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ナイン・テイラーズ
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ナイン・テイラーズの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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※ネタバレ "ナイン·テイラーズ"とは、"9人の仕立て屋"という意味ではなく、"九告鐘"と言って、死者を弔うために9つの鐘で鳴らす鐘の音のことでした。"テイラー"はテラー(teller)がなまったものだとP37の8行目に書いてあります。 オックスフォード大卒の才媛であるドロシー·L·セイヤーズが、イギリスの教会の鐘についての知識を延々と述べていますが、小説の中の犯罪に関して、鐘は大して重要な役割を果たしてはいないみたいです。……無理やり犯罪に鐘を結びつけた感じがします。……っていうか、鐘がなってる時に鐘部屋にいたら死ぬというなら、鐘部屋にいた男が死んだと分かった時に、最初にその可能性を考えなきゃだめなんじゃないかと思います。 ディーコンが、脱獄したあと生きていて、隠した宝石を取り戻すために、フェンチャーチに帰ってきたのは、半分くらい読んだところで分かったけど、その他のことは、全部予想が外れた。……でも、自分が考えた筋書きのほうが、面白いんじゃないかってちょっと思いました。 ただ、これだけ退屈な話を沢山挿入しても、なんとか最後まで読む気になるのは、人に読ませる文章を書く才能は、少しはあるからかなと思いました。……登場人物も無駄に多くて、いちいち覚えるのがめんどくさい。 | ||||
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英国においてはセイヤーズの評価が高い(著名なミステリ評論書であるヘイクラフト「娯楽としての殺人」においてもクリスティより多くの頁が割かれている)のは知っていたが、実作を読むのは初めてだった。表紙の裏の紹介に、「堅牢無比な物語と謎解きの妙が渾然となった傑作」とあるが、それとは程遠い出来。確かに、伝統的な英国(田園)小説の香りがし、舞台となる村の風情や人間模様は良く描かれているが、物語の進行と共に謎は自然に解けてしまい、ミステリとしての妙味は非常に薄い。 扱っている謎にしても、旧態依然とした物で、全体としてルコック物の回想部分やドイル「バスカヴィル家の犬」に時代が逆行したかの様。ミステリと言うよりは、英国(田園)小説にほんの少しミステリ的味わいを加えた、という趣き。セイヤーズを評価している向きは、こうした伝統的英国小説の愛好家なのだと思う。また、本作を読むためには、英国の「鳴鐘術」に付き合わなければならない(「ナイン・テイラーズ」は九告鐘の意)。乱歩が本作を激賞した事は良く知られているが、本作には「鳴鐘術」を利用した暗号が登場する。乱歩の「二銭銅貨」が本作にヒントを得ていたら、と想像するとチョット面白い。 | ||||
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教会の鐘をテーマにした作品で、鐘を鳴らす複雑な技術を細かく書かれているが、教会の鐘にあまり馴染みのない日本人にはこの作品の良さを100%理解出来ないかもしれない | ||||
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重厚な筆致で読み応えは満点かもしれないが、 本格推理物とは違うようだ。風物、建築物等 の異様なまでに細かい描写も本筋にはなんら 寄与しない。登場人物が多く、各々の思惑が 複雑に錯綜するのは結構だが、この作品の場合 それも無益と言える。英国産の最高傑作と 謳われるがこれを冒険小説とするなら 理解できる。 日本語訳は良好と思うが田舎なまりが多くて ちょっと読みにくい。 他のセイヤーズ作品を読んでみようと思います。 | ||||
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江戸川乱歩が黄金時代のベスト・テンの中に選んだことから、 傑作の誉れ高い作品です。 ある年の瀬、ピーター卿がフェンチャーチ・セント・ポール村に迷い込みます。 ここで転座鳴鐘の人員を欠いた急場を救うために、 卿自ら鐘の1つを担当し、9時間の間、鐘綱を握ります。 そして春が訪れた頃、村の赤屋敷当主が亡くなり、 亡き妻と同じ墓に葬るため掘り返したところ、 もう一体見知らぬ死体が発見されるのでした。 教区長の招きで、 ピーター卿が事件の真相を探ることになるのですが・・・。 ナイン・テイラーズとは、九告鐘と訳され、 死者を送る鐘のことで、本作品の主人公は鐘。 転座鳴鐘術という日本人には馴染みの薄い演奏術を駆使した描写が全編を彩り、 巻末には、訳者による用語辞典まで掲載されている念の入れようです。 ミステリとしての彩りも多彩です。 見知らぬ死体は誰で、死因は一体何だったのか? 昔発生したエメラルド盗難事件の犯人は誰で、 エメラルドは今、どこにあるのか? 鐘部屋で見つかった暗号文の意味するものは? 七番鐘バティ・トーマスの不吉な過去とは? などなど、様々な謎が提起され、物語を盛り上げていきます。 これだけハイテンションな要素が揃った作品でありながら、 ★3つにしたのは理由があります。 それは、いくつもの謎が最後に収束するカタルシスを 味わいたかったのですが、あまり感じられなかったことが一つ。 もう一つは、巻末の解説によるところの 「あるかなり奇抜なトリック」が使われている点について、 それほどの衝撃がなかったことです。 この作品は、トリックうんぬんより、 鐘にまつわる荘厳かつ不気味な雰囲気を重視し、 楽しむべきものなのでしょう。 そういう意味で、私の嗜好にはあまり合わなかったようです。 | ||||
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本書は江戸川乱歩が名作推理ベスト10の10位に推した作品で、いわゆる「古典的」名作である。 またその文章は文学作品を思わせる格調の高さであり、「文学的」ミステリーと呼ぶにふさわしい作品でもある。 しかしながら、では本書から「古典的」とか「文学的」というような肩書きを排して、純粋にミステリー作品として本書を評価すると、正直別にどうという作品でもないように思う。 私は別に文学作品を読みたかった訳ではなく、ミステリー作品として面白い作品を読みたかっただけなので、こんなに分厚い500ページ近い本を読む時間があったなら、他にも面白そうな本を2冊は読めたのにと思う。 よく同時代に活躍した女流作家同士ということで、著者とクリスティーが比較され、「ミステリーの女王」などと一般的にもてはやされているクリスティーよりも著者の方が優れていると評価する意見もあるが、本書を読む限り(本書は著者の代表作である)、それはミステリー作家としての評価ではなく、著者の格調高い文章を評価しているだけのこと、評価基準の違いの問題ではないかと思う。 もちろん、いわゆる「通」の人は、こういう「古典的」名作も一度は読んでおかなければ「通」とは言えないので、そういう人にとっては本書は「必読の書」ではあるが、そうではなく純粋にミステリー作品を楽しみたいだけのファンは、あえて本書のような分厚い本を読む必要はないと思う。 | ||||
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