤から後半の展開には引き込まれた。 この作家ならではの読み応えのある内容だ。 「神家没落」は「風の古道」に近い、現実世界に隣接する異世界に踏み込んだ人間の話。 悪人の登場で物語がラストに転がるという展開も「風の〜」に近い。 もちろん面白い。 「幻は夜に成長する」は異世界ものではなく、異能力をもつ女性のモノローグによる物語。 特別な能力をもつ女性をめぐりストーリーが展開する。 たとえば「クロスファイア」とかでおなじみの展開の 異能力者に対する周囲の人間たちの敵意、恐れが描かれているのだが 独自の幻想性があり引き込まれた。 この作品はこの作家にとって実質初のホラーとなりえるかも。 連作を是非希望する。→この後はこのテイストの作品は書いていません。 彼の著作はデビュー作から一気に三冊読んだので、 ちょっとほかの本を読んでから次作を読みことにしよう。 この人の本って読んでるときの味わいが格別なので大事にしたいので。 | ||||
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舞台を整えるための装置、構成にかけては円熟味を増した老齢作家に 負けずとも劣らずといっては、褒めすぎでしょうか。 3作目では、落ち着きはらった文章がいっそう肌に馴染んで浸透します。 表題作の『秋の牢獄』 無限にくり返す時の流れ。 それは個人の意思に反し、あざ笑うかのように幾たびもあいまみえます。 あれほど恒川ワールドの代名詞でもあった幻想世界において、何故ループものなる 雑草のように、辺り一面に散らばったカテゴリに着目したのか不思議でしたが、ふと、思いました。 これは、紛れもなくホラーです。 序盤こそ、抗う姿が見受けられますが、誰しもが空間からの束縛に心が病み、諦観しています。 まだ若いはずであろう、主人公や隆一なども、解決策がないとはいえ、まるで亡霊のように 生気をなくしています。見るも無残な結末とはこのことだと思いました。 『神家没落』 自分は少し、穿った見方をしてみました。 物は使いようという言葉の恐ろしさとポテンシャルを痛感しました。 ただ、余生を恙無く過ごしたいなんて平和的な考え方の人間もいれば 犯行現場を見られず、また自分の足がつくことはないと楽観し、人道的行為に及ぶもの。 そんな、人の深層に潜む、人の本性をさらけ出すのが隠れたテーマだと自分は思います。 『幻は夜に成長する』 何度でも読み返したくなる妖しさを秘めています。 こちらの話は、肉体と精神の2重束縛といいますか、完全なる空間支配をうけるという意味では 前者2人を凌駕し、絶望すら感じられなくなっているところが恐ろしい。 宗教団体も登場しており、冷徹的なまでの悪役っぷりに徹しているのが不気味です。 でも、なぜか感じる消化不良。あまりに悪役が極端すぎたせいでしょうか。不満が残りました。 | ||||
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「夜市」の意外かつ心温まるストーリー展開にうならされたので、期待して読みましたが・・・。 あまり感性の鋭くない私としては、「幻想的な雰囲気を味わう」だけの話は苦手。 ヤマがあって、オチがあってでなくては読んだ気がしない。 こういうことが原因でこういう不思議な現象が起きたので、こうやって解決したといった整合性をついつい求めてしまう。ドラマチックな展開も期待してしまう。 きっとホラーの読み方としては邪道ですね。ホラーファンからは怒られてしまうかも。 そんなわけで、表題作はもどかしく少々物足りなかった。2番目の「神家没落」は私のようなタイプの読み手でもけっこう面白く読めると思います。 | ||||
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夜市でもその美しい物語と構成に感服しましたが、今度の作品も素晴らしいです。 小難しい表現の仕方や言い回しはまったくないのに、それでいてチャチくならない、本当に質の高い作品だと思います。 季節や色彩が活字を見た途端に浮かんできます。 | ||||
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明日が来ると信じて疑わなかった私に突き付けられた現実。それは11月7日、今日が繰り返されるということ。夜眠って朝になるとまた11月7日。何かを今日しても朝にはまたゼロから始めることになる。 ただ、記憶だけは消されずに毎日過ごしている。けれどある日、私以外にも11月7日でループしている人々がいることに気づく。そして彼らとの交流。私はいつまでここに居続けるのだろうか? 毎日何気なく過ごしているけれど、本当に私は明日へ行けるのだろうか?ちょっと怖くなってしまいました。 誰でも一度は「今日が続けばいいのに」って思うことがあると思うけれど、本当に続くと…。 夜市の透明感とはまた違う。全体的に冷めている。毎日を続けることにパニックになりそうなのに、主人公やループしている人々はなんとなく慣れて、だんだんとその状況を受け入れている。 先があるようなないような世界。閉塞感があるのに息苦しさはない。 とても心がざわざわする一冊でした。 | ||||
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不思議と元気の出てくる「秋の牢獄」 明日も頑張ろうと思う「神家没落」 ウザい上司の話しは適当に聞き流そうと思えてくる「幻は夜に成長する」 「あぁ、明日から仕事かぁ・・・」という、憂鬱な日曜日の午後に読めば、また来週一週間もなんとか自殺しなくてすむ様になれる気分な、一冊。 | ||||
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最初、私はこの本の紹介を見た時に恒川光太郎氏はSFも書くのかと思った。 しかし、実際に蓋を開けてみれば、やはりそこには氏特有の幻想的な世界の“違和感”があった。 たった一日をやり直す世界で、人はどう生きていくのか。そして“ソレ”に対してどう足掻いていくのかと言ったものが非常にリアルに描かれている。 他の章については、奇妙な世界に依存する……あるいは寄生するイヤらしい人間模様の濃厚な描写に舌を巻いた。 奥歯の隅に何かが挟まったような苛立ちと後味の悪さは流石というか、なんというべきか。 忘れることのできない、という意味においてはこの本は語り継がれるべき一冊だと思う。 | ||||
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前作の「風の古道」といい、今回のmovingする異空間の虚像といい、 そこはかとなく居心地のよくない立ち位置から、足元をを掬われる恐怖。 そしてどこか日常を変えてしまいたい想いとリンクする自分。 何もしなくていい安心と何もできない不安が24時間交錯しながら時折物語は時を止める。 この「帯」にはまってしまったら容易に抜けられない。 だって「家」自体が移動するんだぜ。 秋の牢獄以上に「気」が変になる。 「常識」の中しか知らないとモトりークルーのドラマー=トミー・リーが「回転」しただけで 驚くレベルで生きることになる。 この作品のレベルは、1公演に15万人を集客するスタジアム・コンサートの迫力を超越する力がある。 | ||||
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